
サドルの悩みに科学で挑む。スペシャライズドが骨盤ヘルス専門家を迎える|SPECIALIZED
Bicycle Club編集部
- 2026年10月14日
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サドルが当たって痛い、会陰部に違和感がある——多くのサイクリストが抱えながら、人には言いにくい悩みだ。スペシャライズドは、この領域を専門とする臨床家・研究者のHedwig Neels博士とのパートナーシップを発表した。同博士はBody Geometryチームの一員として、ライダーの評価手法やフィッティング、そして製品開発に取り組む。
骨盤まわりの健康は「フィッティングの土台」

サドルやシューズ、ハンドルバーを生み出してきたBody Geometryに、臨床の知見が持ち込まれることになる。ニールズ博士はアントワープ大学で理学療法の修士号と医科学の博士号を取得。男女サイクリストの骨盤底の健康と、サドルに起因する身体トラブルの研究で高い評価を受けている臨床家だ。
スペシャライズドでヒューマンパフォーマンスを統括するTodd Carver氏は、今回の参画についてこう語っている。
「ニールズ博士がもたらしてくれる専門知識は、私たちが長年必要としていたものです。バイクフィッターとして断言できますが、骨盤まわりの健康とサドルの快適性は、優れたフィッティングの土台そのものです。それがなければ、どれほど細かくフィットを調整しても、本当に良いフィッティングとは言えません」
ポジションの数値を詰める前に、座面と身体が接する部分で何が起きているのかを見る——。フィッティングの考え方そのものに関わる視点だ。
ニールズ博士の臨床の知見をフィッティングと製品開発へ

Body Geometryにおいてニールズ博士が取り組むのは、ライダーの評価方法やフィッティング、そして長期的なサポート体制の発展だ。あわせて、これまで十分に研究されてこなかった男女それぞれの身体特性や健康課題への理解を深め、サイクリングにおける本質的なニーズを探っていくという。
さらに、臨床現場で培われた評価手法をフィッティングプロセスや製品開発へと落とし込み、新たなフィッティング手法や技術の開発にも取り組む。ロード、グラベル、MTBといったあらゆるライドカテゴリーで、ライダーが実際に体感できる価値へとつなげるのが狙いだ。
チームにはTodd Carver氏のほか、Cliff Simms氏、Waylon Woolcock氏、Jason Williams氏らが名を連ね、フィット、サドル、フットウェア、ハンドルバー、ライダーの健康に関するBody Geometryの科学を推進している。
独自開発の「Cycling Saddle Soreness Screening」
ニールズ博士は自身のクリニックを運営するほか、複数のプロサイクリングチームに携わり、女性ヘルスおよび骨盤ヘルス分野の専門家向け教育にも従事している。診療では男女アスリートの骨盤底トラブルを専門とし、とりわけサイクリスト特有のサドル関連症状を重点的に扱う。
独自に開発した「Cycling Saddle Soreness Screening」では、皮膚、外陰部、会陰部、骨格構造に加え、ライド中に圧迫を受ける神経、血管、リンパ管、骨盤底筋群までを詳細に評価。専門的な3D/4D超音波診断と臨床検査を組み合わせ、問題の根本原因を明らかにする。
治療面では、リアルタイム超音波フィードバック、TECAR療法、体外衝撃波治療、経皮的電気分解療法といった手法を用い、複雑な骨盤底筋や骨盤帯の課題にも対応しているという。
語られにくい悩みに、光を当てる

ニールズ博士の研究データは、このテーマが単なる健康問題ではなく、パフォーマンスにも直結することを示している。女性の半数以上が人生のどこかで骨盤底の問題を経験し、女性アスリートが運動をやめる理由の上位3つにも骨盤底トラブルが挙げられている。一方で男性サイクリストも、サドルの痛みや骨盤の不快感、会陰部の腫れなどを抱えながら走り続けているケースが少なくない。
「骨盤の健康とサイクリングは、私が最も情熱を注いできた二つの分野です。その知識と経験を、ワールドツアーで戦うトップアスリートから、サイクリングを愛する一般ライダーまで幅広く届けられることを大変光栄に感じています。
特に私が力を入れたいのは、多くのサイクリストが密かに抱えながらも語られることの少ない身体の悩みに光を当てることです。こうした問題には、いまだに話しづらい空気や偏見が存在します。しかし、骨盤まわりのトラブルはライドパフォーマンスにも、バイクを楽しむ喜びにも大きな影響を与えます。だからこそ、このテーマをもっとオープンに語れる環境をつくりたいのです」
ニールズ博士は女性の健康やサドルトラブルに関する著書や研究活動も行い、骨盤ヘルスに関する情報発信プラットフォームも立ち上げている。講演やワークショップを通じて、スポーツにおける骨盤ヘルスのタブーをなくし、誰もが安心して相談できる環境づくりに取り組んでいる。
サドルが合わない、痛みが出る——そうした悩みを「自分の我慢が足りないだけ」と片付けてきたライダーにとって、この動きは心強いはずだ。
問:スペシャライズド・ジャパン https://www.specialized.com/jp/ja
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