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ひそむ|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #60

みなさんは元気でお過ごしだろうか。私はこの3週間ほどはインフルがらみでほぼ軟禁状態が続いてしまった。追加で副鼻腔炎を発症しひどい目に遭ってしまったがどうにか回復しそうである。師走に入り慌ただしくなるが、2025年も無事に終えることができますようにと願うばかりである。みなさんも健康には十分お気をつけください。

編集◉PEAKS編集部
文・写真◉高橋広平

ひそむ

今年に関しては高山帯の積雪の初動はまずまずの様子らしく、11月下旬のいわゆる小屋閉め直前の各山域に訪れることのできた人は、降り積もる雪とライチョウの情景を見ることができたかもしれない。ただ、近年は安定した積雪が遅くなってきており、昔は普通に見られた光景がなかなか見れなくなってきているのが現状である。

さて、ライチョウの行動原理というか野生動物の基本的な習性として、食べ物を確保できる場所に移動するというものがあるが、積雪が進み糧となる植生が埋まってしまったところにはライチョウも用がなくなったとばかりに無雪期に居た場所から食べ物を確保できる少し標高を下げた場所へと移動する。

ライチョウが越冬をするフィールドには冬の主食があることが前提となるわけだが、冬芽としてダケカンバ、葉としてシラビソが挙げられる。これら主に2種の樹木が自生しているポイントを探すことでライチョウを捕捉することが可能となる。もっとも、広大なフィールドの中で雪崩などのアクシデントに気をつけつつ捜索するわけなので言うほど簡単ではないのだが。

積雪量が一定以上になるとライチョウは雪の中に埋もれだす。理屈としては万が一にもいるかもしれない捕食者から視覚的に分かりづらくするためと、気温にしてマイナス20℃を下回る極寒の高山帯で不必要に身体を冷やさないためにカマクラの要領で暖まるためである。カマクラは入ってみるとわかるのだが、中はおおよそ0℃程度の温度に保たれるため、強風に晒されるよりかはだいぶ暖かく感じる。

あの手この手を使い、寒さや捕食者から身を守りながら生活をしているライチョウであるが、極めて古典的な方法で身を隠すことももちろんある。ずばり、茂みのなかに紛れる、である。ライチョウ捜索は彼らとの知恵比べのようなもので、ライチョウはいかにわかりづらくやり過ごすか、われわれはそれを想像して見つけ出せるか。雪の上に残る痕跡からおおよその場所にアタリをつけて観察する。やっていることは昔の刑事のような泥臭く地道な証拠集めみたいなものだが、状況証拠は嘘をつかない。

ある程度の大きさの樹氷が絡み付いた茂みに行き着く。痕跡からこの近くにいるのはほぼ確実だ。茂みの際の根元に埋まっていることも多いのだが、立地的に上から覗き込むしかできない断崖の端ということで、ビレイ(安全確保)をしたうえで慎重に覗き込んだ。

今回の一枚は、茂みの中に潜むライチョウである。あくまで私の好みの問題であるが、ライチョウの姿を丸々写したプロマイドのような写真よりも実際の生態がわかる写真の方が価値があると思っている。こういったいわゆる映えない一枚も大事にしたいと思っている。

今週のアザーカット

毎度紹介させていただいております、2026年版ライチョウカレンダー。全国の書店やAmazonなどで好評発売中でございます。たまに近隣の書店にエゴサをしに行っているのですが、だいぶ在庫が消費されている様子で安心しております。お近くの書店になくてもAmazonで購入可能ですのでご一考いただけると幸いです。ちなみに撮り手としては、3月の写真が茶目っ気に溢れていて好みであります。なお、次の2027年版が出せるかどうかは例のごとく売り上げ次第ですので、お求めの際は「使用・保存・布教」としておひとりさま3部ほどお買い上げいただければ大変ありがたいです。笑

▶過去の「旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺」一覧はこちら

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PROFILE

高橋広平

PEAKS / 雷鳥写真家・ライチョウ総合作家

高橋広平

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
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