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山岳サイクルリゾートを目指す、ナショナルサイクルルートとなった南魚沼で自転車利用環境向上会議開催

2026年9月17日・18日の2日間、新潟県南魚沼市民会館にて「第13回 自転車利用環境向上会議 in 雪国魚沼」が開催。ナショナルサイクルルートに新たに指定された「雪国魚沼ゴールデンサイクルルート」の地元・南魚沼市で、全国の自治体関係者やサイクリストが一堂に会した自転車利用環境向上会議。1日目の基調講演とパネルディスカッションから、雪国ならではのサイクルツーリズム戦略と、NCR指定後の官民連携のゆくえを追う。

基調講演──国体からグルメライドへ、自転車で地域をつなぐ

写真: 南魚沼市

2026年9月17日・18日の2日間、新潟県南魚沼市民会館にて「第13回 自転車利用環境向上会議 in 雪国魚沼」が開催。テーマは「雪国魚沼から考える 自転車がつくる地域の未来 ~サイクルツーリズムから日常の自転車活用へつなぐ地域づくり~」。ナショナルサイクルルート(NCR)に新たに指定された「雪国魚沼ゴールデンサイクルルート(GCR)」の地元開催とあって、全国から自治体関係者やサイクリストが集まった。1日目の講演とパネルディスカッションの模様をレポートする。

警察庁による青切符導入後の状況説明がおこなわれた

1日目の基調講演は3本立て。警察庁交通局の山下斎・総括課長補佐が自転車の安全利用施策を、国土交通省の土田宏道・参事官が第3次自転車活用推進計画をそれぞれ解説したあと、地元・南魚沼市の林茂男市長(湯沢町・南魚沼市・魚沼市連携自転車活用推進協議会会長)が登壇。地域がサイクルツーリズムに本格的に取り組むまでの道のりを語った。起点となったのは国体の開催経験だ。トップスポーツの大会受け入れで培ったノウハウが、やがて市民参加型のサイクルイベントへと広がっていった。

南魚沼市の林茂男市長(湯沢町・南魚沼市・魚沼市連携自転車活用推進協議会会長)

現在は毎年9月に「3デイズ」として、JBCFロードレース、市街地クリテリウム、そしてグルメライドを3日連続で開催している。特にグルメライドについて林市長は「長大なコースの途中途中にフードコートが用意されていて、食を楽しんでいただく。現場では”太って帰れ”と言われております」とユーモアを交えて紹介。走ること、食べること、泊まることを一体として地域の資産に育てる戦略を説明した。

さらに林市長は、高校1年生で訪れたオーストリア・ゼルデンでの原体験を振り返った。「当時はオートバイばかりだった街が、訪れるたびに変化していった。バイクがだんだん姿を消して、そこに自転車が登場した」。冬季のスキーリゾートが夏場はマウンテンバイクのフィールドに生まれ変わり、レンタル店の品揃えも冬はスキー、夏は自転車に入れ替わる光景に衝撃を受けたという。「ものすごい驚きで、やがてこういう波が来るんじゃなかろうかと思ったのが、やっぱり20年前ぐらい」と、現在の地域ビジョンの原点を明かした。

講演の締めくくりでは、雪国ならではの課題にも触れた。「鉛色の空で、毎日毎日雪が降る。心を塞がれる人が多い。”雪鬱”という言葉があるぐらいです」。そのうえで「自転車は冬もスキー場で乗れる。シーズンを全部取っ払ってやっていけるのが我々のエッジ。海沿いに負けない山岳リゾートで気を吐いていきたい」と力を込めた。

ナショナルサイクルルートとしては珍しい

続くパネルディスカッションでは、JCC全国委員会副会長の山中英生氏の進行のもと、国・自治体・金融・市民それぞれの視点から議論が交わされた。

国土交通省の土田宏道・参事官

国土交通省の土田宏道・参事官(自転車活用推進)は、NCRの指定を経た今、行政と地域の関係が変わったことを強調。「見事に審査を勝ち抜いていただいた。この段階にあっては、同じ仲間──同志だと思っています」と述べ、制度の見直しにも前向きな姿勢を見せた。GCRが市町村道を中心にルートを構成している点について「他のNCRは国道や県道が多いなか、市町村道で安全・快適に走れることが審査員にも高く評価された。ナショナルサイクルルートの制度の考え方にいい投げかけをいただいた」と評価。一方、雪国特有の課題として除雪による矢羽根(路面表示)の消失問題にも言及し、「路面表示だけでなく看板に変えることも考えてもいいのではないか」と柔軟な制度運用を示唆した。

