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スコーミッシュの四つ星クライミングルート「Zombie Roof」にトライする|筆とまなざし#434

クライミングヒーロー、ピーター・クロフトによって初登された、異彩を放つルーフクラック

スコーミッシュに来てぜひとも登りたいと思っていたルートが「Zombie Roof」(5.13a)である。カナダが生んだクライミングヒーロー、ピーター・クロフトによって初登されたのは1982年のこと(ぼくが生まれた年!)。比較的傾斜の緩いルートが多いスコーミッシュにあって、ほとんど完璧なルーフに走るクラックはひときわ異彩を放っている。13aというグレードも相まって彼の地を代表する一本として知られているのだ。

スコーミッシュのトポにはおすすめ度合いがひとつ星から四つ星までの星で記され、四つ星以上の厳選100本には「TOP 100」が冠されている。ちなみに「Zombie Roof」は四つ星。どうして「TOP 100」じゃないのか不思議である。

スコーミッシュに着いて3日後、時差ボケも軽くなったところでさっそく「Zombie Roof」に行ってみた。ダウンタウンからほど近いSmoke Bluffsの岩場にあって、アプローチも5分足らず。遊歩道からもすぐに見えるのでおどろいた。ルーフは思ったよりも小ぢんまりとしているが、岩が黒くてちょっとおどろおどろしい雰囲気。なるほど、名前の由来も頷ける。オンサイトトライは中間の遠いハンドジャムに手が届かずにフォール。ルーフ部分のムーブは早く組みたったが、ルーフ抜け口がわからない。午後になると直射日光が当たってかなり暑い。結局その日はムーブ解決に至らずキャンプ場へ戻った。

旅の後半になって「Zombie Roof」を再トライする

再度トライしたのは旅の後半になってからだった。日の当たらない午前中にトライすると、抜け口のムーブはすんなり解決することができた。前回は暑くて甘いジャミングを効かせられなかったらしい。さて、完登狙いのトライである。トゥフックを使うため、吉と出るか凶と出るか、それまで履いていたクラック用のシューズではなくトゥラバーの貼られた柔らかめのシューズを試してみることにした。フックが効かせやすくなり、途中まではいままででいちばん楽に登ることができた。しかし、肝心の抜け口で困った。トゥボックスが厚すぎでクラックに足が入らないのだ。甘いフットジャムで右手を出すが、良いポイントに手が届かずに落ちてしまった。

そうこうしているうちに上部に直射日光が当たり始めてしまった。もう一度トライするものの、なんということだろう。情けないことに、指先が滑って抜け口のムーブをこなせなくなってしまうというありさまだった。

翌日、朝イチで「Zombie Roof」を再訪。ウォーミングアップはストレッチだけで済ませて早めにトライする。万事うまくいき、そのまま登ることができた。いつの間にかほかのクライマーもやってきていて、周りはいつになく賑わっていた。

「ナイス! 君はジャミングだけでいったね。ぼくはガバを右手で持って、その後ヒールフックするんだ」

次にトライする若い男の子はそういうと、ロープを結んで登り始めた。

いまどきっぽい(?)ムーブで核心をこなし、吠えながらルーフの上に這い上がる。ランナウトする箇所を慎重にこなして終了点へ。

「ナイス!」

ロワーダウンした彼に声をかけると、彼はうれしそうにこう言った。

「ありがとう! Send train!!」

著者:ライター・絵描き・クライマー/成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ、在住。 山やクライミングでのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作したアトリエ小屋で制作に取り組みながら、地元の岩場に通い、各地へクライミングトリップに出かけるのが楽しみ。日本山岳ガイド協会認定フリークライミングインストラクターでもあり、クライミング講習会も行なっている。

https://www.naruseyohei.com

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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