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大山祇神社へのお祭りライド——JR磐越西線サイクルトレイン、往路は50km、帰りは列車で楽々

2026年6月20日、JR磐越西線を舞台にしたサイクルトレイン企画の第2弾が開催された。4月25日の第1弾「猪苗代・川桁 観音寺川の桜ライド」に続く今回のテーマは、西会津町の大山祇神社。ちょうど春の大祭「大山まつり」の真っ最中という絶好のタイミングだ。喜多方駅を起点に約50kmを走り、帰りは野沢駅からサイクルトレインで輪行なしの帰還——このスタイルが好評で、募集開始からわずか1週間で定員が埋まったという人気を集めた。

参加者が喜多方駅前に集結——開会式での和やかなムード

喜多方駅前に集まった参加者。福島トヨペットのサポートカーが伴走した。

朝7時50分、喜多方駅前広場で受付が始まった。浜通りや中通りでは雨模様だったこの日、会津は天気が回復。開会式では主催者から「天気に恵まれました。皆様が元気な姿でまたこの喜多方駅に戻ってきてくださることをお祈りします」と挨拶があった。

続いて、参加者を代表して福島県議会議員の江花圭司さんがマイクを握る。「先週、大日本プロレスのリングに立ちまして、リングから降りようとしたら膝をやってしまいました。今日何個も坂があるか心配です」と笑いを誘いつつ、「最後尾を守って皆さんの安全を見届けます。一緒にゴールに向かって列車に乗れることを祈っております」と宣言。主催者からはすかさず「福島県を引っ張っていくというところで、ぜひ先頭でちぎって走ってください」とツッコミが入り、会場は朝から和やかなムードに包まれた。

参加者一同は喜多方の皆さんの応援を受けながらスタートしていった。

当初設定されていたAコースは見頃峠を越えるルートで、距離45.43km、総上昇量584m。一方、追加で設定されたBコースは泡の巻橋を経由するルートで、距離47.41km、総上昇量401m。距離はBコースのほうがわずかに長いが、獲得標高は約180m少ない。

喜多方市内を抜けると周囲は田園地帯で信号も少なく快適なルートが続き、奥には磐梯山が見える。

開会式では、スタッフからA・B両コースの説明が行われた。獲得標高の違いや当日の曇り空もあり、コース選択の挙手を求めたところ、Aコースに手を挙げる参加者はゼロ。全員がBコースを選ぶという、ある意味で潔い結果となった。飯豊山を綺麗に望めるスポットを通るAコースは次回開催へ持ち越しとなり、走行スタッフ4名も全員Bコースに帯同してスタートを切った

泡の巻橋を経由し、県営荻野漕艇場、西会津町にある大山祇神社、道の駅「にしあいづ」を経て野沢駅へ至る約50kmの行程だ。各チェックポイントには到着制限時間が設けられており、最終的に13時30分までに野沢駅に到着しなければサイクルトレインに乗車できなくなる。適度な緊張感がライドのペースを保つ仕掛けである。

阿賀川に沿って西会津へ——エイドではキッチンカーも

大きく蛇行しながら阿賀川に沿ってコースを進む

まず最初の目的地、県営荻野漕艇場へ。漕艇場(そうていじょう)聞き慣れない単語だが、昭和27年と平成7年には、国民体育大会ボート競技が開かれ、ボート界の聖地として知られる場所だ。

新郷ダム付近には塩坪化石層といわれる約1000万年前の地層が河川敷に広がり、クジラやサメ、貝などの化石を大量に含んでいるという

新郷ダムによりせき止められているダム湖ということもあり、緩やかに流れる川面を見ながらキッチンカーによるエイドを堪能した。通常のライドでは味わえない贅沢な体験となった。

甘酒ドリンク、エネルギーバー、ケーキなどがふるまわれた
阿賀川をバックに記念撮影

目的地、大山祇神社へヒルクライム

県営荻野漕艇場をでてからは西会津町にある目的地・大山祇神社を目指す。西会津町までは県道16号を走るが、並行するように磐越西線が阿賀川沿いを縫うように走っている。

尾登(おのぼり)駅では列車が抜いていった
ライドが開催された6月20日は、まさに春の例大祭「大山まつり」(6月1日〜30日)の真っ最中。西会津町には大山まつりののぼりが立っていた

大山祇神社といえば「一生に一度、なじょな(どんな)願いも聞きなさる野沢の山の神様」として、福島県内はもちろん新潟や山形一円から厚い信仰を集めてきた会津西方の霊場である。

