
富士山でソリューションテックが圧巻のワンツー!ファッブロが激坂を制し総合首位浮上、UKYO陥落|TOJ2026
せいちゃん
- 2026年05月29日
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「8 PIECES, ONE FUTURE.」をコンセプトに掲げる第28回「ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)2026」。大会6日目の5月29日(金)は、最大の山場であり、総合優勝の行方を大きく左右するクイーンステージ「スルガ銀行 富士山ステージ」が行われた。世界屈指の激坂「ふじあざみライン」での死闘を制したのは、今大会唯一のUCIプロチームであるソリューションテック・NIPPO・ラーリ。マッテオ・ファッブロ(イタリア)がトップフィニッシュを飾り、カミール・ボヌー(ベルギー)が2位に続いてワンツーフィニッシュを達成。ファッブロは総合リーダージャージを奪取し、長年TOJを支配してきたチームUKYOをついに首位の座から引きずり下ろした。
富士霊園を周回する新レイアウトに13,000人の大観衆

今年の富士山ステージはコースレイアウトが一部変更され、風光明媚な富士霊園をスタート。1周10.3kmの周回コースを4周した後に、過酷極まりない「ふじあざみライン」の山頂フィニッシュへと向かう62.1kmで争われた。ふじあざみラインは全長11.4km、標高差1,160m、平均勾配10%、最大勾配は22%に達し、ツール・ド・フランスのラルプデュエズをも上回るプロフィールを持つ魔の山だ。

朝方まで残った雨が上がり、富士山五合目須走口の天候は曇り、気温25℃と湿度の高い蒸し暑いコンディション。沿道には13,000人もの大観衆が詰めかけ、選手たちの熱い戦いに声援を送った。
序盤から激しいアタックの応酬。7名の逃げグループが形成

レースは開始直後から、少しでも前で激坂区間に突入したい選手たちによるアタックの応酬となった。この動きの中から、ナホム・ゼライ(チームUKYO、エリトリア)、アレッサンドロ・イアッキ(ソリューションテック・NIPPO・ラーリ、イタリア)、ニルス・シンシェック(リーニンスター、オランダ)、ファーガス・ブラウニング(トレンガヌサイクリングチーム、オーストラリア)、織田聖(愛三工業レーシングチーム)、エリオット・シュルツ(ヴィクトワール広島、オーストラリア)、マティアス・マルンベア(スワットクラブ、デンマーク)の7名が抜け出しに成功する。
逃げグループには総合7位のブラウニングが入っており、バーチャルリーダーとなる展開に。1周目と3周目完了時に設定された中間スプリントポイントは、ブラウニングとシンシェックがそれぞれ先頭で通過しボーナスタイムを稼いでいく。
一時はメイン集団に対し3分ほどまでリードを広げたものの、リーダージャージを守りたいチームUKYOがメイン集団をコントロールし始めると、その差は徐々に縮まっていった。
あざみライン突入!プロチームの猛牽引がプロトンを破壊

周回コースを終え、いよいよ地獄の入り口とも呼ばれるふじあざみラインに突入すると、逃げ集団はブラウニングとシンシェックの2名のみに絞られる。さらに勾配が増す残り9.6km地点で、ブラウニングが単独で先頭に立った。

一方のメイン集団では、逆転で総合首位を狙うソリューションテック・NIPPO・ラーリが牙を剥いた。イアッキ、ティレン・フィンクスト(スロベニア)らがチームがかりで猛烈なハイペースを刻み、集団を牽引。この圧倒的なペースアップにより集団は次々と崩壊し、これまで総合を支配していたトンマーゾ・ダーティ(チームUKYO、イタリア)も耐えきれずに遅れを喫してしまう。

「ミッション・インポッシブル」。UKYOが陥落し、ソリューションテックが富士山を制圧

ソリューションテック・NIPPO・ラーリのペースメイクに他チームは手も足も出ず、集団の人数は一気に絞り込まれる。残り4.6km、ついにカミール・ボヌーとマッテオ・ファッブロの2名が先頭で粘るブラウニングを捉え、残り4kmからはプロチームの2人が完全にレースの主導権を握った。

しばらくはボヌーがファッブロを強力に牽引していたが、残り2kmの急勾配区間でファッブロがさらにペースアップし、単独先頭に躍り出る。軽快なペダリングで激坂を攻略したファッブロは、そのまま標高2,000mの富士山五合目にトップでフィニッシュラインを駆け抜けた。

32秒差の2位にはボヌーが入り、ソリューションテック・NIPPO・ラーリが完璧なワンツーフィニッシュを達成。3位にはエドアルド・セプルベダ(リーニンスター、アルゼンチン)が51秒差で続いた。日本人最高位は、2分7秒差のステージ11位に入った留目夕陽(愛三工業レーシングチーム)が健闘を見せた。

