
冬山登山に必要なウエアの基本とレイヤリング学
PEAKS 編集部
- 2026年11月04日
INDEX
夏山とまったく異なる環境に合わせた服装選び。
冬山登山にはどんなウエアが必要で、どのように活用するのか知りたい!
そんな登山者のみなさんに向けて、山岳ガイドの小俣智範さんがアドバイス。
まずは冬山の環境を理解して、その環境に必要なウエアの役割を紐解いていく。
シーンに合わせたレイヤリング例も紹介するので今シーズンから、ぜひ活用を!
編集◉PEAKS編集部
文◉阿部静
写真◉宇佐美博之
監修◉小俣智範
イラスト◉マエハラシオリ
教えてくれたのは:山岳ガイド・小俣智範さん
日本山岳ガイド協会認定山岳ガイドステージⅡ、スキーガイドステージⅠを保持。「登山教室セロー」を主宰し、岩稜登山やアルパイン、フリークライミング、雪山のバリエーションルートなど幅広くガイド。自身の登山活動も国内外で精力的に行なう。

1 冬山って、どんな環境?
【夏山との違いは雪と寒さ。季節や標高、地域差など冬山の環境を理解して自分に合った山選びを!】
冬山登山のウエア選びやレイヤリングを考えるうえで、まずは冬山の環境について知っておく必要がある。冬山とはどういった環境なのか、山岳ガイドの小俣智範さんに聞いてみた。
「冬山といっても環境はさまざまにありますが、夏山との違いでいえば、第一に寒さが挙げられます。主に冬山と呼ばれる季節は11月の初冬期から5月下旬の残雪期までの期間が該当しますが、季節によっても寒さの度合いが異なり、標高帯によっても大きく変わってきます。標高が高くなるほど気温が低くなり、夏山以上に風が強くなります。風が強く吹くと実際の気温より寒く感じられ、装備が足りなければ低体温症や凍傷などの影響を及ぼすこともあります」
また、もうひとつ夏山との大きな違いは雪である。
「雪があるかないかということも大きな環境の違いであり、雪の状況は季節や標高帯、地域によって変わります。たとえば無雪期に人気な北アルプスの山々は厳冬期は降雪量が多く厳しい環境なため、登ること自体難しい山もたくさんあります。それが八ヶ岳になるともう少し積雪量は緩やかで比較的アプローチも厳しくないため厳冬期の雪山登山に人気のエリアです。晴天率も高く晴れた日には『八ヶ岳ブルー』と呼ばれている、空気が澄んだ冬ならではの真っ青な空が見られます。
3月中旬ごろからの残雪期に入ると日照時間が延びて降雪も落ち着いてくるため、北アルプスの高山帯でも挑戦しやすい雪山が増えてきます。4月半ばからは立山アルペンルートが開通するため立山エリアに登ることもできるでしょう。ただし朝晩の寒暖差により雪質の変化が激しい時期でもあります。残雪期こそ12本爪のクランポンが必須で雪質に合わせた歩行技術も必要です。雪崩の発生率も高くなり、雪庇やクレバスなど雪があるからこそ注意すべき状況も、雪山にはたくさん潜んでいます」
季節による環境の違い
季節によっても冬山の環境は大きく異なり、主に風雪の厳しさや日照時間、雪の状況が変化する。ただし山域によって差異があるため、ここでは日本アルプスを例に紹介する。
初冬期|11月~12月中旬

雪が降り始めるころ。雪が融けずに積もり、根雪になり始める。寒気が入ると大雪が降ることも。陽が短くなるため行動時間も短くする必要がある。
厳冬期|12月下旬~3月上旬

寒さがいちばん厳しい時期。冬型の気圧配置により悪天候の日が続く。積雪の量も増え、強風の日も増える。厳しい状況下で活動できる知識や技術、体力が求められる。
残雪期|3月中旬~5月下旬

日中の気温が上昇し、朝晩の寒暖差が激しくなり、1日のなかでも雪質の変化が激しい時期。徐々に陽が長くなるため行動時間は少し長めに設定できる。
標高による環境の違い
標高によっても冬山の環境に変化があり、だんだんと標高が高くなるごとに厳しさも増すという傾向がある。その違いについて厳冬期を例に解説していこう。
森林帯|標高1,000~2,300mあたり|上高地、岳沢、美濃戸口~赤岳鉱泉など

ブナやシラビソなど木々が茂った森のなか。木々が立ち並ぶため風の影響を受けにくく、厳冬期の場合、気温は氷点下まで下がるがあまり寒さを感じない。
森林限界|標高2,300~2,600mあたり|日光白根山、黒百合ヒュッテ~天狗岳など

