
日本大学自転車部を支援する一般社団法人が発足、株式会社チャリ・ロトとの連携を開始
Bicycle Club編集部
- 2026年08月25日
8月25日日本大学自転車部は、当部の活動基盤の強化および長期的な発展を支援する新たな組織として、OB会を主体とした「一般社団法人クリムゾンサイクリングアカデミー」を発足させたことを発表した。同法人の代表には、当部監督でありOBでもある我妻敏氏が就任する。
また、法人の発足にあわせ、競輪・オートレースの車券販売や競輪場の包括運営事業などを展開する株式会社チャリ・ロト(東京都渋谷区、代表取締役:石原洋輔、以下「チャリ・ロト」)との連携を開始する。
自転車競技ならではの経済的負担の軽減と、競技者のキャリアの選択肢拡大へ

日本大学自転車部は創部以来、学生主体で競技活動や地域交流活動を継続してきた。しかし近年は、学生団体の枠組みだけでは対応が難しい課題や機会が増えているという。
同部のOBであり、現在は監督として学生の競技活動に携わる我妻氏は、法人設立に至った思いをこう語る。
「学生たちを見てきた中で、選手がより競技に打ち込み、活躍できる環境をつくるためには、大学・学生・保護者という従来の枠組みだけでなく、OBや企業など様々な方々と一緒に支えていく仕組みが必要だと感じてきた」
その背景には、学生自転車競技を取り巻く大きく2つの課題がある。ひとつは、競技を続けるための経済的負担の大きさだ。
自転車競技は、自転車や機材の購入・メンテナンス費に加え、国内外への遠征など、競技活動を継続するうえで大きな費用が伴う。そのため他の競技に比べ、学生や保護者の経済的負担が大きく、金銭的な理由から競技継続や入部を断念せざるを得ないケースも少なくない。
「自転車本体や各種機材は年々高騰しており、メンテナンス費や国内外の遠征費など、多くの費用が必要になる。学生や保護者にとって大きな負担となっているこうした部分を支援できる構造をつくり、保護者の経済的負担が最も少ないチームを実現したい」(我妻氏)
もうひとつは、学生アスリートのキャリア形成である。卒業後も競技を続ける進路として、プロチームや実業団への所属、競輪選手などがあるが、そうした進路を選択できる学生は限られている。
「競技を続けるだけでなく、競技経験を生かしながら一般企業への就職も含めた多様なキャリアを選択できる環境が必要だと考えている」(我妻氏)
こうした背景を受け、日本大学自転車部の活動の継続性と社会的信用の向上を図るとともに、多様な支援を受け入れられる体制を構築するため、OB会が主体となり、2025年8月8日に一般社団法人クリムゾンサイクリングアカデミーを設立した。
一般社団法人の設立により、企業との連携を円滑に進められる体制を整える。企業との連携による支援を通じて、学生や保護者の経済的負担の軽減を図り、学生が安心して競技を継続できる環境づくりを目指すという。
同法人が目指すのは、従来のトレーニング環境を維持・向上させ、選手がより高いレベルで活躍できる環境を整えながら、「選手が自転車競技を続けるうえで、保護者の経済的負担が最も少ないチーム」の実現だ。
また、学生アスリートのキャリア形成を支援するため、インターンシップの実施や企業との交流機会の創出など、競技経験を生かした多様なキャリアの実現につながる取り組みを推進していく。
我妻氏が掲げるビジョン 最終的には研究者を目指す競技者の支援

我妻氏は、今回の取り組みを中長期ビジョンの「第一歩」と位置づけ、「育成」をキーワードに「フェーズ3」まで見据えていると明かした。
フェーズ1:自チームの育成強化と支援の向上
フェーズ2:ジュニア世代など、幅広い世代の育成支援
フェーズ3:大学院進学・研究者を目指す競技者の支援
とりわけフェーズ3について、我妻氏は独自の構想を語る。
「自転車は欧州発祥のスポーツだ。これまで日本は、フランスをはじめとするヨーロッパの取り組みを取り込み、選手を送り込むなどして競技成績の向上に努めてきた。歴代の関係者が尽力されてきたが、私自身は、欧州のスポーツサイエンスが進んでいる部分を超えない限り、本当の意味で日本がヨーロッパのスポーツを超えるときは来ないのではないかと考えている。日本のスポーツサイエンスを推進し、それを研究・打開していく研究者を支えられる団体としてやっていくことが、結果的に日本の自転車競技界を底上げする営みになると思っている」
株式会社チャリ・ロトとの連携による可能性

日本大学自転車部は、一般社団法人設立にあわせてチャリ・ロトとの連携を開始する。チャリ・ロトは、「自転車文化の振興」と「次世代選手の育成」に取り組む企業だ。本連携では、スポンサーとして活動費の支援ならびに競技における必需品の提供を受ける。
チャリ・ロトの石原氏は、まず自社事業を紹介したうえで、連携の狙いを語った。
「当社は競輪場の包括運営や再整備事業をはじめ、競輪・オートレースのインターネット投票サイト『チャリロト』の運営を行っている。競輪という枠にとどまらず、自転車競技全体の発展や次世代を担う選手の育成にも貢献していきたい。今回の取り組みを通じて目指すのは、学生選手の挑戦を支え、未来を広げることだ」
支援は競技面とキャリア面の両面にわたる。競技面については、活動支援金の提供に加え、物品支援の内容を学生の声から決定したという。
「自転車競技は機材や遠征など、競技を続けるために多くの費用がかかると聞いている。学生の皆さんが少しでも安心して競技に打ち込める環境を届けたいという思いから、競技活動への支援金を提供する。物品についても実際に学生の皆さんにヒアリングし、購入時の負担が大きいヘルメットや、日々の活動で継続的に必要となるサイクルボトル、練習着など、要望の多かったものを支援することにした」(石原氏)
提供品にはチャリ・ロトのロゴマークを掲出し、日々の練習や大会などで使用する予定である。
「学生の競技活動を支援すると同時に、私たちにとっても選手やファンの皆様にチャリ・ロトを知っていただく新たな接点になる。自転車競技に取り組む選手の裾野が広がり、その中から競輪を将来の選択肢として考える選手が増えていくことは、競輪業界の活性化にもつながる」(石原氏)
キャリア面では、インターンシップの受け入れなどを双方で検討していく。石原氏は「学生が企業や仕事に触れ、自身のキャリアや将来の選択肢について考える機会を提供していきたい」と述べた。
チャリ・ロト社からの主な支援内容
競技活動への支援金の提供
競技必需品の提供(ヘルメット、サイクルボトル、練習着)
学生アスリートを対象としたチャリ・ロトでのインターンシップ(予定)
ヘルメット

サイクルボトル
練習着

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