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大井川じゃないよ、トレランだよ。箱根八里のFun Run ツアー【アラフォー4人の野遊び日記 vol.16】|PEAKS 2026年1月号

大井川をパックラフトで下る計画が叶わなくなり、急遽浮上した代替案が、なぜかトレイルランニング。箱根外輪山を半周する25kmのコースへ、いざ出走!

編集◉PEAKS編集部
文◉吉澤 英晃
写真◉宇佐美 博之
取材日:2025年10月17日

※箱根といえば旧街道が有名。ぬかるみ対策で敷かれたといわれる石畳の上はよく滑るので、ランニングは慎重に

(右から)
ウサミ
トレランと無縁のカメラマン。今回の企画の言い出しっぺ

ミヤガミ
理想の体型を夢見て日頃から走っているらしい。今回は楽勝か?

オオホリ
山を走るのは前職時代から数年ぶり。かつての貯蓄で完走をめざす

ヨシザワ
人生初のトレランレースに向けて、2カ月前からトレーニング中

「やばい、すでに左ももがつりそうだ」

秋晴れに迎えられ、寒暖をほとんど感じない絶好のトレラン日和。午前8時36分。箱根ロープウェイの桃源台駅から、ゆっくりした足取りでスタートを切った。

前回、御嶽駅前でパックラフトのセルフレスキュー訓練に励んだ男たちは、当初大井川でダウンリバーツーリングを楽しむ予定だった(詳しくはPEAKS No.175を参照)。それが雨予報で計画変更を余儀なくされ、代わりに決まったのがトレイルランニング。箱根外輪山を一周する約50kmに挑戦する案も持ち上がったが、練習ゼロでは無謀すぎるので、半周の25kmに落ち着いた。

走り出してから数分足らずで登山口に着き、温まった体で山道を登り始める。登山道を半分くらい登ると、眼下に陽の光を反射する芦ノ湖の景色が広がった。

「けっこう登ってきましたね~」(ヨシザワ)

少しでも気分を紛らわそうと、あとからやってきたメンバーに声をかけたが、返事はまばら。呼吸が乱れ、顔は下を向き、みんなそれどころではないようだ。

息も絶え絶えに到着した稜線上が箱根外輪山にあたり、ここから南へアップダウンを繰り返しながら尾根の真上を走っていく。

さきほどまで背丈以上の笹薮に覆われていたが、しばらくすると眺めがよくなり、広大なスカイビューが視界に飛び込んできた。

「芦ノ湖の南端まで、まだ半分も走っていないよ」「箱根関跡があるあたりでやっと半分でしょ。ゴールまでめちゃくちゃ遠いな」

だれからともなく不安の声が聞こえてきたが、このときはまだ元気があり、うっすら冗談も混じっていたように思われる。ただ、その余裕も束の間だった。

箱根外輪山の登山道は、ところどころに階段があるものの、比較的走りやすいトレイルが続いていた。下りになると気分の高揚に合わせて、足取りも弾むように速くなる。しかし、登りになると動きが一変。途端に歩みが遅くなり、テンションもガクンと下がる。普段の登山より背負っている荷物が軽いとはいえ、トレランスタイルでの登りはキツイ。少しでも速く歩こうとすればなおさらで、わずかな傾斜でも胸がはち切れるかと思うほどの苦しさに襲われる。

「ゴールまであと何キロ?」「まだ10kmも走ってないよw」

上位のトレイルランナーは登りも走ると聞くが、我々にそんな走力があるわけもなく、累積標高が増えるにしたがって言葉のバリエーションが減っていき「キツイ」「ツライ」「足が限界」そんなネガティブな発言が増えていった。

山伏峠の先に現れたレストハウスで全員の足が自然と止まった。

「もうけっこう走ってきたでしょ! ゴールまであと何キロ?」(ミヤガミ)

「まだ10kmも走ってないよ。いま時点で約8km。ゴールはまだまだ遠いね」(ヨシザワ)

コーラを飲んだりどらやきを食べたり、エネルギーを補給したら苦痛のランニングの再開だ。すでにトレランは楽しいものではなく、ツライことに変わっていた。

「トレランは楽しさもあるけどつらいことも多いよね」(オオホリ)

「あんまり本音を喋らないほうがいいよ! 誌面になにを書かれるかわからないから」(ミヤガミ)

時すでに遅しである。ただ、確かにそのとおりだと思うのだけれども、その苦しさもまた一興。そこに一種の快楽を感じるのは自分だけだろうか。思い返すと、学生時代に自転車で各地を旅していたときも、登り坂で必死にペダルを踏んでいるときが楽しかった。山登りも、登りは苦しいけど、それはそれで楽しくもある。この感覚は生来の性分なのかもしれないな。

そんなことを考えながら、トレーニングのために登り坂も歯を食いしばって走ることにした。全身に負荷をかけるたびに心肺機能が高まる気がする。根拠はないが、走りながらそんな成長を感じられるのもまたおもしろい。

