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牧野英明/下手なプライドは捨てちまえ|連載_NO RUN NO LIFE

コミュ力お化けと揶揄される筆者が、SNS上では描ききれない “人らしさ”を、“走る人”を通して拾い上げていく新たなインタビュー連載。

記念する第一号は、「BEAMS」の社員として在籍しながらも、ファッションランニングアドバイザーという、聞いたこともない肩書きを勝手に作って名乗り出し、ランニングインフルエンサーとしての地位を確立した牧野英明さん。

<連載>

10年前、ランニングカルチャーがライフスタイルやファッション文脈で芽吹き出し、同時にSNSビジネスがはしりだした頃、牧野さんは“走れる、かっこいい、インフルエンサー”として、走り出した。

現在は、ランニングアパレルのアドバイザーをしたり、ランニングコミュニティーのペーサーになったり、ブランドのアンバサダーを務めたりと、名実ともに順風満帆な日々を送っている。

と、思っていた。

足が速くて、おしゃれで、かっこいい! だけが、牧野さんの魅力ではない。

今回は、本業は会社員、副業は著名人。黄金の二足の草鞋を手に入れた彼の人間味あふれる一面を深掘りしていく。

家長にも、課長にもならない

牧野:学生時代からファッションは好きで。今の会社もファッション関連の仕事に就きたいと思って就職しました。でも、好きなものが仕事になってしまうと、仕事なのか好きなものなのかという境界線が、曖昧になってきてしまう。仕事が趣味みたいになるのも嫌だったんで、ファッションではない趣味を持ちたかったんです。

走るのは得意だったから、走ってみようって思って。当時ウェブメディアの「HOUYHNHNM(フイナム)」がランニングクラブを立ち上げた頃で、そこによく出入りするようになり、いろんな人と出会う機会に恵まれまして。そこから色々走る仕事が増えていきましたね。

ちえ:私が牧野さんと出会った時はちょっとその後だったような気もします。もう牧野さんは結構色々なメディアに出ていた時期でした。

何かの会の帰りに、よく飲みに行くようになって。電車の終電がなくなったら、“走って帰るんで”、というので、住まいを聞いたら栃木だっていうから、その頃から、なんかすごい人だなぁって思っていました。

牧野:田舎なんで、終電になると、終点が手前の東京寄りのところまでしか出なくなっちゃうんですよ。あの頃はそこから走って家に帰ってましたね〜。家には絶対帰らなければならないという契約を妻としているので(笑)。

ちえ:走り始めるようになって色々と環境や生活が変わり出した牧野さんに対して、当時、ご家族はどんな反応だったんでしょうか?

牧野:家族は、正直、誰も僕に関心がないんですよ。ヒエラルキーで言うと下層なんで(笑)。いっときは飼っていた亀よりも下でした。

初めてサブスリーを報告した時も、息子が“何位?”って聞いてきて。1000位くらいだったかな〜?と言ったら、すごくないじゃんという空気が流れました。3万人の中での1000位ってかなりすごいことじゃないですか!(笑)

その後、地方のレースで優勝した時は、そこまでのタイムではなかったけど、初めて家族が“すごい”って認めてくるみたいな。そんな感じなので、今でも特に僕のランニング業界での動きというのは家族はほとんど興味を持ってないです。

僕自身も特に、それで良いと思っていて。僕は、順位とか人からの評価というのに対して、あまり興味関心がもてないんですよね。だから、会社での評価も常に偏差値47くらいで、浮いたり沈んだり、ずっとそこらへんをウロウロしているのが僕のキャリアの平均です(笑)。

上司にも、評価のシステム、僕だけ無しにしてもらえませんかね?って交渉したんですけど、そんな特別扱いはされないので(笑)。今も順調に少しずつ低空飛行しています(笑)。

ちえ:でも会社の評価が悪いと居心地悪くなりません? なんというか、窓際族みたいにみられることが、気になったりしないんですか?

窓際が一番外側に近いという考え方

牧野:僕は、窓際って一番外側(の社会)に近いって思ってるんですよ。なんていうのかな、存在としては窓際かもしれないけど、このポジションだからこそ、ランニングを通して臨機応変に外に出かけていって、いろんな人と出会って、つながりを作っていける。

そのつながりを得た外側の人たちが、“牧野っていうすごい人がその会社にいるんでしょ?”なんて噂を入れてきて、会社としても、なんか牧野がすごいことやってるらしいってなる。その循環が窓際だからこそできる気がしていて。

その代わり、会社としての与えられた以上の仕事はしないので、出世もしないですけどね。学生時代からここでバイトを始めて、そのまま会社員としてこれまで長らく所属していますが、僕は部下を持ったことが今まで一度もないです(笑)。

ちょっとずつ、ポジションは上がってはいるものの、それはそれ。特に評価にはつながってないけど、特に気にしてないですね〜!

ちえ:潔いというか、そういう開き直り方というのはこの時代にすごく大事な気がします。こんな髪型して建前とか考えてんのかと思われそうですが、私は人の目がやっぱり気になっちゃうんですよね。

こんな私でさえそうなんだから、世の人々の多くは社会の反応に、むやみに削られていることも少なくはないかと。

牧野:まあ確かに、余計なことに頭がつい割かれてしまうことも少なくはないです。ちょっと話外れてしまうかもしれないけど、人と会話していても、なんかスマホをいじって違うことに気持ちが向いてしまうこともある。

そういう意味では最近、ランニングミーティングがやっぱ一番良いなって思うようになって。

走りながらスマホはいじれないので、脳みそ同士でちゃんと会話ができてるなって実感します。話したいことを、雑念なく話し合える時間。日々のトレーニングだけでなく、最近はそんなふうにしてランニングの時間を使うこともあります。

牧野英明

約20年前、まだまだランニングがお洒落でもなく、ライフスタイルとしてのカテゴリーにもなってなかった時代。陸上部で培った脚力を活かして、第二のランライフをスタートさせた。本業はファッションセレクトショップ「BEAMS」の会社員。高身長、高ルックス、サブスリーランナーにも関わらず、とっつきやすく、愛嬌のある性格とあって、現在は個人メディアとしても活躍。本業である「BEAMS」のオンラインショップでは「牧野商店」を手掛ける。
@makinohideaki

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PROFILE

CHIE

CHIE

フルマラソンのPBは3:39。3年前から空手にハマり、黒帯に向けて目下邁進中。得意技は後ろ回し蹴りと吊り込み投げ。サーフィンとヨガも趣味に持つ、運動大好きっ子な編集者/コピーライター。

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