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朝ラー、秘湯名湯、海鮮キャンプ、花の山旅。おじさん4人の夏休み in 八甲田山【アラフォー4人の野遊び日記 vol.14】|PEAKS 2025年9月号

山麓でキャンプをして、翌日、八甲田山を登る。
地元の文化に触れて、食を味わい、いくつも温泉を楽しむ。
疲れ果てたおじさんたちの、心と体を癒す旅。

編集◉PEAKS編集部
文◉吉澤英晃
写真◉宇佐美博之 Photo by Hiroyuki Usami
企画協力◉日本ロングトレイル協会
取材日:2025年6月19~20日

メンバー

(左)ウサミ:温泉が大好物のカメラマン。前回の島旅が本当につらかったそう。

(左中)ミヤガミ:本企画の財布を握る財務大臣。毎回遠出できると嬉しいなぁ。

(右中)オオホリ:本企画の裏のリーダー。この人がいないと、なかなか計画が進まない。

(右)ヨシザワ:一休みして小指の手術から復活したライター。最近日本酒にはまり中。

▲酸ヶ湯キャンプ場の芝生サイト。すぐ側に駐車場があり、炊事場やトイレも近い。八甲田山登山のベースに最適。

「朝から胃に重い。恐るべし青森県……」

飛行機に乗って青森県へやってきた。1階の国内便到着ロビーにエスカレーターで下りると、青森ねぶた祭りなどをモチーフに青色を基調としたステンドグラスが出迎えてくれた。いかにも遠方へ来た感じがして気分が上がる。

空港から外に出ると、日差しは強いが湿度は低いようだ。カラッとした風が吹くと寒さを感じた。レンタカーの手続きを早々に済ませたら、さて、どこに向かおうか。じつは、1日目の予定を決めていなかった。事前に打ち合わせていた計画は、酸ヶ湯キャンプ場に泊まって、翌日、八甲田山に登る。以上。前回の島旅があまりにもつらかったようで、今回は慰安旅行という位置づけだ。

▲(左上)羽田空港で搭乗待ち。窓ガラス越しの飛行機がかっこいい。(右上)近未来的な羽田空港の電光掲示板。青森空港行きの便なのに、なぜか搭乗口は南ウイングだった。(右中)フライト中の機内で初日の予定を相談中。(下)青森空港で目に留まったステンドグラス。作品名は「青の森へ」。青系の色だけで25種類もあり、トータルで85種類の色彩が使われている。全体のピースは約3,200点にも及ぶ。

とりあえず、弘前市方面にある「けんちゃんホルモン」に向かうことにした。ウサミの下調べによると、青森県は朝活が盛んらしい。朝ラーメン(略して朝ラー)、朝風呂、朝野球を楽しむというネット記事もなかにはあった。そのうちのひとつが朝ホルモン。「けんちゃんホルモン」は、朝からジューシーなホルモン焼きを食べられることで知られていた。

大通りから住宅が並ぶ脇道に入り、こんなところに飲食店があるの?という雰囲気が立ち込めてきた折、目的の店の看板を見つけた。でも、駐車場は閑散としていて、店内には明かりがついておらず、どう見ても暗い。

「これ、営業してないね」(ウサミ)

「いま調べたら、数年前に弘前公園の近くに移動したらしいよ。しかも、いまは朝から営業していないって」(ヨシザワ)

行き当たりバッタリの旅には慣れていて、こんなグダグダは想定の範囲内。気を取り直して、こちらもウサミが下調べしてくれた、弘前駅前で〝市民の台所〞として有名な「虹のマート」に向かう。

▲朝一で向かったモツ焼き店。いまは弘前公園の近くに店を移して「しろがね屋」という店名で営業しているらしい。
▲「虹のマート」の外観はどこにでもあるスーパーと変わらない。壁に描かれている“虹”のペイントが可愛らしい。

