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TOJ史上初のチームTT大鹿ステージ!新城幸也率いるソリューションテックが1秒差でUKYOの連勝を阻む|TOJ2026

「8 PIECES, ONE FUTURE.」をコンセプトに掲げる第28回「ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)2026」。大会4日目となる5月27日(水)は、今大会から新たに組み込まれた「Astemo 大鹿ステージ」。長野県下伊那郡大鹿村の美しい新緑のなか、TOJ史上初となるチームタイムトライアル(TTT)が開催された。

1秒45という息を呑む僅差の勝負を制したのは、今大会唯一のUCIプロチームであるソリューションテック・NIPPO・ラーリ。新城幸也が緻密に組み立てた完璧なチーム戦術がはまり、開幕から続いていたチームUKYOのステージ連勝記録にストップをかけた。

大自然に囲まれた11.4kmのTTT。ノーマルバイクでの総力戦

第4ステージの舞台は大鹿村の大西公園を起終点とする1周3.8kmの周回コース。これを3周する11.4kmで争われる。TTTとしては距離が短いものの、獲得標高は312mに達し、スタート直後から続く急勾配の登りとテクニカルな下り、そして川沿いの平坦ストレートが組み合わさった非常にタフなレイアウトだ。

UCIのルールによりTT専用機材の使用は禁止されており、各チームはノーマルバイク(エアロヘルメットの着用は可)で出走。チームの「3番目」にフィニッシュした選手のタイムがチームの記録となるため、登りでペースを合わせ、平坦・下りでいかに空気抵抗を減らしスピードに乗せるか、各チームの総合力と戦術が問われる過酷なレースとなった。

ホームチーム・Astemo宇都宮ブリッツェンの躍進と、プロチームの完璧な采配

全15チームが、チームランキングの逆順で2分間隔(ウェーブごとの間隔あり)でスタートしていく。前半の基準タイムを作ったのは、第2ウェーブで出走したキナンレーシングチーム。16分01秒33という好タイムをマークし、長らく暫定トップの「ホットシート」に座り続けた。

これを打ち破ったのが、今大会のホームチームであるAstemo宇都宮ブリッツェンだ。熱い声援を背に、最終周回の登りで一気にペースアップ。驚異的なファステストラップを叩き出し、15分52秒62とキナンのタイムを大きく塗り替えて暫定トップに躍り出る。

しかし、そのタイムをさらに上回ったのが、11番目に出走したソリューションテック・NIPPO・ラーリだった。新城幸也を中心に、一糸乱れぬローテーションでコースを攻略。最終周回の登りでは、カミール・ボヌー(ベルギー)やマッテオ・ファッブロ(イタリア)ら強力な登坂力を持つ選手たちが爆発的なスピードを見せつけ、15分44秒18でフィニッシュ。Astemo宇都宮ブリッツェンを8秒上回った。

ステージ優勝に導いた新城幸也は、その頭脳的な戦術を明かした。「登って下って平坦、というレイアウトだったので、川沿いの平坦ストレート区間で誰か一人が犠牲になれば、その間は他のメンバーが休める。だから最終周に3人が全開で上れるように、残りの選手でアシストしました。フィニッシュした3人は、最終周までに1回しか隊列の先頭を走ってないんですよ。彼らを完璧に温存したんです」。プロチームとしての意地と、ベテランの戦術眼が光った見事な勝利だった。

落車の悲劇を乗り越えたチームUKYO。わずか1秒差の死闘

ソリューションテック・NIPPO・ラーリの直後に出走したスワットクラブも、1周目でトップタイムを叩き出す快走を見せたものの、終盤にペースを落とし15分49秒30の暫定2位(最終3位)でフィニッシュ。

そして、暫定トップタイムが15分44秒18のなか、いよいよ最終出走のチームUKYOがスタート台を降りる。開幕から全ステージを制し、無双状態にあった王者チームだが、この日は不運に見舞われた。

なんと1周目開始直後のテクニカルな下りコーナーで、山本哲央が落車。このアクシデントを回避するためにナホム・ゼライ(エリトリア)も遅れをとり、チームUKYOは序盤からいきなり4名での走行を強いられることになってしまった。

