
草木の“声”を聞きながら歩く、「DEEP高尾山」|植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #58
成清 陽
- 2026年07月29日
INDEX
登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!
今年もやってきた、理不尽な暑さに苦しむ夏。じつはその少し前、ワタクシは台風迫る東京都・高尾山に、上陸しておりました~。というのも、今回の関東上陸は、ランドネPOP UPにて、植物ガイドを開催するためです。今回は、その際に取り上げた草木をご紹介。ガイド中にお話しました、「植物愛で、草木の声を読み解く!」を、改めて本連載にてお送りします!
ガイドテーマが「熱愛」ってどうよ!?

今回ランドネ編集部から与えられたテーマが、なんと「熱愛」。まるでワイドショーのごとき、キーワードでございました。はたと困った、ワタクシ。そこで、自分の植物愛を改めて振り返ると…「おっ、久しぶり~。相変わらず、ジメってるとこ好きだね~」なんて会話をしつつ、山を歩いているんですよね(注:不審なため、真似してはいけません)。ってことで、今回のガイドは、高尾6号路沿いを彩る草花たちの、“声なき声”を拾うことに。もちろん「愛をもって」デスッ!
Data
- 植物好きなニンゲンたち(希少種)
- 一般的な人生の花期:人により異なる
- 主な生育場所:日本
ニンゲンに愛されるがゆえの「ウソ」

ニッポン全国津々浦々、公園や寺社仏閣など場所を選ばず咲き乱れることで有名な、アジサイ。梅雨時の憂鬱さをはね返してくれる、とても素敵な花ですよね。ただ、そんな彼らはあくまで観賞用に開発されてきたため、そのお花はなんとすべてが偽りの花=飾り花。本物の花は、なんと飾りのなかに、埋もれているんです(写真中央付近)。そのため、彼らのメッセージを読み取るならば…「ニンゲンさま、あたいキレイでしょ??」。この本物の花も種子をつけないため、「人に花を見せたい」、その一心なんです!
Data
- セイヨウアジサイ(ユキノシタ科)
- 一般的な花期:5~6月
- 主な生育場所:日本全国の公園など
じつは、目立ちたがり屋さん!?

さあ、どんどん参りましょう!梅雨時の森の中でポツリポツリと咲く、こちら「ハエドクソウ」。蝿毒草という独特な名からも連想できますが、彼らがどんな声を発しているのかというと…。蝿取り紙の原料とされた毒をもつだけに、「食べちゃダメ!」がまずひとつ。そしてさらに、この花が、やや暗い森で白い花を咲かせる性質から考えると、「目立ちたいの。誰か見つけて~」なんていう声も、聞こえて…きませんか!?
Data
- ハエドクソウ(ハエドクソウ科)
- 一般的な花期:5~6月
- 主な生育場所:里山の林縁部
ここ、ココが好きなの~!

草木からのメッセージを読み取ると、徐々に彼らが好む場所が、わかるようになります。高尾山でたくさん植栽された歴史あるシャガは、特に暗めの森がスキ。そして、“ちょっと緩めの地面がスキ”。シャガはひげ根が多く、深く深く根っこを張り巡らせます。これは、湿地大好きっ子なアヤメたちにも、共通する特徴かも。なかでもシャガは斜面地に生えるので、高尾山でここまで増えることができたのだといえそうですね~。
Data
- シャガ(アヤメ科)
- 一般的な花期:5~6月
- 主な生育場所:里山の林縁部
上昇志向のカタマリ?

こちらテイカカヅラは、とってもわかりやすい例。そう、つる植物は誰かに寄っかからないと光がもらえないから木登りする、つまり上昇志向強めです。そして、こうした読み解きに加えてウンチクがあると、もーっと楽しい!「歴史の授業で出てくる歌人・藤原定家は、惚れていた女性が亡くなった際に、自分もショックのあまり亡くなってしまったとか。しかしその後、女性のお墓にぐるぐると巻き付いたのが、このつる植物。そんな元祖ストーカーにちなむのが、このテイカカズラなんです!」。そんな豆知識を聞くと、二度楽しめちゃうわけです~!
Data
- テイカカズラ(キョウチクトウ科)
- 一般的な花期:5~6月
- 主な生育場所:里山の林縁部
あらゆる山で、メッセージスキャン!

今回は高尾山が舞台だったわけですが、どこの山にも、家の周りにも植物ってありますよね。だからこそ、皆さんにオススメしたいのは、この植物との対話!今回の高尾山ガイドでは紹介しきれなかった、写真のアブラチャンも、名前を知らなくていい。「フムフム、葉っぱの厚さも色も薄めだなあ。暗いところの植物って葉っぱが厚くて色が濃いから、きっと光が好きなんだろうな~」なんて、想像が膨らみます。そうして観察を重ねるうちに芽生えるのが、植物との友情、そして愛。そしてゆくゆくは、その愛が山歩きを百倍楽しくしてくれる!!…はず。いつかどこかの山で、「おっ、久しぶり~」と、植物に語りかける、私の仲間になってくださいね!
Data
- アブラチャン(クスノキ科)
- 一般的な花期:3~4月
- 主な生育場所:里山の林縁部
さてさて、今回ご紹介してきた、植物との対話方法。いかがでしたでしょうか?
高尾山は、都市近郊から近く、プチ縦走やハイキング、さらにトレランにも最適。そして温泉あり、グルメあり、ホテルあり…と全部のせ。そして近年、にわかに(一部で)叫ばれるのが「植物数エグイらしい」という声なんです。単体で1,700種類もの植物がひしめく、高尾山。
今回のガイドでも、琵琶滝までとルートは極短、しかし植物は約数百種はいるな~という感覚でした。(ちなみにトップ画は、マタタビの花のガク片でした~!)。そんな草木と対話できるようになったら…高尾山がめっちゃ魅力的に思えるはず。ぜひぜひ、対話力を鍛えてくださいね!
それでは、また。
皆様のココロに、素敵な花が咲き誇りますように。
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