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ピナレロ 新型X5 ドグマX直系の走りと40mmクリアランスがもたらす極上の快適性|PINARELLO

ピナレロのエンデュランスライン「Xシリーズ」が、フラッグシップモデルである「DOGMA X」のテクノロジーを色濃く反映し、第2世代へとフルモデルチェンジを果たした。

これまでのロードバイクの常識を覆す最大40mmのタイヤクリアランスと、革新的な振動吸収機構「Xステイズ2.0」、そして新たに設けられた「ダウンチューブポート」を備え、より遠くへ、より快適に走るための純粋なオールロードへと進化を遂げた「NEW X5」。せいちゃんがじっくりとテストした。

ドグマXのDNAを受け継ぐ新世代エンデュランス「Xシリーズ」

空力よりもねじり剛性とフロントエンドの精度向上に特化したオーバルステアリングチューブを採用

ピナレロのロードバイクラインナップにおいて、「Fシリーズ」が純粋なスピードとコンペティションを追求するレーシングモデルであるのに対し、「Xシリーズ」は速さと同時に長距離走行での快適性、そして安定したハンドリングを追求したエンデュランスモデルである。

今回発表されたNEW Xシリーズ(MY2027)は、フラッグシップの「DOGMA X」で確立されたフレームワークを惜しみなく投入している。X9、X7、X5、X3、X1という幅広いグレードが展開されるなかで、この「NEW X5」は、反応性と振動吸収性のバランスに優れた「T700カーボン」を採用。シマノ・105 Di2を搭載し、価格と性能のベストバランスを狙った中核モデルだ。

フロント周りには、ケーブルの完全内装化を実現しつつ、空力よりもねじり剛性とハンドリング精度に特化させた最新の「オーバルステアリングチューブ」を採用。これにより、長い下り坂や荒れた路面でも確実で安定したステアリングを提供する。

「Xステイズ2.0」と最大40mmのタイヤクリアランスがもたらす圧倒的な走破性

シートチューブと交差するようにトップチューブへ繋がる「Xステイズ2.0」。フレームのねじれを抑えつつ振動を効果的に減衰する
試乗車には38Cのタイヤが装着されていたが、クリアランスにはまだ余裕がある

NEW Xシリーズの外観において最も特徴的なのが、リアトライアングルの構造「Xステイズ2.0」だ。シートステーがシートチューブを跨ぎ、トップチューブへと直接繋がるダブルアーム4点支持のデザインは、前世代からアタッチメントポイントとジオメトリーがさらに洗練された。これにより、ペダリングパワーを逃すことなく横剛性を確保しつつ、路面からの不快な突き上げを見事に減衰・分散させている。

さらに特筆すべきは、X9、X7、X5の上位3モデルに与えられた「40mm」という広大なタイヤクリアランスだ。エンデュランスロードの枠を超え、最新のチューブレス技術やグラベルタイヤの装着すら可能にするこの拡張性は、あらゆる路面環境に対する適応力を劇的に高めている。

さらに「新アダプティブ・シートポスト」にも注目。このシートポストは前後方向に10mmのしなりを生み出すことで、従来型よりも軽量かつ高効率で激しい振動や衝撃を吸収してくれる。

待望の「ダウンチューブポート」によるスマートな収納

ダウンチューブに新設されたストレージポート。専用のツールバッグがすっぽりと収まる

そして、今回のフルモデルチェンジにおける大きなトピックが「ダウンチューブポート」の採用だ。ダウンチューブ内にパンク修理キットや携帯工具一式をスマートに収納できる専用ポートが設けられた。

バイクの重心位置に近いダウンチューブ下部に重量物を収納することで、走行時のバイクの振り(ダンシング時の軽さ)を損なうことがない。また、雨天時の泥跳ねや水濡れから工具を守り、サドルバッグを廃することでバイクの美しいシルエットを保つことができる、実践的かつ非常に喜ばしいアップデートである。

インプレッション:極上の快適性と安心感が、純粋に「遠くへ」行きたくさせる

「初めて乗るピナレロだったが、走り出した瞬間に極上の乗り心地と安心感に包まれた」

せいちゃんが感じた、ピナレロが解釈する「オールロード」の完成度

実は、僕にとってピナレロのバイクに乗るのは今回が初めてのことだ。DOGMAシリーズやFシリーズといった純血のレーシングモデルの経験もないため、先入観なしに、純粋にこの「NEW X5」と対話することができた。

今回の試乗フィールドは都内周辺。ペダルを踏み込み、走り出して真っ先に感じたのは、圧倒的な「乗り心地の良さ」と「安心感」だった。試乗車には38Cという太めのタイヤが装着されており、舗装路はもちろん、少し荒れた未舗装路のセクションに突っ込んでみても、バイクが跳ねることなく、路面に吸い付くように安定して走れる。

これは単にタイヤの太さによるものだけでなく、エンデュランスジオメトリーと「Xステイズ2.0」の恩恵が非常に大きいと感じた。フレーム全体でショックを吸収しながらも、芯のある剛性感が残っているため、不快なダルさがない。メーカー推奨値で最大40Cまで装着可能とのことだが、最近各社からリリースされている40Cのロードタイヤを履かせれば、さらに化けるポテンシャルを秘めている。このバイクは、もはやエンデュランスロードという枠には収まらない、真の「オールロード」と呼ぶべき存在だ。