低木やハイマツが中心となり、風の影響を受けやすくなる。標高も高くなるにつれ、だんだんと風が強くなる。ハードシェルジャケットが必要となる環境。
高山帯|標高2,600m以上|木曽駒ヶ岳、唐松岳、赤岳など

ハイマツの数が少なくなり、無雪期には高山植物が多い標高帯。風にもろに晒されるため凍てつく風雪にとめどなく叩かれる、もっとも寒さの厳しい環境。
地域による環境の違い
地域によっても冬山の気候や積雪状況が異なり、厳しさが違う。ここでは関東近郊在住の登山者にとってなじみ深く、代表的な雪山ともいえる「北アルプス」と「八ヶ岳」を例に、違いを解説していこう。

北アルプス|主に日本海側の気候の影響を受ける。
冬型の気圧配置により日本海側の気候の影響で降雪量が多く、悪天候であることが多い。厳冬期は晴れの日が少なく高山帯では強風雪による厳しい環境。定期的に降雪があるため積雪量も多い。
八ヶ岳|主に太平洋側の気候の影響を受ける。
降雪量が少なく晴れる日が多い。冬は空気が澄んでいるため晴れの日には「八ヶ岳ブルー」と呼ばれるほど美しい青空と景色が望める。ただし南岸低気圧になると大雪が降り、積雪量も増える。
夏山との違いは寒さと雪の影響!
標高が高くなれば夏山でも風が強くなり空気の冷たさや寒さを感じるが、冬山の風の強さはその比ではない。風の強い日が圧倒的に増え、高山帯の稜線では風速20mの風が吹くこともよくある。風速20mといえば夏山では台風レベルの強風だ。凍てつく強風に晒され続ければ、身体は冷え、指先や足先、鼻先などの身体の末端は凍傷になる危険性さえある。低山においても夏山のような薄着でいれば寒さの影響で低体温症になる危険性も考えられる。つまり、冬山においては身体を冷やさないことがなにより大切。また、雪があることによって登山の難しさは格段にアップする。歩行にも技術を要し、標高が高くなれば滑落や雪崩のリスクも高まる。

2 冬山においてのウエアの役割
前頁で述べたように冬山には寒さと雪の影響があり、季節や標高帯、地域で環境が異なる。登る山域や天候に合わせたウエア選びが大切で、臨機応変に対応できるように冬山でのウエアの役割を知っておきたい。まずベースレイヤーは汗濡れなどで身体を冷やさないようにすることが第一。濡れても冷えを感じにくいメリノウールを選んだり、気候によって素材の厚みを変えるなど対処したい。その上に重ねるのがミドルレイヤー。保温性も備えながら体温調節も促せる、行動中の保温着だ。風の強い標高帯でさらに着重ねるのがアウターレイヤー。着続けながら山頂を目指す、雪山専用の行動着だ。停滞時や悪天時など寒いときに重ね着するサーマルレイヤーは行動中に必ず携行したい。また、その日の夜の気温と翌日の天候も確認し、ビバーク時に備えることも大切だ。
1 ベースレイヤー=吸汗と速乾

荷物量・体力・寒さで変わる
同じ山でも30ℓパックを背負うときには厚手、50ℓパックのときは薄手にするなど、荷物量に比例して発汗量が増えるためベースレイヤーの厚みを変えるのがベスト。運動量や気候によっても変える。また体力がない人ほど少しの運動でも心拍が上がりやすく発汗量が増えるので薄手がよい。

汗をかきづらい下半身は厚手が基本
上半身に対して下半身は汗をかきづらい。よって下半身のベースレイヤーは基本は厚手でいいだろう。ただし寒さの感じ方は人それぞれ。その日の気候状況や上に合わせるウエアの厚みによってベースレイヤーを薄手や中厚手にするのもアリだ。
2 ミドルレイヤー=行動中の体温調節

行動中に着続けられる厚みのものを
防風性と保温性を備えながら湿気を逃がし、行動中に快適に着続けられる、いわゆる「アクティブインサレーション」と呼ばれるウエア。森林帯での行動着にあたるため、積雪のある山域では表面に撥水加工が施されているなど雪が浸みにくく付着しづらいウエアがよい。

その日の天候や個人の耐寒レベルで変える
標高2,300mあたりまでの森林帯での行動着にあたる。夏山で履くトレッキングパンツなど着たままで行動できるようなものであればOK。寒さを感じやすい人は冬用の厚手のトレッキングパンツやソフトシェルパンツを着用するのもアリ。
3 アウターレイヤー=風雪から身体を守る