野沢駅から大山祇神社までは約5km、120mほど上ることとなる

3年続けてお詣りすればご利益があるとされ、遙拝殿から4km先に鎮座する御本社までの参道には、樹齢450年の杉並木や2つの滝、道祖神が点在。山の息づかいが聞こえそうな静寂に包まれた癒しのトレッキングコースとしても親しまれている。

サポートスタッフとともに参拝

参拝の後は道の駅「にしあいづ」でランチ

昼食は道の駅「にしあいづ」で。愛称の「よりっせ」は西会津の方言で「寄ってください」の意味だ。大山まつり期間中は周辺の有名店が混雑するため、道の駅内のフードコートが昼食スポットとして案内されていた。

「観音茶屋」の十割手打ちそば、そして西会津のご当地グルメとして知られる「みそ家うのすけ」の味噌ラーメン——参加者たちはそれぞれ好みの一杯を選んで腹ごしらえ。味噌ラーメンは地元野菜がたっぷり乗ったボリューミーな一杯で、甘めの味噌スープが優しく旨みを引き出す。天ざるを選んだ参加者も多く、走った後の空腹には何を食べても格別だったはずだ。しっかり補給を済ませ、ゴールの野沢駅を目指した。

1両貸し切りのサイクルトレイン——阿賀川沿いを「逆走」する帰路

野沢駅ホームで記念撮影。約20台の自転車とキハE120形1両が並ぶ、サイクルトレインならではの光景

野沢駅のホームに参加者と自転車がずらりと並ぶ光景は圧巻だった。約20台のロードバイクとともに記念撮影を済ませ、いよいよ復路のサイクルトレインに乗り込む。

今回使用されたのはキハE120形の1両。普段は地元の足として磐越西線を走るこの気動車が、この日は自転車約20台を積み込んだ貸し切り列車に変身した。なかなかお目にかかれない1両編成の貸し切り列車である。

列車は野沢駅を発車すると、参加者たちがさっきまで走っていた阿賀川沿いのルートをなぞるように喜多方へ向かっていく。「あそこ走ったね」「あの坂キツかったよね」と、車窓から見覚えのある風景が流れるたびに会話が弾んだ。自分の脚で走った道を列車で戻る、サイクルトレインならではの体験だ。

「ライドのあとのサイクルトレインはいいよね。みんなライド中に仲良くなれるから列車で盛り上がれるし会話も弾みます」という参加者の声が、サイクルトレインを使ったツアーの良さを実感させた。

一の戸橋梁からの眺め。一の戸橋梁は明治43年(1910年)の開通時に「東洋一」と称された全長445m、高さ25mのボルチモアトラス橋で、架線柱がなく、視界を遮るもののない大パノラマを望むことができる。

そしてハイライトは一の戸橋梁からの眺め。列車はここで徐行し、参加者たちは高い橋の上からの絶景を満喫した。普段は日常の通勤通学を支える車両が、この日ばかりは特等席の観光列車となった。そして磐梯山が見えてくるといよいよ喜多方に到着だ。

無事喜多方駅に「ただいま、そして来年も開催してね~」

喜多方駅に到着すると、ホームには横断幕を掲げた大勢の出迎えが待っていた。普段は静かなこの駅に、サイクルトレインが活気をもたらした瞬間だ。自転車を降ろし、心地よい疲労感とともに駅前広場へ。閉会式では、主催者である「ふくしまデスティネーションキャンペーン喜多方推進委員会」のサイクルトレイン事務局としてイベントを主管したヨシハラ商会の高橋真志店長から、喜多方駅長をはじめ、サポートスタッフや参加者へ感謝が述べられた。

「弱い拡散でこうやって集まっていただいた。募集から1週間経たずに埋まるという喜びを与えていただいた参加者の皆様、本当にありがとうございました」と高橋店長。

今回サイクルトレインを利用したことで、喜多方から西会津・野沢を往復しないでも楽しめる、有意義なサイクリングコースとなった。

今年度は4月25日と6月20日の2回を実施。来年以降もこの磐越西線を使ったサイクルトレインを継続し、さらに発展させていきたいという意気込みが語られた。高橋店長は「今後も手探りでいろいろ、笑顔でやっていきたい」と締めくくり、最後は参加者全員での一本締めで幕を閉じた。

 

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PROFILE

山口

Bicycle Club / 編集長

山口

バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。

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