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アジア選手権の経験を携え福島へ─XCCは副島、XCOは野嵜。福島・桧山国際で見えた日本MTBエリートのいま

7月4日から5日にかけて、福島県田村市・桧山高原特設コースでUCI Class3「Coupe du Japon 福島桧山国際」が開催された。福島県初のUCI公認マウンテンバイク国際レースとなった今大会には、国内トップライダーが集結。その一方で、多くの選手たちはわずか1週間前までウズベキスタン・タシュケントで開催されていたアジアMTB選手権を戦い終えたばかりだった。

アジア選手権で日本代表は計9個のメダルを獲得。男子エリートでは北林力(UNNO FACTORY RACING)がXCOとXCCの2冠を達成し、高橋翔が男子U23銀メダル、中仙道侑毅が男子ジュニア銀メダル、有松鈴々菜が女子ジュニア銅メダルを獲得した。チームリレーでも日本は銀メダルを手にしている。アジアで成果を挙げた選手たちが、帰国後最初の実戦として福島に集まった。

「過去最凶に過酷だった」アジア選手権

福島の会場で話を聞いたJCF MTBナショナルチームコーチの小笠原崇裕氏は、タシュケントでのアジア選手権をこう振り返る。

「一言で言うと、過去最凶に過酷な大会でした」

選手たちを苦しめたのはコースだけではなかった。

「時間の目処が立たない。スケジュールが全部遅れていくんです。選手もコンディションを合わせるのが非常に難しかった」

さらに食事面でも苦戦を強いられたという。

「パンが多くて、ご飯も油が絡んでいる状態でした。日本から炊飯器とお米を持ち込んで補食を作りましたが、それでも足りないくらいでした」

体調不良に悩まされる選手も少なくなかった。

「日本選手もかなりお腹を壊していましたし、中国選手も途中から自分たちで弁当を手配していました」

競技力だけでなく、環境への適応力も試された遠征だった。小笠原氏は「選手もスタッフも忍耐力を試された大会でした」と締めくくった。

アジア選手権のチームリレーで銀メダルを獲得した日本代表は、高橋翔、北林力、副島達海、日吉愛華、中仙道侑毅、有松鈴々菜の6名で構成された。高橋がスタートライダーを務め、副島がアンカーとしてレースを締めくくった。

小笠原氏はチームリレーについて「中国には差をつけられましたが、インドにはしっかり差をつけることができました」と評価した。

そのメンバーの中から、副島達海と中仙道侑毅が福島桧山国際にも出場。アジアで得た経験を携えて、再びスタートラインに立った。

難コンディションとなった桧山高原

舞台となった桧山高原特設コースは、全長3.2km、標高差53m。タイトな森の中のシングルトラック、ロックセクション、反復する登坂を備えたレイアウトで、ライダーには総合力が求められた。

レースウィークには雨の影響も残り、路面は独特のコンディションとなった。一見すると乾いて見える場所でも踏み込むと下から水分が浮き上がり、周回を重ねるごとにラインが変化。ロックセクションでは石が動く場面もあり、選手たちは常に状況判断を迫られた。単純なパワー勝負ではなく、ライン選択やバイクコントロールが結果を左右するコースだった。

XCCは副島達海が制覇

7月4日に開催されたXCC(クロスカントリーショートトラック)男子エリートでは、副島達海(TRKWorks)が優勝した。2位に沢田時(Astemo宇都宮ブリッツェン)、3位に野嵜然新(drawer THE RACING)が続いた。

翌日のXCOスタートポジションにも影響する重要なレースで、アジア選手権から帰国したばかりの副島が勝利。XCO本番へ向けて存在感を示す結果となった。

なお表彰式では、XCCの優勝メダルが竹之内悠の娘にプレゼントされる一幕もあり、会場を和ませた。

XCOは野嵜然新がエリート初優勝

翌5日のXCO男子エリートを制したのは、drawer THE RACINGの野嵜然新だった。1時間21分45秒68でフィニッシュし、副島達海(TRKWorks)、平林安里(TEAM SCOTT TERRA SYSTEM)を抑えて優勝。U23カテゴリー初年度ながらエリートカテゴリーでの初勝利を挙げた。