山道は、道の駅箱根峠でいったん途切れる。時刻は11時31分。ちょうどお昼の時間である。

道の駅のすぐ脇に箱根旧街道の入り口があり、有名な石畳の坂道を慎重に下ると、飲食店やら博物館やら土産物販売店やらが立ち並ぶ、いかにも観光地っぽい街並みが現れた。すっかりお腹が空いたので、ここで美味しいランチを期待していたのだが、なんと、だれも食欲がないとため息混じりに声を漏らす。全員、疲労で胃腸にダメージを負ってしまったようだ。

それでも諦めきれずにスマートフォンで適当な飲食店がないか調べてみると、箱根関跡の敷地内に茶屋を発見。軽食のついでに箱根関跡も観光して、気づけば約1時間もゆっくりしていた。

手元の時計では約15kmも走ったことになっていた。予定では残り10km。ただ、すぐそこに最大の難所が待ちかまえている。

それが、屏風山への登りである。聞くところによると、なんでも壁のような急坂が立ち塞がっているらしい。屏風山は迂回することもできるのだけど、なぜか全員が登る気でいる。山登りが好きな人は自分がそうであるように、どこかで快楽と表裏一体の苦痛を求めているのかもしれない。

屏風山の登りに差しかかると、噂に違わぬ激坂が待っていた。登山道には階段が設けられているが、一つひとつの段差が高すぎて、場所によっては両手を付かないと登りにくい。まるでハシゴを登っているような錯覚にすら襲われる。

喘ぎながらそそり立つ壁を越えて、やっとの思いで屏風山に到着。次の目的地は、江戸の時代から続く甘酒茶屋である。山道を下ってから車道を少し進むと、茅葺き屋根の古めかしい建物が見えてきた。

名物の甘酒を注文して、再び休憩。着席した外のテーブルのそばにある看板によると、その昔、甘酒は旅人の疲労回復に効果があると考えられていたらしい。

自分たちの疲れも甘酒の力で回復するといいのだけど、もちろん願いが叶うことはなく、足は重たいままである。

「男だったら言い出したことはやり切らないと!」

「ここから箱根湯本駅行きのバスが出ているね。これに乗って帰るのもありだな」(オオホリ)

「みんなけっこう疲れているし、ここをゴールにしてもいいんじゃない?」(ヨシザワ)

現時点で走行距離は約18km。トレーニングゼロにしてはよくがんばったほうではないだろうか。

「お前らなに言ってんだよ! 男だったら言い出したことはやり切らないと! 箱根湯本駅までちゃんと走るよ」(ミヤガミ)

おそらくメンバーのなかでいちばん疲れていたであろうミヤガミが変なところで男気を見せたものだから、バスから温泉のラクチンプランが露と消えた。

残す山はあとふたつ。鷹巣山と浅間山をすぎれば、あとはゆるゆるとなだらかな尾根を下るだけだ。

甘酒茶屋を後にすると、ウサミがペースを上げてきた。ここで初めて聞いたのだが、彼は2日前から体調不良で食べ物を口にできず、寝たきりの状態だったらしい。

「やっと調子がでてきたよ」

その言葉を最後にウサミはぐんぐん先へ行ってしまい、鷹巣山までだれにも先頭を譲らなかった。病み上がりで走りながら写真を撮り、恐るべき体力の持ち主である。

最後のピーク、浅間山で記念撮影を行なったら、残す下りはボーナスステージだ。道幅が広く傾斜がゆるいので、これまでの行程でいちばん走りやすい区間だった。重力に任せて体が前に進むので、転ばないように足を動かしていると、自然とペースが上がっていく。

最後だからと後ろを振り返らずに気持ちよく走っていたら、後続とずいぶん離れてしまった。もしも、後ろで事故でもあったらまずい。途中で立ち止まり、杉の木の根元に腰を下ろしてしばし待機。

しばらくすると、3人がとぼとぼ歩きながら現れた。なにかあったのか聞くと「もう足が動かない」そうで、疲労は極限に達していた。

そこから登山口までは目と鼻の先で、道路に下りれば箱根湯本駅もすぐそこだ。

「最後までしっかり走りましょう」(ヨシザワ)

ラスト、居酒屋が立ち並ぶ裏路地を駆け抜けて、午後16時58分、ついにゴールの箱根湯本駅に到着した。かかった時間は8時間22分。時計の表示を見ると、距離はなんと30kmを超えていた。

「不甲斐ない自分が悔しい!」(ミヤガミ)
「やっぱり普段から練習してないとキツイわ」(オオホリ)
「体力維持のために週一でも走ったほうがいいよね」(ウサミ)

各自の感想と反省はさておいて、早く温泉で汗を流しましょう。一日お疲れさまでした!

今回汗を流したのは、箱根湯本駅前にある「かっぱ天国」。刺激の少ないいいお湯でした~

アラフォー4人の裏ちゃんねる

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※この記事はPEAKS[2026年1月号 No.176]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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