
川に浸かり、森に泊まる。岐阜をめぐる1泊2日のロードトリップ
VINAVIS 編集部
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INDEX
岐阜県と聞いて、なにを思い浮かべるだろう。人気の観光地に、北アルプスの名峰。有名な見どころは数多いけれど、岐阜にはまだまだ知らない魅力がある。
森のサウナで汗をかき、清流に浸かる。山あいの食堂で地元の料理を味わい、峡谷や茶畑を眺めながらクルマを走らせる。夜は森で火を囲み、自然のなかで朝を迎える。
モデル・クリエイターのpediさんと編集者の岡田がめぐったのは、山県市から東白川村へ向かう1泊2日の旅。名所をただ眺めるのではなく、その土地の自然に身を置いてみる。知られざる岐阜の楽しみ方を探しに出かけた。
出演◉pedi
文◉岡田瑛穂
写真◉吉本悠哉
編集◉VINAVIS
PROFILE

pediさん(左)
登山を軸に、ファッションや旅、写真をかけ合わせて発信するモデル・クリエイター。本格的な山行経験をもちながら、「登山服LOOKBOOK」などファッション性の高いコンテンツも展開し、アウトドアブランドのディレクションも手がける。Instagram:@pedi3i
岡田瑛穂(右)
VINAVISやPEAKS、ランドネなど、旅やアウトドアをテーマにした媒体で活動する編集者。自然で遊ぶことはもちろん、文化や食に触れる旅も好き。富山県出身で幼いころから岐阜をよく訪れていたが、今回めぐった場所は初めて。
サウナは、入り口にすぎない。森のリトリート「THE WATERS」へ

はじめに訪れたのは、山県市・円原の「THE WATERS」。アウトドアライターやグラフィックデザイナー、イラストレーターとして活動するユーコンカワイさんが手がける、1日2組限定の施設だ。目指しているのは、自然のなかで心身を休ませるリトリート。サウナはその手段のひとつで、施設名にあえて「サウナ」と入れていないのも、その考えから。

「ガンガン熱くしたサウナを楽しむことが目的の施設ではありません。とにかく日常から解放されて、心身をリフレッシュしてほしい。だから、サウナに入らず、ここでのんびりすごすだけでもいいんです」(カワイさん)
ツリーテラスに置かれたサウナ室にはストーブが2台。薪の火は、室温の希望に合わせてカワイさんが調整してくれる。過熱水蒸気の発生装置が備わっているとあって、じわじわと汗が吹き出すほど熱いけれど、不思議と息苦しさはなく、呼吸がしやすい。そして、語らいの場としてサウナ文化が根付くフィンランドのように、THE WATERSでもおしゃべりは歓迎。たわいもない話をしながら、心地よく汗を流す。
おもしろいのは、サウナ室内でハーブを蒸すこと。素材は20種類以上あり、カモミールやローズマリーなどの定番から、屋久島の月桃、和チャイ、中国茶のラプサンスーチョンなどの変わりダネまでさまざまなラインナップがある。単体で蒸しても、いくつかのハーブをブレンドしてもよいが、これがなんとも選びきれない。目にとまったのは、山県市で採れた北山茶。蒸気にのせると、青々しくみずみずしい香りがすっと鼻を抜けた。日本茶とサウナがこんなにも相性がいいとは。

身体がめいっぱい熱を帯びたところで、カワイさんがひと言。
「クナイプ、しますか?」
思わず顔を見合わせた。クナイプとは?
ここでいうクナイプは、ドイツ発祥の自然治癒力療法に着想を得たもの。カワイさんが大きなやかんに入った冷水を頭からかけてくれる。円原川の水を思いきり浴びると、熱かった身体が一瞬ですっと落ち着く。

「気持ちいい〜!」
そこからもう少し、薪の熱と蒸気を楽しむことで、身体の芯まで温まる感覚が得られるわけだ。
20年の川旅を経て出会った水。円原川へ身体を預ける

たっぷり温まったら、すぐ横を流れる円原川へ。階段を下りて岩場へ向かうと、川底まで見えるほど澄んだ流れが待っていた。そのまま川へ身を沈める。
冷たい!けれど、想像していたような、突き刺さる冷たさではない。きりっとしているのに、どこか肌当たりが柔らかい。

