
霧ヶ峰の風をバックパックに詰めて、あえて向かう松本の街。1年越しの約束と、山の恵みをほどく夜
宇宙HIKE
- 2026年08月26日
霧ヶ峰のなだらかな稜線に、風が渡っていく。どこまでも広がる空と、足元に揺れる小さなお花たち。相棒のカメラOM5を肩から下げて、春を迎えたばかりの山と歩く友を写す。おなじ病院で働く、飲み友だちでもある私たち3人組。ハイキングのあと、霧ヶ峰の風をバックパックに詰め込んで、上諏訪駅から電車に乗り松本へ向かいました。
霧ヶ峰からわざわざ松本に向かった理由

霧ヶ峰や上諏訪駅の近くにも、ペンションや温泉宿はたくさんあります。けれど今夜は、わざわざ上諏訪駅から松本駅へ電車に揺られてでも、あの店に行きたかったからでした。

昨年の3月、松本在住の友だちが主催したフィルム写真展に、私の写真も数枚出展させてもらいました。今回の山旅メンバー3人のうちのひとりに、写真展につき合ってもらい、そのとき泊まったのが、大正時代から続く老舗「まるも旅館」さん。まるも旅館から歩いていける郷土料理屋さんが、今回再訪した「あや菜」さん。先代のお母さまが亡くなり、現在は娘さんが味と暖簾を受け継いでいます。そのお店でいただいた、店主が自ら山に入って摘んできたという山菜の味が忘れられず、「次は山菜の一番おいしい時期に、またいっしょに行きたいね」と折に触れ話していました。今回はもうひとりの飲み友だちを誘い、待ちに待った1年ぶりのうれしい再訪となったのです。
今年の宿はビジネスホテル「シングル3部屋」の少し大人な泊まり方

昨年泊まった「まるも旅館」さん。「まるも旅館」のことを、アウトドアスタイル・クリエイター四角友里さんのインスタグラムで知り、松本にこんなすてきなお宿があるなんて!泊まってみたい!と思ったのが、宿泊のきっかけでした。
松本の宿泊にオススメのお宿「まるも旅館」
https://nakamachi.org/shopmember/marumo

けれどうって変わって今年のお宿は、松本駅近くのビジネスホテル。私たちは「シングルを3部屋」という少し大人な?泊まり方を選びました。気心の知れた3人とはいえ「プライベートが確保された距離感」がなによりも心地いい。チェックインを済ませ、それぞれ自分の部屋で荷をほどき、身軽な支度に着替えます。「17時45分に廊下で集合ね」と約束して別れる時間も、どこか自由で少しだけぜいたくに感じました。
念願の郷土料理屋「あや菜さん」へ

すっかり夕闇が降りてきた城下町を、3人で連れ立って歩き出します。1年前はふたりで歩いた道を、今年は 3人で賑やかに。「これ、本当においしいから食べてみて」と、初めて来た友だちに鹿肉のタタキをすすめる。「なにこれおいしい!全然クサみがないね!」飲兵衛3人組の、お酒はすすみました(笑)。


そして、待ちに待った瞬間が訪れました。店主が自ら山に入って採ってきたという、山菜の天ぷら。薄い衣をまとったタラの芽やコシアブラをサクッと 噛み締めます。その瞬間に広がる鮮烈な苦味と、大地の力強い香り。それは昼間に私たちが霧ヶ峰で見てきたような、厳しい自然のなかで命を芽吹かせた植物たちの、エネルギーそのものでした。スーパーの野菜にはない山の力強さを、自ら引き継いだ店を守る彼女の手から受け取ります。わざわざ電車に乗って、この季節に3人でここへ来た答えが、目の前のお皿の上に詰まっていました。
明日は小学生の息子さんを連れて乗鞍の山に入ると言う店主。「どうか、クマに気をつけてくださいね」と、心の中でつぶやきました。
郷土料理「あや菜」
https://nakamachi.org/shopmember/ayana

ホテルに戻り、静かなひとりの時間

ホテルに戻り、「じゃあ、また明日7時半に廊下ね」とそれぞれの部屋へと帰っていきました。 山歩きとお気に入りの店を大切な仲間と共有し、 最後は自分ひとりの静かな部屋で旅の余韻に浸ります。部屋の灯りを落とし、携帯に転送した写真たちを振り返りながら、静かな松本の夜にそっと感謝を告げました。
山と街をつなぐ街、岳都松本。霧ヶ峰のほか、上高地や美ヶ原、乗鞍岳などの帰りに立ち寄って、山の恵みや余韻に浸るのもいいですね。
写真&テキスト◎keiko.i(宇宙HIKE)
https://www.instagram.com/k_sirabisonomori?igsh=MTEwNmcxbWVlOWYzag
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PROFILE
宇宙HIKE
Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。
Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。
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