
足裏の感覚を呼び覚ます!厚底時代のベアフットトレッキングシューズ|PONCHOギア深掘りレビュー(PEAKS 2026年9月号)
PEAKS 編集部
- 2026年08月21日
INDEX
ベアフットとは裸足のこと。ベアフットシューズとは、裸足感覚で履けるシューズを意味する。ワイズが広く、足指を動かしやすいスペースがあり、クッションとなるミッドソールは薄い。地面に裸足で立ったときと同様に、つま先とかかとの高低差がないゼロドロップ。昨今増えたハイキング可能なベアフットシューズを履く意味を、そのシューズ性能とともに深掘りしてみた。
編集◉PEAKS編集部
文◉ポンチョ Text by PONCHO
写真◉後藤武久 Photo by Takehisa Goto
裸足シューズで足を刺激。足指、足裏感覚を取り戻す
人類は長い間、裸足やサンダル、日本人であれば草履や草鞋、下駄などを着用してきた。足裏で地面の凹凸や傾斜を感じ取り、踏み出す足のバランスを取りながら足指をしっかり動かす。そうして重い荷物を持ったり、長い距離を移動する際の脚や体幹部への負荷を軽くしてきた。
しかし靴を履くようになった現代人の足は、狭い靴に閉じ込められた足指を動かしにくくなり、靴のクッションやソールで守られた足裏は、地面の凹凸や傾斜を感知するセンサー機能が鈍くなっている。もちろん個人差はある。しかし登山を趣味とする人にとって、この足の退化は困ったことだ。
ではどうすればよいか? 答えは簡単だ。裸足ですごす時間を増やせばいい。とはいえ、いきなり裸足ではケガをする。そこで活用したいのがベアフットシューズだ。短いウォーキングからはじめ、鈍った足に刺激を入れる。低山で履き、靴に守られて雑になった足さばきを修正。ベアフットシューズで鍛え、トレランシューズやトレッキングシューズでの登山の安定感を得よう。編集オダマキは、はじめてファイブフィンガーズを着用。強制的に足指を使う感覚に、「下りの不安が激減」したという。気になる人はぜひ試してみてほしい。
1 XEROSHOES M’s スクランブラーロウ EV

- ¥25,300
- 重量:260.8g サイズ:24.5~30.0cm
- スタックハイト:15.0mm(ソール:8.5mm、インソール:3.5mm、ストロール:3.0mm)
- カラー:アーミーグリーン、他1色
- 問 ケンコー社
ベアフットシューズの基本形街も山も、これからはじめよう
裸足感覚はありながら、ミシュランソールを採用し、登山道でもしっかりとグリップする。スタックハイトは15mmと平均的な薄さながら、アスファルトを歩いても衝撃の少ないクッション性も感じられる。つまり山から街まで、あらゆる路面に対応するオールラウンダーだ。ただし’80年代トレッキングシューズのようなデザインとボテっとしたフォルムは、好みが分かれそう。

2 MERRELL ラプト

- ¥15,400
- 重量:300g サイズ:25.0~30.0cm
- スタックハイト:13mm
- カラー:ホワイトセージ、他3色
- 問 丸紅コンシューマーリンク
違和感のないフィット、土踏まずサポートは強力
2011年に初めてベアフットシューズを手掛けたメレルは、このジャンルでの古参。しかしラプトの履き心地は、ベアフットシューズというよりノーマルシューズ的。もちろんソールは薄く、ゼロドロップなのだが、ラストが細身なのでフィット感はやや高め。土踏まずのアーチサポートもしっかりと入っている。徐々にベアフットシューズに慣れていきたいという人におすすめの一足だ。

3 VIVOBAREFOOT トラッカー レザー AT LOW II (M)

- ¥29,700
- 重量:335g サイズ:35~49(20~31cm相当)
- スタックハイト:10.5mm(ソールベース+ラグ:6.5mm、インソール:4mm)
- カラー:ブラッケン、他2色
- 問 ビボベアフットジャパン
人気の理由に頷くデザインと裸足感覚の高さ
このシューズはおもしろい。ソックス着用時はややルーズに思えたフィット感が、素足だと甲部のピタッと感が増す。レザー製のアッパーは、歩き出しは硬いが歩くほどなじむ。さらにミッドソールがなく、クッション性がないので脚にソフトな歩き方が身に付く。見た目と歩行感はアメリカ先住民が履いたモカシン的。手入れをして育て、足にフィットさせれば裸足感覚をより楽しめそう。

4 Notace ヤマ T1 メンズ

- ¥25,300
- 重量:215g サイズ:25.6~30.7cm
- スタックハイト:15.5mm
- カラー:オリーブ、他3色
- 問 ストライド
日本のデザインに影響を受けた進化系ベアフット
商品名に「ヤマ」とあるが、日本ブランドではなく、2025年創業の米国ブランド。トレイルランにも対応したモデルで、次世代eTPU製のミッドソールを搭載。既存のベアフットシューズとは異なるソフトさを実感できる。また足の動きに沿うソールが機能。厚手ソックスを履いて歩いているような感覚がある。アスファルトでは裸足感覚が強いが、登山道ではそれが歩行の安定感に変わった。

