
ヴェロシティ2026現地レポート、自転車都市リミニで疋田 智が見た、Velo-city Ehime 2027へのヒント
Bicycle Club編集部
- 2026年06月24日
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2027年に愛媛で開催される世界的自転車会議「Velo-city(ヴェロシティ)」。その前年に2026年6月にイタリア・リミニで「ヴェロシティ2026」が開かれた。ここでは自転車通勤を実践する人を指す「自転車ツーキニスト」という言葉を広め、都市交通における自転車活用について発信を続けるコラムニストと知られる疋田智氏が現地取材、自転車都市のあり方や欧州の課題、日本との違いをレポートする。
ヴェロシティってなに?

イタリアのリミニ市ってところに来てまして、ヴェロシティ2026ってやつの取材をしてるわけですよ。
取材と言うより「来年の準備」だな。何のことかというと、自転車国際会議というべきか、自転車サミットというべきか、自転車会議の世界最高峰『ヴェロシティ』が来年、つまり2027年に日本の愛媛県にやってくるわけです。

全世界から自転車学者と自転車行政マン、はたまた自転車業界人が集まって、自転車にまつわる会議やら、発表やら、展示やら、パレードやら、そういうことをする。それがヴェロシティ。
何のこと? 私も最初はそう思っていたんだが、来てみてようやく何となく全貌が分かった。
ヨーロッパ諸国を中心にした自転車関係の「意識高い系」の人々が、自転車の活用を論じる。論じるだけじゃなく、その1週間、街を巻き込んで、自転車祭りとする。それがヴェロシティ。

いやまあ「意識高い系」ってなんだか揶揄しているみたいだが、そうじゃない。リアルに意識が高いのだ。自転車に関する意識、そしてエコに関する意識が、だ。
主催はECF・欧州自転車連盟

ヴェロシティ本体は、Europe Cyclist’s Federation(欧州自転車連盟、略してECF)が主催する。
だから基本はヨーロッパ各国で開催されるわけだが(初回は1980年のブレーメン)、ヨーロッパ以外にもオーストラリア、カナダ、台湾、ブラジルなどと開催されてきて、愛媛は、アジアで2番目、日本で初、ということになる。

で、開催約1週間というもの、その街は「自転車祭り」となるわけだ。ホテルは満杯、交通規制で自転車パレード、まちなか至るところにヴェロシティの看板、と、見た目にはっきりと「出た、ヴェロ」に見える。
中心となるコンベンションホールでは、数々のシンポジウムが開かれ、それぞれに自転車について考える内容となる。

メインホールの展示場では、各国各社がそれぞれの展示をする。
今回は電動アシスト自転車によるシェアサイクルと、駐輪ラックが多かった。毎年の傾向があるということなんだが、今年はそういう傾向なのだ。なんというか「自転車そのもの」というよりも「自転車を活かした都市生活を考える」という雰囲気だ。

すべてのブースに共通するのは「自転車というものはいいものだ」とでもいうべき意識。環境に負担をかけず、交通事故の惨禍も小さい、なおかつ健康によく、コミュニティを形成しやすい。つまり「良いことだらけ!」ということで(私も大賛成)「これからは自転車だ」というポリシーが隅々まで浸透していて、これがもう自転車好きとしてはたまらないのだ(笑)。
じつは万国で発展途上

ただ、そんな自転車をどう活かすか、で、インフラの状況はどうかというと、じつはそこに濃淡があって、一部の国々、つまりオランダやデンマークあたりを除くと、じつは各国、発展途上だったりする。
そこまでしっかりと自転車の導線ができているわけでもなく、自転車の交通分担率もさほど高くない。「欧州の自転車政策はスゴい」というのはある意味合ってるけれど、現実としてどこまでどうか。というのか「パラダイス」視するのは、ちょっと疑問だ。世界は「クルマ・パラダイス」化している。それと較べてみると分かる。

