
早稲田・池田瑞紀が最終アタックで雪辱の女王戴冠 鹿屋の猛攻を退ける|インカレ女子ロード
Bicycle Club編集部
- 2026年09月05日
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群馬サイクルスポーツセンターを舞台に開催された「文部科学大臣杯 第81回全日本大学対抗選手権自転車競技大会(インカレ)」女子ロードレース。中盤に生まれた強力な5名の逃げから、最終周回に単独アタックを決めた池田瑞紀(早稲田大学4年)が独走勝利。昨年大会の悔しい2位から雪辱を果たし、学生女王の栄冠を掴み取った。
群馬CSCに集った学生トップ女子レーサーたち
トラック競技を終え、いよいよ学生日本一決定戦のクライマックスとなるロードレースの舞台は、群馬県みなかみ町の群馬サイクルスポーツセンター(群馬CSC)6kmサーキット。女子ロードレースは12周、計72kmの長丁場で争われた。
アップダウンとテクニカルな下り、そしてフィニッシュ手前の心臓破りの登坂が組み合わされた過酷なコースに、全国から学生トップ女子レーサーたちが集結。スタートライン最前列には、前週のトラック競技で圧倒的な強さを見せた早稲田大学トリオ(池田瑞紀、垣田真穂、岡本美咲)をはじめ、鹿屋体育大学、日本体育大学、日本大学などの有力選手たちが引き締まった表情で並んだ。

午前中の爽やかな青空の下、号砲とともにレースがスタート。序盤は各校のエースが互いの動きを警戒し合う牽制の展開となり、プロトンは一つにまとまったまま周回を重ねていった。



レースを動かした鹿屋の奇襲 決定的な5名の逃げが成立
静寂を破ったのはレース中盤だった。鹿屋体育大学の三谷優空が鋭いアタックを放ち、集団を活性化させる。この決定打となる動きにチームメイトの松井妃那がすかさず合流。さらに早稲田大学のエース池田瑞紀、日本体育大学の西原夕華、日本大学の筒井楓の3名が反応し、一気に5名の強力な先頭グループが形成された。


各校が戦力を送り込んだこの逃げ集団は、息の合った高い協調体制を保ちながらタイム差を広げていく。後続のメイン集団との差は1分、2分と急速に拡大し、レース後半には最大で約3分という決定的なアドバンテージを築き上げた。
勝負の行方は、完全にこの5名に委ねられたかに見えた。


追走集団の猛追と、早稲田・岡本美咲の献身的なコントロール
しかし、後続のプロトンもそのまま見送るわけにはいかない。残り3周を切ると、メイン集団のペースが一気に跳ね上がった。
ここで際立ったのが、早稲田大学のチームワークだった。前方に池田を送り込んでいる早稲田は、集団内で岡本美咲が猛烈な牽引を見せる。追走集団のペースを巧みにコントロールし、ライバルチームに脚を使わせつつ、自チームの垣田真穂を安全に温存する献身的な走りを披露した。

一方、鹿屋体育大学も集団内に石川七海らを控えさせ、前方に2名を送り込んでいる優位性を活かして集団内での無駄な脚の消費を抑え、後方での展開に備える。
プロトンの猛追によって、最大3分あったタイム差は急激に縮小。残り1周の鐘が鳴る頃には、先頭と後続の差は約40秒にまで詰まっていた。
先頭のサバイバル 池田瑞紀と松井妃那の一騎打ちへ
激しい追撃のプレッシャーを受け、先頭グループでも生き残りを懸けたペースアップが始まる。登坂区間で日大の筒井が遅れ、先頭は4名に絞られる。
そして運命の最終周回。鹿屋の松井妃那が自らアタックを仕掛けると、これに池田瑞紀が反応。西原と三谷が遅れ、インカレ女王の座を巡る争いは、早稲田の池田と鹿屋の松井による直接対決へと持ち込まれた。

背後には迫り来るメイン集団。逃げ切りか、それとも吸収か。張り詰めた緊張感の中、2人は互いの出方を伺いながらペダルを踏み続けた。
勝負を決めたバックストレートの一撃 池田瑞紀が歓喜の単独フィニッシュ!
勝負が決したのは、バックストレートからフィニッシュラインへと向かう最終盤の上り坂だった。
「最後は自分の力を信じて踏むべきだと思いました」
池田瑞紀がギアを掛け直し、渾身のダンシングでアタック。鋭い加速に松井は追従できず、池田が単独先頭へと躍り出た。
最終コーナーを立ち上がり、ホームストレートに姿を現したのは臙脂のジャージ。池田は両手を高々と突き上げ、雄叫びを上げながらフィニッシュラインを駆け抜けた。

