
軽くて頼れるレイングローブはどれだ!?【山で使ってわかった機能と形状】|PONCHOギア深堀りレビュー(PEAKS 2026年1月号)
PEAKS 編集部
- 2026年02月26日
INDEX
レイングローブは雨から手先の濡れを防ぎ、ウインドシェルのように風による冷えも予防。インナーグローブを組み合わせれば、低温下での保温力も発揮。使用シーンは幅広い。そこでその実力を試すため、気温5℃、霧雨が降る標高1,500mでのテストを行なった。
編集◉PEAKS編集部
文◉PONCHO
写真◉後藤武久
風雨に強いレイングローブはエマージェンシーアイテム
雪山に登るなら、冬山用の保温力の高いグローブを用意するだろう。高所登山の映画やドキュメンタリーで見たとおり、凍傷にならないように。でも紅葉の終盤、最低気温が0℃前後になっている積雪のない太平洋岸の山を登るとき、みなさんはどんなグローブを用意するだろうか?
私は天気がよかったこともあり、保温用フリース製グローブのみで登山した結果、予報になかった雨に降られ、濡れたフリース製グローブに冷風が吹きつけ、しびれるほどの手先の痛みを体験したことがある。
幸い、防水スタッフバッグをレイングローブ代わりにするアイデアを思い付いて事なきを得たが、以来、無雪期で気温10℃以下の可能性がある山では、防水または撥水性の高いレイングローブを携帯している。
レイングローブは防水性に加え、防風、保温、最低限の手の保護にも役立つエマージェンシーアイテムといえる。今回最軽量のアクシーズクインは21gと軽く、ライナー入りでも78gと重くはない。さらに夏のアルプス級の縦走から冬の低山までオールシーズンで機能。登山グローブは保温性を重視されるが、雨の多い日本の山では、身体を濡れや冷えから守るレインウエア同様に、レイングローブ常備を基本にしたい。
年々進化する新作グローブをチェックしよう
1.AXESQUIN(アクシーズクイン)/ W2P ライトシェルトリガーミトン
■軽さと操作性のよさをバランスよく具現化
価格:¥9,680
重量:21g
サイズ:S ~ XL
素材:パーテックスシールド15Dナイロン 2.5層
カラー:ウスニビ、他2色
問い合わせ:アクシーズクイン
アイテム名のW2Pは、Water and Wind Proofの短縮表現。つまり防水&防風という、レイングローブに必要な機能を装備。親指とひと差し指が独立したトリガーミトン形状は軽さと操作性を両立させたもの。同素材のグローブが25gに対しミトンは21g! ほどよいゆとりがあり、インナーグローブも装着しやすい。
15Dの表地でソフトな装着感は、動きにフィット。指先までしっかりとシーム処理が施されるが、生地が薄い分、素手装着で雨に濡れると、やや冷たさあり。
2.SALOMON(サロモン)/ ボナッティウォータープルーフ
■ミトン部は指出し可能で電子機器操作がしやすい
価格:¥4,950
重量:33g
サイズ:XS/S ~ XL/2XL
素材:パーテックスシールド
カラー:ブラック、他3色
問い合わせ:サロモン
公式HPに「予測不能なコンディション下で高い保護性能と快適性を実現」とあるとおり、雨や気温の低下が予想できないときに、「とりあえず持って行く」とヒドい目にあわずにすむ。ミトン部はカバー形状で着脱でき、フィンガーレスにして体温調整、カメラやスマホの操作がしやすいハイブリッドモデル。
軽量ソフトな装着感。親指部、ミトン部ともにシーム処理済み。素手装着で雨に濡れるとやや冷たさあり。撥水性がもう少し強いといいのだが……
3.BLACK DIAMOND(ブラックダイヤモンド)/ UL オーバーミット
■クライミングブランドらしく軽さと強度を見事に融合
価格:¥9,680
重量:24g
サイズ:XS ~ XL
素材:BDドライ3レイヤー
カラー:グレイシア
問い合わせ:ロストアロー
一枚地のレイングローブは、軽さを重視して2.5レイヤーの防水透湿素材を使用するモデルが多いなかで、これは裏地を装備した3レイヤー。だから装着時の肌触りがよく、滑りがよいのでインナーグローブのレイヤリングもしやすい。指部にはシリコン製の粒状保護がされ、グリップ性と強度を装備。でも24gと超軽量。