表彰式ではMCから「U23初年度19歳でエリート参戦、見事初優勝を飾りました」と紹介された。

野嵜はレース後、「今シーズンはロードを中心に走ってきましたが、今日のレースで確実に調子が上がっていることを確認できました」とコメント。今季はロードレースを主戦場に活動しながらも、MTBでは副島や平林、沢田ら国内トップエリートを抑えて勝利した。ロードで培ったフィジカルとレースマネジメント能力を武器に、新世代の台頭を印象付けるレースとなった。

副島達海、アジア帰りで存在感

前日のXCCを制した副島達海は、XCOでも2位に入り、2日間を通して高いパフォーマンスを発揮した。

副島はレース後、「アジア選手権が終わってから1週間でこの大会ということで、少し身体が重かった印象がありました」と振り返る。さらにアジア選手権については「3周目まではパックで走っていて余裕もあったんですが、中国選手に最後うまくスパートをかけられました」と語った。

過酷な遠征からの帰国直後にもかかわらず、XCC優勝、XCO2位という結果を残した副島。その走りは、日本代表の中心選手としての実力を改めて示すものだった。

女子エリートは石田唯が圧勝

女子エリートではTRKWorksの石田唯が圧巻の強さを見せた。5周回を1時間12分40秒83で走破し、2位の森悠貴(drawer THE RACING)に13分37秒差をつける独走勝利。3位の北島湊(日本ろう自転車競技協会)は2ラップダウンとなった。

石田は前週、新潟県南魚沼市で開催された全日本自転車競技選手権ロードレース女子エリートで4位に入賞。ロードレースからわずか1週間後にMTB国際レースを制したことになる。

レース後には「今日はとにかく単独で行こうと思って、自分のペースで刻んで走りました」とコメント。ロードとMTBを高いレベルで両立する実力を改めて見せつけた。

アジアの経験が映し出した現在地

福島桧山国際は、単なる国内シリーズ戦ではなかった。

アジア王者・北林力こそ不在だったものの、チームリレー銀メダルメンバーの副島達海と中仙道侑毅、全日本ロード4位から女子エリートを制した石田唯、そして新世代を代表する野嵜然新ら、日本トップクラスのライダーたちが顔を揃えた。

アジア選手権男子ジュニア銀メダリストの中仙道侑毅(FUKAYA RACING)は、福島でも男子ジュニアクラスを制し、国際舞台で得た勢いをそのまま結果につなげている。

小笠原氏は今回の日本代表チームについて「力としては過去最強クラスだったと思います」と評価する。しかしその裏には「選手もスタッフも忍耐力を試された大会でした」という現実もあった。

ウズベキスタンでの過酷な経験と成果。その両方を携えて帰国した選手たちは、福島で再び高いレベルの競り合いを演じた。桧山高原で見えたのは、アジアの舞台を戦い終えた日本MTBトップライダーたちの現在地、そしてその先に続く国内シーズンへの確かな手応えだった。

福島桧山国際 リザルト

XCO男子エリート

順位 選手名 チーム タイム
1位 野嵜然新 drawer THE RACING 1時間21分45秒68
2位 副島達海 TRKWorks +1分13秒39
3位 平林安里 TEAM SCOTT TERRA SYSTEM +1分41秒92

XCO女子エリート

順位 選手名 チーム タイム
1位 石田唯 TRKWorks 1時間12分40秒83
2位 森悠貴 drawer THE RACING +13分37秒28
3位 北島湊 日本ろう自転車競技協会 -2Laps

XCC男子エリート

順位 選手名 チーム
1位 副島達海 TRKWorks
2位 沢田時 Astemo宇都宮ブリッツェン
3位 野嵜然新 drawer THE RACING

アジアMTB選手権 日本勢主なメダル獲得者

選手名 チーム 種目 結果
北林力 UNNO FACTORY RACING XCO男子エリート 優勝
北林力 UNNO FACTORY RACING XCC男子エリート 優勝
高橋翔 XCO男子U23 銀メダル
中仙道侑毅 XCO男子ジュニア 銀メダル
有松鈴々菜 XCO女子ジュニア 銅メダル

チームリレー:銀メダル 高橋翔、北林力、副島達海、日吉愛華、中仙道侑毅、有松鈴々菜

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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