
森の記憶を、色として纏う。icebreaker「Nature Dye」が紡ぐ森の物語
VINAVIS 編集部
- 2026年07月26日
INDEX
植物園の栗拾いで、虫食いなどによって食用には適さなかった栗。そして、森の再野生化を目指す場所で、立ち枯れしたカラマツから採取されたマツボックリ。やがて土や森へ還っていく自然物が、深みのあるふたつの色彩へと姿を変えた。
ニュージーランド発のナチュラル・パフォーマンス・アパレルブランド「icebreaker(アイスブレーカー)」が手がける、自然由来の染色シリーズ「Nature Dye(ネイチャーダイ)」。山梨県北杜市との3シーズン目の取り組みから、「豊かな森と植物園が育む循環」をテーマにした最新コレクションが生まれた。
文◉VINAVIS
自然の力と心地よさを、日常の一着へ

まずは、このものづくりを支えるブランドの背景に目を向けたい。
1995年にニュージーランドで誕生したアイスブレーカーは、高品質なメリノウールを主軸とした天然素材のパフォーマンスアパレルを展開してきた。ブランド名には、自然と親しみ、その距離を近づけていくという思いが込められ、「Move to Natural」というメッセージを掲げている。
ブランドの原点となるのは、ニュージーランドの契約牧場で育まれたメリノウールだ。繊維が細く、素肌にもなじみやすい、むなめらかな風合いをもつ。さらに、湿気を吸収・放出することで衣服内の蒸れを抑えやすく、通気性にも優れている。暑さの残る時期から、気温が下がる季節まで取り入れやすい素材だ。
また、ブランドによれば、製品に用いられる原料は装飾部分を除き98.3%がプラスチックフリー。自然由来の素材を活かしながら、現代の暮らしに適した機能性を追求している。その真摯な姿勢を「色」という側面から表現してきたのが、「Nature Dye」シリーズなのだ。
自然から色を受け取る「Nature Dye」の歩み

柔らかなメリノウールを自然由来の染料で染め上げる「Nature Dye」は、今年で9年目を迎えるシリーズだ。
その特徴は、天然染料ならではの奥行きを含んだ色合いと風合いにある。土や植物、光の移ろいを思わせる複雑なニュアンスが、一枚の衣服のなかに静かに浮かび上がる。
染色に使われた水は、ろ過したあとに再び自然へ還すことが可能だという。自然から色を受け取るだけでなく、その後の水の行方まで考えられている。
今季のテーマは「豊かな森と植物園が育む循環」。地域に息づく自然の営みを染料へと変える取り組みから、今季ふたつの色が生まれた。
植物を見つめる場所と、森を育て直す場所から

北杜市との取り組みにおいて今季協業したのは、性質の異なるふたつのフィールドだ。
シミック八ヶ岳薬用植物園では、一般向けの栗拾いイベントも行なわれている。そこで地面に落ち、虫食いなどによって食用に適さなかった栗の皮を、染料として活用した。
一方、Camino Natural Lab.(カミーノナトラルラボ)から提供されたのは、立ち枯れしたカラマツから採取されたマツボックリ。森の再野生化を目指す活動のなかで生まれた自然物に、新たな役割が与えられた。
植物を研究し多様性を守る場所と、未来の森を育てる場所。地域で続けられているふたつの営みがicebreakerのものづくりと重なり合い、一着のTシャツへと生まれ変わったのだ。
土や樹皮、森の影を思わせるふたつの色彩
今季の「Nature Dye」に並ぶのは、異なる自然物から生まれながら、どちらも森の静かな情景を感じさせる落ち着いたカラーリングだ。
虫食いの栗の皮から生まれた「クリノカワ」

シミック八ヶ岳薬用植物園の栗拾いで食用にならなかった栗を活用し、染め上げられた「クリノカワ(ダークグレージュ)」。
漆黒とは異なる柔らかな濃淡をもち、樹皮や湿り気を含んだ土、木々の間に落ちる影のようなニュアンスを含んでいる。一般的な黒のTシャツとはひと味違う奥行きがあり、都市のモノトーンにもすんなりとなじむ色だ。
マツボックリが染めた、温もりのあるダークレッド

Camino Natural Lab.の森づくりのなかで集められたカラマツのマツボックリから抽出されたのは、シックな「ダークレッド」。
鮮やかすぎる赤ではなく、土や落ち葉が幾重にも重なる林床を連想させる深みをもつ。ベーシックな装いに、控えめな挿し色としてささやかな温度を添えてくれる。
どちらのカラーも単色では捉えきれない繊細なニュアンスがあり、装いのなかで静かな存在感を放つ。
暑さの残る時期から、日常のワードローブへ

このふたつの色をまとって登場するのが、「メリノ150ネイチャーダイSSティー」だ。
素材には、なめらかな肌触りのメリノウールを100%使用。吸放湿性と通気性を備え、汗ばむ時期にも蒸れを抑え、さらりとした着心地を保ちやすい。身体のラインを拾いすぎない、ゆったりとしたシルエットで、暑さの残る時期には一枚で。気温が下がれば、シャツやジャケットの内側にも重ねられる。
天然由来の染色でありながら色落ちしにくい製法が施され、家庭の洗濯機でケアできるイージーさも頼もしい。さらに、紫外線対策に役立つ「UV GUARD(UPF30〜50+、紫外線遮蔽率90%以上)」機能も備わっている。
背景に豊かな物語をもちながら、その佇まいはあくまで静かで、いつものワードローブに無理なく取り入れられる。
森の時間をまとい、街を歩く

栗もマツボックリも、やがては土へ還っていく。その前に染料というもうひとつの役割を得て、ふたつの深い色になった。
その色がどこから来たのかを知ることで、いつものTシャツも少し違って見えてくる。北杜の植物園と森で重ねられてきた時間をまとい、街を歩く。都市と自然の距離は、そんな一着から静かに近づいていくのかもしれない。
メリノ150ネイチャーダイSSティー

- ¥18,700
- サイズ:2XS〜XL(ユニセックス)
- カラー:クリノカワ(ダークグレージュ)、マツボックリ(ダークレッド)
- BRAND :
- VINAVIS
- CREDIT :
- 文◉VINAVIS
SHARE
PROFILE
VINAVIS 編集部
アウトドアフィールドへ誘うメディア、そして自然のなかにいるような心地よさと冒険心をもって生きる人々を応援する新メディア。厳しい自然環境で磨かれた「機能美」や「哲学」を、都市生活というフィールドにマッチするシーンにを訴求します。またアウトドアで使われる機能やアイテムに触れることで、意識せずに自然とフィールドへと近づいていく気運を醸成します。
アウトドアフィールドへ誘うメディア、そして自然のなかにいるような心地よさと冒険心をもって生きる人々を応援する新メディア。厳しい自然環境で磨かれた「機能美」や「哲学」を、都市生活というフィールドにマッチするシーンにを訴求します。またアウトドアで使われる機能やアイテムに触れることで、意識せずに自然とフィールドへと近づいていく気運を醸成します。





















