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ファンイベントで堪能するディフェンダーの魅力

じつは筆者は2001年式ディフェンダー110 Td5を10年30万km乗っていた。現行モデルがあるいまは「旧ディフェンダー」と呼んでおくが、旧ディフェンダー乗りとしては、現行ディフェンダーは旧型のデザインを踏襲している部分はあれどまるで別物という印象をもっていた。
そこで、ジャガー・ランドローバー・ジャパン株式会社のマーケティング&クライアント エクスペリエンス部ディレクター、マシュー・スリース氏に旧ディフェンダーと現行ディフェンダーの違い、その魅力などなど聞いてみた。

編集◉PEAKS編集部
文◉今坂純也(DIRT SKIP)
写真◉山中基嘉

ランドローバー・ディフェンダーの歴史

▲マシュー・スリース氏

──まずはディフェンダーの歴史を、生まれた背景などとともに教えてください。

マシュー・スリース氏(以下、M):
第二次世界大戦後、ローバー社の社長スペンサー・ウィルクスとエンジニアだったモーリス・ウィルクスのウィルクスブラザーズによってウェールズで生み出されたのが旧ディフェンダーの原型となったシリーズ1です。

大戦が終わったイギリスも他国同様に国の建て直しは必至で、大戦中に手に入れたアメリカのウィリス社のジープを元に、さらに優れた4輪駆動車の開発を急いでいました。

そして1947年、ウィルクスブラザーズはウェールズのアングルシー島の砂浜に、いま国に必要な「戦後の暮らしを支える理想的なワークホース」を描いたのです。
砂浜に描かれた理想的な4輪駆動車は、わずか1年後の1948年にランドローバー(シリーズ1)の車として誕生。
シリーズ1の堅牢なラダーフレーム、シンプルで頑丈なリジッドアクスル、軽量で腐食に強いアルミ製亜鉛鋼板のボディなどの基本設計は、1983年のランドローバー90、110、127へ、そして1990年に登場したディフェンダー90、110、130にも引き継がれることになりました。

──かなり年季の入ったディフェンダーを、女王陛下が運転されているのをテレビで見たことがあります。

M:
1948年に生まれたシリーズ1を祖にもつディフェンダーは、農場ではイギリス国民のワークホースとして働き、砂漠や北極圏、道なき道を突き進むこともできる万能車でした。さらにエリザベス2世女王陛下もワークホースとして自身も運転するなど、イギリス国民はもとより王室でも愛用されていたのです。

構造が簡単で頑丈、卓越した悪路走破性をもつディフェンダーは、イギリス陸軍はもとより各国の軍用車両にも多く採用された。そしてこの基本設計は2016年モデルの旧ディフェンダー90、110、130まで、70年近くも継承することになった。

子どもが描く「車」をそのままカタチにしたようなスクエアなボディ、ストンと落ちたデザインの薄いドアパネルは足元の位置が正確にわかることでオフロードライディングでは武器となった。メカニズム的にも、堅牢で構造の簡単なラダーフレームは未開の地でも修理可能で、左右のアクスルが1本の軸でつながる前後リジッドアクスルは片方の車輪が持ち上がった状態でももう一方の車輪は路面に押しつけられることでトラクションを生み出し、悪路で高い走破性を発揮した。

日本国内では、1997〜1998年にV8ガソリンエンジン+AT仕様のディフェンダー90(限定1,050台)が、2002〜2004年にはディーゼルエンジン+MT仕様のディフェンダー110が正規販売されて新たなファンを獲得したが、ディーゼル規制によって販売は短期間で終了。その後は並行輸入による専門ショップでのみ手に入れることができる希少車となっていた。

コンセプトの再構築で生まれ変わったディフェンダー

──現行ディフェンダーが登場することになった経緯は?

M:
悪路走破性を特に重視したクロカンマシン的な旧ディフェンダーで日常使用を考えた場合、旧ディフェンダーは少々使い勝手が悪かった。それもそのはずで、1948年に登場したシリーズ1から、旧ディフェンダーはほぼその設計コンセプトを変えてこなかったのです。

本国では、運転中にヒジ置きさえない旧ディフェンダーのコックピットにより、ヒジの痛みや疲れを訴える人が「ディフェンダーエルボー」などと呼んで使い勝手の悪さを指摘していました。そして長時間の運転ではやはり快適性に劣ることを訴えていたのです。

──現行ディフェンダーで見た目も中身も大きく変えたのはなぜでしょうか?

