
トレック IsoSpeedなき新型ドマーネGen5発表 35mmタイヤと新設計で快適性を再定義|TREK
Bicycle Club編集部
- 2026年08月14日
INDEX
トレック・バイシクルより、同社のエンデュランスロードを牽引する名車「Domane(ドマーネ)」の第5世代となる新型モデルが発表された。
最大の特徴は、ドマーネの代名詞とも言える振動吸収システム「IsoSpeed」とダウンチューブストレージを完全に廃止したこと。これにより前作から驚異的な軽量化を果たしつつ、新設計のフレームレイアップとワイドタイヤの恩恵によって、従来と同等の比類なき快適性を維持している。
軽量クライミングバイクの「Émonda(エモンダ)」をも凌ぐ軽さを手に入れた、まったく新しい”真のエンデュランスロード”の詳細に迫っていこう。
クラシックレーサーから「真のエンデュランスロード」へのパラダイムシフト

ドマーネといえば、ファビアン・カンチェラーラと共に「北の地獄」と呼ばれるパリ〜ルーべなどの石畳のクラシックレースを制するために2012年に産声を上げたモデルだ。しかし、近年ではレース機材の空力とタイヤのワイド化が進み、リドル・トレックのプロ選手たちもパリ〜ルーベなどの過酷なレースでエアロロードの「Madone(マドン)」を使用するようになった。
プロのレース機材としての役割をマドンに譲ったことで、ドマーネは純粋に「週末のロングライドや非レースイベントを愛するサイクリスト」のためのエンデュランスロードとして進化する道を選んだ。トレックの市場調査によれば、日本のサイクリストの約42%がこの層に該当するという。より多くのライダーが本当に求めている「軽さ」と「快適さ」、そして「扱いやすさ」を極限まで追求したのが、今回の第5世代Domane(Gen 5)である。
IsoSpeedとストレージの廃止による「圧倒的な軽量化」

新型ドマーネの開発目標は「圧倒的な軽量化の達成」と「Domaneらしい快適性の維持」という、相反する2つの要素を両立させることだった。
これを実現するため、トレックは英断を下した。初代からドマーネの核であった「IsoSpeed(アイソスピード)」機構、そして第3世代から採用されていたダウンチューブ内のストレージを完全に廃止したのだ。複雑なギミックを削ぎ落とすことで、フレーム単体での大幅なシェイプアップに成功している。
その結果は数値に明確に表れている。
最上位グレードの「Domane SLR」フレームセットは、前作比でマイナス305gもの軽量化を達成。完成車重量に至っては最大950gの軽量化を果たし、SRAM RED XPLR(1×13)をアッセンブルした最軽量モデル(SLR 9)では、なんと完成車重量6.63kgというエンデュランスロードとしては異次元の数値を叩き出した。
さらに驚くべきはミドルグレードの「Domane SL」だ。
未塗装フレームセットの比較において、Domane SLは1,492g。これは同社の軽量モデルであるÉmonda SL(1,629g)よりも144gも軽い。完成車(SL 5)の比較でも、35mmの極太タイヤを履くドマーネ(8.84kg)の方が、28mmタイヤを履くエモンダ(9.10kg)より260gも軽いという下克上が起きているのだ。
IsoSpeed無しで快適性を生み出す「3つの新アプローチ」
「IsoSpeedをなくして、あのドマーネ特有の乗り心地は保てるのか?」という疑問に対して、トレックは3つの要素を連携させることで完璧な解答を用意した。
振動吸収に特化した新型フレーム

カーボン積層(レイアップ)をゼロから見直し、縦方向のコンプライアンス(しなり)を徹底的に追求。SLRモデルには最高峰の「OCLV 900」、SLモデルには「OCLV 500」を採用し、必要な剛性を確保しつつ路面からの突き上げをいなす設計となっている。
新型RSL丸型シートポスト

エアロ形状(D型など)のシートポストではなく、あえて汎用的な27.2mmの丸型シートポストを採用。振動吸収性に特化したカーボンレイアップを施すことで、シンプルながらも効果的にサドルへの振動をカットする。
35mm幅の新型ワイドスリックタイヤ

