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寒さを感じたら装着したいハイブリッドグローブ「マイルストーン/ファストトレイルグローブ2.0」|これからの山道具図鑑Vol.7

アウトドア、登山、トレイルランニング用の悪天時でも視界を確保してくれる電球色ヘッドランプで知られる、マイルストーン。
しかし、ここ数年は、同社スタッフが取り組んでいる、トレイルランニングやファストハイク向きのウエア・小物類によってトータルコーディネートも展開。そのひとつが、今回取り上げる「ファストトレイルグローブ2.0」。
薄手保温グローブ+撥水ミトンを組み合わせたハイブリッドモデルを、マイルストーンらしい実用性を重視してモデファイ。
山を走るだけでなく、歩き、撮り、調理し、すごす、つまり寒さを感じる季節に山を旅するためのグローブとして使いたい道具に昇華させている。

編集◉PEAKS編集部
文◉ポンチョ
写真◉長谷川拓司

トレイルランニング用だからこそ、登山でも役立つ

トレイルランニングというと、スピードや距離を求めて山を駆け抜けるイメージだろう。もちろん、レースでは、そういう面がある。しかし、トレイルランニングを「旅」という切り口で取り組むと、歩きではたどり着けない場所、風景と出合うための、手段となる。

いつもよりもゆっくりと歩いて、多くの発見をして、山の濃度を上げることも登山の楽しさであるように、いつもよりもピッチを早めて走ることでも、多くの発見ができ、山の濃度を上げることができる。

ただし、山を走るのに、歩くのと同じ装備のままでは重く、リスクも大きい。だから、普段以上の軽量化、取捨選択、動きやすさが必要となる。

トレイルランニング用だから、登山をする自分には無関係と思う人も多くいるかもしれない。だが、道具好き、トレイルランニングも登山も好きな私のようなニンゲンからすると、「トレイルランニング向きの道具の多くは、登山でも有効な道具」だと感じている。

近年、U.L.ハイク向けの道具が使いやすさを付加されて登山向けに一般化したように、トレイルランニング向けの道具も同様に登山向けに一般化、融合している。

たとえばトレッキングポール。その名のとおり、トレッキングをサポートする道具だが、トレイルランニングのロングレースで使用するために、かなり軽量化された。また、持ち運びしやすいように、収納サイズが長い伸縮式から、短い折りたたみ式も誕生したことで、登山でもより多くの人が携帯、使用するようになった。

近年、バックパックのショルダーハーネスも、トレイルランニングの影響を受けている。いわゆるベスト型のパックは、ショルダーハーネスにボトルや行動食を収納するポケットを装備。それは、走り・歩きながら水分とエネルギー補給をスムーズに行なえるようにトレイルランニング向けに開発された機能だ。しかし、そのアクセスのよさ、ストレスのなさは登山でも機能する。

10年ほど前には、ベスト型パックはトレイルランニング用と思われ、山を走らない登山者からはパック選びの選択肢に入っていなかった。だが、最近では、登山用の小型、中型、さらには大型パックにも、ショルダーハーネスにポケットが採用されているモデルが増えている。

ほかにも、ウインドシェル、厚底シューズ、GPSウォッチ、非自立式シングルウォールテント等々、トレイルランニング、その延長線上にあるファストハイクのシーンで有効性が知られ、登山でも活用されるようになった道具は多くある。

今回紹介するマイルストーン/ファストトレイルグローブ2.0も、トレイルランニング向けに開発されたが、登山でも間違いなく「使える」一品だ。

トレイルランニング用のグローブでは、もう20年くらい前から保温用の薄手フリースグローブと、それを覆うミトンカバーを組み合わせたハイブリッドモデルがある。ファストトレイルグローブ2.0は、そのハイブリッドグローブをより実用的に昇華させている。