M:
アイコンとなっていた特徴的なスクエアボディは、現代の車では避けて通れない衝突安全基準や排気ガス規制をクリアすることが難しく、安全に走行するための電子デバイスさえほぼない状態だったのです。

変わらなければならなくなった旧ディフェンダーは、2013年に生産終了することが発表され、ついに2016年に生産終了。70年近く続いたあのスクエアデザインのディフェンダーの歴史は幕を閉じた。

ただ、量産モデルはなくなってしまったが、その後に「ディフェンダー・ワークスV8」や「ディフェンダー・ワークスV8トロフィー」などの限定モデルは発売された。


M:
そこで次世代のディフェンダーとして登場したのが2011年のフランクフルトショーでお披露目された次期ディフェンダーのコンセプトカーであるランドローバー・DC100です。現行ディフェンダーの元となったこのモデルですが、市販化への道は厳しく、旧ディフェンダーからのコンセプトの再定義を行うなど試行錯誤を繰り返しました。

しかしついに2019年のフランクフルトショーで正式に2代目ディフェンダーとしてデビューし、2020年に日本でも発売開始されたのです。

スパッと切り落としたようなリアエンドやテールライトの配置、ルーフ後端左右に設けられたアルパインウインドウ、横開きのテールゲートなどに旧ディフェンダーの面影が見えたが、現行ディフェンダーのフレームはラダーからモノコックへ。しかしランドローバー史上もっとも頑丈なボディ構造を手に入れたのだった。

さらに、進化した電子デバイスやボディ構造などにより、旧ディフェンダーの悪路走破性、タフな造りを継承しつつも、大幅にアップデートされたラグジュアリーな乗り心地をも実現した。この流れは旧ディフェンダーの後期モデルに搭載されたフォード製エンジンや、それまでよりも洗練されたコックピットまわりなどですでに見えていた流れでもあるが、新しい現行ディフェンダーのコンセプトの再定義には長らく旧ディフェンダーを愛した筆者も納得。とにかくオフローディングが楽しいのだ!

インストラクターによるドライブで高さ5m、最大傾斜43度の専用スロープを現行ディフェンダーで試乗したが、「旧ディフェンダーでは上ることさえできない!」と思えるほどの急傾斜。それをスリップ音も一切なく上り、下りへ移行する際のサスペンションの伸び縮みによる姿勢変化も感じることなく、路面にピタッと張り付いたようにそしてシームレスに前へ進むことに驚きを隠せなかった。

オフローディングはじつはゆっくり走ることがかなり難しいが、電子デバイスの進化は我々のような「普通の人」さえオフロードに連れ出そうとする……。

電子デバイスがもたらすもの

ディフェンダーのアンバサダーを務める永田隼也さんはマウンテンバイクのプロライダー。マウンテンバイク、そしてロードバイクなどのスポーツバイクの世界にも、数年前から電子デバイスや電動化の波がやってきている。

電動アシストはもとより、電動シフトチェンジ、前後サスペンションをワイヤレスで電子制御するシステムなどがそうだ。この電子化によって、従来はある程度の技術や経験・体力をもった人しか体験できなかったことを、初めてスポーツバイクに乗る人たちも体験できるようになった。行動半径は広がり、ある意味「より安全に、より安心して」趣味を楽しめるようになったのだ。

現行ディフェンダーは、路面に合わせた設定を選ぶと、エンジン特性やトランスミッション、サスペンション特性なども最適化してくれる「テレインレスポンス2」を搭載。急勾配の下り坂で一定の速度を維持しながら各ホイールにブレーキをかけてアシストするランドローバーが特許をもつ「ヒル・ディセント・コントロール」。上り坂でのスタートをアシストする「ヒルスタート・アシスト」、センサーによって水深情報を視覚情報と音で知らせてくれる「ウェイド・センシング」ほか、多くの電子デバイスを装備。

これらの装備によって、技術の必要なロースピードでのオフローディングや趣味のアウトドアスポーツを、だれもが「より安全に、より安心して」楽しめ、さらに万が一の災害時などでも大活躍してくれるクルマとなった。そう、それが現代のディフェンダーの最大の魅力だと思うのだ。

ランドローバーの3モデルの違い

──現行ディフェンダーを選ぶのはどんな方たちでしょうか?

M:
現行ディフェンダーのユーザーは、万が一を考えた場合の悪路走破性をもちつつ、日常や趣味使用での快適さや現代の車らしいルックスをもつ「新たなディフェンダー」として、現行ディフェンダーを選ばれています。

──現行ディフェンダーの市場での反応はいかがでしょうか?