5 LEMS トレイルブレイザー

- ¥26,400
- 重量:298g サイズ:23.0~30.0cm
- スタックハイト:14mm
- カラー:コディアック、他1色
安定感、安心感のあるほぼトレッキングシューズ
スタックハイトは14mm、足指を動かせるワイド仕様、ゼロドロップとベアフットシューズとしての構造を装備。しかしミッドソールはベアフットシューズとしては反発力があり、アッパーにサポート力もあるので、履き心地はほぼトレッキングシューズ。だから鍛えるために履くのではなく、山で従来どおりに履いて足が育つ印象。クラシカルなデザインなど、細部のこだわりもいい。

6 Vibram Five Fingers スクラムキー

- ¥28,050
- 重量:203g サイズ:22.3~30.7cm
- スタックハイト:4mm
- カラー:ブラック、他3色
- 問 ベアフットインクジャパン
まさに裸足的シューズ!指を使う感覚は唯一無二
「足本来の自然な動きを引き出し、地面をしっかりと捉える感覚を呼び覚ますことを目的」に2005年に開発されたベアフットシューズのパイオニア。その履き心地はまさに裸足。5本指形状は、足と足指が持つ機能を体感できる。このモデルは近年多くのトレッキングシューズが採用するメガグリップ エリートをアウトソールに搭載。とくに岩場でのトラクション性能に優れている。

Check1 スタックハイトと疲労感

ベアフットシューズはノーマルシューズと比較すると、極端に薄いソールになっている。大まかな値だと、ロード用ベアフットシューズは3~10mm、ハイク用ベアフットシューズは15mm前後、トレッキングシューズは25~35mm、厚底シューズは30~50mmくらい。
メレル、ノータス、レムズはミッドソールを装備、ゼロシューズは中板を搭載しているため、薄さのなかにソフトさを感じた。さらにアウトソールのカーブが強いレムズは、他のフラットめなシューズよりも踏み出した足に推進力を感じ、構造はベアフットだが歩行感は厚底だ。
ビボベアフット

スタックハイト10.5mm。ミッドソールはなく、簡単に曲がるソールを採用。足裏が自由な反面、慣れるまで疲労大
メレル

スタックハイト13mmと薄いが、それはミッドソール一体型のインソールを採用しているから。ソフトで疲労は軽い
ゼロシューズ

スタックハイト15mm。もっともバランスのとれた足裏感覚で、凸凹道でも安定した歩行が可能。疲労もやわらかい
ヴィブラム

スタックハイト4mm。薄いので躊躇なく小石を踏むと痛い。アーチ部サポートが強く、薄さに反し疲労は小さめ
レムズ

スタックハイト14mmは、見た目に反した薄さ。でもソールは硬めで、クッション性も高い。疲労しにくい
ノータス

スタックハイト15.5mm。ソフトなミッドソール搭載。しかしダイレクト感強く、よく曲がるソールは疲労感大
Check2 シューレースの形状と締め込み具合の関係
前ページでも分類分けしているが、丸ひもはゼロシューズ、メレル、ビボベアフット、平ひもはノータス、レムズ。ヴィブラムはベルクロで、アーチサポートと連動したベルト仕様が素早く確実なフィットを可能にしている。
最近トレイルランニングシューズで増えている平ひもは、薄いベロを採用した際の当たりをソフトにするもの。ノータスがまさにその仕様。レムズは厚ベロで、クラシックなトレッキングシューズ的。丸ひもではメレルが厚ベロでソフト、ゼロシューズとビボベアフットは薄めのベロで足との一体感が高い。ほどけやすさは感じなかった。
丸ひも

締め込みやすいが、圧迫感があるといわれる丸ひも。しかしいずれもやや太めのレースを採用。それらのマイナス面は改善されていた
平ひも

締め込みが面倒といわれる平ひも。しかし登山での長時間着用では、任意の場所を緩めたり、締め込めて機能的。近年増えた理由でもある
Check3 アッパーの材質、形状によるフィット感
今回、全6足のベアフットシューズを履き比べてみてわかったのは、トレッキングシューズとは比較にならないほど、履き心地やフィット感がそれぞれに違うということ。この違いの理由は、どうやらアッパーの材質とかかとのホールド力にあると思われる。
レザー製は足との物理的な一体感でグラつきを予防、化繊メッシュは軽さを纏い、足運びをスムーズにする。またかかとのホールド力は、歩行の安定感をサポート。弱いものは裸足に近く、踏み出す足幅を狭めたり、確実なフラット着地を行ない、自分で安定をつくらなければならない。
ビボベアフット