完成車の標準仕様として、新開発のボントレガー「Kwaremont(クワレモント)」35mm幅スリックタイヤを装備。フレームの最大タイヤクリアランスは40mmに拡張されており、圧倒的なエアボリュームで路面の凹凸を飲み込む。

トレックの「パフォーマンス・リサーチ・ラボ」で行われた実証テストによれば、前作(IsoSpeedあり/32mmタイヤ)と新型(IsoSpeedなし/35mmタイヤ)を比較した際、BB部の上下動差はわずか0.08mm、骨盤〜サドル間の距離差は0.11mmに留まった。これは「人間には判別不可能なレベル」であり、ギミック無しでも歴代ドマーネと同等のシルキーな乗り心地が実証されている。
空力と剛性の向上、そして最適化されたジオメトリーとサイズ展開

快適性と軽さだけでなく、走行性能も磨きが掛かっている。シンプルなフレーム形状になったことで空気抵抗は1.26W削減され、ペダリング剛性は6%向上。ダンシング時やヒルクライムでの加速感(スナッピーさ)が飛躍的に向上している。
ジオメトリーは、長距離でも疲労しにくい「エンデュランスジオメトリー」を継承。マドンと比較してヘッドチューブが2.3cm長く、リーチが1.0cm短く、ホイールベースが3.0cm長いため、アップライトで直進安定性に優れたポジションが出しやすい。なお、今作からはフレームサイズが「S / M / L」というシンプルなサイジングに変更されている。
まったく新しいライザーハンドルバー

さらに注目したいのが、標準装備される新型ハンドルバーだ。ブラケット部が20mm高くなるライザー形状を採用しており、スペーサーを何枚も積むことなくアップライトなポジションを実現できる。ドロップ部には40mmのフレア形状を持たせ、下りでのコントロール性を向上。トップ部にはバックスイープとIsoZoneパッドが搭載されており、手首への負担を最小限に抑える工夫が凝らされている。
実用性への配慮とラインナップ

ダウンチューブのストレージは廃止されたものの、実用性は損なわれていない。トップチューブとフロントトライアングル内には専用のボルトオンバッグマウントが新設され、すっきりとスマートに荷物を積載可能。フェンダーマウントやUDH(ユニバーサルディレイラーハンガー)、T47ボトムブラケットも完備し、メンテナンス性や拡張性も現代のトレンドを完全網羅している。

ラインナップは最高峰の「SLR」と、コストパフォーマンスに優れる「SL」の2本立て。SLRはProject One(プロジェクトワン)によるカラーやパーツのフルカスタマイズにも対応している。
【Domane SLR 完成車ラインナップ(電動コンポーネントのみ)】





- SLR 9 AXS XPLR 1×13 (SRAM Red XPLR) / 6.63kg
- SLR 9 AXS (SRAM Red 2×12) / 7.29kg
- SLR 9 (Shimano Dura-Ace 2×12) / 7.34kg
- SLR 7 AXS (SRAM Force 2×12) / 7.73kg
- SLR 7 (Shimano Ultegra 2×12) / 7.66kg
【Domane SL 完成車ラインナップ】




- SL 7 AXS (SRAM Force XPLR 1×13) / 8.14kg
- SL 6 AXS (SRAM Rival 2×12) / 8.64kg
- SL 5 (Shimano 105 機械式 2×12) / 8.84kg
- SL 4 (Shimano Tiagra 2×11) / 9.10kg
レーシングスペックの呪縛から解き放たれ、サイクリストが本当に必要な「軽さ」と「快適性」を最高次元で融合させた第5世代ドマーネ。ギミックを捨て去り、ロードバイクとしての機能美と基本性能を極めたこの一台は、ヒルクライムから休日のロングライド、ライトなグラベルまでを1台でこなす、日本のサイクリストにとって最も合理的な「最適解」となるはずだ。
問:トレックジャパン https://www.trekbikes.com/jp/ja_JP/
- BRAND :
- Bicycle Club
SHARE
PROFILE
Bicycle Club編集部
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。



