昨年大会では僅差の2位に泣いた。その悔しさを晴らすため、トラック種目でも活躍を続けながらこの日に照準を合わせてきた大学4年目の夏。自ら逃げに乗り、自らの脚でライバルを突き放す完璧なレース運びで、悲願のインカレ個人ロード制覇を成し遂げた。
2位には、果敢な攻めでレースを盛り上げ、最後まで食らいついた松井妃那(鹿屋体育大学)が堂々の銀メダルを獲得した。


3位争いは垣田真穂がもぎ取る 早稲田が掴んだ優勝&3位
先頭の2人がフィニッシュした後、約25秒後方に迫っていた集団による3位表彰台を懸けたスプリントバトルが勃発した。

早稲田の垣田真穂、日体大の白井愛美、鹿屋の石川七海が横一線に広がり、激しいもがき合いを展開。最後は持ち前のスプリント力を発揮した垣田がハンドルを投げ、僅差の3位フィニッシュをもぎ取った。
この結果、早稲田大学は池田の優勝、垣田の3位と表彰台の2枠を占める圧巻の成績を収め、大学対抗ロード部門の頂点に立った。
選手・監督インタビュー
池田瑞紀(早稲田大学・優勝)

「最後は自分の力を信じて踏んだ 岡本の走りに本当に感謝したい」
「全然思った通りの展開ではなかったです(笑)。早稲田は3人それぞれが前でいい順位を狙っていて、理想としては3人でのワン・ツー・スリーを狙っていましたし、後ろが追いついてからの展開も考えていました。
でも、逃げが決まってタイム差が縮まってきた最終局面で、最後は自分の力を信じて踏むべきだと思いました。岡本が後ろでめちゃくちゃ引いてくれたおかげで、自分は前で集中して勝負することができました。昨年あと一歩届かなかったタイトルを、最後のインカレで獲ることができて本当に嬉しいです」


垣田真穂(早稲田大学・3位)

「焦りもあったが、チームの勝利に満足」
「前を逃がしすぎてしまって、集団内では少し焦った部分もありました。それでも、自分は3位という結果でしたけど、前で池田がしっかり優勝してくれて、この難しい展開の中でも結果につながったので満足しています」
松井妃那(鹿屋体育大学・2位)

「プロトンに追いつかれず動けた 来年は鹿屋で表彰台独占を」
「三谷がアタックをかけて、そこから良い逃げが決まりました。終盤は自分から動いて、そのままプロトンには追いつかれませんでした。結果は2位だったんですけど、自分なりに力を出し切れたいいレースだったと思います。来年のインカレでは鹿屋体育大学で表彰台を独占できるように頑張ります」
山口監督(鹿屋体育大学)
「三谷のアタックが起点 チーム力で戦った素晴らしいレース」
「池田さんたちが動いてくるだろうというところで、三谷も必ずチェックに入っていこうと事前に決めていました。プラン通り三谷がきっかけを作って逃げに乗ってくれた。終盤は鹿屋の2人が踏む展開になったと聞いています。今日はひな(松井)の日でしたね。集団でもフチ(淵稟碧)が6位に入ってくれた。チーム力で戦えた素晴らしいレースだったと思います」

三谷優空(鹿屋体育大学)

「今日はチーム戦で、鹿屋の中でマークする選手も決めていました。自分としては狙い通り逃げを決めることができて、チームメイトの松井も乗っていたので、有利な展開に持ち込めたと思います。来季は鹿屋でワン・ツー・スリーを取れるようにもっと練習を頑張ります」
石川七海(鹿屋体育大学)

「三谷選手が最初にアタックして、そこに松井選手も乗って5人の逃げができたことで、自分たちは前を引かずに第2集団の中で脚を休めることができました。最後は3位争いのスプリントに絡むことができましたが、勝ち切ることはできなくて悔しかったです。でも、チーム戦ができてすごく楽しかった。来年は鹿屋が優勝できるように頑張りたいです」
女王戴冠、そして次の世代へ
個人競技でありながら、チームの組織力と個々の覚悟が勝敗を分けた72km。
逃げの主導権を握り積極的にレースを動かした鹿屋体育大学の攻撃陣、後方集団で完璧な盾となりエースを支え切った早稲田大学のチームワーク、そして西原(日体大)や筒井(日大)ら各校の主力を担う選手たちの積極的なアタック合戦。そのすべてが噛み合い、近年のインカレ女子ロードでも稀に見るハイレベルな名勝負が生まれた。
一年前、頂点を目前にしながら掴み損ねた栄冠。その悔しさを胸に走り続けた池田瑞紀が、大学生活最後のインカレロードで見事に女王の座へと上り詰めた。その堂々たる走りと、背後で火花を散らした次世代レーサーたちの熱い戦いは、来季への新たなドラマを期待させるに十分な輝きを放っていた。



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