
West Coast Brewing(ウエストコーストブルーイング)/静岡県|山とクラフトビール〜ブルワーを訪ねて、特急で!〜
オガサワラガク
- 2026年10月25日
INDEX
下山後の一杯はどんな飲みものでもおいしい。とくにシュワっとする、地元ならではのクラフトビールは格別です。そんな特別なビールを作っているブルワーさんを訪ねて、そのおいしさ、魅力をちょっとだけ深く紹介します。
紹介してくれたのは

セールス・イベント企画
小楠瞬太さん

ウエストコーストブルーイング / West Coast Brewing
住所:静岡県静岡市駿河区用宗2丁目18-1
https://www.westcoastbrewing.jp/
登山を諦めて、酒とサウナと水風呂へ
取材前日の夜に、ランドネ編集部の山﨑さんから「明日9時に静岡駅へ来てください」と指令があった。いつもどおり、ケンカの果たし状のように詳細は書かれておらず、私は時間どおりにメリケンサックを握りしめて静岡駅へ向かうしかなかった。新幹線のおともに「金子半之助」の天むす(黒)とビールを購入し、移動は天国のような時間へ。静岡駅からさらに電車を乗り継ぎ、向かったのは港町・用宗(もちむね)。今回訪れたのは、用宗に醸造所を構える「West Coast Brewing(WCB)」だ。
WCBは、シアトル出身の建築家バストン・デレックさんが、故郷のクラフトビールを「日本でも飲みたい」と2019年に始めたブルワリーだ。WCBの担当の方に話を聞いていて驚いたのが、ここで造られているビールの種類である。毎週2〜3種類ほど、年間にすると約150種類ものビールをリリースしているという。そして、新しいビールが誕生するたびに、それぞれ異なるラベルデザインが作られる。キャラクターを中心としたアートワークは、イギリスのアーティストを中心に、WCB直営店の壁画も手がける国内アーティストも参加して制作されている。ずらりと並んだラベルを眺めていると、ビールというよりトレーディングカードのコレクションを見ているようだ(と思ったら、本当にトレカも売っていた)。飲むだけでなく、見て楽しむ。そんな楽しみ方ができるのもWCBらしさのひとつだ。
WCBのビールのもうひとつの特徴が、ホップの存在感だ。その香りをより豊かに引き出すため、WCBでは「ホップバック」と呼ばれる設備を使っている。ホップはビールに苦味を与えるだけでなく、柑橘や花、ハーブを思わせるさまざまな香りを生み出す素材でもある。しかし、その繊細な香りは熱によって失われやすい。ホップバックは、煮沸を終えた熱い麦汁をホップに通してから冷却することで、ホップの香りを引き出すための設備である。
実際にWCBのIPAを飲んでみると、まずしっかりとした苦味が舌に残り、そのあとを追いかけるようにホップのフレッシュで豊かな香りが鼻へと抜けていく。ただ苦いだけではない。青々しさや柑橘を思わせる香りが幾重にも重なり、ひと口飲むたびに違う表情が現れる。苦味と香り、そのどちらもが鮮明に記憶に残る印象的な一杯だった。


そして取材の最後に、気になる話を聞いた。「WCBの水はしきじとおなじ流域の水を使ってる」と。「サウナの聖地」と呼ばれる静岡の「サウナしきじ」である。なかでも有名なのが天然水を使った水風呂で、その水質の軟らかさから全国のサウナ好きに愛されている。さっきまで飲んでいたビールの水と、サウナ界の聖地の水風呂がつながった。そう聞いてしまったら、行かないという選択肢はない。非常に残念ではあるが、登山はなしだ。ビールと〝おなじ〞水風呂に入りたい。山を登らせたい山﨑さんを半ば強引に説得し、サウナしきじへ向かった。
うわさに違わぬ、しきじの水風呂はすごかった。冷たいのに体への当たりが優しく、とても軟らかい。なるほど、これが聖地か。2セットを終え、いよいよ最後の3セット目。「最高の水風呂を浴びよう」と限界の限界までサウナで耐えた。汗だくになり、歩くのもいっぱいいっぱい。それでも、あの水風呂が待っている。壁を伝いながらようやくたどり着き、足を入れようとしたとき、なぜか水風呂の水は、すべて抜かれていた。やり場のない気持ちに、ついついメリケンサックを握りしめ、水風呂の栓を抜いた人を探すところだった。しかし、ここは静岡。拳を握るくらいなら、グラスを握ったほうがいい。そうだ、WCBのビールを飲めばいい。おなじ水なら、外から浴びるか、内側から浴びるかの違いだけ。帰りの新幹線は、WCBを浴びながら帰ることにした。
下山後の一杯は……

スターウォッチャー
- 価格:1,150円〜
- スタイル:ウエストコーストIPA
- アルコール度数:7%
- サイズ:510ml
WCBの原点にして、いまも愛されるフラッグシップIPA。華やかな香りと心地よい苦味が広がり、飲むほどにホップの奥深さに引き込まれる一杯。
おすすめの山

満観峰
醸造所には行けたものの、前日の台風の影響で山は断念。用宗の満観峰は次回に持ち越し。道中、焼津の「韋駄天」で食べたラーメンも抜群においしかった。次回は満観峰に登り、韋駄天で食べ、しきじで浸かり、WCB で飲む。そして、そのまま泊まりたい!
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