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パキスタン・ラチャットバレー ~未踏のラインを求めて~【海外遠征、再挑戦の軌跡。】|WILDERNESS[ウィルダネス]No.8

長年、外からの人々を寄せ付けず閉ざされてきたパキスタン北部の山岳エリア。未知ゆえのラフな計画と豊富な経験値を持ち寄り、3人のクライマーが、未踏の花崗岩壁へ──。

文◉山本大貴
写真◉鈴木雄大、鳴海玄希、山本大貴

山本大貴 profile
1986年生まれ。関西学院大学山岳会所属。フリークライミングに憧れ山岳部の門を叩くも山登りに目覚め、学生時代に二回、ネパールでの海外登山を経験。社会人になってからは黒部横断やヨセミテへ行き始める。いまでもクライミングに情熱を100%注ぎ込みたいと思いつつ、最近の遠征のような登山にも心惹かれる

想像とは違った姿で現れた意中の山。

「これは厳しいな」

ベースキャンプから丸2日間歩き、3つ目の候補の登攀ラインの可能性を探る。正面に見える山が通称「オーガ」。2015年にポーランド隊にトライされるまでは、名もなき山であった。

オーガの基部に立った瞬間、思わずそんな言葉が漏れた。3日前の降雪が緩傾斜帯に薄く乗り、ただでさえ渋いラインに、さらに重い影を落としている。日中の気温で溶けた雪は岩棚を伝い、細い氷柱となって垂れ下がり、壁がどれほど湿っているかを雄弁に表していた。

尺取虫のようにじわじわと高度を稼ぐことは、技術的にはできるのかもしれない。だが、今年はそういう登りを求めていない。昨年、陽の当たらない北面でひたすら耐えるように登った感覚が、まだ身体に残っていた。できることなら、乾き切った岩を、気持ちよくつないでいきたい。

本命は、ハッショピークII。壁のスケール、状態、内容。そこに三人それぞれの嗜好や、チームとしての総合力を合わせて考えると、妥当なのはあの壁だと、内心では考えていた。ただ、オーガに可能性を感じる雄大の思いもある。候補のひとつであるこの壁を自分の目で確かめるために、丸々2日歩いた。遠回りではあったが、納得するためには必要な行程だった──。

2025年9月、鳴海玄希、鈴木雄大とパキスタン北部のラチャットバレーを訪れていた。K6を源頭とするこの谷には、花崗岩で形成された急峻な岩塔群が連なり、未踏の花崗岩壁がいまも数多く残されている。これまでここを訪れたクライマーは極めて少なく、AAJ(アメリカン・アルパイン・ジャーナル。世界中の記録を集めて発表している)の記録上でもわずか2隊にすぎない。その理由は、インド・パキスタン間の紛争の最前線である停戦ラインに隣接し、実質的に閉ざされた地域だったため。長く入山制限が課されていたが、ようやく2015年ごろから入山許可が下り始めた。

今回の目的は、このラチャットバレーで3番目に標高の高いチャンギII(6250m)に登ることだった。西稜は2018年にアメリカ隊が初登しているが、僕たちの計画は未踏である南壁のアルパインスタイルでの登攀。同時に、遠征を通じてこのエリアで質の高い岩峰を確認し、翌年以降の課題となるラインを探ることも目的とした。

事前情報は限られ、手元にあった資料は、アプリ系の地図、グーグルアース、そして過去の登山隊が残した数枚の写真のみ。BC(ベースキャンプ)の設営位置から目標とする山の細部に至るまで、多くは現地で判断する方針とした。

そんなルーズな計画が動き出したのは2025年3月末。イベントで偶然顔を合わせ、立ち話の延長で「とりあえず国とおおざっぱな日程だけ決めよう」というところから始まった。その後、各自が情報を持ち寄り、興味関心と3人の力量を照らし合わせながら、対象エリアや山を絞り込んでいく。そんな作業を4カ月ほど続け、にわか遠征隊は形になっていった。

(続きは本誌にてお楽しみください)

※この記事は「PEAKS 2026年2月号増刊 WILDERNESS No.8」からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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