
コケの森ときらめく水面。北八ヶ岳・白駒の森で私だけの「宝物」を見つける山旅
宇宙HIKE
- 2026年09月08日
北八ヶ岳の白駒の池。標高2,115mに位置するこの池の周りには、針葉樹の森が広がり、たくさんのコケたちが息づいています。夏は爽やかで涼しく、秋には小さなキノコが顔を見せる、まるで宝探しのような山旅をご紹介します。
ひんやりとした空気に包まれて、神秘の森へ

スタートは、白駒池駐車場。7月下旬~10月下旬のシーズン中は、茅野駅からバスでアプローチできます。一歩、白駒の森に入ると、空気が一変。ひんやりと湿った風、そして深呼吸したくなる森の香り。この森が大好きで何度も通っている私は、初めの一歩で、ここに帰って来たような気持ちになり、「ただいま」とそっとつぶやき……。訪れる人を静かに迎え入れてくれる、優しい森。
さあ、遊歩道に沿って池に向かって歩き出しましょう。

沿道には少し変わった名前のコケが生えています。たとえば「カギカモジゴケ」。ちょっと舌を噛みそうな名前。標識を見ながら、お気に入りのコケの名前を知るのも楽しい時間。白駒の池の周りには、一周約40分で歩ける遊歩道があります。木道が整備されているので、山歩きに慣れていない方でも散策できるのがいいところ。ただし、濡れた木道は滑りやすいので、足元には気をつけてくださいね。
どこか懐かしい山小屋「白駒荘」と黄金色に染まる白駒湿原

池に向かって右方面に進むと、今回のお宿「白駒荘」が見えてきます。お世話になるのはこちらの本館。古い建物ですが、昔ながらの山小屋らしい温かみと趣があります。新しくぴかぴかの新館もおすすめ。宿に荷物を預けたら、さっそく周辺の散策へ出発。

まずは、池から少し離れた「白駒湿原」を目指します。池の畔を右方向に進んで行くと、「にゅう」の登山口を示す標識。「にゅう」という変わった名前の山ですが、山頂からは白駒の池を一望できる絶景スポット。今回は山頂までは登らず、途中にある湿原までのんびり散策。

登山口の分岐を右方向に登り、ぬかるんだ道を一歩一歩進んで行くと、再び木道が出現。その先に見えるのが白駒湿原。小さな湿原ですが、秋には草紅葉で黄金色に輝きます。周囲のナナカマドの木も紅く染まり、息をのむほどすばらしい眺めに出会ええるところ。湿原の風景を心ゆくまで楽しんだら、元来た道を戻り、一度白駒の池へ。

光が差し込むコケの絨毯を抜け、絶景の「高見石」へ

散策コースは、湿原のほかに、「高見石(たかみいし)」へ足を延ばすのもおすすめ。こちらは、白駒荘を出て最初の分岐を右手に入って行きます。高見石への登山道は、水たまりや泥んこの場所が多いので、足首までしっかり覆われた登山靴(トレッキングシューズ)で行くのが安心。

登るにつれてコケが一層深くなり、かわいいキノコの出現率も高まります。ゆっくりと観察しながら進みたい道。小さなキノコに光が当たり、まるでエミール・ガレのランプのように幻想的。しずくをまとったコケ、みずみずしい針葉樹の新芽……。森のなかにはたくさんの宝物。カメラのシャッターを押し、一つひとつ、心の宝箱へ。



白駒荘から約40分で高見石小屋の広場に到着。写真を撮りながらゆっくり歩くと、1時間以上かかるかもしれません。高見石小屋は、名物の「あげパン」が大人気。喫茶の受付は午前10時~午後2時なので、あげパンをお目当てにするときは、時間に気をつけて計画してくださいね。


山小屋の裏手にある岩場「高見石」に登ると、眼下には白駒の池。深い森に囲まれ、静かにたたずむその姿。ここにも忘れられない宝物がありました。高見石を慎重に下りて、泥んこの道を下りながら今夜のお宿へ。
ごちそうに満天の星。山小屋で過ごすぜいたくな夜と朝

白駒荘では、ふもとの畑で大切に育てられた野菜と、おいしいお肉がたっぷり並ぶ夕食が待っています。山のなかとは思えない豪華なごはんに、お腹も心も満たされて。館内にはお風呂もあり、環境保護のため石けんは使えませんが、一日の汗をさらりと流せるのがありがたいですね。天気がよければ、夜には満天の星が見られるかも。

翌朝は、夜明け前に起きて池の畔へ。刻一刻と変わる空を見つめます。一日としておなじ景色はない山の自然。今日の空はどんな表情を見せてくれるのか、冷たい空気のなかで待ち続けて。たとえ赤く染まらなくても、霧に包まれた夜明けもまた幻想的で美しいもの。ただ一度きりの、この静かな時間こそが一番の宝物。
白駒の森がくれた、とっておきの贈り物

北八ヶ岳・白駒の池周辺ですごす豊かなひととき。森と水、光と風。自然を味わいながらゆっくりと歩き、深くリフレッシュできる場所。この秋は、日々の雑事や喧騒を少しだけ離れて、あなただけの宝物を見つけに出かけてみませんか。
白駒荘
https://yachiho-montblanc.com/
高見石小屋
https://takamiishi.com/
アルピコ交通バス情報(2026年)https://www.alpico.co.jp/traffic/datas/files/2026/04/02/d71acd341b53fef797ee5cb3f8bb9d9df1cee21f.pdf
写真&テキスト◎Yukari Teragaki(宇宙HIKE)
https://www.instagram.com/yukari.tera17?igsh=Z3lncHl3bzBqZ2xs&utm_source=qr
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PROFILE
宇宙HIKE
Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。
Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。
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