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【産後登山体験談】妊娠・産後に悩んだ経験が「山好きパパママ部」発足の原点

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子どもがいても自分らしく山を好きでいてほしい。「山好きパパママ部」発足

――すずさんは、2026年2月から「山好きパパママ部」というSNSコミュニティを立ち上げています。このコミュニティを立ち上げたきっかけを教えてください。

すず 自分が妊娠したときに、「山にはいつまで登れて、産後はどの程度登れるのか」といった、今後の山生活に対する不安や悩みがすごくありました。でも、私が妊娠していた3年前は情報が全然なかったんです。妊娠中に病院の先生に「仕事で山へ行っているのですが、いつまで登れますか」と聞いたら、「私からは、妊娠した時点でやめてくださいとしか言えません」と、冷たく言い切られてしまって……。

でも先生は山のことを知らないだろうし、自分で責任を取るなら行けないことはないのでは、と思って色々と調べるなかで、国際山岳医の稲田千秋さんが、ブログで海外の研究を翻訳・解釈した情報を発信しているのを友人から教えてもらいました。妊娠中の有酸素運動に関する内容だったのですが、それを読んで勇気をもらって、自分のいままでの経験をもとに、体調を見ながらできる範囲でやってみようと。

モデルの仲川希良さんに相談したこともあります。希良さんとは仕事で関わったことがあったものの、プライベートの話をしたことはありませんでした。それでも希良さんは親身になって色々と教えてくれて、先輩に話を聞くことはこんなにも力になるんだと実感しましたね。

――たしかに希良さんは、妊娠・出産を経て、ランドネをはじめ山業界で活躍しているので、参考になるお話を聞けそうですね。

すず はい、本当に助けられました。そんな経験をしたあと、約1年前に私が関わっているイベントに赴いた際に、「いま、じつは妊娠しているんですけど……」と、ある女性から声をかけられました。その人は、山好きパパママ部をいっしょに立ち上げたミホちゃん(@mipoo1201_)で、すごくシリアスな顔で「どのくらい山に登れますか」と相談をしてきたんですよ。

▲山好きパパママ部発足を思い描く大きなきっかけとなったのが、2025年秋に明神山で行われた、ランドネ×KEENのハイキングイベントだった。ゲストとして参加予定したすずさんが、「親子の山イベントをしたい」と希望し実現。

――当時のすずさんとおなじようなお悩みを。

すず そうなんです。妊娠中や産後に私ほど山を登っている人がまわりにいなくて、だれにも相談できなかったからと、わざわざ会いにきてくれたんです。自分も悩んでいたし、彼女が悩んでいる姿を見て、自分の経験をもっと世に出したほうがいいのではと思うようになりました。そこから、山が大好きで妊娠した人や産後の山復帰に葛藤している人の気持ちに少しでも寄り添えるような場を作ったり、ひとつのケースではあるけれど誰かの参考になるような情報を発信したりすることを考え始めたんです。

――それが山好きパパママ部の発足へつながるわけですね。

すず 「子どもが生まれたら、いまこんなに好きな山へ行けなくなってしまうのでは」と不安に感じて妊娠を先伸ばしにしている人がいるなら、「大丈夫だよ。山へ行けなくなるわけじゃないよ」と伝えたくて。タイミングを延ばして授かれなかった知人もいますし、自分自身も流産を経験し、「子どもを授かるってこんなに難しくて奇跡的なことなんだ」と痛感しているからこそ思うのですが……。

2025年の年末、ミホちゃんと子連れランチをしたときに「妊娠中や産後の人に向けて、情報を発信したり人が集まれる場を作ったりしたいんだよね」と何気なく話したら、ミホちゃんが「私もいっしょにやりたい」と言ってくれました。