全欧をつなぐ自転車道「ユーロヴェロ」のネットワークは確かにある。だが、それが全部「完璧な」自転車道かというとそうでもない。多くの国で「自転車がいいことは分かった、しかしそこまで普及はしてないよ」というのが現状なのだ。
では日本はどうか。

日本は自転車の普及率、というか、交通分担率は案外高い。というより非常に高い。誰もが乗れる、最も身近。自転車フレンドリーだ。皆様ご承知の通り。
ところが、おかしなことがある。1台1台の平均移動距離が非常に短く、なおかつ「自転車は歩道がスタンダード」。簡単にいうと、日本では「自転車は歩行者の仲間」なわけだ。ここが「自転車は厳然と車両」の諸外国と圧倒的に違う。

すべてのブースに共通するのは「自転車というものはいいものだ」とでもいうべき意識。環境に負担をかけず、交通事故の惨禍も小さい、なおかつ健康によく、コミュニティを形成しやすい。つまり「良いことだらけ!」ということで(私も大賛成)「これからは自転車だ」というポリシーが隅々まで浸透していて、これがもう自転車好きとしてはたまらないのだ(笑)。
「ファットバイクのシンポジウム」にちょっと驚き

リミニに戻ろう。数々の分科会があるわけだが、私が一番興味津々だったのは、ファットバイクの話だった。
そのままだと単に「タイヤが太い自転車」だが、いんや、欧州諸国も日本と同じで、ここにトンデモない電気モーターがついた違法モペッドが問題になってるんだそうだ。
「あれらのファットバイクはみんなイリーガルです。それなのにバシバシ輸入されてくる」
「乗っているのは大抵、デリンクエンツ(不良少年)のようなヤカラばかり」

そうかそうかー。私は客席でパチパチ手を叩くぞ(笑)。そうか、欧州でも同じだったか。うーむ。
「100%中国からの輸入ですね、EU基準の最大250Wまでというのを守ってくれるといいんですが、750Wとか、中には1000Wを超えるものもある」
で、このシンポで聞き捨てならなかったのは、次の指摘だ。
「オランダではファットバイクの普及と同じ時期に児童の事故が2倍になったというデータがあります。因果関係はまだ分かりませんが、ここは考えなくてはなりません」
そりゃ深刻だ。
ここが日本と欧州との違い

ところが、面白かったのが、ここから先の議論の行方だ。
基本になるのはEU基準の電動アシスト自転車で、そのeーbikeはたしかにイノベーションだったとする。その上でパネラーたちはこういう。
「しかし、変化と変革を恐れていてはいけない。ファットバイクライダーは確かに糾弾されやすいけれど、そればかりじゃいけない。事故の元凶になっているのは、今も昔も圧倒的にクルマ。路上のシェアを考えなくてはならない。それよりみんなでファットバイクに乗れば楽しさに気づくはず。ファットバイクの時代は始まったばかり。時が解決する」

それでいいのかとも思うが(笑)、一方、ここが日本と欧州の差かとも思った。
私自身も含めての話だが、日本人は変化を嫌う。新参者を排除しがちだ。ところが、ヴェロシティは案外そうじゃない。我々は愛媛でそれを目の当たりにするのだろう。
明るくて清潔なリミニ市


じつは今回、最も感銘を受けたのは、イタリア・リミニ市の地味ながらの明るい「自転車都市」ぶりだった。ま、だからこそヴェロシティ開催都市に選ばれたのだが。
街のいたるところにシェアサイクルLimeが置かれ、市民がほいほい乗っている。クルマは自転車に(当然、歩行者にも)優しく、横断歩道では確実に停まる。

おまけに街が清潔で明るい。道端にゴミが落ちているなんて例は滅多になく、街路樹が生い茂ってイタリアの強烈な陽光を優しく遮ってくれる。
この街で自転車で過ごす市民はシアワセだぞ。
……と、そういう印象をこそ、愛媛にも持っていただくこと、それもヴェロシティ2027の使命だと思うのだ。
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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