1年ぶりのスコーミッシュでの日々
スコーミッシュで3週間弱をすごしてから、カリフォルニアにやってきた。サンフランシスコからシエラ・ネバダ山脈を越え、いまはクローリーレイクという湖を見下ろすキャンプ場にいる。広大な荒野の只中にひっそりと佇むキャンプ場で、水場とトイレ以外はなにもなく、夜には満天の星が瞬く。このキャンプ場に来た訳を話すのは次の機会にして、もう少しスコーミッシュでのことをお話ししたい。
最初の数日はひとりでクライミングし、その後は友人らと合流して登った。忙しい毎日で、絵を描く時間もなかったものだから、すっかりこの記事が遅くなってしまった。
今年のスコーミッシュは天候に恵まれた。昨年は7月のひと月をすごしたのだが、晴れて猛烈に暑い日と雨の日が交互にやってきた。暑さでバテ気味になり、クラックはなかなか乾かなかった。今年は半日ほど降られただけで、気温も低かったので身体がずいぶんと楽だった。
2年目ということもあって、車の運転や滞在にはずいぶん慣れたことも、滞在が楽だった要因だろう。現地には日本人、カナダ人の友人知人がいて再会できたし、新しい友人もできた。日本からも近く、空港からも近いスコーミッシュ。毎年気軽に来ることができたらなと思う。
印象に残ったルートを一本挙げるとするなら「Hypertension」という5.11aの前傾したワイドクラックである。核心部分は膝が入らない幅で、最初はどうしたらいいのかまったくわからなかったが、登り方を変えたらすんなりと登れた。ワイドクラックは技である。この一本のクラックによって新しい技を身につけられたのは、成長を感じることができた瞬間でもあった。
風土がクライミング文化を形作り、新しい風景が新しい色を教えてくれる
それにしても、どうしてスコーミッシュにはこんなにもたくさんのクラックがあるのだろう。しかも、傾斜の緩いルートが多いのでグレードも低い。日本では敬遠されがちなクラッククライミングだが、ここで始めればきっとだれもが抵抗感なくたのしめると思う。というか、ここでのクライミングはニアリーイコールでクラックだ。クライミングスクールの小学生や高校生のような女の子も、当たり前にクラッククライミングをたのしんでいる。
岩場がクライマーを育て、その土地ならではのクライミング文化を形作る。そんなことを改めて感じた滞在だった。
さて、クローリーレイクの西側には、カリフォルニアの青空の下に、赤茶けた独特の色彩を放つ山々が連なっている。朝、この山をスケッチしていると、いままでまったく使ったことのない色の絵の具を選んでいることに気づいた。新しいクライミングルートが新しいムーブを教えてくれるように、新しい風景は新しい色を教えてくれる。
これから始まる旅は、どんな風景と色を見せてくれるだろう。
著者:ライター・絵描き・クライマー/成瀬洋平
1982年岐阜県生まれ、在住。 山やクライミングでのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作したアトリエ小屋で制作に取り組みながら、地元の岩場に通い、各地へクライミングトリップに出かけるのが楽しみ。日本山岳ガイド協会認定フリークライミングインストラクターでもあり、クライミング講習会も行なっている。
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