
BOAが最新研究を発表 精密なフィットでアタック時に最大22W、登坂で4Wのパワー向上を実証|BOA
Bicycle Club編集部
- 2026年09月19日
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サイクリングシューズのクロージャーとして圧倒的なシェアを誇るBOA Technology(ボア・テクノロジー)が、同社の社内研究機関「BOAヒューマン・パフォーマンス・フィット・ラボ(Human Performance Fit Lab)」による最新のバイオメカニクス研究成果を発表した。シューズのフィッティング構造がペダリング効率や出力に与える影響を多角的に検証した結果、足の甲を包み込む「BOA®-Powered Wrap構成」が、アタック時に最大22ワット、登坂時に4ワットの出力向上をもたらすことが科学的に実証された。1ワットの差が勝敗を分ける現代のロードレース界に一石を投じる、画期的な研究成果を詳しくレポートする。
見落とされがちな「足・シューズ・ペダル」のコネクションに着目

世界の頂点を争うUCIワールドツアーの現場において、機材やポジションのエアロダイナミクス、転がり抵抗、駆動系の摩擦抵抗といったあらゆる要素を最適化し、1ワットの無駄も許さない「マージナル・ゲイン(わずかな改善の積み重ね)」の追求は今や常識となっている。
しかし、ライダーが生み出すエネルギーをバイクへと伝える唯一無二の接点でありながら、意外にも見過ごされてきたのが「足・シューズ・ペダル」のコネクションだ。いくらフレームやホイールが進化し、ライダーのフィジカルが高くとも、シューズ内で足が滑ったり、局所的な圧迫によるエネルギーロスが生じていては、パワーを100%推進力へと変換することはできない。
この課題に対し、BOA社が誇る最先端のバイオメカニクス研究施設「BOAヒューマン・パフォーマンス・フィット・ラボ」は、シューズのアッパー構造とフィッティングがサイクリングパフォーマンスに与える影響を科学的に突き止める研究に着手した。
パワーをダイレクトに伝える「BOA®-Powered Wrap構成」の3要素
今回の研究で焦点が当てられたのが、足を上から単に締め付けるのではなく、アッパーパネルで足全体を包み込むように固定する革新的なパネル構造「BOA®-Powered Wrap構成」だ。

従来の一般的なシューレース(靴ひも)や中央引きのストラップ構造では、締め付けの力が足の甲の一点に集中しやすく、圧迫感や血流阻害、あるいはペダリング時の足のズレを招くことがあった。これに対し、BOA®-Powered Wrap構成は以下の3つの要素によって、足・シューズ・ペダルの一体感を飛躍的に高めている。
- 自然な足指のポジションを保つトウボックス
つま先をより自然に広げられるスペースを確保することで、ペダリングストローク時の安定した踏み込みと疲労軽減をサポート。 - 中足部を均一かつ精密にホールド
均一な圧力配分とミリ単位のマイクロ微調節により、中足部を確実に安定させ、足とシューズのブレを抑制。 - 確実なヒールホールドによる高い一体感
かかとを深層からしっかりと固定し、引き足や高トルク時にもシューズ内での不要な動きを排除。ミッドソールおよびクリートへのパワー伝達を最大化する。


ダイヤルをコンマ数ミリ単位で微調節できるBOAダイヤルの利点と、アッパー全体で足を包み込むラップ構造が融合することで、ペダルストロークごとのエネルギー伝達ロスを極限まで排除している。
アタック時に実質+22W! 4つのシチュエーションで検証されたデータ
ロードレースは一定ペースの巡航だけでなく、急激なペースアップ、急勾配の登坂、ダウンヒルなど、刻一刻と状況が変化する。BOAの研究チームは、レースで直面する4つの代表的な走行条件において、BOA®-Powered Wrap構成がもたらす効果(空気抵抗の差を差し引いた正味の出力差=NET値)を検証した。

1. アタック/スプリント(最大75km/h、最大1500W想定)
- パワー向上:+25W
- エアロ影響:-3W
- ネットゲイン(NET):+22W
勝負の決定打となる爆発的なスプリントやアタックでは、極めて短時間に最大出力をペダルへ叩き込む必要がある。足を完璧にホールドし、引き足から踏み込みへの移行時の遊びをなくすことで、空気抵抗の影響(-3W)を差し引いても、実に正味22ワットもの驚異的なパフォーマンス向上が実証された。
2. クライミング(登坂:15〜20km/h、400W想定)
- パワー向上:+4W
- エアロ影響:0W
- ネットゲイン(NET):+4W
斜度が急になる登坂では、身体にかかる負荷が跳ね上がり、疲労とともにペダリング効率が低下しやすい。過去の管理テストでは走行開始時に最大3%(約3W)の伝達効率向上が確認されていたが、走行時間が長くなるほどそのアドバンテージは拡大(最大4.5W)。今回の実走条件テストでも、ライダー出力400Wにおいて正味4ワットの向上が確認された。
3. タイムトライアル(50〜60km/h、400W想定)
- パワー向上:+4W
- エアロ影響:-2W
- ネットゲイン(NET):+2W
一定の高出力を維持し続けるTTにおいて、足とシューズの一貫したコンタクトは無駄な筋活動を抑え、エネルギーの消耗を防ぐ。時速50〜60km/h、出力400Wの条件下で、空気抵抗増分を相殺した上で正味2ワットのパフォーマンス向上を示した。
4. ダウンヒル(最大100km/h、0W想定)
- パワー向上:+0W
- エアロ影響:-5W
- ネットゲイン(NET):-5W
高速の下りではペダリングパワーそのものは発生しないため、空力面ではわずかに抵抗が増す結果となった。しかし、時速80〜100kmに達する高速コーナーでは、シューズ内で足がブレず、確実な車体コントロールと高い安定性を得られることが何よりのアドバンテージとなる。