ひとりでずっと悶々と構想を考えていたものの、日々の忙しさに負けてなかなか行動に移せませんでした。でも「ミホちゃんが乗ってくれるならちゃんと計画しないと!」と奮い立ち、そこから一気に動き出しました。ふたりとも呼ばれたメーカーの展示会があったので、時間を合わせて授乳室でミーティングしたりしました (笑)。

――斬新なスタイル! 約1カ月後にはInstagramアカウントを開設していると考えると、ものすごいスピード感ですね。動きはじめてみて、反響はどうですか。

すず Instagramのフォロワーも1000人を超えましたし、気にかけてくれる人が多いことに驚きました。つい最近では、ベビーキャリアレンタルサービスの方が連絡をくださり、高尾山での沢遊びイベントを実施しました。また7月に開催した八ガ岳・青苔荘でのお泊りイベントや、10月に開催を予定している北アルプス・湯俣山荘のお泊りイベントは、山小屋の方が声をかけてくださり実現しています。こうして山小屋の方から子どもウェルカムな姿勢を見せてくれると、多くの親が感じているであろう「子どもがこの年齢でも行ってもいいのかな。迷惑かけないかな」という不安が解消されるので、とてもありがたくうれしいです!

実際に動いてみて、想像していた以上に期待されていると感じています。イベント参加者の方から、「山好きパパママ部がなかったらしばらく山に来れなかった。しかもまだ幼い子どもと山小屋に泊まれるなんて思っていなかったから、本当にありがたい」「最近山好きパパママ部に出会い、『子どもがいても山を楽しめるんだ!』と知り、とてもうれしかったです!」といったうれしい反応をたくさんもらえました。イベントの企画はいままでやったことがなかったのでとても大変ではありますが、こうやって喜んでくれる人がいるのでがんばれます。

▲山好きパパママ部初のお泊りイベントを、未就学児向けに北八ガ岳で開催。青苔荘を拠点に、白駒の池のまわりの苔観察をしたり、高見石小屋まで歩いたりと、大満喫の2日間を過ごした。Photo/Shohei Yokota

――山好きパパママ部を取りまく人々の熱量は、SNSからも充分に伝わってきます。ご自身、または山好きパパママ部として、今後の目標があれば教えてください。

すず 私はいわゆる山バカで、これまで自分のやりたいことをやり通してきました。でも子どもを授かって、「子どもとの人生ってこんなにも愛おしくて尊くて、かけがえのない経験なんだ」と、自分でも驚くほど心から思えています。山に関しても、子どもと歩くことで新しい自然の楽しみ方が増え、視野が広がりました。「子どもを産んで山との接点が少なくなってしまった」というよりは、「子どものおかげで山の世界がさらに広くなった」と、日々実感しているんです。

子どもの未来を想像するようになってから、「私が大好きなこの自然、いま見ているこの景色は、子どもたちが大人になったときにも残っているのだろうか」「このフィールド、この自然、私たちの地球を、次世代にも繋げていかなければいけないのでは」と思うようになり、身近な自然の楽しみ方を伝えながら自然の大切さも伝え守っていく「自然観察指導員」という資格を取りました。今後は、この資格をさまざまな活動に活かしていきたいです。

山好きパパママ部については、関わっているメンバーそれぞれの体験をもっとシェアできるようにしていきたいですね。子どもと歩くからこそ感じる山の新しい魅力、大人だけのいままで自分が好きだった山行スタイル、妊娠中や産後の体験談など、たくさんのパパママたちに共有してほしいです。親自身が大自然を思いっきり楽しんで活き活きしてる姿って、子どもにとてもいいと思うんですよね! 子ども自身にとっても、自然に触れる機会が身近に多くあることはいいことだと思うし、あわよくば山を好きになってくれたら最高だなぁ、と(笑)。

なによりこのコミュニティで一番に伝えたいのは、「山が大好きなパパとママが、子どもができてからも変わらずに自分らしく山を好きでいてほしい」ということです。これからもイベントの開催や妊娠中・産後の情報発信をとおして、この考え方を伝えていきたいなと思います。

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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