その実用性は、トレッキングポールやバックパックのショルダーハーネス同様に、登山で機能する普遍性をもっていると、今回着用して登山をしてみて感じた。

まずはスペックからわかる特長

ファストトレイルグローブ2.0のスペックは以下のとおりだ。

・価格:¥8,690(税込)
・重量:55g(M/L、実測)
・サイズ:XS / S 、M / L
・素材:ポリエステル93%、ポリウレタン7% / POLARTECパワーグリッド ミトン:ナイロン100%(撥水加工)

このグローブの特長は、上記、そして上画像のとおり、薄手保温グローブをカバーする撥水素材のミトングローブを装備していることにある。

一般的なミトンカバーのない薄手保温グローブ、いわゆるライナーグローブの重量を調べると、40~60gだったので、ミトンカバー付きで55gは、かなり軽量だ。

サイズは、XS / Sが手長17~18cmでおもに女性用、M / Lが19~20cmのおもに男性用で、2サイズを展開。平均的な手の大きさであれば、このサイズで問題ないだろう。

素材に使われるポーラテックパワーグリッドは、裏面に凹凸形状のグリッド構造をもつ二重ニット製。保温性と通気性を両立した軽量フリースだ。温かいけれども、ムレにくく、起毛した裏面は汗や湿気を吸い取り、外部に逃がしてくれる。だから、心拍数、体温の上がるランニング時でも、快適性を維持してくれる。

ムレにくさという点でいうと、繊維自体が調湿するメリノウールもよい素材だ。でも、長時間トレッキングポールを持ったり、クサリをつかんだりと、山で使用する際にグローブに掛かる負荷に対する強度、耐久性は、メリノウールよりも、このポーラテックパワーグリッドのほうが、高い。

保温、通気、そして耐久性、さらには軽さを備えたポーラテックパワーグリッドが、マイルストーンが出したグローブ素材の最適解だったのだろう。

撥水ミトンカバーは、雨よりも風よけのため

撥水カバーのミトンを薄手保温グローブに装着すると、上の写真のとおり。甲側は手首から全面を覆い、通常のミトングローブ同様に親指は独立してカバーされ、握る動作をしても突っ張る感じはない。

手のひら側は、指だけでなく、手のひらの半分までを覆う。着脱のしやすさを優先すれば指だけのカバーもアリだが、小雨に降られるなかでトレッキングポールを使用するシーンでは、手のひらの半分まで撥水ミトンがカバーしてくれることで、薄手保温グローブが水分を吸ってしまうことを、ある程度防いでくれる。

しかし、このミトンカバーは完全防水素材ではなく撥水素材。縫い目に防水テープが施されているわけではないので、強い雨に降られ続ければ浸水はある。レインウエアではなく、ウインドシェルだと考えれば、その用途は理解できるだろう。

もし、雨予報が出ているなかのランニング、山行であれば、ファストトレイルグローブ2.0ではなく、濡れをしっかりと防ぐ完全防水素材のレイングローブを装備するべきだ。

ファストトレイルグローブ2.0が活躍するのは、雲のなかに入って、しとしと雨に打たれたとき。さらに雲といっしょに吹いてくる風を防ぎたいときだ。

ミトンカバーの高い撥水性によって薄手保温グローブが濡れることを防ぎ、冷風に吹かれて通気性のよい薄手保温グローブでは手先に冷えを少しでも感じたら、ミトンカバーで防風、保温性をアップしてくれる。

薄手保温グローブしか用意していなかったときの失敗……

まだ閉山後も自由に登ることができた20年以上前の10月の富士山登山でのこと。天気予報は晴れときどき曇りだったけれども、八合目あたりから雲のなかに入ると粒の大きな雨に打たれ続けた。みぞれにはなっていなかったので、気温は5℃くらいだったのだと思われる。

夏の富士登山でも明け方の山頂には霜柱ができるので、防寒のために薄手保温グローブを用意、着用した。けれども、雨を想定していなかったので、レイングローブや完全防水素材の保温グローブを用意していなかったのが判断ミスだった。