生地厚は公表されていないが、かなり薄く、素手装着で雨に濡れた際に冷たさを感じるかと思ったが、それほどでもない。3レイヤーの裏地が機能しているようだ。
4.MONT-BELL(モンベル)/ ドライテックレイングローブ
■冬山用グローブ同様の高い機能性と操作性装備
価格:¥7,920
重量:44g
サイズ:XS ~ XL
素材:ドライテック3レイヤー
カラー:カラー:ネイビー、他2色
問い合わせ:モンベル
最近のレイングローブとしては、50Dとちょっと厚めの表地を使用し、破れる心配が少ない。張りもあって、5本指タイプでも指入れがしやすい。手首部は長めで雨の侵入を防ぎ、ワンハンドアジャスターを備え、着脱にストレスがない。雪山登山で使用する冬用グローブが評判の同社らしい、細部のつくり込みが秀逸だ。
5本指の立体形状ながら、すべての縫い目をシーム処理。生地の厚さがあり、雨に濡れても、冷たさは強くない。が、立体裁断の縫い目やシワに濡れが出る。
5.AXESQUIN(アクシーズクイン)/ レイングリップ
■吸汗ライニングで冷え防止握りやすい立体裁断採用
価格:¥6,820
重量:78g
サイズ:XS ~ XL
素材:撥水ポリエステル、吸汗メッシュ
カラー:スミイロ、他3色
問い合わせ:アクシーズクイン
滑りのよい吸汗ライニングを内側に装備することで、一枚地のグローブにはない装着時の安心感があり、保温力も高い。指先と掌部には合皮+シリコンの滑り止め補強。岩場や鎖場、ロープ場の多い高所ルートで機能することは間違いない。袖口部分の甲側が長めのデザインで、ワンハンドアジャスターも装備する。
内側にライニングが施されているため、雨に濡れても表地に触れず、素手装着で冷たさは感じない。補強の合皮部も濡れても滑らない。寒がりさんに心強い!
6.EXTREMITIES(エクストリミティズ)/ コンタクト ウォータープルーフパワーライナーグローブ
■保温性の高い防水仕様フィット感のよさも好感
価格:¥5,720
重量:78g
サイズ:XS ~ L
素材:X-Dryストレッチ
カラー:ブラック
問い合わせ:ケンコー社
薄手インナーグローブの保温力と操作性のよさはそのまま、防水透湿性を装備させたモデル。レイングローブ+インナーグローブの役割をひとつにまとめたものだ。掌側にはシリコングリップが施され、岩場などでも滑らず、破れにくく、安心。寒がり、グローブをなくしがちな人は、暑い夏以外はこれが最適!
インナー同様のニット的表地は、濡れると撥水はせず、速乾対応。防水性は確かで裏地のライナーもあるため、冷えは感じず、手が濡れることもなかった。
7.FINETRACK(ファイントラック)/ エバーブレストレイルグローブ
■トレッキンググローブのフィット感に防滴性プラス
価格:¥7,480
重量:32g
サイズ:S ~ XL
素材:エバーブレス
カラー:オリーブドラブ、他2色
問い合わせ:ファイントラック
防水透湿素材のエバーブレスをライニングするが、シーム処理が施されてないため、完全防水ではない。しかし雲のなかに入ったときの弱い雨なら問題ない。ソフトシェルのようなフィット感、運動性のよさは、他の完全防水のレイングローブにはない快適さ。低温時にはインナーグローブを加えられるストレッチ性あり。
薄手の表地が手先にぴったりとフィットするため、雨に濡れると、冷たさはある。完全防水ではないが、弱雨下、1時間の使用で指先が濡れることはなかった。
8.MILLET(ミレー)/ ブリーズバリヤーII オーバーグローブ
■超撥水素材を使ったこれからのレイングローブ
価格:¥6,930
重量:20g
サイズ:XS ~ L
素材:ブリーズバリヤー
カラー:ダークデニム、他1色
問い合わせ:ミレー
同社の超撥水ウインドシェルに採用される、繊維自体に水を弾く加工を施したブリーズバリヤー製。軽さ、ソフトさ、通気性のよさは、他を凌駕し、一枚地のレイングローブにありがちなシャリシャリ感も解消。5本指ながらゆとりのあるサイズ感なので、インナーグローブを装着して保温力をアップしやすいのもいい。
