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高山で五芒星を結ぶスピ兄弟「チシマギキョウとイワギキョウ」|植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #59

登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!

お盆は過ぎ、やっとこさ暑さもひと段落。しっかし今年の夏は、40℃になる日もあるくらいスゴかった!!(注:岐阜は暑いんです)余計に秋が待ち遠しい、今日この頃です。そして秋ならではのカラーは、紅葉!? いえいえ、ご冗談を。秋の花といえば、トリカブトにリンドウと、紫が代表選手。ということで今回は、上品カラーの秋の花。ちょっぴりスピリチュアルな、ご兄弟を紹介します。

由緒正しい、エクソシスト?

「祓へ給へ清め給へ、急々如律令!」。ちょーっと前(10年くらい)のアニメ『双星の陰陽師』には、安倍晴明といった陰陽師が登場します。そして陰陽道のモチーフといえば、強力な魔除け「五芒星」!…突然なんじゃらほい、とアナタがハテナマークに包まれるのも、無理はない。じつはですね、花を正面から見たときに、そのカタチにたとえられるお花が、キキョウ一族なんですよ。五芒星は「晴明桔梗」と呼ばれるだけに、キキョウは、エクソシストのシンボルなんです!!

Data

  • イワギキョウ(キキョウ科)
  • 一般的な花期:7月~8月
  • 主な生育場所:高山の岩場

名前でわかる!? その住まい

ところで、植物の名前につく「ヒメ」や「オニ」、そして「ミヤマ」「イワ」。これ、じつはそれぞれに意味がありまして。順に「サイズが小さい」「サイズが大きい」「深い山に生える」「岩場に生える」といった、おーまかな情報が得られるようになっています。問題は、その“おーまか”さ。ぶっちゃけ、いい加減に感じられるものも、多々あるんですわ。それが、今回の主役・イワギキョウに関してはパーフェクト。しかし、チシマギキョウに関しては…アジアやアラスカにもおられるとか。一応、最初に標本をとったのが千島列島だったという説と、そして安倍晴明を信じて(?)、スルーしちゃいましょう!

Data

  • チシマギキョウ(キキョウ科)
  • 一般的な花期:7~9月
  • 主な生育場所:高山の岩場

ワイルドな見た目の陰陽師

見た目にもわかりやすい彼らですが、その特徴は何と言っても「お毛々」です。イワギキョウは花弁にこそ毛を生やしませんが、チシマギキョウについては、めっちゃ毛だらけ。花びら、ガク片、茎…。どこを見てもびっしり、もはやワイルドというほかありません。これ、植物的にはたぶん虫に食われない工夫かと思いますが、ここまで防御する必要はあるのだろうか…。やっぱし、悪魔祓い的な何かがあるのかな?

兄弟の判別法は毛と「馬ヅラ」

ときおり「上向きに咲くのがイワギキョウ、横~下向きに咲くのがチシマギキョウ」なんて声も聞きます。注意したいのは、どっちも「ツボミのときは上向き」なこと。なので、両者の区別をするメジャーなポイントは、花の長さ(チシマのほうが馬ヅラ)、そして毛の有無(=チシマは毛だらけ)のふたつが有力。ちなみに、チシマギキョウの花が下を向きがちなのは、ただでさえ頭でっかちなこと。頭でっかち馬ヅラかつ毛深いエクソシスト、あまり強そうじゃないけどね!

棲み分けポイントのナゾ

さて、そしてこのご兄弟最大のナゾは…。どう棲み分けているのか、微妙にわからない点。似ている花が一緒にいると「どっちなんじゃい!」と困るのがつねですが、生息地こそ「岩場」とまったく同じなのに、じつはあまり一緒にいないのが通例です。ウワサによると、「八ヶ岳にはチシマが多い」、「イワのほうが花期が遅い」ともいわれますし、私の経験上もそう思うんですが、データをとったわけじゃなし…。ハッキリとはいえませんが、どうやらご趣味(?)が違う兄弟のようですよ!?

異端児との幸運な出会い

さてさて、締めくくりにはちょっと珍しい白花の写真を。なにぶん個体数が多いわけではないキキョウだけに、白花コマクサよりはるかに貴重です。で、これを見つけたら幸運かって? そりゃアナタ、キキョウはかつて「吉凶」の字を当てられていたくらいですからね。もしどうしても、幸運にあやかりたいならば…7月7日七夕の日に登山して、白花のキキョウを探してみては。織姫・彦星に清明が加われば、きっと脳内に『私は最強』が流れること、請け合いです! あ…、でもこちらは某海賊マンガ映画の劇中歌ですが、そこはまあヨシとしますか。

 

さてさて、今回ご紹介してきたキキョウ兄弟。いかがでしたでしょうか?北ア、南アでも良く見かける花、そして見間違いも少ないお花ですが、我が住まいのある岐阜県瑞浪市の市の花は、キキョウ。この花だけは、しっかりとお伝えせねばと思っていたんです。そして、そろそろ山の上では花期が終わり、最遅のイワギキョウがタネになる頃。もし見かけたら、「五芒星だ!」ってご友人に紹介してくださいね。

それでは、また。

皆様のココロに、素敵な花が咲き誇りますように。

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PROFILE

成清 陽

ランドネ / 植物ライター

成清 陽

持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中!

成清 陽の記事一覧

持ち前の強い好奇心で、大学時代から山・海・島を渡り歩いてきた個性派。自然ガイド、環境コンサル、アウトドア誌編集者、市営公園管理人、企業の森づくりなどなど、自然にまつわる職を転々としたのちにフリーランスに。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。2023年春から岐阜県山間部のプチ古民家に移住し、半隠居ライフを通じて、どこまでユルく生きていけるのか絶賛お試し中!

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