薄手保温グローブは時間の経過とともに雨に濡れ、ぐっしょり……。さらに風が吹き上げてきて、濡れたグローブに包まれた手先の冷えは、しびれと痛みを伴った。

幸い、当時からいろいろなアウトドアや登山の道具に触れていて、雑誌や書籍で旅のレポートも読んでいたおかげで、対処法の種が私の知見のなかにあった。

テント泊時に寝袋の保温性をアップさせるために足元をバックパックでカバーしたり、結露による寝袋の濡れをスリーピングバッグカバーで包んで防ぐ方法を思い出した。私はバックパックから小物収納に使っていたリップストップナイロン製とゴアテックス製のスタッフバッグを取り出し、手先をカバー。それにより風と冷えを防いで、事なきを得た。

薄手保温グローブは、雨風に弱い。でもファストトレイルグローブ2.0は、上画像のように、手首に撥水性のミトンカバーを収納しておける薄手保温グローブ。雨に打たれ、冷風に吹きつけられたら、ミトンカバーを取り出してカバー。手先の冷えを防げる。

想定外の雨、風、想定以上の冷えに対処できるエマージェンシーアイテムとして機能する。本降りの雨にはレイングローブを装着するほうがよいが、単体で幅広い天気、気温に対応するファストトレイルグローブ2.0は、とくに季節の変わり目で装備の判断が難しいときに、選んでおいて間違いのないアイテムといえると思う。

ガジェット操作も、指出しでやりやすい!

最後に、グローブ装着時に難儀する、スマホやスマートウォッチの操作性について。

登山地図アプリ、デジタルマップ等、現在地をガジェットで確認、スマホで風景を撮影することが当たり前になった昨今、グローブの指先にタッチパネルの操作が可能な当て布や糸を縫い込むことも当たり前になっている。

でも、操作がうまくできなかったり、洗濯を繰り返すと糸が抜けてしまったりということが、案外多い。マイルストーンのスタッフも、そうした経験をしているようで、もっともストレスなく操作ができる、指出しをファストトレイルグローブ2.0で採用している。

実際、この指出しに勝る方法はないと私自身も感じている。さらにこの記事の撮影を担当したカメラマン氏も、カメラ操作がしやすい指出しと撮影待機中のミトンカバーの保温力という実用性について、「ありそうで、よいものがなかったから!」と、購入の決め手になったという。

他ブランドでも、熟成されたモノが出始めている

ファストトレイルグローブ2.0同様のカバー付き薄手保温グローブは、その実用性に反して、まだまだ少数派だ。
今シーズンのおもなモノだと、マイルストーンのファストトレイルグローブ2.0の製作を担当したhandson gripという四国・香川のグローブメーカーと、米国クライミングブランドのブラックダイヤモンドが、それぞれ2モデルを発売している。

ファストトレイルグローブ2.0との仕様の違いは、手首部にウォッチウインドウ=腕時計確認用のスリットを装着している点だ。この仕様は、腕時計を見やすいだけでなく、手首のニット部が長くなるので、保温性も高くなる。血管が通る手首を温めることができると、指先の血流を促進。冷えも抑制できるので、冷え性の方、気温の低い高所に向かうなら、それらのほうが向いているだろう。

それらと比較して手首部が短めのファストトレイルグローブ2.0は、もう少し温暖な季節の高所での防寒、寒い季節は低山を中心に、幅広いシーンで機能するグローブとなる。

なにより、このグローブの登場をきっかけに、山の保温グローブの定番が、カバー付きへと変わることを予想。トレイルランニング向けに作られたけれども、登山でも大いに機能するグローブとしてオススメする。

ただひとつ、これからの山道具という点で、環境に配慮した素材を使用してもらえると、さらにオススメ度が高くなる。通常素材のほうが安価にでき、自然を愛し、山に向かう人が使いやすいというのは、理解はするが……。

 

「マイルストーン/ファストトレイルグローブ2.0」の詳細はこちら

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PONCHO

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登山、ランニング、旅、島、料理、道具をテーマに執筆、撮影。低山ハイクとヨガをMixしたイベント『ちょい山CLUB』を主催する。

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