「前回がつらすぎたから、今回みたいなゆるい山旅もありだよね」

虹のマートの外観は一般的なスーパーと変わりないが、中に入ってビックリした。鮮魚店、惣菜店、青果店、乾物店、そしてラーメン店など、個人商店が隙間なく軒を連ねていて、そこは屋内に形成された地元の市場だった。軒先で真っ先に目を引くのは、生身のまま並べられている新鮮な魚介類。タイ、アンコウ、タコ、マダラ、シャコ、ワラサ、サザエ、ハマグリなど、数え出したらきりがない。

「お腹が空いたから、ここで朝ラーを食べよう!」(ミヤガミ)

空腹を満たした一行は、虹のマートをあとにして温泉に入ることにした。ここへ来るまでも、あちこちに温泉施設の看板を見た。詳しく調べるまで知らなかったが、じつは青森県は温泉大国なのだ。

▲(左上)惣菜店で見つけた「いがめんち」。調べると、戦前から弘前を中心に食べられてきた家庭料理なんだとか。(左下)虹のマートの店内。朝から大勢の客でにぎわっていて、人混みをかき分けないと前に進めない。(右上)朝ラーは青森県では定番文化。(右下)虹のマート内でいただいたラーメン「にぼタージュ」。細麺にドロドロ系のスープがからみ、豚鶏白湯スープの味は控えめで、代わりに粉末状の煮干しの風味が鼻腔の奥にガツンとくる。

住宅地の一角に立つ桜ヶ丘温泉で汗を流したら、次は今晩の宴会に必要な食材の買い出しである。まずはお酒を買うために、道すがら目に留まった酒販店に立ち寄った。偶然入ったこの「あさり酒店」が大正解で、地酒はもちろん、全国から選りすぐりの日本酒を仕入れていて、接客してくれた女将さんの知識が豊富。「こんな味の日本酒が飲みたい」とリクエストすると、パパパッと数本セレクトしてくれるのである。ミヤガミといっしょに「これもいいね〜」「あれもいいね〜」とはしゃぐこと数十分。ウサミとオオホリが呆れたころに日本酒を3銘柄厳選し、笑みを浮かべながら車に乗り込んだ。

それから再び虹のマートに向かい、バーベキューコンロで調理する魚介類を購入。酒とツマミを手に入れた一行は、やっと八甲田山の麓に向けて車を走らせた。酸ヶ湯キャンプ場までは、弘前駅前から車で約1時間。山の裾野はブナの深い森に覆われていて、緑が濃い。豊かな森に続く車道を走ると、突然、酸ヶ湯温泉の宿が現われて、その先に本日泊まる予定の酸ヶ湯キャンプ場の芝生サイトが広がっていた。

▲(左上)虹のマート内の鮮魚店。水揚げされたばかりの魚介がこれでもかというほど並んでいた。(右上)このボリュームで1個350円。都内じゃ考えられない安さだ。(右下)大きすぎる岩がきをたまらず注文。(左下)口をあんぐり開けて、かきの身をちゅるり。天然の塩味とかきの濃厚な風味が美味しすぎる!

早々にタープとテントを設営したら、酸ヶ湯温泉に向かう。酸ヶ湯温泉旅館は、冬になると降雪量の報道で必ずテレビに映る木造の外観から、ひなびた秘湯の温泉宿を想像していたのだが、館内はかなりきれいで、古臭さは一切感じられず、とても近代的。これまでのイメージがいい意味で覆った。疲れていないけど、名湯といわれるお湯でここでも汗を流したら、キャンプ場に戻って夕食タイムだ。炭火で焼いた魚介の美味さに絶叫しながら、時間をかけてセレクトした日本酒を酌み交わす。とっぷり日が暮れると、防寒着がないといられないほど気温が下がった。酔いも回り、ひとり、またひとりと、東北の寒さに追い立てられるようにテントに入っていく。自分も気づくとテントの中で寝袋に包まって朝を迎えていた。

