
クライムオン‼ 2026 イベントレポート【ロープクライミング講習編】
PEAKS 編集部
- 2026年06月22日
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2年ぶりに開催された「クライムオン‼ 2026」。今回初参加のクライミング系ブランドも加わり、さらにパワーアップ。まずはロープクライミング講習のイベントレポートからお届けしよう。
編集◉PEAKS編集部
文◉阿部 静
写真◉洞 将太、石川貴大
5月の最終週の土日に開催された「クライムオン‼ 2026」。今年は2日間とも晴天に恵まれ、絶好のクライミング日和に開催することができた。ロープクライミング系の講習は2日間合わせて13講習開催と過去最多だ。その内容は初心者向けのトップロープ講習や親子向けのもの、中・上級者に向けたクラック講習やマルチピッチ講習、ボルトの知識や支点構築、レスキューについて学べるものまである。さまざまなブランド、講師が関わっている「クライムオン‼」ならではの特徴であり、魅力のひとつといえるだろう。そんな特色豊かなブランドと講師陣によって開催されたロープクライミング系の講習のようすを紹介していこう。
はじめてのマルチピッチ講習【by ADVENTURE GUIDES】
イベントの直前までエベレストの遠征にでかけていた、国際山岳ガイド・近藤謙司さんがガイディング。トップロープは経験済みだけど、マルチピッチクライミングははじめてというふたりが参加した。

取り組んだのはガマルート。小川山の初級のマルチピッチルートとして知られている。今回はガマルートの2ピッチ目から取り付いていく。岩場でいうとガマスラブの一段上に当たる場所だ。

マルチピッチクライミングの特性上、最大3人1組でしかロープを繋げない。つまり、必然的に受講生はふたりのみしか受け入れることができず、近藤ガイドからマンツーマンでレクチャーとサポートを受けながら登ることができるのだ。なんてぜいたくな内容だろう。

近藤さんがリードし、1本ずつロープで繋がれたふたりが近藤さんのビレイを受けながらセカンド、サードで登っていく。マルチピッチルートを3人で登る際の方法だ。

近藤さんのキャラクターも相まって、お互いを愛称で呼び合うなど和気あいあいとした雰囲気。無事にふたりとも登りきり、はじめてのマルチピッチクライミング体験は和やかな空気のなか終えられた。
はじめてのアウトドアクライミング講習【by ADVENTURE GUIDES】
こちらも国際山岳ガイド・近藤謙司さんが講師を務める。アウトドアでのクライミングが初めての人を対象にしたトップロープ講習だ。土曜日の午後から開催された。岩場は比較的緩斜面のスラブ状岩壁になったマガスラブ。初心者にも登りやすい岩場だ。

まずはゲレンデでのルールとマナーの解説や、基本の身体の使い方をレクチャー。登り出す前にお互いのロープチェックも忘れずに。

足の広い面積を使って母指球に体重を乗せる、重心をどこにもっていくかなど、クライミングにおいて重要なポイントを、その都度参加者に伝え、身体で覚えてもらう。

トップまで登ったときのかけ声のルール「テンション」「張ってください」など、下界でレクチャーしたあとに現場で実践。ロープを持たずに手を広げて足を突っ張る。地面に下りたらしゃがむなど、安全なロワーダウンの方法もひととおり教わった。

ルールとマナー、登り方を教わって、それぞれが何本か実践していくうちに、この短時間でクライミングの基本が身に付いたようだ。
マルチピッチロープワーク入門【by ARC’TERYX】
山岳ガイド・井坂道彦さんによるこちらの講習は、岩場ではなくメイン会場裏からスタート。

まずは座学形式で、支点作成や懸垂下降といった基礎的なロープワークについて学んでいく。その後、実際に岩場へ!

