
巻機山ヌクビ沢コースで、プチ沢登り!夏こそ行きたい「涼」の冒険
宇宙HIKE
- 2026年09月01日
8月のうだるような暑い日。新潟県と群馬県の県境にそびえる名峰・巻機山へ行ってきました。巻機山といえば、歩きやすく整備された「井戸尾根コース」が定番ですが、今回は初めての「ヌクビ沢コース」に挑戦!このコースは、難所や道迷いのリスクがあるため初心者や単独(ソロ)での入山は推奨されていません。しっかりとした経験者に先導してもらい、安全第一でスタートです。
いざ、ヌクビ沢コースへ

桜坂駐車場を出発してすぐ、井戸尾根コースとの分岐が現れます。そこから沢沿いへと足を進めると、まもなく目の前にダイナミックで迫力ある景色が広がっています。


「沢沿いの岩場は滑りやすいのでは?」と少し緊張していましたが、実際に歩いてみると、ヌクビ沢の岩肌は意外なほど滑りにくく、登山靴がしっかりと岩を捉えてくれます。要所にはロープもしっかりと設置されているので、三点支持を意識しながら慎重に進めば大丈夫。


見上げるほどの一枚岩が現れたときは一瞬身構えましたが、こちらも見た目よりずっとグリップが効くので、落ち着いて登れば怖さは感じません。

強い陽射しが照りつけますが、耳に心地よい沢のせせらぎと、時折ふわっと吹き抜ける冷たい風が体温を下げてくれます。なにより、常にすぐそばに水がある安心感。

水しぶきを肌に浴びながら進む感覚は、まるでプチ沢登りのようで、これまでにない新鮮な楽しさがありました。
足元に息づく高山植物と、最後の難所

ふと足元や岩の隙間に目を向けると、可憐な高山植物たちが優しく迎えてくれます。厳しい環境のなかでひっそりと、でも力強く咲くお花たちの姿は、いつの季節も乾いたノドと疲れた体に元気をくれますね。

沢の源頭部に近づくにつれ、徐々に水流が細くなり、いよいよ最後の登りへと差しかかります。ここからがヌクビ沢コース一番の正念場。こんな一枚岩も、見た目より滑らないので怖さは感じません。でも過信はせずに慎重にゆっくり登ります。

目の前に立ちはだかるのは、かなりの急斜面です。見上げると真っ青な空。

あと少しで稜線だと言い聞かせながら、ほぼ四つん這いのような姿勢になり、一歩一歩ふみしめるように登りつめました。
稜線に抜けると、そこは別世界

稜線に出た瞬間、それまでの青空から一転して真っ白なガス(霧)があたりを包み込みました。でも、遮るもののない稜線で直射日光を遮ってくれるガスは、むしろ天然のクーラーのようで最高に気持ちがいい。火照った体を冷ましながら、冷たい風に吹かれてホッとひと息。腰を下ろして、のんびりと山頂でのぜいたくな休憩時間をすごします。

晴れていれば大展望が広がりますが、ガスに煙る幻想的な景色もまた一興。点在する美しい池塘を眺めているだけで巻機山の優しい抱擁に包まれているような、とても癒される時間が流れていきました。
帰りは井戸尾根コースから無事に下山。心地良い疲労感に包まれながら、またひとつ大好きな山の新しい表情に出会えた喜びを噛み締めました。でもじつは、私がこの山の魅力は夏の涼しさだけではないんです。
黄金色の海が広がる「秋の巻機山」

夏の瑞々しいヌクビ沢も最高ですが、秋の紅葉シーズンはまた言葉を失うほどの美しさ。山全体が赤や黄色、オレンジのグラデーションに染まり、一歩歩くごとにまるで絵画の中を歩いているような景色が広がります。

見渡す限りの草紅葉が、まるで黄金色の海のように優しく波打つ稜線。

そして、この秋色の稜線をのんびり歩いていると、足元にとても可愛らしい出会いがあります。木道のすぐ脇にある池塘群。水がたまっている部分が絶妙なバランスで並んでいて、まるで「スマイルマーク」に見えませんか?
登山者のあいだでも人気の、出会えたらハッピーになれる巻機山名物の「スマイル池塘」。木道のカーブと、草紅葉に囲まれてにっこり微笑む池塘を見ていると、登りの疲れも一瞬で吹き飛んで、自然と笑顔になってしまいます。
息をのむ美しさ!白と青が織りなす「冬の巻機山」

夏の瑞々しい緑や、秋の鮮やかな紅葉がすばらしい巻機山ですが、じつは冬の美しさもまた格別なんです。厳しい冬を迎えると巻機山は一転して、どこまでも静寂が広がる白銀の世界へと姿を変えます。

抜けるようなコバルトブルーの空と、一点の曇りもない純白の雪原。雪をまとった広大な稜線を一歩一歩ふみしめて歩く冬の静かな山行は、夏とはまた違った深い感動を与えてくれます。
四季をとおして訪れたい、大好きな巻機山

秋には黄金色に染まり、冬には息をのむような青と白の絶景が広がる巻機山。季節を変えるたびにまったく違う表情で迎えてくれますが、この「夏のヌクビ沢」で味わった涼しさと冒険は、私にとって忘れられない特別な体験になりました。うだるような暑さを忘れさせてくれる爽快な水しぶき、一歩一歩グリップが効く感覚で登る岩肌、そして稜線に抜けた瞬間のあの天然のクーラー。五感のすべてが潤うようなあの心地よさは、過酷な夏を歩ききったからこそ出会えた、山からのご褒美のよう。
心地よい疲労感に包まれながら、またひとつ、大好きな山の新しい表情に出会えた喜びを噛み締めました。
写真&テキスト◎佐藤百恵(宇宙HIKE)
https://www.instagram.com/momotan715?igsh=N3J5dHBiM2JrcW50&utm_source=qr
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PROFILE
宇宙HIKE
Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。
Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。
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