BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • VINAVIS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo
  • タビノリ

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

自転車国際会議「Velo-city」へ向けて始動、都市計画と通信・AIが拓く「自転車事故ゼロ」の未来

2027年5月、世界最大級の自転車国際会議「Velo-city 2027えひめ」が愛媛県で開催される。欧州を中心に発展してきたこのメガイベントを日本でどう迎え、そして日本の交通や都市空間をどう変革していくのか――。そのキックオフとも言えるフォーラム「Velo-city 2027えひめ “共生”フォーラム ~2025 Rimini報告・多様なモビリティが創る未来~」が、一般社団法人自転車協会の主催により開催された。

イタリアで開催された「Velo-city 2025 Rimini」の視察報告等を軸とする第1部と、自動車メーカーや通信キャリアも巻き込んで「自転車の交通事故ゼロ」に挑むシンポジウムの第2部という構成。国会議員、行政、都市計画の研究者、医療従事者、そしてモビリティ産業のフロントランナーが集結した熱気あふれる当日の模様を、前編・後編の議論の流れとともにお届けする。

【第1部】リミニ大会の熱気から見えた、世界の潮流と日本の現在地

開会挨拶を行う一般社団法人自転車協会の伊藤政博理事長

8月26日、参議院議員会館にて「Velo-city 2027えひめ “共生”フォーラム ~2025 Rimini報告・多様なモビリティが創る未来~」が開催された。

フォーラムの冒頭、主催者を代表して一般社団法人自転車協会の伊藤政博理事長が開会の挨拶に登壇。続いて、自転車活用推進議員連盟の江島潔参議院議員が登壇し、「国内ではまだ『ベロシティとは何か?』という方も少なくない。愛媛開催に向けてしっかりと全国的な機運を醸成していきたい」と力強く語った。

続く「Velo-city 2025 Rimini」に関する報告では、現地を視察した登壇者たちから、世界の最前線と日本が直面するリアルな課題が次々と浮き彫りになった。

現地でのライド体験と制度課題を語る自転車議連会長代理 泉 健太衆議院議員

Velo-city 2025 Riminiでシェアサイクルによるライドを体験した自転車議連会長代理の泉健太衆議院議員は、国際会議の実態について「海外からの参加者を愛媛に迎える際、ライド体験を実施する際に日本の交通ルールをどう周知・徹底するかが大きな課題になる。また、日本とEUでは電動アシスト比率などの規制にも差があり、これらも議連として受け止めるべき論点だ」と課題を提起した。

登壇する日本交通計画協会の銅﨑裕香氏
日本交通計画協会 銅﨑裕香氏

また、実務視点から登壇した日本交通計画協会の銅﨑裕香氏は、「単に自転車を増やすためのハード整備ではなく、人が豊かに暮らせる都市計画をどう描くかが本質だ」と語り、リミニから得た“3つの学び”を提示した。

  • ①過度なクルマ依存からの脱却:欧州の都市が挑む「環境同盟」に代表される脱炭素型モビリティへの転換。
  • ②時速30km制限がもたらす空間再配分:最高速度を下げることで事故を減らし、道路空間を人や自転車に還元する。信号制御等の工夫でトータルの移動時間は変わらない。
  • ③インフラとしての“やさしさ”:車道や駐車場を減らす施策は反発を生みやすい。合意形成を得るためには「まちのやさしさを実現するための街路設計」として伝える視点が不可欠となる。
発表を行う愛媛県Velo-city推進統括監の河上芳一氏
愛媛県Velo-city推進統括監 河上芳一氏

こうした世界の動きに対し、愛媛県Velo-city推進統括監の河上芳一氏は、日本の日常が持つ強みを強調した。「世界からは、日本独自の高い自転車分担率、当たり前のように行われている自転車通学、そして『ママチャリ文化』に極めて高い関心が寄せられていた」。日本が培ってきた独自の自転車文化こそが、2027年に世界へ発信すべき強力なコンテンツになるという確信が示された。

健康、世界が驚く日本の駐輪技術、そして若者の移動が拓く未来

モデレーターを務めた大阪公立大学 吉田長裕准教授とほその循環器科・内科クリニック 細野浩之医師

リミニからの報告を受け、議論は「では、日本の強みと課題をどう掘り下げるか」という具体的なテーマ別セッションへと進んだ(モデレーター:大阪公立大学 吉田長裕准教授)。

