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平坦な土浦に新たな魅力!初開催「筑波山・朝日峠ヒルクライム」と市長が描く“自転車のまち”の未来

ナショナルサイクルルートである「つくば霞ヶ浦りんりんロード」を擁し、平坦なサイクリングの聖地として全国に知られる茨城県土浦市。そんな“平坦の土浦”に、2026年6月14日、初となる本格ヒルクライムレース「筑波山・朝日峠ヒルクライム」が誕生した。単なるコースの追加にとどまらず、土浦のサイクルツーリズムに新たな立体感をもたらした本大会。現地での熱戦の様子とともに、安藤真理子市長が語る“自転車のまち”の未来像をお届けしよう。

平坦の土浦に加わった新しい軸「登る」魅力

土浦市初となる本格ヒルクライムレース「筑波山・朝日峠ヒルクライム」がスタート。安藤真理子市長(写真中央)も朝日峠入口まで先導

これまでの土浦といえば、霞ヶ浦を中心とした平坦路の印象が強かった。しかし、今回初開催された「筑波山・朝日峠ヒルクライム」は、サイクリストたちが抱くそのイメージを心地よく裏切るものだった。

コースは小町の館周辺をスタートし、のどかな田園地帯を抜けて朝日峠へと向かう。特徴的なのは、単純な登り一辺倒ではないという点だ。序盤は踏み続けられる緩やかな登りから始まり、アップダウンを繰り返しながらリズムよく進行していく。


標高を上げるにつれて、関東平野と筑波の山並みを見渡す絶景が広がる

中盤にはヘアピンコーナーが連続する区間もあり、単なる登坂力だけでなく、ライン取りや的確なペース配分も求められる展開となる。さらに標高を上げるにつれて視界が大きく開け、筑波の山並みと広大な関東平野を見渡す景色へと変化していく。
ただひたすらに頂上を目指してタイムを削るだけでなく、風景の移り変わりと走りの展開を味わいながら進むコース設計。それはまさに、この地域が持つサイクルツーリズムのポテンシャルを象徴しているかのようだった。従来のヒルクライムが“登って終わる競技”だとすれば、今回のコースは、走る展開そのものを楽しむ構成となっていた。

コーナーが連続する区間ではライン取りやペース配分も要求される

土浦の新たな顔「朝日峠KOM」での熱戦

本大会では、土浦市内に位置する朝日峠区間において通過タイムを競う「KOM(King of the Mountain)」が設定された。ガマ・エキスパートクラスはもちろん、年代別や女性、さらにはシクロクロス/グラベル、コスプレ部門まで幅広くカテゴリーが設けられたのが大きな特徴だ。

コスプレ部門など多彩なカテゴリーが用意され、多様なサイクリストがそれぞれのペースで楽しんだ

初開催ながら競技レベルは非常に高く、ガマ・エキスパートクラスに出場した酒井力(まいぺーす)が朝日峠区間を9分28秒で駆け上がり、区間最速を記録。さらに、30歳代カテゴリーの高橋知明が9分29秒とわずか1秒差に迫るなど、トップレベルでは手に汗握るタイム争いが繰り広げられた。

ガマ・エキスパートクラスの表彰式。初代王者に輝いた橋本友哉(wappa)ら上位陣

レース全体のリザルトとしては、最上位のガマ・エキスパートを制したのは橋本友哉(wappa)で、タイムは32分32秒。各カテゴリーの勝者が一堂に会する表彰式では、年齢やレベルの異なる選手たちがそれぞれの“最速”として笑顔を見せた。単一の勝者だけを際立たせるのではなく、多様な走りの中での頂点を可視化するこの仕組みは、「誰もが楽しめる登りがある」という本大会のテーマを見事に体現していた。

地域に根ざした大会運営と三市連携

参加賞として配られた大会オリジナルパッケージのお米。地元企業のサポートが光る

会場の熱気はレースだけではない。メイン会場には地元スポンサーののぼりがはためき、フードトラックには多くの参加者が列を作った。参加者には、茨城シクロクロス土浦ステージでもおなじみのスポンサーである株式会社田島屋から、大会オリジナルパッケージの米が提供されるなど、地元企業による手厚いサポートと既存イベントとの深いつながりを感じさせた。