石灰岩の地質を流れてくる円原川の水は、ミネラルを豊富に含む中硬水。軟水が多い日本では比較的硬度の高い水だ。川下りが好きなカワイさんが、20年以上にわたって全国の川を旅するなかで出会った場所だという。水温は夏でも14℃ほど、冬は11℃前後。サウナで火照った身体を清流がやさしく包む。
川から上がったら、岩場にゴロン。あれほど熱かった身体から少しずつ熱が抜ける。聞こえるのは川の音と、風に揺れる葉の音。なにもしなくても、ここにいるだけでいい。それこそ、この場所が大切にしている時間なのかもしれない。

身体が落ち着いたら、もうひとつのお楽しみ、ボタニカルトリートメントへ。セラピスト歴約20年のsaoriさんが、温かい陶器のポット「やちむんぼおる」などを使い、首や腕など気になるところをケアしてくれる。心地よい温かさと圧に、すっかり力が抜けた。

「身体の末端が冷えやすいんですけど、ポカポカになりました。なんともぜいたく!」とpediさん。
熱い、冷たい、香る。身体の感覚が次々と切り替わり、深くリラックスしているのに、五感はむしろ研ぎ澄まされていく。生きていることを全身で実感するような時間だ。

ふだんはそれほどサウナに通わないというpediさんも、帰り際には「THE WATERS、すごいところだった!」とひと言。語りたいことは山ほどあるのに、心地よい体験に言葉が見つからない。それほどまでに、心に残る場所だった。


THE WATERS -Retreat Terrace Enbara-
- 住所:岐阜県山県市円原9
- 営業時間:9:30〜16:30
※完全予約制。午前9:30〜12:30/午後13:30〜16:30の1日2枠 - 定休日:火・水曜 ※祝日を除く。冬季は積雪状況により休業の場合あり
- 料金:平日22,000円、土日祝27,000円(1〜2名利用)/1枠3時間・完全貸切
※人数、シーズンにより料金が異なる。内容・料金は変動の可能性あり。最新の情報はWEBをご確認ください - 予約:公式LINEから事前予約。ビジターは利用日の1カ月前から予約可
- 駐車場:6台
- アクセス:東海環状自動車道・山県ICから車で約25分
- WEB:THE WATERS公式サイト
- TRIP NOTE:水着、タオル、飲み物は持参(サンダル無料貸出・飲料水あり)。円原川を含む自然環境での体験となるため、天候等によって内容が変更・中止となる場合があります。
山あいの古民家で、愛情たっぷりの昼ごはんを

サウナのあとは、とにかくお腹が空いた。向かったのは、近くの古民家食堂「舟伏の里へ おんせぇよぉ~」。地元のおばあちゃんたちが活躍できる場所をつくろうと、2013年に廃校を活用して始まったお店だ。いまはすぐ近くの古民家に移転して営業している。おんせぇよぉ~とは、地元の言葉で「いらっしゃい」のこと。
「舟伏の里 特製ランチ」は、主菜に5つの小鉢、天ぷらの盛り合わせ、お漬物、デザート、ドリンクまでついて1,500円というのだから、驚く。

おばあちゃんたちが育てた野菜を中心に使った家庭料理が並ぶ。ダイコンの入った混ぜご飯は大盛りにしてもらった。どれもやさしい味で、ボリュームたっぷりだが食べ疲れない。お冷がわりの北山茶もまろやかでおいしい!さっきは蒸気のなかで香りを浴びたお茶を、今度は湯呑みでいただく。自然の恵みと土地の人の温かさを味わう昼ごはんだ。

舟伏の里へ おんせぇよぉ~
- 住所:岐阜県山県市神崎118-1(神崎よってちょ内)
- 営業時間:金・土・日曜 11:00〜15:00(L.O.14:30)
- 定休日:月〜木曜、お盆、冬季(12月〜2月末)
- 料金:舟伏の里ランチ1,100円、舟伏の里 特製ランチ1,500円ほか
- 予約:10名以上の場合は事前に電話連絡
- 駐車場:北山交流センターグラウンドを利用(約15台)
- WEB:舟伏の里へ おんせぇよぉ~公式サイト
- TRIP NOTE:2025年に旧校舎から現在の古民家へ移転。料理は地域で採れた野菜などを使った田舎料理が中心。
飛水峡と、山あいに広がる茶畑へ