まず、ほその循環器科・内科クリニックの細野浩之医師は、自転車がもたらす心身への医学的価値を解説。1日1時間の有酸素運動が糖尿病や生活習慣病の予防に直結することを説明したうえで、「ペダルを漕ぐことでドーパミンやセロトニン、BDNF(脳由来神経栄養因子)が分泌され、ウォーキングとは異なる没入感、いわゆる“バイカーズハイ”によって高い継続性が生まれる」と、心を整えウェルビーイングを高める乗り物としての魅力を説いた。

登壇した国土交通省都市局 髙濱康亘氏、JFEテクノスの名田憲司氏、NCD(日本コンピュータ・ダイナミクス)古高誠司氏

続いて、世界に誇る日本の都市技術として「駐輪施策」にスポットが当てられた。国土交通省都市局の髙濱康亘氏は、「駐輪は国際会議でも主役級のテーマ。日本は40年間で放置自転車を98%減少させた」と実績を紹介。機械式地下駐輪場『サイクルツリー』を手がけるJFEテクノスの名田憲司氏、駐輪場運営大手のNCD(日本コンピュータ・ダイナミクス)古高誠司氏とともに、高密度な都市空間を支える技術と運用のノウハウが語られた。

名古屋大学未来社会創造機構 有吉亮特任准教授、岐阜大学工学部 中村俊之教授

さらに、議論は次世代を担う子ども・若者の移動環境へと広がる。名古屋大学未来社会創造機構の外山友里絵氏(オンライン参加)、有吉亮特任准教授、そして共同研究を行う岐阜大学工学部の中村俊之教授からは、地方の通学環境調査が報告された。公共交通の衰退が進むなか、かつての「バイクに乗せない」規制から転換し、例えば鹿児島県・沖永良部島のように、バイク通学を行う高校生自身が地域の交通課題を考え、未来の公共交通を提案するワークショップの事例を紹介。「若者を守る対象としてだけでなく、まちづくりの主体として巻き込むべきだ」と提言した。

利尻・彩くるロードについて説明する東京科学大学 屋井鉄雄特命教授

これらの議論を総括するように、東京科学大学 屋井鉄雄特命教授が基調講演に登壇。「自転車だけではなく、あらゆる分野の人が連携する『和の原理』と、市民が移動手段を自由に選べる『選択可能性』が都市には必要だ」と説いた。フランス・モンペリエのトラム沿い高規格自転車道を引き合いに出し、松山市の河川敷空間を活用した走行空間構想や、利尻島の大規模自転車道のリノベーションなど、日本各地のポテンシャルを活かした脱炭素インフラの再編を呼びかけた。

【第2部】クルマ・通信・インフラが連携する「自転車事故ゼロ」への挑戦

国土交通省道路局 土田宏道参事官。ICT(情報通信技術)の活用例を紹介した

主催者を代表して一般社団法人自転車協会の上田達也副理事長が「日本の知恵と先端技術を結集した議論に期待したい」と挨拶。続いて国土交通省道路局の土田宏道参事官が登壇し、現在策定中の『第3次自転車活用推進計画』の骨子に触れつつ、「対自動車の事故が減る一方で、対歩行者の事故は微増している。事故ゼロの実現には、道路空間の整備に加え、ICT(情報通信技術)の活用が不可欠であり、自転車業界だけでなく自動車メーカーを含めた業界横断でVelo-cityに向き合っていきたい」と趣旨を説明した。

その具体策として、スマートポール等を介した「直接通信」と、携帯電話網を用いた「間接通信」という最新のアプローチが示された。直接通信とは交差点のスマートポールや信号機が死角の自転車を検知し、数ミリ秒という超低遅延で接近車両へ直結警報を送る仕組みで、直前の衝突回避に強みを持つ。いっぽう間接通信はスマートフォンや車載通信機から携帯電話網(4G/5G)を介してクラウドにデータを集約し、AIが衝突の危険を事前に予測。専用設備がない路地でも、手前の段階で双方に注意喚起を行う方式だ。