レース後の疲れた体に甘いクレープが染み渡る。会場のブースも大盛況

また、この大会は土浦市が主体となり、つくば市・石岡市との調整会議を経て実現したものだという。イベント単体としてではなく、周辺地域を周遊するエリアとして成り立つこと。役割分担による事業というより、各市の枠組みを尊重しつつ実務レベルでの“広域連携の初期段階”として運営調整が行われたことは、今後の発展に向けた大きな一歩と言えるだろう。

安藤真理子市長が描く“自転車のまち”の未来

大会当日、会場でサイクリストたちを歓迎した安藤真理子市長

大会当日、会場を訪れていた安藤真理子市長に話を伺うことができた。りんりんロードの整備によって全国的なサイクリング拠点となった土浦市だが、市長の視線はすでに「その先」を見据えている。

「土浦では年間を通してさまざまなサイクリングイベントがありますが、ヒルクライムがこれまでありませんでした。ぜひやりたいと考えてきた取り組みです」

平坦な土浦に「登り」という新たなピースが加わり、走りのバリエーションが広がったことの意義は大きい。一方で、現状については率直に課題も口にする。
「まだまだ整備しなければならないと思っています。休憩スペースや安全面、一般道との共存など課題はたくさんあります。りんりんロードは複数の市町村にまたがるルートなので、土浦市だけでできるものではありません。県や周辺自治体と連携して進めていく必要があります」

ナショナルサイクルルートの中核都市として、今治市(しまなみ海道)、守山市(ビワイチ)とともに連携を進める土浦市。しまなみ海道が“絶景ルート”、ビワイチが“完成された周回型”であるのに対し、土浦は「都市近接型で裾野の広いサイクリング圏」という独自性を持つ。
「海外から来られる方は長期で滞在する傾向があります。今治、守山、土浦の3つを回ってもらい、日本のサイクリングを楽しんでいただきたいと思っています」と、単一ルートの消費から複数拠点を巡る周遊型体験への転換を目指している。

観光から日常へ。走りたくなるまちへの深化

年代や性別、楽しみ方を問わず多くのサイクリストが土浦の新たなフィールドを満喫した

市長の言葉の中で特に印象的だったのは、自転車施策の方向性だ。
「レジャーだけでなく、日常の中で使われる存在にしたい。通勤でも使ってもらいたいと考えていますし、市役所でも取り組みを進め、自転車通勤をする職員が増えました」
ヘルメット購入補助や子ども向け支援など、生活分野への展開も進んでいる。5年後のビジョンを尋ねると、「街の中を自転車が多く走っている状態にしたいです」という答えが返ってきた。

今回のヒルクライムは、継続的に開催していく意志を持ってスタートした。湖、平野、そして山。複数のフィールドを一つのエリアで体験できる強みを活かしながら、土浦は「走りやすいまち」から「走り続けたくなるまち」へ、そして「自転車が当たり前の都市」へと変わりつつある。
初の本格ヒルクライムは、そんな土浦の次なるステージの幕開けを確かに告げていた。

リザルト

ガマ・エキスパート(上位6位)

1位 橋本 友哉(wappa) 32:32
2位 大島 浩明(グランペール山岳大隊) 34:06
3位 酒井 力(まいぺーす) 34:19
4位 北村 信幸(天照CST) 35:14
5位 小林 成輔(SUBARU Cycling Team) 35:18
6位 畑中 亮治 35:47

朝日峠KOM(最速通過者)

エキスパート
酒井 力(まいぺーす) 9:28

男子年代別
小中 山田 岳穂(Flowers) 10:36
10代 加藤 督人(fanfast Racing) 10:31
20代 牧野 寛憲(初星学園自転車部) 10:10
30代 高橋 知明 9:29
40代 品川 雅之(寺の息子) 9:47
50代 大村 芳明(クラブ・ロードロ) 10:21
60代 遠藤 修(オンザロード天照) 11:22
70歳以上 志賀 一美 16:18

女子年代別
小中 南野 暖(Flecha) 19:21
10代 小林 碧(並木中等教育学校) 13:19
20代 矢内 萌木 15:33
30代 横江 紗也香(シクル・マーモット) 12:39
40代 小菅 由里(オンザロード) 17:42
50代 根本 加陽子(COW GUMMA) 13:02

特別カテゴリ
シクロクロス/グラベル 松尾 遊(Muscle Bros SCOTT) 10:20
コスプレ わんワンダフルぷりきゅあ!(Bearbell Racing team) 10:31

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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