1時間の登坂で「1分30秒」の短縮に相当するパフォーマンス優位性
従来のシューレース(靴ひも)式シューズと比較した場合、BOA®-Powered Wrap構成は以下の劇的なアドバンテージを発揮する。

これらを実際の登坂に当てはめるとどうなるのか。BOA社のシミュレーションによれば、「平均勾配7.5%・距離21.5kmのヒルクライムを約1時間走行した場合」において、正味3〜7ワット高いパワー出力を維持でき、フィニッシュタイムを約1分30秒短縮できる計算になるという。グランツールの山岳ステージで1分30秒といえば、総合争いの順位を決定づける決定的なタイム差だ。

プロトンの7割が愛用 女子王者カシア・ニエウィアドマも絶賛
こうしたラボでの科学的データは、すでに世界のトッププロトンにおける圧倒的な支持によって裏付けられている。

2026年のツール・ド・フランスでは出走184人中123人(プロトンの67%)がBOA搭載シューズを選択。さらに過酷を極めたツール・ド・フランス・ファム avec Zwift 2026においては、出走147人中113人(フィールドの77%)という驚異的な着用率を記録した。
同年のツール・ド・フランス・ファムでマイヨ・ジョーヌを身に纏い、名峰モン・ヴァントゥーで力強い走りを見せたカシア・ニエウィアドマ(キャニオン・スラム・ゾンダ・クリプト、ポーランド)は、次のようにその信頼を語る。
「急勾配の登りから激しいスプリントまで、BOAフィットシステムはペダルとの完璧な一体感をもたらしてくれます。パワー伝達の良さは驚くほどです」

また、BOA Technology社でパートナープロダクト・イノベーション&開発部門のVPを務めるダン・フィーニー博士(Ph.D.)は、現代のロードバイク機材開発におけるフィッティングの重要性をこう説く。
「サイクリングの最高レベルでは、意味のあるパフォーマンス向上を達成することがますます難しくなっています。だからこそプロチームは、ライダーと装備を1つの統合されたシステムとして捉え、全体を科学的に分析しています。私たちの研究は、フィットが極めて重要な役割を果たすことを明確に示しました。BOA®-Powered Wrap構成は、足全体に圧力を分散しながらヒールを強固に固定し、より効率的なペダルストロークを可能にします。レース中に指先一つでコンマ数ミリの微調整ができる利便性も、過酷なステージを戦い抜くライダーの大きなアドバンテージになっています」
機材の進化は足元から――次世代シューズ選びの新基準

フレームやホイールの剛性、タイヤの転がり抵抗にこだわるサイクリストは多いが、身体の出力をマシンへと橋渡しする「シューズのフィット構造」がこれほど大きなワット数の差を生み出すという事実は、多くのサイクリストにとって目から鱗の発見と言えるだろう。
足指を圧迫せず、中足部からかかとにかけて均一にホールドするラップ構造と、いつでも瞬時に最適なテンションへ合わせられるマイクロアジャスト機能。BOAが科学的に証明した「最大22W」のアドバンテージは、レースで勝利を目指すシリアスレーサーだけでなく、ロングライドで少しでも体力を温存したいホビーサイクリストにとっても、今後のシューズ選びにおける決定的な指標となりそうだ。
BOA Technologyについて
米コロラド州デンバーに本社を置くBOA Technology社は、特許取得済みのBOA®フィットシステムを用いたパフォーマンス・フィット・ソリューションのパイオニア。微調節可能な精密フィットを実現するシステムは、サイクリングをはじめ、スノースポーツ、トレイルランニング、ゴルフ、アウトドア、ワークウェアなど幅広い分野で採用されている。すべての製品は「BOAライフタイム保証」でサポートされ、社内のフィット・ラボにおける科学的検証とトップアスリートのフィードバックによって進化を続けている。
公式ウェブサイト:https://www.boafit.com/ja-jp
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