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ULマウンテンブーツという新たな選択肢|スカルパ/ラピッドXTミッドGTX

昨今、山のアクティビティ向けのシューズが多様化し、境目もあいまいになってきている。

その潮流のひとつが、アプローチシューズのトレッキングシューズ化。軽さや岩との相性の良さなど、その使い勝手を活かした“歩けるアプローチシューズ”が増えている。

長年、アプローチシューズを手掛けてきたスカルパからも、今シーズンは歩きを意識したニューモデル「ラピッドXT」が登場。

ゲームチェンジャーとなりうるポテンシャルを秘めたこのモデルを今回はピックアップ、掘り下げていく。

文◉PEAKS
写真◉熊原美惠

ハイクもこなせるアプローチシューズ

もともと、クライマーが岩場へ向かう際に使われてきたのがアプローチシューズ。岩場でも安心のグリップ力や、簡単なルートなら登れるくらいのクライミング性能があり、さらに比較的軽量で足への負担も軽いという特性も備えている。

次第にその存在が登山者にも知られるようになり、岩場がある山のデイハイクなどでも使われるように。そして、メーカーでもその特性に着目し、長く歩くためのハイク性能をミックスし、アプローチシューズとハイキングシューズを足して割ったようなモデルも登場してきた。

今回取り上げるラピッドXTも、この方向性で作られたアプローチシューズベースのニューモデル。

ミッドカット(写真右)とローカット(写真左)の2モデルがあるが、ミッドカットモデルにはゴアテックスが使用されており、よりハイキングに向いている。

今回はミッドカットにフォーカスして、その特長を探っていく。

ベースはあくまでアプローチ寄り

“歩けるアプローチシューズ”といっても、アプローチ寄りから、ハイキング寄りまで、モデルによって細かな違いがある。

ラピッドXTはどちらかというとアプローチの特性が強めのモデル。スカルパの純然たるアプローチシューズ、メスカリートGTXと並べてみると、キャラクターが近いことがわかる。

手前がラピッドXTミッドGTX、奥がメスカリートGTX。

フィット性を重視した甲が低めのラスト、つま先近くからスタートし足をしっかりホールドすることができるシューレース構造、比較的フラットに近く岩に足を乗せやすいつま先部分のアウトソールの形状など、近い部分が多い。

だが細かく見ると、ラピッドXTは一般的なアプローチシューズとは異なる特長がある。

そのひとつが、つま先の反り上がり。ハイキングシューズに比べるとフラットに近いが、右のメスカリートGTXと比べると、少しだけ反り上がっているのがわかる。これにより平坦な場所でも、よりハイキングシューズに近い感覚、自然な足運びで歩くことができる。

またハイキングシューズのようにカカト部分に段差が設けられているのも、ラピッドXTの特長。アウトソールのラグの形状とも相まってブレーキ性能が高まり、より歩行が安定する。

ベースはあくまでアプローチシューズで、それに歩行性能をプラスしたのが、このラピッドXTなのだ。

足裏感覚を活かすミッドソールの作り

歩行の感覚に大きな影響を与えるのが、ミッドソールの構造。ラピッドXTは一般的なアプローチシューズ同様に、前足部が少し薄めで、さらにつま先に向かってミッドソールが薄くなっている。これにより足裏感覚を大きく妨げることなく、岩場などでもしっかりと立ち込むことができる。

ミッドソールの素材自体は、安定性と耐久性に優れる密度が高めなEVAを使用。さらにTPUのシャンクが中足部に内蔵されており、歩行中の過剰なねじれなどを防いでくれる。

カカト部分には、衝撃吸収性に優れる低密度のEVA(下の写真のグレーの部分)を重ねており、歩行による疲れを軽減。

つまり、前足部から中足部はアプローチシューズ、後足部はトレッキングシューズ的構造にすることで、両方のメリットを取り入れている。

安定性を生み出すアウトソール

アウトソールは高いグリップ力を発揮するヴィブラムのメガグリップ。ブロックパターンは、岩だけでなく土や泥などでも快適に歩けるように適度なラグの隙間もあるバランス型で、トレッキングシューズに近い。

ラグの設計は以下のとおり。4つのブロックに分かれており、つま先周りの緑色が高いグリップ力、オレンジは推進力、水色は安定性、赤色はブレーキ性能を発揮する。

つま先にはアプローチシューズやマウンテンブーツでおなじみのクライミングゾーンが設けられており、岩場でホールドにしっかり立ち込むことができる。

粘りのあるコンパウンドなだけにラバーの減りが気になるところだが、アウトソールは張り替えが可能。昨今、トレランシューズでも2~3万円台が普通になってきたが、リソールして長く使い続けられることを考えると、ラピッドXTミッドGTXの35,200円という価格はコスパがよく感じられる。