ガマスラブの二段目へ移動し、取り付きを開始する。ガマルートの2ピッチ目に当たる場所からのスタートだ。座学での支点作成をおさらいし、現場で復習する受講生の姿も。

リード→フォローのビレイ→懸垂下降というマルチピッチの一連の流れを模擬的に岩場で体験していく。4人の受講生が2ペアとなって、マルチピッチで必要なロープワークを交互に行ない、実地訓練を繰り返した。

注意すべきポイントや、より安全性を高めるコツなどを、井坂さんの実演によって解説してもらい、より理解が深まったようす。実際に手を動かし、身体を動かし、何度も繰り返す。繰り返していくことで身体が覚え、いずれ自分のものとなるのだろう。
はじめてのトラッドクライミング【by ARC’TERYX】
フリークライミングインストラクターの菅沼雅宏さんが、トラッドクライミング、クラッククライミングの世界を案内。はじめはフェニックスの大岩の右側付近で講習をスタートした。

初心者に向け、テーピングの巻き方とコツをレクチャー。クラッククライミングでまず必要なテクニックは、クラックに手をねじ込む「ジャミング」。ジャミングを行なう際、手の甲が岩で擦れてしまうため、テープで保護することが大切なのだ。

テーピングができたら、実際にクラックのある岩場でムーブをトライ。先行する手を順手にして体を岩に引きつけ、後続する手を逆手にして岩にぶら下がるーーという順手&逆手のコンビネーション、また足のジャミング、体勢や角度などのジャミングに合わせた体の動きをレクチャーしてもらう。

カムデバイスについてもその種類や特徴、選び方など基礎から解説し、実際のセッティングシーンで実演していった。

受講生が交代でビレイしながら、それぞれがジャミングやクラックのムーブを実践してみる。その後、親指岩に移動して実際にトライ!
セルフレスキュー入門【by ARC’TERYX】
山岳ガイド・井坂道彦さんが教える、セルフレスキュー術。ふだんからクライミングに親しんでいる男性3人が受講。ガマスラブの一段上の岩場で開催された。

リスクを伴う岩場での活動時にケガをしてしまった場合を想定し、自分で対応できる限りの対処法を実践訓練、レスキュー時に活用できるロープワークや搬送方法を学んでいく。

講習の狙いは、クライミング時の装備を活用し、工夫してできるセルフレスキュー法を身に着けること。レスキュー講習となると、それに最適化された特別なデバイスを用いる方法を学ぶこともあるが、通常のクライミングシーンにおいてそれらは携行していないはず。実際に岩場で問題が発生してしまったときに手持ちの装備でできることを身に着けておくことが、なによりセルフレスキューとして役立つのだ。

持ち物はハーネス、ビレイデバイス、120㎝スリング、セルフビレイ用スリングなど、だれもが必ずクライミング時に携行している道具のみ。プラスオンの道具ありきではなく、いまある道具の用い方や工夫を中心にレクチャーした。

スリングを使った登り返しの方法もレクチャー。宙づり状態から登り返す際に専用器具を使わずとも120㎝スリング1本で行なうことができる。覚えておいて損はないセルフレスキュースキルのひとつだ。
安全のためのボルトの知識講習【by ARC’TERYX×JFA】
もはや毎回恒例となっている、国際山岳ガイドの黒田誠さんによるボルトの知識講習。ボルトの知識を得ることで安全意識も高められる。クライマーならぜひ一度は受けてほしい内容だ。

まずは会場周辺の木漏れ日の美しい森のなかで座学講習から。ボルトの種類や、それぞれの違いについて黒田さんより解説。開拓のスタイル、クライミングカルチャーの変遷の話も織り交ぜながら、ボルトが使われてきた歴史も紹介。

ボルトの解説後、兄岩周辺に実際に打たれているボルトを見に行き、ボルトの種類の判別を行なった。安全面が担保されていないことから、現在はクライミングでの使用を禁止しているボルトもある。また、ペンチで簡単に抜けてしまうものもあるため、使用の際はよく観察し、動かないかチェックしてから使うことが大切だ。

ボルトの種類によってもトラブルの多いものやボルトが抜けるなどの事故が起きやすいものなどもある。トラブルを回避するためにはボルトとナチュラルプロテクション、ロープの組み合わせはセットで考えたほうがいいという。このボルトも近年よく使われているものだが、使用の際は緩みがないかなど、よくチェックしてから使おう。
はじめての支点構築と懸垂下降【by BLUE ICE】
山岳ガイド・島田和昭さんから学ぶ、支点構築と懸垂下降の基礎講習。八幡沢方面の樹林帯に入り、まずは急登の斜面で支点構築の方法をレクチャーしてもらう。