ヘルメット装着時も顔が覆えるフード
風が強くなる標高帯で着用する「ハードシェル」。レインウエアよりもしっかりした素材でベンチレーションが備わるなど着たまま行動し続けられる工夫がなされているが、なにより重要なのがフード形状。ヘルメットを被っても顏がしっかり覆われ、横殴りの風雪から顔を守るデザインが特徴だ。

「山頂まで脱ぎ着しない」雪山行動着
悪天時は登山口から着用することもあるが、行動中は脱ぎ着しないのが基本。山頂へ向かう稜線などの環境下では強風に晒され脱ぎ着できるような状況ではないだろう。立体裁断にするなど動きやすさが考慮され、防風性や防水性を備える。
4 サーマルレイヤー=停滞時の保温

アウターの上から着られるサイズがベスト
山中での休憩時や行動時の寒いときにアウターレイヤーの上から着用するため、少しゆったりしたサイズ感がよい。また濡れても暖かさが損なわれない化繊綿や湿気を吸いにくい撥水ダウンを使ったモデルがおすすめだ。

山小屋やテント泊で主に活用
主に山小屋宿泊時やテント泊時において活用する下半身保温用のダウンパンツ。ベースレイヤーやミドルレイヤーの上から着用する。テント泊時は結露などによる濡れの心配もあるため化繊綿や撥水ダウンを使ったモデルがおすすめだ。
3 冬山のシーンごとのレイヤリング例
右頁で紹介したベースレイヤーからサーマルレイヤーを重ねたものが冬山での基本のレイヤリングとなるが、シーンによって異なるため、具体的な例として小俣さんの装備を用いて季節と山域が異なる3パターンのレイヤリングを解説する。
SCENE 1 初冬の丹沢山・日帰り
無雪期の服装に保温性を少しプラスオン。

[環境の特徴]
・朝晩を中心に気温が低くなり、氷点下になることも。
・日陰などには岩肌に薄く氷が張る「ベルグラ」ができ、枯葉に隠れている場合もあるため足元に注意が必要。
・稜線上では強風が吹く日もある。
大倉登山口(標高200m)~山頂(標高1,567m)
ベースレイヤー
乾きやすさも考慮しながら夏山より保温性を少しアップ。
標高帯が低く、気温もそこまで低くない。それなりに汗もかくため乾きやすさを考慮して上半身は薄手の化繊素材。下半身はベースレイヤーを着用しないか、寒さを感じるときは薄手のメリノウールのモデルを選ぶとよい。


ミドルレイヤー
ベースレイヤーとの組み合わせで保温を調整。
上半身は薄手のアクティブインサレーション。気温が0℃を下まわらない程度の、雪のない冬山に適している。下半身は夏山でも着用しているトレッキングパンツを1枚で履くか、下にベースレイヤーを合わせるか、厚手のトレッキングパンツを1枚で履くか。気候により変えている。


アウターレイヤー 悪天候時
強風時に着用できるように携行しよう。
稜線で風が強いときや雪や雨が降っているときなど、寒さや風の強さを感じるときに着用して行動する。必ずしも着用するわけではないので薄手のハードシェルやレインウエアでもOK。ただし必ずなにかしら携行すること。


停滞時 サーマルレイヤー
休憩時や行動時の寒いときに着用する。化繊綿を使用しているため濡れても保温性が失われにくい。日帰り登山であっても、もしものビバーク時に備えて朝晩の気温に耐えうる保温性の高いモデルを携行したい。

必要な主なギア

ヘッドランプ
夏山の日帰り登山であってもヘッドランプは携行すべきものではあるが、日照時間が短くなる冬山こそ必ず持つべき装備のひとつだ。

トレッキングポール
枯葉が積もって路面が不明瞭であったりベルグラがついた岩の上の歩行ではトレッキングポールが安定性を向上させる。

登山靴
雪のない冬山なので夏の縦走登山や岩稜帯を歩く際に履く登山靴と同じもので問題ない。
SCENE 2 初冬~厳冬期の赤岳・小屋泊
冬本番。本格的な冬山装備が必須。

[環境の特徴]
・積雪があり、登山口から気温が低く山小屋の標高でも朝晩は-15℃を下回ることも。
・稜線から山頂までは風が非常に強く風速20mの強風が吹くことも多々ある。
・天候の状況が変わりやすく、悪天候にもなりやすい。
・1月までは陽が短いが2月からは日照時間が少し長くなる。
1日目:登山口(標高1,500m)~赤岳鉱泉(標高2,220m)
ベースレイヤー
厚手のメリノウールで保温性をアップさせ汗冷えを防ぐ。
登山口から氷点下となる気温の場合は厚手がよい。ただし登り坂など心拍が上昇するときに汗をかくため、濡れても保温性を保つメリノウール素材を着用し汗冷えを防ぐ。また厳冬期用の長い靴下と重ならないようにタイツは七分丈のものを選び、登山靴への収まりをよくしている。