耐久性と快適さが際立つアッパー

アッパーには耐水スエードを使用。化繊素材に比べると岩などへの擦れに強く、耐久性が高い。さらに防水透湿性を備えるゴアテックスのePEメンブレン(PFASフリー)がインサートされており、シューズ内部の濡れを防いでくれる。

カカトから中足部にかけては、TPUバンドをUの字のように配して補強。外骨格的な役割を果たすので、行動時の安定性も高めてくれる。

足首部分には切り込みが入っており、歩行時に足首から上のアッパーが自然に曲がるので、ローカットのように足を運ぶことができる。

カカト上部は伸縮性のあるニット素材となっており、歩行時にシューズのつま先を下げた際も足に当たる感覚がほとんどない。

タンの部分にはクッション性に優れるしっかりしたパッドが入っている。足の甲が優しく包まれている感覚で、長時間歩いても快適。

フィットしつつも窮屈ではないフットシェイプ

長時間の歩きの際に気になるのがフィット感。前述のとおり、前足部は薄めになっているため足にしっかりフィットするが、足幅は広めに作られているので、極端に幅が広い人でなければ窮屈さはあまり感じない。

つま先部分は少し細い、アプローチシューズらしい形状になっているので、岩場で本領を発揮してくれる。

ただし、歩行時の快適さを失わないようにソールはそこまで固くない。適度に曲がるので、岩場メインの山行であれば、メスカリートGTXのようなアプローチシューズ、もしくはしっかりとしたマウンテンブーツの方がより行動しやすいだろう。

ラピッドXTのポジショニング

各ディテールを確認したところで、再度、このラピッドXTのポジショニングを整理してみよう。やはり分類上はアプローチシューズであり、系譜的にはトレッキングシューズより岩場にも対応するマウンテンブーツに近い。

となると、大まかには以下のように整理できる。

【登攀性能に優れたシューズ】
・マウンテンブーツ(写真左上/ゾディアックテックGTX)
・アプローチシューズ(写真左下/ラピッドXTミッドGTX)

【歩行(走り)性能に優れたシューズ】
・トレッキングシューズ(写真右上/ZGトレックGTX)
・トレランシューズ(写真右下/ゴールデンゲート2 ATR)

並べてみると、シューズの形状などからもその特性、系統が読み取れる。

大ざっぱに捉えると、ラピッドXTは、マウンテンブーツをいろいろな意味でライトにしたモデルと考えてもよいだろう。

ちなみに重量は、ゾディアックテックGTXが680g(片足、以下同様)、対してラピッドXTミッドGTXが440gと、240gもの違いがある。

ZGトレックGTX(ハイカットのトレッキングシューズ)は625g、ゴールデンゲート2 ATR(ローカットのトレランシューズ)は260gであり、重量だけいえば、ラピッドXTミッドGTXは、軽量なトレッキングシューズ、もしくはしっかりめのトレランシューズを履いているような感覚だ。

可能性が広がるULマウンテンブーツ

最近は日本アルプスなどの本格的な高山でも、ローカットの軽量なトレッキングシューズやトレランシューズを履いた登山者が増えている。軽くてやわらかいので快適な反面、それなりの荷物を背負ってガレ場、岩場、雪渓などを行動する場合、シューズの不安定さが露呈するので、剛性の高いシューズより強い脚力や確実な足さばきが求められる。

とはいえ、重たいマウンテンブーツを履くのはちょっと……という人も少なくないはず。そのような人――相応の技術や体力が備わっていることが前提として――には、このラピッドXTがちょうどよい選択肢となりえるだろう。

もちろんゾディアックテックGTXのような本格的なマウンテンブーツほどの安定性はないが、ハイキングシューズやトレランシューズに比べて圧倒的な安心感があり、歩きも軽快。

マウンテンブーツをより軽く、歩きやすくした、UL的マウンテンブーツ――そう捉えれば、ラピッドXTを実際に山で使うイメージ、シチュエーションが想像できるはずだ。

スカルパ/ラピッドXTミッドGTX

  • 価格:¥35,200
  • サイズ:EU40~46
  • 重量:440g(EU42/片足)

「ラピッドXTミッドGTX」はこちらでチェック

スカルパ/ラピッドXTミッドGTX WMN

  • 価格:¥35,200
  • サイズ:EU37~42
  • 重量:360g(EU38/片足)

「ラピッドXTミッドGTX WMN」はこちらでチェック

 

企画協力◉ロストアロー www.lostarrow.co.jp/store/

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PROFILE

PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

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