場面に応じた安全なセルフビレイの取り方を学び、急登の斜面で懸垂下降にトライ。懸垂下降する前には、ビレイデバイスの装着の向きや安全環付きカラビナがちゃんとロックされているかなどをチェックすること。

支点構築時の安全確保を再度確認し、荷重は下降側に均等にかけ続けながら下っていく。左右や足元の障害物、背後にも気を配る。

ひととおりの基礎を全員で確認してから、より垂壁に近い八幡沢の堰堤に移動。逆ハの字型に開いて足を置いていくことなどのポイントを押さえつつ、懸垂下降を実際に行なった。
腕に頼らないフットワーク上達講習【by evolv】
クライミング初心者を対象とした、腕に頼らずに足を使って登れるようにする基礎講習。クライミングにおいてまず重要なのが足でしっかり立ち込むこと。比較的簡単なルートが存在する母岩で、山岳ガイドの島田和昭さんによる講習が行なわれた。

腕に頼らない足の使い方や、足で立つ感覚を習得してもらうために、まずは登りきるよりも体重移動やつま先の移動を意識するようにと島田さんよりアドバイス。

腕に頼って登ってしまう人は、腕に頼らざるを得ない無理な体勢でいることが多い。たとえば足の高さが揃っているほうが疲れないため体勢を保持しやすく、次のホールドを探しやすいなど、ちょっとしたアドバイスでグッと登れるようになった受講生も。足を乗せやすいホールドなども逐一教わりながら登っていく。

ホールドの位置関係を考えて足を動かしたり、できるだけ上体を起こして身体が寝ないようにするなど、基本の身体の使い方を理解して実践していくだけでも目に見えて変化が起こり、上達のきっかけに繋がるようだ。

身体の使い方、足の使い方を意識しながらトップロープでのクライミングをそれぞれ交代しながら何本か登り、この数時間だけでも成果が得られたようだ。
成瀬洋平のクラック講習【by LA SPORTIVA】
クライミングインストラクター・成瀬洋平さんによるクラック講習。毎回恒例で開催しているが、今回は成瀬さんがサポートを受けているラ・スポルティバの企画として行なった。そのため今季アップデートされたクライミングシューズ「カタナ」をラ・スポルティバブースでレンタルできるなど、以前よりパワーアップした内容になった。

講習の開催場所は前回同様、弟岩の「ジョイフルジャム(5.8)」。まずはテーピングの巻き方から始まり、登る前にはジャミングのやり方をレクチャー。パッシブが利くところを見つけ、形状をよく見て手を岩に馴染ませていくことが大切だという。

ジャミングのレクチャー後、実際にひとりずつジョイフルジャムに登りながら、成瀬さんからのアドバイスを受ける。回転がかからないように、手を引きながらクラックを登っていくのがポイントだ。

クラックはフェイスクライミングと違ってマジック要素のあるジャンル。フェイスが得意でない人も、ジャミングテクニックさえ習得してしまえば思いのほか上達し、のめり込んでしまう魅力さえある。また、アルパインやフェイスでも使えるため、ジャミングテクニックを習得しておくと応用が利くのもクラッククライミングのいいところなのだ。
トップロープクライミング体験会【by MAMMUT】
山岳ガイドの小俣智範さんとアルパインクライマーの青木達哉さんという、豪華な講師陣が案内するトップロープクライミングの体験会。

フェニックスの大岩に3本のルートをかけ、初めてクライミングに挑戦する小学生から50代の方まで幅広い世代がトップロープにチャレンジ!

フェニックスの大岩を眼前に「本当に、これに登るの!?」とおどろくクライミング初体験の人も、いざ登ってみると、すいすい上へ。

登り終わった小学生の男の子の「楽しい!」がとても印象的だった。

おもしろくなって何本も登る子どもたちもいたほど。ロープクライミングを始める第一歩として、いいきっかけになったようだ。
親子で挑む、はじめてのロープクライミング講習会【by MILLET】
7組17名の親子がマガ岩に大集合! 教えてくれたのは、ロッククライミングインストラクターの鈴木直也さんだ。小学校低学年~高学年の子どもたちと、ふだんクライミングジムに通っているお父さんや、クライミング自体初体験の親も参加し、子どもといっしょに学んで、レッツクライミング!