防水透湿素材をラミネートしていない一枚地のため、雨に濡れると冷たさはある。縫製に撥水糸を用いているので、弱雨なら、雨の浸入は感じられなかった。
【Check 1】素手での装着感、手首へのフィット感、ジャケット袖口との相性をチェック
レイングローブは、アウター的仕様と、インナー的仕様とがある。手首を包む長さがあり、さらにアジャスターを装備しているものはレインジャケットの袖口を包むように装着するアウター。手首にフィットさせる伸縮素材を幅広く装備したものはジャケット袖内に入れるインナーという感じだ。もしトレッキングポールを持つなら、手先が上がるため、グローブを伝った雨が袖口からジャケット内に浸入してこないように、アウター仕様のほうがよい。ポールを持たないなら、手先が下がるため、袖から伝った雨がグローブ内に浸入しないようにインナー仕様のほうがよい。とはいえ、アウター仕様であれば袖の内側にも入れられるので、汎用性は高い。
アウター仕様
グローブの手首を長めにして、ポール使用時にジャケットの袖口から雨が入りづらくしているアウター仕様
●モンベル
手首部が長めなことに加えて、フィット感を高めて雨の浸入を防ぐ、アジャスターが快適
●ミレー
アジャスターはないが、開口部のフィット感は高い。手首も長く、風雨が入りにくい仕様
●アクシーズクイン(ミトン)
アウター仕様の手首の長さながら、開口部は緩め。掌側が短く、インナーでもゴワつかない
●ブラックダイヤモンド
伸縮素材が手首の甲側に備わり、ズリ上がりを防ぐ。インナーにしても違和感はない
●アクシーズクイン(5本指)
開口部にアジャスターを装備し、手首は甲側が長め。行動時の袖口の開きを防止している
インナー仕様
ジャケットの袖の内側に装着。その際にゴワついたり、行動時にグローブのズレを防ぐ伸縮素材を手首に装備
●ファイントラック
撥水性、フィット感の高いラピッドラッシュ素材を手首に配置。濡れても冷えにくいのがいい
●サロモン
手首のフィット感を重視した伸縮素材を装備。袖内でのゴワつきはまったくなし!
●エクストリミティズ
保温用インナーグローブ同様の厚めでソフトなフィット感の手首。インナーに最適の仕様
【Check 2】トレッキングポールなどの握りやすさはどう違うか
防水保温・5本指のアクシーズクインとエクストリミティズは、滑り止めが機能してグリップを握りやすく、ライナーがクッションとなり衝撃を和らげる。撥水・5本指のファイントラック、ミレーも滑り止めが効果的。とくにファイントラックはフィット感がよく、握る、掴むが得意。防水・5本指のモンベルに滑り止めはないが、握る動きに沿った形状が秀逸。防水・ミトンのアクシーズクインは、3本指のミトン部が一体となり握りやすい。ブラックダイヤモンドは、広い滑り止めによりポール伸縮操作がしやすかった。
握る動作は、5本指グローブのほうが違和感がない。写真のモンベルは、立体裁断が機能していてとくに握りやすい
グリップといっしょに生地も掴んでいる感じのミトン。しかしすぐに慣れ、素手よりもストラップの当たりがソフトだ
【Check 3】インナーグローブを装着したときの着脱、指の動かしやすさ、ムレについて
防水透湿素材一枚地のグローブは、透湿性や通気性を装備しているが、素手に装着した際にムレが生じて、冷えを感じることもある。それを抑制するのが調湿性に長けたウール製インナーグローブだ。保温効果はもちろん、レイヤリングすることで、快適さの幅を広げてくれる。そのレイヤリング時の着脱、指の動き、ムレ感ともにストレスがないのが防水・ミトンタイプ。厚手インナーとの相性もいい。5本指ではモンベル、ミレーがゆとりあるサイズで着脱がスムーズ。いっぽうでインナーの厚みによっては、指の動きが窮屈になる。
ライナー付き5本指のアクシーズクインは滑りがよく、レイヤリングがスムーズ。かなりの寒さにも対応可能
ファイントラックはレイヤリングを想定したサイズながら、やや着脱しづらい。が、フィット感は素手同様のよさを維持
【Check 4】撥水・防水性能は本当に頼れるレベルなのか?
