
SL9はまるでGT3レーシングカー。最新トレンドを網羅したS-WORKS TARMAC SL9|SPECIALIZED
せいちゃん
- 2026年07月01日
「すべてを征す一台」がさらなる進化を遂げた。スペシャライズドが放つ第9世代のピュアレーシングロード「S-WORKS TARMAC SL9(エスワークス ターマックSL9)」。徹底的なシミュレーションによって「ゴールまでのタイム」を削ることにフォーカスしたこの最新鋭マシンの走りは、果たしてどう進化したのか。
普段からTARMAC SL7を愛車として乗り込み、シビアな環境でバイクを使い倒す「せいちゃん」が、前作SL8との比較試乗を実施。ライダーの視点からその真価を紐解く。
パッケージで即「世界基準」。最新トレンドを反映したパーツアッセンブル

今回私の試乗用に用意されたS-WORKS TARMAC SL9のサイズは52だ。バイクを受け取ってまず驚いたのは、標準でアッセンブルされているパーツのサイズである。

なんと、52サイズに対してクランク長は「165mm」がセットされており、ハンドルもブラケット部が380mmと狭く、下ハンに向かって広がるフレア形状のものが採用されていた。
これは明らかに、昨今のワールドツアーを席巻している最新のセッティングトレンドを反映したものだ。股関節の詰まりを解消してペダリング効率を高めるショートクランクと、前面投影面積を減らしてエアロダイナミクスを稼ぐナローハンドル。プロ選手たちがこぞって取り入れているこの機材最適化が、吊るしの状態で、最初から手に入る。「最新のレースで勝つための機材」として、メーカーがいかに本気でこのパッケージを作り込んでいるかがヒシヒシと伝わってくる。
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「剛性は変わらない」はずなのに? SL8から劇的に増したレーシーなフィーリング

今回は、前作にあたるS-WORKS TARMAC SL8との比較試乗も行った(※SL8の試乗車はホイールがRapide CLX Sprintのクリンチャー仕様だったため、足回りの条件は完全に同一ではない)。

事前のメーカーによるプレゼンテーションでは、「SL9のフレーム剛性は、SL8から変わっていない」という説明を受けていた。しかし、実際に2台を乗り比べてみると、印象は大きく異なる。SL9は、SL8と比べて「かなりレーシーなバイクになった」というのが第一印象であり、踏み込んだ時の体感としては明らかに「硬い」のだ。

特にその違いを痛感したのが、フロント周りのソリッドさである。ダンシングでバイクを左右に振った時や、ハイスピードでコーナーへ進入しハードにブレーキングした際、フロントエンドが全くよれることなく、路面をカミソリのように切り裂いていく感覚がある。

この強烈なフロントの剛性感は、空力性能を追求して全く新しい形状へと生まれ変わった「Flow Fork(フロー・フォーク)」や、新たなチューブ形状がもたらす恩恵だろう。ベンチテストにおける数値上の剛性が同じであっても、実際のライディングで応力がかかった際のフレームの挙動や、ライダーが「感じる」硬さは、ここまで変わるものなのかと驚かされた。
車で例えるなら「GT3レーシングカー」。プロの要求を具現化したピュアレーシングロード

なぜ、ここまでソリッドな乗り味になったのか。それは、このバイクが世界のトッププロ選手たちからのフィードバックを元に開発されているという事実を考えれば、非常に自然なことだと腑に落ちる。レムコ・エヴェネプールら超一流の選手たちが、極限のスピード域で一瞬のアタックに反応し、ミリ単位のライン取りを要求される状況で求めているのは、まさにこのダイレクト感と硬さなのだ。

新型S-WORKS TARMAC SL9を車で例えるなら、市販車ベースでありながら一切の妥協を排してチューニングされた「GT3レーシングカー」である。乗り心地の良さや、万人が扱いやすいマイルドさをウリにするバイクではない。ライダーの入力したパワーを1ワットのロスもなく推進力に変換し、誰よりも速くフィニッシュラインに到達するためだけに研ぎ澄まされている。

普段からレースに参戦していて、硬いフレームのピュアレーシングバイクを乗りこなしたいサイクリストや、踏んだ分だけ弾けるように加速するダイレクトなレスポンスを求めるライダーにとって、SL9は間違いなく最強の武器となるはずだ。
S-Works Tarmac SL9 SRAM RED AXS
価格:1,980,000円(税込)
フレーム:S-Works Tarmac SL9 FACT 12r Carbon
フォーク:S-Works FACT 12r Carbon
ハンドルバー:Roval Rapide Cockpit
ホイール:Roval Rapide CLX III
コンポーネント:SRAM RED AXS(パワーメーター内蔵)
シートポスト:S-Works Rapide Aero Post
S-Works Tarmac SL9 Shimano Dura-Ace Di2
価格:1,980,000円(税込)
フレーム:S-Works Tarmac SL9 FACT 12r Carbon
フォーク:S-Works FACT 12r Carbon
ハンドルバー:Roval Rapide Cockpit
ホイール:Roval Rapide CLX III
コンポーネント:Shimano Dura-Ace Di2 R9270(4iiii Precision Proパワーメーター内蔵)
シートポスト:S-Works Rapide Aero Post
S-Works Tarmac SL9 Frameset
価格:880,000円(税込)
フレーム:S-Works Tarmac SL9 FACT 12r Carbon
フォーク:S-Works FACT 12r Carbon
シートポスト:S-Works Rapide Aero Post
S-Works Tarmac SL9 Team Replica Frameset
価格:935,000円(税込)
フレーム:S-Works Tarmac SL9 FACT 12r Carbon
フォーク:S-Works FACT 12r Carbon
シートポスト:S-Works Rapide Aero Post
問:スペシャライズド・ジャパン https://www.specialized.com/jp/ja
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 文:相原晴一朗 写真:岩崎竜太/バイシクルクラブ編集部
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PROFILE
せいちゃん
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている



















