
学生サイクリスト必見!返済不要の奨学金「トビタテ!留学JAPAN」で叶える海外レースへの挑戦
Bicycle Club編集部
- 2026年08月21日
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ロードレース、トラック、MTB、シクロクロス……競技種目を問わず、自転車に打ち込む学生なら一度は「本場ヨーロッパや海外で走ってみたい」と夢見たことがあるはずだ。しかし、資金面や学校との両立など、そのハードルは決して低くない。そこで注目したいのが、文部科学省と独立行政法人日本学生支援機構が共同で展開する留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」、その主な取り組みとなるのが返済不要の奨学金制度「トビタテ!留学JAPAN新・日本代表プログラム」だ。高校・大学生を対象とした本制度は、競技実績よりも「情熱」を評価するのが特徴。その制度の全貌と、自転車競技者にとっての活用法を紐解く。
海外志向85%、しかし認知度はわずか3割
「海外で走ってみたい」。多くの若き自転車競技者が抱くその夢は、アンケート結果にも明確に表れている。バイシクルクラブが高校生・大学生の自転車競技者を対象に行った調査によれば、海外でのトレーニングやレース活動への関心は85%と非常に高かった。
しかし一方で、「トビタテ!留学JAPAN」の認知度は約3割に留まり、決して高いとは言えなかった。

海外には行きたいが、そのための選択肢や支援制度が十分に知られていない。研究や教育、地域課題、芸術など幅広いテーマを対象としているこの返済不要の奨学金制度が、実は自転車競技をはじめとする「スポーツ分野」でも活用可能なことは、競技者の間でまだ広く浸透していないのが現状だ。
成績より「情熱」。挑戦を支援する「新・日本代表プログラム」
まず理解しておきたいのは、「トビタテ!留学JAPAN」と「新・日本代表プログラム」の関係だ。日本の若者の留学機運を高めることを目的に2013年にスタートしたこのプロジェクトの中で、高校や大学などに在籍する生徒・学生を対象とした返済不要の奨学金制度が「新・日本代表プログラム」である。
最大の特徴は、留学そのものよりも「挑戦」に重点が置かれていること。参加者は自らテーマを設定し、留学計画をゼロから組み立てる。語学学校で学ぶ人もいれば、現地の企業やNPOでインターンとして活動する人もおり、そのスタイルは多岐にわたる。

選考において重視されるのは「情熱」「好奇心」「独自性」の3つ。成績や語学力は選考の中心ではない。文部科学省は「グローバルな視点を持ち、ご自身の関心のある分野でリーダーシップを発揮できる人材を育成したい」とその理念を説明する。
「強い選手」だから選ばれるわけではない
自転車競技者として最も気になるのは、「本当にスポーツ活動で利用できるのか?」という点だろう。これについて文部科学省は「スポーツ分野からの応募や採択は毎年一定数存在している」と明言する。
ただし、誤解してはならない点がある。本制度は特定の競技やエリートアスリートを重点的に支援するためのものではなく、あくまで「多様な若者の夢や志を支援すること」を目的としている。スポーツ分野も、その多様な挑戦の1つという位置付けだ。
興味深いのはその評価基準だ。競技者の多くは「全日本選手権やインターハイでの実績がないと受からないのでは?」と考えがちだが、文科省の回答は異なる。
「競技実績というのは、その方の情熱や独自性の表現のひとつであり、特段重視することではありません」
この言葉が示す通り、現在のタイムやリザルトよりも「その競技を通じて海外で何を学びたいのか」「どのような目的を持って行くのか」というプロセスが評価される。「強い選手だから」ではなく、「明確なテーマを持って挑戦する人だから」採択されるのがトビタテの仕組みなのだ。
遠征費の支援ではない。「学びを伴う海外挑戦」が絶対条件

ここで、自転車競技者が計画を立てる上で最も注意すべき大切な条件がある。それは「海外レースへの参加だけでは留学計画として認められない」という点だ。「新・日本代表プログラム」では、現地での実践活動の要件として、学校や企業、団体などの「法人による受け入れ」と、活動を証明する書類が求められる。
例えば、「現地の語学学校や高校・大学に通う」「自転車関連企業や団体で活動する」といった受け入れ先を確保した上で、その活動の一環として週末にレースへ参戦する、という形であれば計画として成立する。また、現地のクラブチームであっても、法人として受け入れ証明が発行可能であれば単独で留学先となる可能性がある。
つまり、本制度は単なる「遠征費の補助」ではなく、「学びを伴う海外挑戦」を支援する制度なのだ。
学校の理解が不可欠。高校生サイクリストが越えるべき壁

今回、実際に同プログラムを活用して海外へ挑戦する高校生アスリートのケースを取材する中で見えてきた現実がある。それは、高校生の場合は本人の熱意だけでなく、学校側の理解と協力が不可欠だということだ。
現在オランダとベルギーへ渡っている高校1年生の小田島寛奈選手も、応募や各種手続きを学校を通じて進めている。高校生が海外へ行くためには、出席日数の確保、定期試験、学校行事、そして部活動や国内遠征のスケジュール調整など、クリアすべき課題が多い。校長の承認も必要となる。

実際、小田島選手のケースでも留学期間は夏休みを中心に設定されており、学校生活との両立を最優先に考慮した日程が組まれた。文部科学省も「多忙な高校生活の中での両立は容易ではない。早めに情報収集し、段取りをすることがポイント」とアドバイスを送る。
数週間の短期留学でも「意義は無限大」

「たった3週間やそこらで、競技力が劇的に変わるのか?」と疑問に思う人もいるかもしれない。事実、同プログラムで支援される高校生の多くは、14日以上3か月未満の比較的短期の留学だ。
しかし、参加者からは「人生が大きく変わった」「日本や世界を見る視点が変わった」という声が数多く寄せられている。文科省も「その意義は無限大」と表現する。長期間のヨーロッパ拠点で活動することの価値は言うまでもないが、高校生活と両立しながら数週間だけでも本場の空気に触れ、自分自身で生活し、現地のライダーと肩を並べて走る経験は、その後の競技人生に多大な影響を与えるはずだ。
留学はゴールではない。次回の実践編では小田島選手に密着

「留学はゴールではなく、その方の夢や志を実現する手段」。文部科学省はそう強調する。過去のトビタテ経験者の中には、これをきっかけに再び留学に挑戦する人、海外でプロ選手として活躍する人、自転車産業で起業する人などもいるという。
自転車競技を通じて何を学び、海外で何を得て、その経験を将来どう社会や自分自身の人生につなげていくのか。その明確なビジョンさえあれば、自転車競技は「トビタテ!留学JAPAN」を活用する有力なフィールドになり得る。

「トビタテ!留学JAPAN」の公式サイトでは、これまで派遣された2,500名以上の留学生の体験談を検索できる「留学大図鑑」が公開されている。ベルギーへ自転車競技をテーマに留学した先輩の体験談なども掲載されており、これから海外を目指す学生にとって大きなヒントになるはずだ。
次回バイシクルクラブでは、実際に「新・日本代表プログラム」を活用し、自転車大国オランダ・ベルギーへと渡った高校1年生・小田島寛奈選手の挑戦に密着する。制度の説明だけでは見えてこない、リアルな海外挑戦の現場レポートをお楽しみに。
トビタテ!留学JAPAN 留学大図鑑(自転車競技選手、梶鉄輝の事例):https://tobitate-mext.jasso.go.jp/zukan/detail-994
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