「オーバルステアリングチューブと新ジオメトリがもたらす、思い通りのラインをなぞるコーナリング性能」

次に感じたのが、コーナリングにおける安定感だ。今回お借りした試乗車は、身長168cmの僕にとってはサイズが大きく、サドルを限界まで下げ、ハンドル位置も高い状態でのライディングを強いられた。操作しにくいポジションであったにもかかわらず、いざコーナーに入ると、いとも簡単に思い通りのラインをトレースできるのだ。

河川敷のサイクリングロードで土手を上り下りするような、タイトなUターンを強いられる場面でも、フロントの接地感が失われることなく、スッと安心して曲がり切ることができるだろう。

「シッティングで淡々と踏み込んでいくと、T700カーボンの適度な反発で気持ちよく進んでくれる」

都内の幹線道路は一見綺麗に見えても、実際は大型トラックやバスの通行によって路面が波打っていたり、荒れている箇所が少なくない。普段のレーシングバイクなら身構えてしまうようなセクションでも、NEW X5は何事もなかったかのように、不快感なく非常に快適にパスしてくれる。

登り区間では、ポジションが合っていなかったためダンシングの気持ちよさこそ100%引き出せなかったが、サドルにどっしりと座り、シッティングでペダルを回していくと、T700カーボンの程よい反発感とともに、確実に前に進んでくれる頼もしさがあった。そして下りに入れば、オーバルステアリングチューブの剛性と長いホイールベースがもたらす、圧倒的な直進安定性がライダーを守ってくれる。

「サドルバッグ不要で重心が下がるダウンチューブポート。ロングライド派には嬉しい実用装備だ」

そして、実用的で良いなと思ったのが「ダウンチューブポート」だ。ここに携帯工具やパンク修理キットを収納できることで、サドルバッグを取り付ける必要がなくなる。バイクの美しいスタイルが際立つのはもちろん、サドル下に重量物がないため、ダンシングでのバイクの振りが軽くなるのは大きなメリットだ。

雨天走行時、どうしても後輪が巻き上げる水しぶきでサドルバッグは濡れやすい。ゴツい防水サドルバッグをつければ解決するが、少し見た目が重くなりがちだ。また、ツールボトルをボトルケージに挿すという選択肢もあるが、夏のロングライドではダブルボトルが必須になるため、収納場所に困る場面もあるだろう。ここに収納できればその心配がなく、スマートな見た目になるのが嬉しいポイントだ。

「40Cのロードタイヤを履かせて、ひたすら旧街道を走り続けるような旅に出かけたくなる1台だ」

総じて、この「NEW X5」は、ライダーに「もっと遠くへ行きたい」と思わせる魅力を持っている。レーシングバイクでコンマ1秒を削る楽しさとは全く別のベクトルにある、純粋に自転車で旅をする喜び、知らない道を走破する安心感を高めてくれるバイクだ。

個人的には、40Cのロードタイヤを履かせて、ひたすら見知らぬ旧街道を走り続けるようなロングライドに出かけたくなる、そんな思いを掻き立てられた。ぜひもう一度、自分の適正サイズのNEW X SERIESに乗ってみたいと思える素晴らしい1台だった。

インプレッションライダー 相原晴一朗

AX Cycling teamに所属しJBCレース E1カテゴリーを走るレーサー。全日本選手権やJプロツアーレースを走った経験を持ち、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほかその豊富な知識から「セイペディア」と呼ばれている

PINARELLO NEW X5

価格:850,000円(税込)

  • フレーム:Torayca T700 Carbon, eTiCR Cable Routing, Italian BB
  • フロントフォーク:ONDA FORK
  • コンポーネント:Shimano 105 Di2 2×12
  • クランクセット:Shimano 105 Di2 2×12
  • コックピット:MOST TIGER CLAW ULTRA AERO E-TiCR アルミステム+ハンドル
  • ホイール:MOST Fast 45 ホイール
  • 最大タイヤクリアランス:40mm(※X5, X7, X9モデル)
  • テスト車カラー:J282 AMBER TRACE

ジオメトリー

CE CC L A [°] B [°] P T D R G REACH STACK
420 430 492 75.25 70 425 122 72 52 380 340 532.5
430 460 509 74.5 70.5 425 127 72 52 380 352.1 539.2
455 490 525 74 71 425 139 72 52 380 361.9 552.4
480 515 536 73.75 71.5 425 148 72 47 380 368.5 564.4
500 530 545 73.5 72 425 158 72 47 380 372.5 575.8
525 545 555 73.25 72.25 425 170 72 47 380 376.7 588.2
540 560 565 73 72.5 425 184 72 47 380 380.2 602.4
560 580 577 72.75 72.5 425 208 67 47 380 384.1 620.3
590 600 590 72.5 72.5 425 229 67 47 380 388.1 640.4

CE: シートチューブセンター – エンド、CC: シートチューブセンター – センター、L: トップチューブセンター – センター、A[°]: シートチューブ角度、B[°]: ヘッドチューブ角度、P: チェーンステー、T: ヘッドチューブ、D : BB ドロップ、R: フォークレーク、G: フォークハイト、リーチ、スタック
※カタログ等のサイズ表記はCCで表記されています。(単位:mm、角度は°)

問:ピナレロジャパン(カワシマサイクルサプライ) https://www.riogrande.co.jp/pinarello/

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PROFILE

せいちゃん

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稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている

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