ミドルレイヤー
行動中の保温と調湿をコントロールできるウエア。
登山口からハードシェルまたはソフトシェルジャケットを着用したまま行動することも多いため、アウターレイヤーをあまり脱がない前提のアクティブインサレーションをチョイス。軽量で速乾性に優れ、必要な保温性を保ちながら余分な熱と湿気を効率よく逃がしてくれる。


or

下半身は夏山用のトレッキングパンツを着用するか、ソフトシェルパンツをチョイス。ソフトシェルパンツは撥水性や防風性を備えるがハードシェルパンツには劣る。ストレッチ性は勝るため、しなやかな動きには貢献する。天候をよく確認し、天気がよく安定した気候のときには山頂までソフトシェルパンツで登ることも可能だ。
停滞時・小屋泊時 サーマルレイヤー
小屋の中でも保温着は必須。
山中での休憩時や小屋泊の際に活躍するのがサーマルレイヤー。とくに厳冬期の赤岳鉱泉は寒波がやってくると-20℃まで下がることもあるため小屋の中でも保温着は必須。ダウンパンツは山中で履くことはないが山小屋宿泊時にベースレイヤーやミドルレイヤーの上から着用することで暖かくすごせる。

小屋泊のときのみ使用

2日目:赤岳鉱泉~赤岳山頂(標高2,899m)
アウターレイヤー
風雪にも耐えられる山頂アタックに適したハードシェル。
レインウエアよりも生地厚があり、防風性・防水性を備えたハードシェル。立体裁断になっているため動きやすさも考慮されている。ジャケットのフードは大きくヘルメットを被っても顔面が露出しない。

or



サーマルレイヤー 悪天時、寒いとき
行動中に上から着られる濡れに強いモデルがベスト。
撥水ダウンが豊富に封入されたインサレーションジャケット。保温性が高く、ある程度湿気があるなかでもロフトが失われにくいため山中での休憩時や低温下の行動時にもアウターレイヤーの上から着用できる。

必要な主なギア

雪山用登山靴
断熱材、保温材の入った冬期雪山用登山靴。前と後ろにコバが付き、クランポンを装着して履くことを前提に作られているためソールが硬く安定感がある。

チェーンスパイク
赤岳鉱泉までのアプローチは雪が少なくトレースがしっかりとある歩きやすい道。とはいえ登山靴だと滑るのでチェーンスパイクを着用しての歩行がベストだ。

トレッキングポール
赤岳鉱泉までの雪道は不安定なところもあるので転倒防止の意味でもトレッキングポールがあるといい。トレースがしっかりとつき雪深くないため夏用のバスケットのままでOK。収納もしやすい。

サングラス
雪面からの反射による影響で雪目になりやすいためサングラスは必携品。風雪を防ぐこともできる。ただし曇りの場合、レンズが暗すぎると見えづらいので明るいレンズか調光レンズが最適だ。

ヘルメット
赤岳鉱泉より、さらに山頂へ向かう場合は冬季の高山帯においてはヘルメットの装着が必要となる。転倒や滑落、雪崩のリスクのあるエリアであるため頭部を守ることは重要だ。

クランポン
赤岳鉱泉から山頂を目指すとき、雪面や氷、岩場など足元が不安定な稜線を登っていくこととなるため、自身の冬用登山靴に適合する12本爪のクランポンを確実に装着することが大切。

アイスアックス
赤岳鉱泉より先はアイスアックスに持ち替える。歩行時にはストックのように使えるが長すぎると滑落時に制動が利きづらいため50㎝前後の長さが最適だ。

ゴーグル
サングラスさえあればある程度の風雪をしのげるが、本格的に吹雪いてしまったときには完全に目元を覆うことができるゴーグルが有効。必ず携行したい。

保温ボトル
氷点下となる冬山では保温性のないウォーターキャリーでは中身が凍ってしまうため保温ボトルが必須。また温かい飲み物により身体を温められるため寒冷下でも長時間保温性を保つ山専用のモデルが最適だ。
SCENE 3 残雪期の立山三山・小屋泊
天候を確認しながら保温と防風のバランスを。