ワイルドハイドレザーのアッパーは、なじむと一体感が高い。反面、かかとのホールドは弱め
メレル

ピッグスキンレザーアッパーで、足をがっちりホールド。かかとはやや弱く、歩行に力を使う
ゼロシューズ

化繊メッシュとラバー補強のアッパー。多少硬さを感じるも、全体的にホールド力が高い
ヴィブラム

ストレッチポリエステルアッパーは、第2の皮膚的。足指が合えば履いていることを忘れる
レムズ

マイクロファイバーとエアメッシュのコンビアッパー。クッションも厚めでフィット感よし!
ノータス

2重メッシュアッパーは超軽量。シューレースを締め込むと、かかとがスッと収まる感覚がいい
Check4 フィールドでの足裏感覚、歩行感はどれがいい?

12年ほどベアフットシューズを履いて足を鍛え、足指を自在に動かせる私。いっぽう最近ベアフットシューズを履きはじめた編集オダマキとでは、各シューズの足裏感覚の印象に違いが出るのではないか? そう思っていたが、結果はほぼ同じだった。「足裏感覚がある」シューズというのは、スタックハイトが低く、ソールが柔軟なものになる。ヴィブラム、ビボベアフットがそれ。とはいえ、他のモデルも足裏感覚はあり、適度なクッション性があって歩きやすい。鍛えるなら薄底だが、長く歩くならクッション性があったほうがよいと感じた。
ビボベアフット

ミッドソールがないため、登山道の凸凹がダイレクトに足裏に響く。その歩行に慣れると、足が確実に変わりそう
メレル

ノーマルシューズと遜色ない履き心地で、足裏感覚はソフト。足に自信がない人のパフォーマンスアップに◎
ゼロシューズ

地面を感じる楽しさと、衝撃から足を守るやさしさを両立。路面を選ばず、確実に歩き続けることが可能だ
ヴィブラム

足指が広がらない人でも、広げて歩ける。すると、足指を使うことの意味がわかる。地面のダイレクト感も強い
レムズ

多くの人が違和感なく履ける。足裏感覚は強くないが、フラットな着地がしやすく、安定した一歩に導く
ノータス

舗装路ではハード、登山道ではソフトという2面性が不思議。ソフトなのに足裏感覚が鋭敏になるのが面白い
Check5 ベロの構造や厚さはどんな違いを生むのか?
昨今のトレイルランニングシューズ、トレッキングシューズは、軽量化のために甲部のベロが薄くなってきている。またベロとシューズを連結してズレを防ぐガセットタン構造も、少数派になってきている。しかし恐らく素足で履くことも想定しているのか、メレル、ビボベアフット、ノータスはガセットタンを採用。甲部を包み込む感覚が高かった。また適度な薄さのゼロシューズ、ビボベアフット、ノータスは、足上げが軽く感じられた。裸足感覚ということだと、シューレースのないストレッチアッパー素材のヴィブラムは、次元の異なる一体感がある。小石などの異物の侵入もほとんどない。
ノータス

片側だけを本体に縫い付けたハーフガセットタンを採用。薄いタン、平ひもと連動して、甲部の圧迫感を軽くしている
レムズ

ヴィブラム

ストレッチ素材のソックス仕様なのでベロはない。ストレッチ性が弱いと着脱が面倒だが、心配無用。フィット感も秀逸
ビボベアフット

レザーアッパーに薄いガセットタンを搭載。トレッキングシューズ的なフィット感で、異物や水の侵入を抑えやすい構造
Check6 インソールはどうなっているのか?
薄いスタックハイトを実現するために、ヴィブラムとメレルは、インソールがミッドソールと一体化。着脱はできないが指で触れると、足を保護するソフトな仕様になっている。他シューズはインソールの着脱が可能。ゼロシューズは立体的で足なじみがいい。ビボベアフットは体温に応じてシューズ内の温度調整をサポートする。ノータスは凸凹仕様で足裏感覚を刺激。レムズはクッション性が高い。ビボベアフット、ノータスは、インソールを外して履いても違和感のないつくり。より足を鍛えたいなら、外してみるのもありだ。


今回のお気に入り
■PONCHO
私がはじめて履いたベアフットシューズはヴィブラム。そのよさがさらにアップしていた。ゼロシューズは、日常的に気兼ねなく履いて鍛えられそうな機能とデザインが気に入った!


■オダマキ
ゼロシューズはつま先がしっかりガードされていて、レムズはつま先が上がっており踏み出しがスムーズ。どちらも足がすぐ疲れてしまう人におすすめ! ベアフット感控えめなのも◎。


※この記事はPEAKS[2026年9月号 No.180]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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編集◉PEAKS編集部
文◉ポンチョ Text by PONCHO
写真◉後藤武久 Photo by Takehisa Goto
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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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