▲旅館のロビーでおどけるヨシザワとウサミ。ヒバ千人風呂が本当に1000人入れたのかはわからないが、とにかくめちゃくちゃ広かった。(左上)酸ヶ湯温泉旅館の提灯。暖色系の明かりに風情を感じる。
▲(左)サザエのほかに、シイタケ、トウモロコシ、ホタテ、糠漬けのニシン、鶏の手羽元などもグリルでじっくり焼いていただいた。(右上)貝殻の中で茹で上がったサザエを頬張るミヤガミ。口に入れた新鮮なサザエは目が血走るほど美味しかったみたい。(右下)夜の酸ヶ湯キャンプ場でバーベキュー。買っておいた国産豚肉のロースを豪快に炭火で炙る。
▲左から「純米吟醸ゆきのまゆ」、「八仙ピンクラベル吟醸火入れ」、「純米吟醸豊盃」。プラス焼酎。

「八甲田山ってこんなに花がキレイな山だったんだ」

▲上毛無岱に広がる風景。湿原ではワタスゲがそよ風に揺れていた。こんもりしている右の山が八甲田山の最高峰、大岳。左は井戸岳。

ジージージー。カナカナカナ。ミーンミンミン。翌朝、セミの合唱を聞きながら、登山の支度を済ませて酸ヶ湯温泉旅館の脇にある八甲田山の登山口へ向かった。

「途中の湿原まで行って帰ってくればいいんじゃね」(オオホリ)

「山頂まで行く必要ないですよね」(ヨシザワ)

あーだこーだ文句を垂れるメンバーの尻を叩くミヤガミはさぞ大変だろうと思いつつ、朝がつらいのは本音なのだから仕方がない。ウグイスの鳴き声に励まされながら山道を登り、ブナの森をすぎると毛無岱(けなしたい)と名の付く湿原に到着した。ワタスゲ、チングルマ、イワカガミなど、いたるところに高山植物の花が咲いていて、期待よりずっと美しい景色に心が弾む。

▲(左)下毛無岱と上毛無岱を繋ぐ木の階段を登る。気が滅入るほど長くて疲れるが、背後には絶景が広がる。(右上)湿原に咲いていたチングルマ。花弁を複数枚つける異型が一輪だけ混じっていた。(右下)登山口から登り始めて毛無岱に向かう途中、ミズバショウの群生地で撮影大会。

これまで八甲田山と聞くと、人がバタバタ死んでいく凄惨なシーンしか浮かばなかった。おそらくそれは、子どものころに一度だけテレビで見た、映画『八甲田山』の一幕だと思われる。記憶のなかでは、軍服を着た男たちが吹雪のなかで次第に目が虚ろになり、ギャーっと奇声を上げながら服を脱ぎだし、深雪に向かって狂ったように飛び込んでいく。あまりの怖さに目を背けて以来、八甲田山と聞くと死の印象が覆いかぶさり、恐怖の山として記憶に刻まれてきた。

それが、眼の前に広がっている景色はどうだろう。明るく、のどかで、どこまでも平和的だ。いくつもの小さな生命が育まれていて、ここに〝死〞を思い起こさせる雰囲気はどこにもない。逆に〝生〞のイメージを強く感じる。
毛無岱を上下に分ける木の階段を登り、振り返ると先ほどいた湿原の全景が眼下に広がった。一同「おお〜」と感嘆の声が漏れる。

▲(左)毛無岱は高山植物の楽園。いま思い出してもきれいだったな~。(右上)大岳鞍部避難小屋から大岳山頂への登り。日の当たらない北斜面には残雪がびっしり残っていた。スリップしないように靴のつま先でステップを切りながら慎重に登っていく。(右下)残雪の斜面をすぎると岩混じりの登り坂になる。ハードルのような木の土留を越えていく。

色鮮やかな高山植物は山頂まで続いていて、頂上ではカヤクグリだろうか、「チリチリチリ」と甲高い声で鳴く鳥が空に円を描いて気持ちよさそうに飛んでいた。

「山頂で記念撮影をしよう!」(ミヤガミ)

出発前は駄々を捏ねていたのに、登ってしまえば笑顔が咲く。八甲田山がこんなに生き生きとした山だったとは。国内にもまだまだ知らない世界があるんだなぁ。今回は各々が感じた感動を写真に収めて、4人の夏休みは幕を閉じたのであった。