[環境の特徴]
・日中の気温が高くなり、朝晩との気温差が激しい時期。
・激しい気温差により朝方は雪が固く凍り、日中は緩むなど雪質の変化が激しい。
・厳冬期より強風の日が減る。
・日照時間が長くなり活動しやすくなる。
1日目:室堂周辺(標高2,450m)
ベースレイヤー
天候をみて中厚手~薄手のメリノウールが◎
日中の寒さが緩むためベースレイヤーも厳冬期より薄めのものを。ただし朝晩の気温は低く、標高を上げると強風が吹くこともあるため、汗冷え対策としてメリノウール素材がおすすめ。


ミドルレイヤー
天気がよければこのまま山頂に登ることも。
外側の生地に雪が付着しにくい素材を採用しているため、アウターレイヤーを着用せずに長く行動することが多くなる残雪期に重宝するアクティブインサレーション。防風性と保温性、通気性があり、行動中のウエア調整を減らすことができる。



下半身はアウターレイヤーにハードシェルを着用するなら、変わらず夏用のトレッキングパンツを着用する。あるいは天気が安定していればソフトシェルパンツで山頂まで登ることもある。
停滞時・小屋泊時 サーマルレイヤー
休憩時や朝晩は意外と冷える!
行動時に携行していたサーマルレイヤーは休憩時や小屋泊時にも活用でき、別のものを持つ必要はない。つまりどちらにも対応できる過不足ないスペックのサーマルレイヤーをチョイスすることが大切だ。

テント泊するなら

小屋泊なら下半身のサーマルレイヤーはなくてもいいがテント泊の場合は朝晩の外気温の寒さを感じるため、やはり必要だ。テント内結露などによる濡れが心配なら化繊綿のモデルが扱いやすい。
2日目:立山三山(標高3,003m)
アウターレイヤー
厳冬期より薄いモデルでもOK。
残雪期は強風の日が減り気温も高くなるため、厳冬期よりも薄め、レインウエアよりも厚めぐらいの軽量なハードシェルでOK。ミドルレイヤーに防風機能が備わったものを着用していて風がなく穏やかな気候であればアウターレイヤーを着用せずに登ることもある。



サーマルレイヤー 悪天時、寒いとき
濡れに強く軽量コンパクトな化繊綿が便利。
厳冬期よりも寒さが緩むため厳冬期並みの保温力は不要だが、稜線ではときには強風が吹くこともあるため行動中に着用できるサーマルレイヤーは必携だ。濡れても暖かさを損なわず、軽量コンパクトになる化繊のインサレーションジャケットが便利だ。

必要な主なギア

雪山用登山靴
残雪期であっても雪山用登山靴がマスト。足先は冷えやすく、なにより12本爪のクランポンを装着する必要があるからだ。

クランポン
残雪期は厳冬期以上に12本爪のクランポンが重要。なぜなら早朝のカリカリに凍った雪質から緩んだ雪質まで、さまざまな状況の雪上を歩くには12本爪でないと対応できない場合があるからだ。

トレッキングポール
室堂周辺を歩く際にはトレッキングポールが歩行を助けてくれる。室堂周辺の登山道は雪が少なくポールが埋まる心配もないため無雪期用のバスケットで問題ない。

サングラス
残雪期は厳冬期に比較すると陽射しが強くなり雪面からの反射も厳しくなるためサングラスは絶対必要。色の濃いレンズがいい。あるいは調光レンズを選ぼう。

アイスアックス
残雪期の雪山登山にも、もちろん必要。雪質の状況がさまざまに変化し難しいシチュエーションもあるため、なおさら重要だ。稜線に上がる手前でポールをしまい、アイスアックスに持ち替える。

ヘルメット
残雪期は雪質の変化が激しく、それゆえ難しさもある。転倒や滑落のリスクに備え、やはりヘルメットは必ず着用を。また残雪期は雪崩が起こるリスクも上がる。

ゴーグル
残雪期は厳冬期と比較すると気候が安定し強風が吹くことも少なくなるが、ときには天候が荒れることもあるため予備として必ず携行しておきたい。

保温ボトル
日中は0℃を下まわることもなくなり、気温上昇に比例して水もほしくなるが、休憩中は意外と身体が冷やされる。お湯はエマージェンシーギアとして雪山では持ったほうがよい。
※この記事はPEAKS[2026年12月号 No.181]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
※最新の情報を直接ご確認の上ご計画ください。
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編集◉PEAKS編集部
文◉阿部静 Text by Shizuka Abe
写真◉宇佐美博之 Photo by Hiroyuki Usami
監修◉小俣智範 Supervision by Tomonori Omata
イラスト◉マエハラシオリ Illustration by Shiori Maehara
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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