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新鮮な気持ち|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #58

ほどよく涼しい期間があっというまに過ぎ去り、タンスの中からモモヒキを取り出した今日このごろ。私の住んでいる海抜500m少々の安曇野では最低気温がひと桁台まで下がっている。ライチョウの住む高山帯との気温差は標高1m差で0.6℃変わるため、2,500mを越える生息域はすでにマイナス気温になっていることだろう。今回は稜線が少しずつ白く染まるなかのひとコマをお送りしたいと思う。

編集◉PEAKS編集部
文・写真◉高橋広平

新鮮な気持ち

平時の体温はひとより少し低い35℃台後半の私であるが、ひとたび体を動かし始めると発熱と発汗が急激に進む体質のため、山での行動中は基本的に薄着である。登山道の脇には霜柱があちこちに立ち始め、さすがに下界とは違うということを視覚的にも訴えかけてきている。まだ樹林帯は風の直撃を受けるところは少ないので薄着のままどんどん標高を上げていく。2,000mを越すと流石に空気自体が冷気を帯びて肌に刺さるようになってくる。周りの植生が次第にダケカンバとシラビソが目立つようになると森林限界までもう少し。そうなると風を遮るものがなくなるので、自己発熱と外気による冷えを天秤にかけて良い塩梅のところでアウターを纏いつつ、現れ始めるハイマツ群に注意を配る。

この時期は私が認識しているところの「秋群れ」の後期にあたる。春の繁殖期からこの時期まで稜線にとどまり生活をしていたライチョウたちが、来たる越冬期に向けて森林限界から少し標高を下げたポイントとを様子見がてら往来するようになってくる。そのため遭遇するにはアタリハズレの波が激しくなる傾向がある。今日出会えた群れが次の日は会えず、だがさらに次の日は何事もなかったようにまた会えるなんてことがあるわけだ。そんな少々の博打を制し、小規模であるが群れと遭遇するに至る。

見渡せば5羽ほどのオスメス混成の群れであるが、うち何羽かはこの年に生まれた個体のようで、私の目で見ても「どっちかな?」と雌雄の判断がつかない個体もいた。ちなみにライチョウの秋羽時の雌雄の見極めであるが、顔の過眼線(目とクチバシの間が黒くなっている状態)があればオス、体の両脇に夏の茶黄色の羽が残っているのがメス、という2点がある。ではこの子の身体的特徴は……というと、メスなのだが目の上の赤い肉冠がくっきりハッキリで興奮したオスの様相を見せつつ、過眼線はまだ見受けられず、両脇にはメスっぽい羽が残っているのだ。

今回の一枚は、秋群れ後期に遭遇した2羽のライチョウが小競り合いをしているところを切り取った瞬間である。おそらく今年生まれたであろう兄弟姉妹がじゃれあいの上でヒートアップしているのだと思うのだが、オス同士の小競り合いのようなことをオスとメスでしているという、なんとも珍しい光景である。私としては、実際に目にした事実そのままを受け入れることにしているのだが、意表をつかれる場面に遭遇すると新鮮な気持ちになって大変楽しい。

今週のアザーカット

先日、去年も参加したのですが地元・安曇野市にて中学生キャリアフェスティバルという市主催の学生向け職業説明会に出展してきました。午前と午後で学校が入れ替わり、計6回の説明をするという流れですが、午後の部の事業者代表あいさつという任を仰せつかりまして壇上にてお話させていただきました。明らかにマイノリティな職業の私でありますが、学生さんたちにある種の可能性を提示できていれば嬉しいなと思うひとときでした。

▶過去の「旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺」一覧はこちら

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PROFILE

高橋広平

PEAKS / 雷鳥写真家・ライチョウ総合作家

高橋広平

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
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