BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • VINAVIS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo
  • タビノリ

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

復興イベントから地域に根差した世界大会へ! UCIグランフォンド予選となったツール・ド・ふくしま 

福島県浜通り地域を舞台に復興支援を原点に始まった「ツール・ド・ふくしま」が、6月13日と14日の2日間にわたり、UCIグランフォンドワールドシリーズの一戦として開催。国内外のサイクリストが福島県浜通りを駆け抜け、世界選手権への切符を懸けた熱戦とともに、地域に根差した大会としてさらなる成長を遂げた。初開催のタイムトライアルや起伏に富んだロードレースで、各年代別の熱い戦いが繰り広げられた。

世界選手権への切符を懸け、国際色豊かな大会へと成長

2023年に台風による災害で惜しくも中止となり、2024年に初開催を迎えた「ツール・ド・ふくしま」は、今年で第3回大会となった。今年はアジアで初めてニセコクラシックがUCIグランフォンド世界選手権を開催することを受け、国内での「UCIグランフォンドワールドシリーズ(UCIGFWS)開催地を探す動きがあった。そこに本大会が立候補し、昨年のプレ大会を経て今年、正式にワールドシリーズの1戦として開催されることとなった。

8月に北海道・ニセコで開催されるグランフォンド世界選手権(UCIGFWC)の出場権を懸けた重要なレースへと進化。世界選手権の予選レースとなったことで、今年は韓国や中国など海外からの参加者も増加。エントリー数は昨年の3倍近くに膨れ上がり、浜通り地域は国際色豊かなサイクリストたちの熱気に包まれた。

強風の松川浦を駆け抜けた初開催のタイムトライアル

大会1日目となる13日(土)には、今大会初となるタイムトライアルが行われた。本来は2023年に川俣町の川俣高校周辺から飯舘村の道の駅までい館までのコースで開催される予定だったが、災害により中止となっていた悲願の種目だ。

今年の舞台に選ばれたのは、相馬市の松川浦と大洲松川ラインの13.5km。日本百景にも数えられる松川浦は、美しい景観が広がる海沿いの直線ルートだ。基本的にはフラットな高速コースだが、遮るものが一切なく、時間が遅くなるにつれて強まる海風が選手たちを苦しめた。さらにコース後半には松川浦大橋を渡るアップダウンが待ち受け、ペース配分が試される過酷なコースレイアウトとなった。

ロードバイクでの参戦から、DHバー装着車、本格的なタイムトライアルバイクまで、多様な機材を持ち込んだ選手たちが出走。男子では、ヒルクライムやタイムトライアルを得意とする元Jプロツアーレーサーの河田恭司郎さん(infinity style/男子35-39歳)が17分9秒01を叩き出し、堂々の最速タイムをマーク。

女子最速は、中国・湖南省から参加した李思さん(女子19-34歳)の20分1秒18。李さんは中国国内のロードレースやMTBクロスカントリーで活躍する実力者であり、先日行われたMt.富士ヒルクライムの主催者選抜女子でも2位に入ったその圧倒的な脚力を、福島の地でも見せつけた。

大前翔が最多エントリーの「グランフォンドふくしま140」を制覇

翌14日(日)はロードレースが開催。天神岬の北田天満宮大鳥居を発着する「グランフォンドふくしま140」は、距離137km、獲得標高約1800mのタフなコース設定だ。

今大会で最も多い233人がエントリーした男子19-34歳のカテゴリーでは、Mt.富士ヒルクライムをコースレコードで制したばかりの大前翔さん(Roppongi Express)が優勝を飾った。「スプリントではない展開に持ち込みたかった」と本人が語る通り、集団を少人数に絞り込みたかったものの叶わず、勝負は集団スプリントへ。それでも冷静に展開を見極めた大前がしっかりとスプリントを制し、そのオールラウンドな強さを証明した。

そんな大前さんの次なるターゲットは、ニセコでの世界選手権ではなく、今月新潟県南魚沼市で開催される全日本選手権ロードレースでのタイトル獲得だ。レース後も「ボリュームが足りなかった」と2時間ほどの追加トレーニングに向かうストイックな姿勢を見せ、大一番への並々ならぬ覚悟を覗かせた。

世界一への執念。金子広美が女子の実力者対決を制す

南相馬市の馬事公苑からスタートし、天神岬の北田天満宮大鳥居を目指す「メディオフォンドふくしま80」(距離79.7km、獲得標高約1300m)は、女子全カテゴリーと男子50歳以上においてUCIグランフォンド世界選手権の出場資格が懸けられた。

年代別一斉スタートで行われた女子レースの終盤は、東京オリンピック日本代表の金子広美さん(三重県自転車競技連盟/女子45-49歳)と、昨年のツール・ド・おきなわ女子国際チャンピオンである手塚悦子さん(IMEレーシング/女子40-44歳)という、国内トップクラスの実力者同士による一騎打ちとなった。