今回取り上げているグローブはレイングローブなので、テストを行なった弱雨で浸水するものはなかった。グローブ紹介の項で書いたとおり、素手装着で冷たさを感じる薄手素材はあったが、それもインナーグローブをレイヤリングすれば解決する。そのなかでエクストリミティズは表地素材が撥水せずしみこみ、やや不安。でも浸水はなく、冷えもない。雨よりも雪対応が得意だと想像する。いっぽうで撥水仕様のミレーの水の弾きのよさには驚いた。夏の強雨下は厳しいだろうが、高所でよくある雲のなかの弱雨なら問題ない。
気温10℃以上の弱い雨のなか、素手に装着した際に指が濡れた……、と感じたら、それはムレ。つまり汗の可能性大。今回のグローブはそのムレも軽いものが多かった
【Check 5】片方だけ迷子にならない工夫はあったほうがいい? 必要なし?
グローブを片方だけ失くす……。トレイルに落ちている片方だけのグローブをたびたび拾っていることを考えると、左右のグローブを連結するバックルやクリップが備わっていたほうがよいと思う。が、片方を失くしがちな人が、左右を連結させて、落下させない場所にしまうクセをつけられるのだろうか? と疑問に思う。しかし、使用後、洗濯後の引き出し内迷子の多い私は、自宅での連結収納用に、装備してくれているとありがたい。エクストリミティズ、ファイントラック、ブラックダイヤモンド、モンベルが連結可能。
連結は小さなバックルタイプが主。ファイントラックのクリップタイプよりも、バックルのほうが連結しやすい
【Check 6】スマホ操作は問題なくできるか?
スマホで現在地確認や撮影が当たり前となった登山で、タッチパネル対応はマストだ。しかしブラックダイヤモンドとアクシーズクイン(5本指)は対応なし。ストレスを感じずに操作できたのは、ミレー、エクストリミティズ。タッチ部の素材がソフトだと操作しやすいようだ。サロモンは指を出せるので、操作にストレスはない。全体的には、改善希望レベルだった。

【Check 7】各モデルそれぞれ特筆すべき機能を深堀り!
モンベルは、レイングローブに冬用オーバーグローブの技術を流用。手先の自然なカーブ、関節に沿った縫い目は、握る、掴む動作がしやすく、素手よりもインナーグローブ装着時のほうが、フィット感が上がって調子がいい。サロモンは防水性を求めるレイングローブにフィンガーレス可能なカバー仕様がユニーク。幅広い温度域で手先の保温を行なえるが、外したカバーの固定がゴム紐一本というのはシンプルすぎる印象。アクシーズクイン(5本指)の手首部の甲側が長いつくりはもたつきがなく、装着時の気持ちがイイ!
オーバーグローブとしての完成度は、モンベルが一歩先に行っている印象。しかし気温が低くなれば、サロモンのフィンガーレスが機能的
今回のお気に入り
PONCHO
●MONT-BELL(モンベル)/ ドライテックレイングローブ
●BLACK DIAMOND(ブラックダイヤモンド)/ UL オーバーミット
雨に対応、レイヤリングしやすく、袖口の内外装着可能、一定の強度、連結可能、ブランド独自の個性……。といろいろ求めた結果、ブラックダイヤモンドがジャストフィット。モンベルは間違いない使いやすさに感心しました!
オダマキ(編集担当)
●MONT-BELL(モンベル)/ ドライテックレイングローブ
●MILLET(ミレー)/ ブリーズバリヤーII オーバーグローブ
モンベルは同じつくりの別モデルを愛用中で、指先の動かしやすさが別格! ミレーはインナーグローブに重ねたときの指の動きのスムーズさに驚き。設計のよさなのか素材の薄さなのか、動きがスムーズでストレスフリー。
※この記事はPEAKS[2026年1月号 No.176]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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