しかし、ここから王者たちの驚異的な粘りが始まる。総合リーダーのトンマーゾ・ダーティ(イタリア)、フェデリコ・イアコモーニ(イタリア)ら4名で全開のローテーションを回し、1周目のラップタイムはなんとソリューションテック・NIPPO・ラーリを上回る最速タイムを記録。そのまま限界ギリギリのペースで周回を重ね、最終周回の登りへ突入した。

沿道の歓声を受けながら、3名がもがき苦しみながらフィニッシュラインに飛び込む。叩き出したタイムは15分45秒63。ソリューションテック・NIPPO・ラーリにわずか「1秒45」届かず、ステージ2位となった。

総合リーダージャージを守ったダーティは「1秒差でステージ優勝を失ったという事実は辛いものがあります。最初の下りで落車により山本とゼライがいなくなり、4人で残りのコースを全開で走るのはハードでした。そういう意味ではベストは尽くしました。明日以降のステージでも、我々はいいレースをしたいと思っています」と、悔しさを滲ませながらも前を向いた。

プラデス総合3位で粘る。勝負の行方は後半戦へ

劇的な決着となった大鹿村でのチームTTTを終え、総合タイムは加算されたものの、グリーンジャージのダーティ、そして山岳賞のジャコモ・ガラヴァーリャ(スワットクラブ、イタリア)、ポイント賞のベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン)、新人賞のウィル・ヒース(シーキャッシュ X ボディラップ、オーストラリア)の各賞ジャージ着用者に変動はなかった。

個人総合時間賞では、ステージ2位となったチームUKYOのイアコモーニが総合2位に浮上。しかし、ポイント賞のプラデスがトップから28秒差の総合3位でしっかりと粘りを見せ、チームUKYOによるトップ3独占を阻止している。

そのプラデスは「総合で上位にいますが、最終的に総合成績を狙うかはわかりません。富士山は年によっていい時と悪い時があるので……ベストを尽くします」とコメント。山岳賞のガラヴァーリャは「ステージ3位という結果は喜ぶべきでしょう。明日は山岳ポイントを狙いたいところですが、総合でも5位にいるので、簡単に逃がしてもらえるかは様子を見ましょう」と、明日以降の駆け引きを見据えている。

大会は中盤を終え、翌日は長野県飯田市を舞台とする「綿半 信州飯田ステージ(120.9km)」。厳しいアップダウンと名物「TOJコーナー」が待ち受けるサバイバルレースで、総合争いはさらに激しさを増していく。

リザルト

1位 ソリューションテック・NIPPO・ラーリ(イタリア) 15分44秒18
2位 チームUKYO(日本) +1秒45
3位 スワットクラブ(イタリア) +5秒11
4位 Astemo宇都宮ブリッツェン(日本) +8秒44
5位 トレンガヌサイクリングチーム(マレーシア) +13秒00
6位 キナンレーシングチーム(日本) +17秒15
7位 シーキャッシュ X ボディラップ(オーストラリア) +18秒71
8位 VC福岡(日本) +19秒70
9位 リーニンスター(中国) +19秒78
10位 愛三工業レーシングチーム(日本) +37秒85

個人総合時間賞(グリーンジャージ)

1位 トンマーゾ・ダーティ(チームUKYO、イタリア) 6時間0分38秒
2位 フェデリコ・イアコモーニ(チームUKYO、イタリア) +10秒
3位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン) +28秒
4位 ニコロ・ガリッボ(チームUKYO、イタリア) +31秒

5位 ジャコモ・ガラヴァーリャ(スワットクラブ、イタリア) +41秒
6位 マッテオ・ファッブロ(ソリューションテック・NIPPO・ラーリ、イタリア) +46秒
7位 レイン・タラマエ(キナンレーシングチーム、エストニア) +47秒
8位 ファーガス・ブラウニング(トレンガヌサイクリングチーム、オーストラリア) +48秒
9位 ニコロ・ペッティーティ(スワットクラブ、イタリア) +50秒
10位 マティアス・ブレンホイ(トレンガヌサイクリングチーム、デンマーク)

ポイント賞(ブルージャージ)

ベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン)

山岳賞(レッドジャージ)

ジャコモ・ガラヴァーリャ(スワットクラブ、イタリア)

新人賞(ホワイトジャージ)

ウィル・ヒース(シーキャッシュ X ボディラップ、オーストラリア)

チーム総合成績

チームUKYO

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PROFILE

せいちゃん

せいちゃん

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている

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