カテゴリーこそ違うが、昨年のおきなわで勝利している手塚に対し、今回は金子が見事に先着した。

全日本選手権で8度の表彰台に登った金子さんだが、彼女の瞳には今、「世界チャンピオン」のタイトルただ一つが映っている。

「前日ものすごいプレッシャーを感じていたので、勝って、そしてニセコの世界選手権に出られてうれしいです」と語る金子さん、表彰式で感極まって涙を見せる一幕もあった。

直近1年間でUCIポイントを獲得するとワールドシリーズには出場できないという規定があるため、ニセコでの世界選手権に出場するべく、昨年はあえて全日本選手権を欠場していた。その執念が実を結び、世界一への挑戦権を力強く手繰り寄せた。

ベテランの妙技と高校生ライダーの力走

出場資格が懸かったメディオフォンドふくしま80の男子65-69歳では、シクロクロスマスターズ世界選手権2位の実績を誇る増田謙一さん(SHIDO-WORKS)が優勝。「予想通りのレース展開だった」とベテランらしい勝負勘を見せつけ、世界選手権に向けては「グランフォンドのレベルはわからないけど、入賞争いぐらいには加わりたい」と、謙虚な言葉の中にも静かな闘志を燃やした。

いっぽう高校生ライダーも参加していた。メディオフォンドふくしま80の男子16-18で優勝した渡邉克春さん(米沢中央高校)。「いまはインターハイ出場を目指しています」という。

この日は父の真さんとともに親子で参戦していた克春さん。Jプロツアーでも活躍した武井 裕さん(TRYCLE)は学生時代に山形で過ごしており、渡邉さん親子とは旧知の仲だ。

地元ライダーも活躍、大熊町出身の大石が3位に

また、世界選手権の出場資格は懸かっていないものの、メディオフォンドふくしま80の男子19-39歳では、開催地の一つである大熊町出身の大石雄真さん(MOAT RACING LAB)の走りが地元を沸かせた。

大学進学を機に神奈川県へ移り住んでから自転車競技を始めたという大石さん。今回はスプリント賞とKOM(山岳賞)を獲得し、完全優勝を目指したものの、終盤に脚を攣ってしまい痛恨の3位。悔しそうにレースを振り返りつつも、「地元の町はよく知っているが、レースで走ることで大熊町だけでなく、周りの町もいいところだなと実感した」と、故郷・浜通りの魅力を再発見する機会となったようだ。

また、地元・福島県富岡町のスポーツバイクショップ「タートルサイクル(TURTLE CYCLE)」からは、同店のYouTubeでもおなじみの“川チュン”こと川崎隼輔店長も140kmに参加した。

川崎店長は「140kmに双葉郡から参加したのは2人だけでした。80kmにはもう少し参加者がいましたが、地元から参加する人が増えれば、応援する人も増えて、もっと盛り上がると思います」と語る。同店は2025年10月にオープンし、スポーツバイクの販売・メンテナンスから一般車の修理まで幅広く対応している。地域に根差したショップの存在もまた、ツール・ド・ふくしまが浜通りに定着していくうえで大きな力となりそうだ。

復興の地・浜通りから世界へ繋がる軌跡

今回のコースの舞台となったのは、東日本大震災、そして福島第一原子力発電所事故による原子力災害から復興の歩みを続ける福島県浜通り地域を中心とした広域エリアだ。

メディオフォンドふくしま80のスタート前にスピーチした南相馬市の門馬和夫(もんま・かずお)市長は「このツール・ド・ふくしまは、まさに帰還困難区域の周辺を走る大会です」と紹介。コースは南相馬市や楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町など、4市8町3村の計15市町村にまたがる。

特定復興再生拠点区域の避難指示がようやく解除され、本格的な町づくりが始まったばかりの場所も含まれている。サイクリストたちは、そうした地域を自転車で走ることで、単なるレースを超えたこの大会の意味を肌で感じたはずだ。

復興支援を原点に始まり、第3回大会にしてUCIグランフォンドワールドシリーズという国際的な舞台へとスケールアップを果たした「ツール・ド・ふくしま」。国内外から集まったサイクリストたちは、海沿いの強風や起伏に富んだコースといった自然の厳しさと同時に、松川浦や天神岬といった浜通り地域の美しい風景、そして復興へ向かう町の姿を全身で味わったことだろう。

大前翔さんや金子広美さんといったトップレーサーたちの魂を削るような走り、それぞれのドラマが交錯した2日間は、8月のニセコでの世界選手権へ向けての試金石となっただけでなく、地域の風景や食を楽しむツーリングも開催され、自転車を通じて浜通り地域の今を伝える貴重な機会にもなった。

復興支援から始まった大会は、世界へとつながる国際大会であると同時に、地域に根差し、地域とともに育っていく大会へと確かな歩みを進めている。今後もこのツール・ド・ふくしまが、日本を代表する自転車の祭典として定着し、さらなる歴史を刻んでいくことを期待してやまない。

SHARE

PROFILE

せいちゃん

せいちゃん

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている

せいちゃんの記事一覧

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている

せいちゃんの記事一覧

No more pages to load