トヨタ 皿田明宏氏とNTT 爪長美菜子氏

取組紹介では、トヨタ自動車の皿田明宏氏とNTTの爪長美菜子氏が登壇し、共同開発を進める「モビリティAI基盤」を発表。車載センサーだけでなく、街中のインフラセンサーから集まるビッグデータをAIで高速処理し、見通しの悪い交差点での出会い頭事故を未然に防ぐ技術だ。皿田氏は「技術的には実用レベルに達しつつあるが、実際の環境で試しながら仕上げている」とし、トヨタが愛媛県松山市において行っている、自転車事故防止に向けたインフラ協調の実証実験の事例を紹介した。

日本信号 畑﨑由季子氏

また、日本信号の畑﨑由季子氏からは、信号機ネットワークを活用したスマートモビリティの安全対策として、スマートフォンのアプリを活用したスマートモビリティインフラ(SMI)の事例が紹介された。

自動運転時代に自転車の安全をどう守るか――産官学のクロストーク

モデレーター 慶應義塾大学特任教授・高原勇氏、登壇したITS Japan / パナソニック サイクルテック 鶴岡宏一郎氏、ドコモ・バイクシェアの清水貴司氏、東京海上日動火災保険 岡村敏弘氏、トヨタテクニカルディベロップメント 松林翔太氏、愛媛県 河上芳一氏

シンポジウムのクライマックスは、慶應義塾大学特任教授の高原勇氏をモデレーターに迎えたパネルディスカッションだ。登壇したのは、ITS Japan / パナソニック サイクルテックの鶴岡宏一郎氏、ドコモ・バイクシェアの清水貴司氏、東京海上日動火災保険の岡村敏弘氏、トヨタテクニカルディベロップメントの松林翔太氏、そして愛媛県の河上芳一氏。

トヨタテクニカルディベロップメントの松林翔太氏によるデジタルツイン×メタバースの事例

「自動運転が進化する近未来において、生身の人間が乗る自転車の安全をどう担保するか」をテーマに、車両側のセンシング技術、シェアサイクルのビッグデータ活用、保険・補償を通じたリスク教育、そして自治体の走行空間設計まで、それぞれの立場から熱い議論が交わされた。ハード(道路構造)、デジタル(通信・AI)、ソフト(教育・啓発)を融合させた包括的な安全網の構築が急務であるという共通認識が形成された。

愛媛県 中川逸朗参与

熱気あふれるフォーラムの締めくくりとして、愛媛県参与の中川逸朗氏が愛媛開催への決意を語った後、自転車活用推進議員連盟の橋本聖子会長が登壇した。

自転車活用推進議員連盟 橋本聖子会長

第2部で交わされた最新技術の議論を受け、橋本会長は「交通事故ゼロに向けた取り組みについて、時代はここまで来ているのかと感じました」と感銘を口にした。そのうえで、「自転車とさまざまな産業を結びつけていくことの大切さを改めて実感しています。2027年の愛媛Velo-cityを契機に、業界や官民の垣根を越えて連携し、安全で活力ある自転車社会を創り上げましょう」と呼びかけ、フォーラムは盛況のうちに幕を閉じた。

2027年愛媛開催へ向けて:日本ならではの提案に集まる期待

イタリアで開催された「Velo-city 2025 Rimini」の模様 写真:疋田智

今回のフォーラム全体を通じて強く感じられたのは、2027年の「Velo-city 愛媛」が単なる一過性の国際自転車会議ではなく、「日本の道路交通、都市計画、健康長寿、そしてモビリティ技術を次の次元へと引き上げる国家レベルの契機である」ということだ。

Velo-city愛媛では、日本が得意とする自動車産業が牽引するICT技術、さらに今後の地方での二次交通のあり方など、自転車の分担率が高い日本ならではの提案に期待がかかる。世界が驚く技術と文化を結集したオールジャパンの挑戦は、2027年に向けていよいよ本格的な加速を始めた。

Velo-city 2027えひめ
https://velo-city2027.pref.ehime.jp/

SHARE

PROFILE

Bicycle Club編集部

Bicycle Club編集部

ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

Bicycle Club編集部の記事一覧

ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

Bicycle Club編集部の記事一覧

No more pages to load