▲(上)山頂で記念撮影。Insta360で撮りました。(左下)山頂直下から眺めた南八甲田の山並み。ゆるやかな斜面が広がり、今度は山スキーで訪ねたい!(右下)下山路のワンシーン。雪解け水が登山道に流れこみ、一本の細長い川のようになっていた。足元を濡らさないように、右へ左へ懸命にジャンプしながら通過する。

青森名秘湯名湯めぐり

あるインターネットの公共サイトによると、青森県は人口10万人当たりの一般公衆浴場数が日本一多いらしい。地元に愛される入浴施設から有名な温泉地まで、4人が訪れた3つの温泉施設を紹介する。

①桜ヶ丘温泉

液性は弱アルカリ性。少しトロトロする乳白色のお湯が心地いい。アメニティはないが、洗い場のカランやシャワーからも温泉が出る贅沢仕様。

②酸ヶ湯温泉

液性は酸性。今回は「ヒバ千人風呂」と名付けられた混浴の大浴場に入った。壁から天井まですべてが木造で、黒光りする内装に風情がある。

③谷地温泉

液性は弱酸性。湯の花が漂う乳白色の温泉を湛える湯船は「上の湯」(42℃)と「下の湯」(38℃)があり、交互に入るのがおすすめの入浴方法。

 

「JAPAN TRAIL フォトコンテスト2025」開催中!アラフォー4人も撮影にチャレンジ!

日本を縦断するジャパントレイルにも含まれる青森の名峰・百名山の八甲田山。
フォトコンに向けて、アラフォー4人も撮影に挑んだ!
山行の記録とアラフォー4人が撮影した渾身の写真はこちら。

アラフォー4人、レンズ越しのジャパントレイル。青森・八甲田山 弾丸1泊2日山行の記録

アラフォー4人、レンズ越しのジャパントレイル。青森・八甲田山 弾丸1泊2日山行の記録

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【PICK UP ①】編集長ミヤガミが旅をともにしたウエア

編集長ミヤガミが今回の旅で、時折着用しているのはPEAKSオリジナルウエア。登山時は「ウェイファーラー シャツ&パンツ」、キャンプの時は2025年8月発売予定の「アンブラウールフーディ」です。

八甲田山を登る時に着ている「ウェイファーラー シャツ&パンツ」

コットンライクは肌触り、吸汗速乾性&ストレッチ性をを備えているので、登山やハイキング、サイクリングなどのアクティブなシーンでも快適な着心地です。さらにベーシックなシルエットと、シワになりにくい素材は、タウンユースとしても大活躍します!

  • カラー:ミルク(オフホワイト)、ブラックベリー(ネイビー)、ピスタチオ(ライトグリーン)
  • サイズ:XS、S、M、L、XL (ユニセックス)
  • 15,800(税込)

PEAKSオリジナル山シャツ「ウェイファーラー S/S シャツ」

  • カラー:オートミール(グレーベージュ)、ブラックベリー(ネイビー)、ソーダ(スカイ)
  • サイズ:XS、S、M、L、XL (ユニセックス)
  • 17,600(税込)

PEAKSオリジナル山パンツ「ウェイファーラー パンツ」

キャンプで着用は「アンブラウールフーディ」(2025年8月初旬発売予定)

接触冷感とUPF15の紫外線カット機能を備えた、夏でも心地よい肌触りのメリノウールウエアシリーズ。メリノウールにナイロンを30%かけ合わせ、生地の耐久性をアップ。軽やかな着心地のシルエットで風をまとうように体を包み、高所の強い日差しからも守ってくれます。
同素材による、ロングスリーブTシャツとネックゲイターも発売予定。

【PICK UP ②】アラフォー4人の裏ちゃんねる

取材の裏話と、山遊びをテーマにしたスポットや道具のフリートークを、アマゾン、スポティファイ、ユーチューブで配信中。漏れなくこちらもチェック!

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※この記事はPEAKS[2025年9月号 No.174]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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