M:
旧ディフェンダーの最終モデルでも全世界で2〜3万台の販売数でした。しかし現在の現行ディフェンダーはその5倍ほど売れています。

旧ディフェンダーは歴史もあり、ワークホースとしてはまだ可能性がありましたが、ファミリーカーとして安全性や快適性などを考えた場合に、現代の車としては物足りないところがあったのでは?と思います。

──ランドローバーのラインナップには、ディフェンダーのほかにレンジローバーもディスカバリーもあります。従来はプリミティブなモデルだったディフェンダーがラグジュアリーで現代に合わせた進化を遂げたことで、ディフェンダーを含めた3モデルは近い存在になったと感じますが、メーカーとしてはどう性格づけされていますか?

M:
いままではジャガーとランドローバーという2つのブランドで考えていましたが、3年前から「ハウス・オブ・ブランド」という戦略を導入しました。具体的にはジャガー、レンジローバー、ディフェンダー、ディスカバリーという4つのブランドで考えていく。

つまり、レンジローバーはデザインとラグジュアリーの頂点ブランドとして。もちろん、オフロード性能は高いので、“いざ”というときにも頼りになります。ディフェンダーはサーフィンやマウンテンバイクなど趣味をもっている人が週末に趣味を満喫し、そんな“日常の冒険”を支えつつラグジュアリーさも妥協したくない人向けのタフ&ラグジュアリーブランド。ディスカバリーはファミリー層を支えるSUVブランド。なので、イベントもランドローバーとして行なうのではなく各ブランドでの展開とし、各モデルの魅力をより知ってもらうべく行ないます。

よって、ディフェンダーはオフローディングで使う機材や趣味を支えるオプションなどもこれからどんどん充実させていく予定です。

──ディフェンダーには90、110、130がありますが、その使い分けは?

M:ほとんどのユーザーが110(110インチ=4,945mm)ですが、趣味を重視される方は、たとえばマウンテンバイクやサーフボードなどを積むことを考慮して130(5,275mm)をチョイス。90(4,510mm)はよりコンパクト性を望む方が選ばれます。

──旧ディフェンダーから比べると、ずいぶん高価になったな……という印象がありますが?

M:現行ディフェンダーはさまざまな仕様をその時々で販売していて、エントリーレベルの手に入りやすい限定モデルもあります。ユーザーによって必要な装備、ここまでは不要な装備といった要望にも応えられるモデルが出る場合もありますので、ぜひ公式WEBをチェックしてください。

試乗もディーラーに相談いただければご要望にお応えしますので、ぜひ!

 

▲DEFENDER TROPHY

1980年から1999年には世界一過酷なアドベンチャーレースとして知られる「キャメル・トロフィー」が開催されたが、ランドローバーはその第2回から1998年まで公式スポンサーとして車両をサポート。ランドローバーの他モデルであるレンジローバーやディスカバリー、そしてディフェンダーのボディに描かれたCAMELロゴとサンドグローと呼ばれるイエローのカラーを身にまとって荒野やジャングルなどを走破していく様は、ランドローバーの4輪駆動車としての卓越した性能を充分に示していた。

「キャメル・トロフィー」にはオリエンテーリング、クライミング、シュノーケリング、ラフティング、カヌーほかさまざまなタスクが用意され、順位を競い合う者同士であってもお互いを助け合いながら前へと進むシーンが随所で見られるアドベンチャーレースだった。

この精神はその後の「G4チャレンジ」へと受け継がれ、そして2026年秋に開催される9つのタスクをもつ「DEFENDER TROPHY」へも受け継がれていくことだろう。

DESTINATION DEFENDER

「DESTINATION DEFENDER」は、今年で3年目を迎え、今回で4回目となるディフェンダーのオーナー・ファン向けイベント。

今年の「DESTINATION DEFENDER」は野外ステージでの音楽ライブやトークショー、野外クッキングなどで盛り上がった。

以前の東京開催では1500〜2000人規模の音楽フェスと併催していたが、今回からはよりオーナー・ファンへの感謝の気持ちを込めて、ディフェンダーのファン同士がゆっくりゆったり楽しめるようなイベントへと進化して開催された。

 

▲グランピング施設も充実した開催地の「奏の森リゾート」は、伊豆高原や大室山にほど近い森のなかに佇む会場となっていた。

 

企画協力◉ランドローバー
0120-18-5568
https://www.landrover.co.jp/defender/

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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