はじめに、山でのトイレのマナーや、ほかのパーティがいたときのマナーなど、アウトドアクライミングにおける基本のルールやマナーをレクチャー。その後、エイトノットなどの基本のロープワークやビレイの講習も行なった。

お父さんと子どもがいっしょにエイトノットの練習をするなどし、やり方を覚え、ある程度慣れたところで、ついに実践!

5.8~5.10aのルートをトップロープで登ってみる。1本のルートでも直登・右・左から登ったりして、自分で登りたいルートを見つけて、登りたいように登って楽しむ。子どもたちは遊びの天才だ。固定概念を持たない子どもたちは、純粋に岩と触れ合うこと、登ることがただただ楽しいようだ。

朝から夕方まで通しで講習を開催したが、みんな飽きることなく、やる気にみなぎっていて、全ルート登った子や、ひとりで6本も登っている子もいたほど。子どもたちの「楽しい」のパワーと集中力には、おどろかされるものがある。
クラッククライミング講習【by THE NORTH FACE】
クライマー・平山ユージさんによるクラック講習。上級者向けの講習として開講し、当初は妹岩の「カサブランカ(5.10a)」で開催予定だったが、思いのほかベテラン勢が集結したため、急遽、講習場所を変更。

まずは親指岩の「小川山レイバック(5.9)」でウォーミングアップ。平山さんがデモンストレーションを行ないながら、「ギアを確実に扱えるように」ということを重点的にレクチャー。

その後、順番にトップロープで参加者が登っていく。いいハンドサイズでクセがなく、登りやすいクラックだ。フットジャムを決めるときは足を毎度同じ向きにするのがポイント。また、カムを決めるときは重さがかかるほうに2回引っ張ることで安全性が増すという。受講生が登るたびに平山さんからアドバイスが送られた。

「小川山レイバック」でひととおりのレクチャーを受け、みんな一巡に登ったあとは裏側の岩場へ移動。今度は「クレイジージャム(5.10d)」にトライする。平山さんは16歳のころにオンサイトしたというが、下部のスタート地点からひとクセあり、ひとつのルートにハンド、フィンガー、ワイドと多彩なクラックが散りばめられた、登りごたえのあるルートだ。

そして最後はお殿様岩の「スーパーイムジン(5.12b)」。1984年の初完登時は日本最高グレードが付けられたという歴史的なクラシックルートだ。途中のテラスまでは小川山の代表的なフィンガークラックルート「イムジン河(5.11c/d)」となり、テラスへは行かずにトップまでダイレクトフィニッシュするラインがスーパーイムジン。上部はフェイスクライミングとなる。

最初に平山さんがデモンストレーションし、受講生は平山さんが張ってくれたトップロープであとに続く。なかなか一筋縄ではいかないルートではあるが、受講生は熱心にトライ。熱いセッションが繰り広げられていた。
はじめてのビレイ講習【by PEAKS】
山岳ガイドの佐藤勇介さんを講師に迎えた、PEAKS主催の講習。トップロープクライミングの経験者5人が参加し、安全なビレイについて学んでいく。

キャンプ場から林道を登って行った先にあるひよこ豆スラブで開催。初心者から楽しめるスラブルートが豊富にある岩場だ。まずは佐藤さんが実演しながら、正しいビレイ、安全なビレイについての説明を交える。フリークライミングはロープと支点によって確実に確保されているかぎりは安全なスポーツだが、その安全性を担保するのがビレイヤーであり、ビレイヤー自身も安全を確保する必要がある。

クライミングロープは伸びるように設計されているので、登り始め直後はクライマーの直下に入らないように気をつけること。また、クライマーの墜落時に前方に振られてしまうことを防ぐため、壁から離れすぎないこと。こういったことを注意していくことで、安全なビレイに繋がる。

また、ブレーキハンドは絶対に離さず、位置の持ち直しの際は、いつでも掴めるようにロープに沿わせるようにして手を前後させること。これもビレイヤーとして押さえておくべき基礎事項だ。教わりながら実践を繰り返し、それぞれが基本のビレイの知識と技術を習得したようだ。
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。



















