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ピレリ「PゼロレースTLR RS」試乗レビュー「ツールを戦う万能レーシングタイヤは、速くて、怖くない」|PIRELLI

プロレースシーンの主役は、チューブラーからチューブレスへと移った。2026年のツール・ド・フランスでステージ2勝を挙げたのが、ここで紹介するピレリのPゼロレースTLR RSだ。新世代のSmartEVO2コンパウンドとSpeedCOREケーシングを採用し、「トップクラスの万能レーシングタイヤ」を掲げるフラッグシップモデルである。数値スペックには表れないその実力を、自転車ジャーナリスト安井行生さんがお伝えする。

ツールの主役は、チューブラーからチューブレスへ

プロレースシーンでも、主流はチューブラーからチューブレスへ移った。代わりに主役となったのはチューブレスタイヤである。2026年のツール・ド・フランスでは、ピレリのタイヤを使うリドル・トレックとアルペシン・プレミアテックにより、リムとの段差を減じて空力性能を向上させたPゼロレースTLR SL-Rが2勝、ここに取り上げるPゼロレースTLR RSが2勝を挙げた。最終ステージでは表彰台を独占し、さらにマッズ・ピーダスンがポイント賞、リドル・トレックがチーム総合優勝、クイン・シモンズがベスト・チームメイト賞を獲得するなど、ピレリが2017年に自転車業界にカムバックして以来、大きな存在感を放っている。

SmartEVO2とSpeedCOREが生む「万能レーシングタイヤ」

PゼロレースTLR RSは、PゼロレースTLR SL-Rと並ぶピレリのフラッグシップモデル。コンセプトは「トップクラスの万能レーシングタイヤ」で、モータースポーツのタイヤ開発で得られたノウハウを投入し、それまでのPゼロシリーズとは異なる新世代のコンパウンド(SmartEVO2コンパウンド)とケーシング(SpeedCOREケーシング)を採用し、レーシングタイヤに求められる各性能を高次元でバランスさせたという。

ラインナップは26C、28C、30C、32Cというトレンドに沿った4サイズで、重量はそれぞれ270g、290g、310g、340gとなる。28C以上はフックレスリムに対応しており、メーカーサイトにはタイヤサイズ・体重・使用するリム幅ごとの推奨空気圧が提示されている。

ブラックに加え、レトロ、クラシック、チームエディションという4カラーが用意され(26Cはブラックのみ)、イタリア・ミラノ近郊のボラーテ工場にて製造される。素材にはFSC認証(環境、社会、経済の面で適切に管理された森林から得られた材料であることを証明する国際的な認証制度)を取得した天然ゴムを使用しており、スピードだけでなく環境も意識している。

トレッドが完全スリックとなるPゼロレースTLR RS(手前) とは異なり、PゼロレースRS(奥)には雷状のパターンが入る。グリップ感やロードインフォメーションを最適化するためだろうか。

P ZERO RACE TLR RS

価格:17,300円(税込)

  • カラー:BLACK、CLASSIC、RETRÒ、TEAM EDITION
  • サイズ(重量):700x26C(270g、※BLACKのみ)、700x28C(290g)、700x30C(310g)、700x32C(340g)、700x35C(370g、※BLACK、TEAM EDITIONのみ)
  • タイヤタイプ:TUBELESS READY
  • ケーシング:120tpi
  • コンパウンド:SmartEVO2 COMPOUND
  • ストラクチャー:SpeedCORE™
  • フックレス対応:28C以上 ※最大空気圧5bar/73psi

詳細はこちら

試乗レビュー 自転車ジャーナリスト安井行生

これは文句なしにいいタイヤだ。とはいえ、“いいタイヤ”の定義は「タイヤに何を求めるか」で変わる。1秒を争うレーサーにとっては転がり抵抗が低くグリップが高いタイヤが“いいタイヤ”だし、荒れた路面を含む長距離を走るなら耐パンク性と快適性と耐摩耗性が高いタイヤが“いいタイヤ”だ。

しかし「安心して使える」「扱いやすい」「怖くない」という性能は、どんな使い方・どんな人にとってもメリットになる。このPゼロレースTLR RSでまず感じたのは、そういう意味での“いいタイヤ”である、ということだ。タイヤが路面に張り付くような接地感があり、乗り始めた瞬間からバイクを振り回せるし、安心してコーナーを攻められる。初めて使うタイヤは、特性を探りながら恐る恐る……という段階を踏むことが多いが、これはそんな前段をすっ飛ばせる。

“しっとりした軽快感”という表現がしっくりくる

でありながら性能は間違いなくトップクラスだ。転がり抵抗は非常に低く、巡航性能も高いが、薄氷を踏むような危うさは皆無。グリップ感がありありと伝わってきて、安心感がある。無理矢理文字にするなら「しっとりした軽快感」とでも言うべきか、走りの軽さと安心感を両立しているので、どんどん攻めることができる。凹凸を拾っても減衰が速く、乗り味も上質なので、レースにはもちろん、走りそのものを楽しむライドにもいい。「転がり抵抗○W減」とか「グリップが○%向上」といった数値スペックには表れない性能である。

問:カワシマサイクルサプライ https://www.riogrande.co.jp/

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PROFILE

安井行生

安井行生

大学卒業後、メッセンジャー生活を経て自転車ジャーナリストに。現在はさまざまな媒体で試乗記事、技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆する。今まで稼いだ原稿料の大半を自転車につぎ込んできた。

安井行生の記事一覧

大学卒業後、メッセンジャー生活を経て自転車ジャーナリストに。現在はさまざまな媒体で試乗記事、技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆する。今まで稼いだ原稿料の大半を自転車につぎ込んできた。

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