お腹を満たしたら、東白川村を目指してクルマを走らせる。ここからは約2時間のドライブ。山あいの道を走り、川を追い、いくつもの集落を抜ける。目的地までの移動時間も、この旅では楽しみのひとつだ。
途中で立ち寄ったのは、七宗町の飛水峡ロックガーデン。線路のわきを抜けていくと、目の前に突然、ごつごつとした岩の大地が広がった。飛水峡は、飛騨川の流れが長い年月をかけて削り出した峡谷。巨大な岩が幾重にも重なり、そのあいだをエメラルドグリーンの川が流れる景色が、七宗町から白川町まで約12kmにわたって続いている。

午前中、THE WATERSでは川の水に身体を浸した。そしてここでは、水が途方もない時間をかけて地形をつくってきたことを目の当たりにする。おなじ「水」でも、場所が変わればまったく違う表情を見せるのだ。岩場を歩くのはスリル満点。足元を確かめながら一歩、一歩。自然の迫力に圧倒されながらも、いつまでも眺めていたくなる、不思議な景色だった。

飛水峡ロックガーデン
- 所在地:岐阜県加茂郡七宗町上麻生
- アクセス:東海環状自動車道・美濃加茂ICから車で約20分
- 駐車場:普通車10台、大型バス1台
- WEB:岐阜県観光公式「岐阜の旅ガイド」
- TRIP NOTE:飛騨川が長い年月をかけて削り出した、七宗町から白川町まで約12km続く峡谷。岩場まで下りられるが、足元が不安定な箇所もあるため歩きやすい靴がおすすめ。雨天時や増水時は無理に水辺へ近づかないように。
ふたたびクルマへ乗り込み、東白川村方面へ。しばらく走ると、今度は山の斜面に茶畑が見えはじめた。岐阜でつくられる日本茶は美濃茶と呼ばれ、西美濃の美濃いび茶と、この一帯でつくられる美濃白川茶が二大銘柄。美濃白川茶の産地は、国内の主要な茶産地のなかでも厳しい寒暖差を誇る山あいの地域だ。

傾斜地いっぱいに茶畑が広がり、そのあいだに民家がポツポツ。山や川と人の暮らしが隣り合う、里山らしい風景だ。それを縫うようにクルマを走らせ、窓を開ける。澄んだ空気が入ってきて、思わず深呼吸した。
サウナではお茶の香りを浴び、食堂では味わい、今度は茶畑の風景を眺める。自然の恵みを、こんなにもいろいろな角度から楽しめるとは。
岐阜、いいところだな。
まっすぐにそう思う。

美濃白川茶茶園
- 所在地:岐阜県加茂郡白川町広野ほか
- WEB:岐阜県観光公式「岐阜の旅ガイド」
- TRIP NOTE:白川町の山間に広がる美濃白川茶の茶園。新芽が広がる5〜6月が見頃とされている。茶園は観光施設ではなく生産の場でもあるため、私有地や畑へ無断で入らず、道路上の安全にも配慮しながら風景を楽しみたい。
森のなかの「CROCE RESORT」へ

この日の宿は、東白川村の「CROCE RESORT」。朝から移動しながら自然に触れてきたけれど、ここからは一カ所にとどまる。夕方、夜、翌朝と、森の移ろいをゆっくり味わおう。次の目的地へ急ぐ必要はもうない。
グランピングサイトは快適そのもの。テントにはエアコンやふかふかのベッド、冷蔵庫、電子レンジがあり、サイトごとにシャワーとトイレも備わっている。アメニティも充実し、シャワーヘッドとドライヤーはReFa(リファ)。滞在に必要な設備がひととおり揃っている。

そして、アウトドアに慣れた人にもうれしい。設営や撤収の手間がないぶん、夕暮れから翌朝まで、自然の移ろいのなかにじっくり身を置ける。快適さは自然から距離を置くためではなく、むしろ長く深く自然を楽しむためのものだと実感した。
岐阜の味覚を楽しみ、焚き火を囲む。森の夜は長い

夕食は、岐阜の食材をふんだんに使ったバーベキュー。県内の肉や新鮮な野菜が並ぶ、ぜいたくな食卓だ。川に浸かり、岩場を歩き、ドライブを楽しんだ一日の締めくくりに、ボリュームたっぷりの食事がうれしい。

食後は焚き火を囲む。薪がパチパチとはぜる音を聞きながら、仕事や恋愛の話など、とりとめのない話を交わす。会話がふと途切れると、今度は森の音や風の気配が前に出てくる。暗くなるにつれ、風の冷たさと火の温かさがいっそう鮮明に感じられた。心が満ち足りていく感覚。