第四北越銀行の石坂貴・常務取締役

地元・第四北越銀行の石坂貴・常務取締役は、15年以上のロードバイク歴を持つサイクリストでもある。しまなみ海道を3度走り、全国のNCRルートもほぼ走破した経験から「旅の醍醐味を体感している立場」として参加。金融機関としては、グループ内にデザイン会社を設立し、観光事業への出資や人材派遣を通じた地域支援に取り組んでいることを紹介した。「融資だけではなく、株式を取得して直接応援する。行政では手が届かないところを我々が立ち回って事業が成り立つようにしていく」と、官民連携の具体像を語った。

JCC全国委員会の三國成子会長

JCC全国委員会の三國成子会長は、市民参加の重要性を訴えた。ベルギー・ゲントの交通計画担当者を訪問した経験から「市民はいろんな働き方をしているので、一律に情報を出してもみんなに伝わるとは限らない。町内会、商店街、会社、それぞれに合わせて情報を出していくことが大切」と指摘。金沢市では市民からの提案型企画として自転車の安全走行ガイドラインを策定し、それが各町内会に広がっていった事例を紹介した。

警察庁の山下斎・総括課長補佐は、インバウンド増加に伴う交通安全の課題を報告。「外国の方は左側通行を知らずに右側を走ってしまうこともある。レンタカー会社やシェアサイクル事業者と連携して、英語や中国語で日本の交通ルールがわかるリーフレットを準備している」と対策を説明した。ただし「すべての言語を用意するのはなかなか難しい」とも述べ、自治体との協力を呼びかけた。

雪国の「エッジ」を武器に

写真: 南魚沼市

議論を通じて浮かび上がったのは、雪国であることを弱みではなく強みに転換しようという一貫した姿勢だ。ヨーロッパのアルプス周辺地域が山岳リゾートとして確立しているように、魚沼地域も独自の「エッジ」を打ち出せるポテンシャルがある。NCR指定はゴールではなくスタートライン──その認識が登壇者全員に共有されていた。

林市長が語った「点在する宝物を自転車で全部つなげることができる」という言葉が、この地域の未来像を端的に表している。東京から新幹線で約80分というアクセスの良さも、他のNCRにない大きな武器だ。2日目の全体会議では、サイクルツーリズムを起点とした地域経済循環や、交通安全とアクティブ・トラベルの両立など、さらに踏み込んだ議論が予定されている。

南魚沼サイクルフェスタ──会議の翌日から3日間、走って食べて楽しむ

記事中で林市長が紹介した「3デイズ」が、まさに会議直後の週末に開催される。南魚沼サイクルフェスタは、ロードレース・クリテリウム・グルメライドの3イベントを総称した大会で、昨年から3日連続開催となっている。

9月19日(金) JBCF南魚沼ロードレース
国内トップカテゴリのプロ選手が魚沼の山岳コースを駆け抜ける。

9月20日(土) JBCF南魚沼クリテリウム / 南魚沼ウィンタースポーツつながりフェス同時開催
市街地を周回するスプリントレースに加え、雪のシーズンを待たずにウィンタースポーツの本気と出会える体験型イベント「南魚沼ウィンタースポーツつながりフェス」を同時開催。

9月21日(日) 南魚沼グルメライド
コース途中に設けられたフードコートで地元の味覚を堪能しながら走るファンライド。林市長いわく「太って帰れ」がモットーだ。

南魚沼サイクルフェスタ公式サイト
https://minamiuonuma-cyclefesta.com/

第13回 自転車利用環境向上会議 in 雪国魚沼
開催日:2026年9月17日(木)・18日(金)
会場:南魚沼市民会館(新潟県南魚沼市六日町865番地)
主催:湯沢町・南魚沼市・魚沼市連携自転車活用推進協議会

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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