この結果、ファッブロが総合リーダージャージ(グリーンジャージ)を獲得。ボヌーが総合2位に浮上し、総合上位をソリューションテック・NIPPO・ラーリが占めた。大会4連覇中のチームUKYOにとっては、非常に厳しい現実を突きつけられるクイーンステージとなった。
各賞ジャージ着用者の声

見事なステージ優勝と総合首位奪取を果たしたファッブロは「フィニッシュまで全開で走り他のライダーを離すことに注力し、ワンツーフィニッシュになることは予想していませんでした。カミールと2人で先頭になったので『フィニッシュまでこのまま2人で行こう』と話したのですが、後続とのタイム差が知らされず、またカミールもキツそうだったので最後は単独で行くことにしました。登り始めからチームで集団のペースを上げたことで他チームの攻撃を許さずレースができました。自分の総合首位はもちろん、カミールの総合2位も守りきって東京を迎えたいと思います」と、チームの強さに胸を張った。
無念の総合陥落となったダーティはポイント賞(ブルージャージ)をキープ。「富士山はすごくキツかったです。リーダージャージを守れればと思いましたが、最後にはこれはミッション・インポッシブルだと悟りました。今日は全力を出し切りましたが、それでも明日は私たちに新たなステージ優勝のチャンスがあると信じています。ここからはこのポイント賞ジャージがTOJの目標になります」と、悔しさを押し殺して次を見据えた。
山岳賞(レッドジャージ)を守る山本元喜(キナンレーシングチーム)は「今日は疲労を残さないように意識して走りました。キナンとしては明日は山岳賞に絡まない選手を逃げに送り込み、山岳ポイントを潰せればいいのですが。そうでなければ、自分が逃げに入ってまたもがきます。明日逃げでスワットクラブ勢と直接対決になるなら、少なくとも一回は先頭通過しないといけないですね」と、翌日の相模原ステージでの最終決戦に闘志を燃やす。
新人賞(ホワイトジャージ)を死守したウィル・ヒース(シーキャッシュ X ボディラップ)は「あざみラインの厳しさは昨年学んだつもりですが、その前の周回コースのハードさは忘れていました。あざみラインに入った時点で足に疲労を感じていたんです。チームメイトは登り口まで私を牽引してくれ、あとは自分次第でした。チームメイトには感謝の念でいっぱいです」と仲間を労った。
翌日は「AMANO 相模原ステージ」。アップダウンが連続するテクニカルなコースで、総合順位アップを狙うチームによる激しいアタック合戦と、各賞、そしてステージ優勝を巡る最終盤の駆け引きが繰り広げられる。
リザルト
1位 マッテオ・ファッブロ(ソリューションテック・NIPPO・ラーリ、イタリア) 2時間3分54秒
2位 カミール・ボヌー(ソリューションテック・NIPPO・ラーリ、ベルギー) +32秒
3位 エドアルド・セプルベダ(リーニンスター、アルゼンチン) +51秒
4位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン) +1分3秒
5位 ファーガス・ブラウニング(トレンガヌサイクリングチーム、オーストラリア) +1分10秒
6位 マシュー・グリーンウッド(シーキャッシュ X ボディラップ、オーストラリア) +1分15秒
7位 アドネ・ファンエングレン(トレンガヌサイクリングチーム、オランダ) +1分20秒
8位 ニコロ・ガリッボ(チームUKYO、イタリア) +1分37秒
9位 ナホム・ゼライ(チームUKYO、エリトリア) +1分50秒
10位 ルーク・バーンズ(ヴィクトワール広島、オーストラリア) +1分59秒
個人総合時間賞(グリーンジャージ)

1位 マッテオ・ファッブロ(ソリューションテック・NIPPO・ラーリ、イタリア) 11時間4分28秒
2位 カミール・ボヌー(ソリューションテック・NIPPO・ラーリ、ベルギー) +59秒
3位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン) +1分2秒
4位 エドアルド・セプルベダ(リーニンスター、アルゼンチン) +1分17秒
5位 ファーガス・ブラウニング(トレンガヌサイクリングチーム、オーストラリア) +1分29秒
6位 ニコロ・ガリッボ(チームUKYO、イタリア) +1分39秒
7位 アドネ・ファンエングレン(トレンガヌサイクリングチーム、オランダ) +2分2秒
8位 マシュー・グリーンウッド(シーキャッシュ X ボディラップ、オーストラリア) +2分3秒
9位 ルーク・バーンズ(ヴィクトワール広島、オーストラリア) +3分4秒
10位 留目夕陽(愛三工業レーシングチーム、日本) +3分6秒
ポイント賞(ブルージャージ)

トンマーゾ・ダーティ(チームUKYO、イタリア)
山岳賞(レッドジャージ)

山本元喜(キナンレーシングチーム、日本)
新人賞(ホワイトジャージ)

ウィル・ヒース(シーキャッシュ X ボディラップ、オーストラリア)
チーム総合成績
チームUKYO
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PROFILE
せいちゃん
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている



