テントに戻ったら、フロントで借りたジェンガや人生ゲームを広げる。旅先でボードゲームなんて、修学旅行のよう。自然のなかで遊び、暖かなテントですごす。これもグランピングの楽しさだ。
森のなかで、朝を迎える

翌朝はゆっくり起きる。外へ出ると、昨夜は音や気配で感じていた森が、朝には緑の山々となって目の前に広がっていた。空気はひんやりしているが、日差しは暖かい。今日は朝ごはんを食べて帰るだけ。敷地内を散歩していると、葉がこすれる音や鳥の声が心地よく聞こえた。おなじ場所でも、夜とはまるで違う表情を見せてくれる。ああ、こんな優雅な朝をすごしたのは、いつぶりだろう。

朝食は併設のカフェ「CROCE season2」のテラスで。カウンターの向こういっぱいに、東白川の山並みが広がる。「スペシャルプレート」は大きなサイコロ生食パンに、サラダ、ゆで卵、ハッシュドポテト、ヨーグルト、スープがつく。食パンはふんわりしっとり、軽やか。山を眺めながら平らげると、もう少しここにいたくなった。

CROCE RESORT/CROCEグランピング
- 住所:岐阜県加茂郡東白川村神土606
- チェックイン:15:00〜17:00
- チェックアウト:11:00
- 料金:客室・プラン・宿泊日により異なるため、公式予約サイトで確認
- 予約:公式Webサイトより予約
- 駐車場:あり
- アクセス:東海環状自動車道・美濃加茂ICから車で約50分/JR白川口駅周辺から車で約20分
- WEB:CROCE RESORT公式サイト
- TRIP NOTE:グランピング各区画にはシャワー・トイレを備え、BBQや焚き火も楽しめる。22:00以降はクワイエットタイム。夕食付き、朝食付きなど複数の宿泊プランがある。
岐阜の自然は、なかに入るともっとおもしろい

けわしい山へ分け入らなくても、岐阜の自然をこんなにも身近に感じられる。川の水の柔らかさ、岩場の迫力、お茶の香り、焚き火の熱。どれも、ただ景色を眺めているだけではわからない、身体で感じてこそのものだ。そんな体験を重ねるうちに、普段は見すごしてしまう小さな音や温度の変化にも気づくようになる。あわただしい日々で鈍っていた自分の感覚が研ぎ澄まされていくようだった。
岐阜の自然は、遠くから眺めてもきれい。でも、そのなかへ一歩ふみ込むと、景色の美しさだけでは語れない魅力に出会える。
「これまで何度も岐阜には来ているけれど、今回訪れた場所はどこも初めて。まだまだ知らないところばかりですね。岐阜、奥深いです」。帰り道、pediさんがそう話した。
まだ知らない岐阜は、この道の先にもありそうだ。
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清流に浸かり、山あいの道を走り、里山の風景を眺め、森のなかで夜をすごす。今回の1泊2日で見えてきたのは、岐阜の自然は、ただ眺めるだけでなく、そのなかに身を置くことで、ぐっと身近に感じられるということでした。
このほかにも、自然・アウトドア体験や温泉、グルメなど、岐阜ならではの楽しみはまだまだたくさん!現在、対象施設でお得な割引やノベルティなどの特典を受けられるキャンペーンも開催中です。キャンペーンサイトでは、エリアや楽しみ方からさまざまなスポットも検索が可能。行き先を選ぶ時間から、もう岐阜を楽しむ時間は始まっています。
次に岐阜を旅するなら、どんな「楽しい!」に出会えるだろう。
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VINAVIS 編集部
アウトドアフィールドへ誘うメディア、そして自然のなかにいるような心地よさと冒険心をもって生きる人々を応援する新メディア。厳しい自然環境で磨かれた「機能美」や「哲学」を、都市生活というフィールドにマッチするシーンにを訴求します。またアウトドアで使われる機能やアイテムに触れることで、意識せずに自然とフィールドへと近づいていく気運を醸成します。
アウトドアフィールドへ誘うメディア、そして自然のなかにいるような心地よさと冒険心をもって生きる人々を応援する新メディア。厳しい自然環境で磨かれた「機能美」や「哲学」を、都市生活というフィールドにマッチするシーンにを訴求します。またアウトドアで使われる機能やアイテムに触れることで、意識せずに自然とフィールドへと近づいていく気運を醸成します。



















