
南魚沼クリテで橋本英也が劇的スプリントV!孫崎大樹が5位でJCT年間総合2連覇達成
Bicycle Club編集部
- 2026年09月21日
INDEX
JBCFサイクルロードシリーズのクリテリウム頂点決戦「第6回 南魚沼クリテリウム(JCT最終戦)」が9月20日、新潟県南魚沼市の六日町・坂戸特設コースで開催された。前日の過酷なロードレースから舞台を市街地へと移し、1周1.24kmの特設コースを35周(43.4km)するハイスピードバトルを展開。ラスト1周で逃げを捉えた大集団のスプリント勝負を制したのは、オリンピアンの橋本英也(弱虫ペダルサイクリングチーム)。日野泰静(シマノレーシング)とのハンドル投げ勝負をわずか0.011秒差で制し、第4戦石川クリテリウムに続く今季JCT2勝目を飾った。そして5位に入った孫崎大樹(ヴィクトワール広島)が、ツアー創設以来2年連続となるJCT年間総合優勝を達成。ヴィクトワール広島は前日のJプロツアー年間チーム総合優勝と合わせ、国内トップリーグ二冠の金字塔を打ち立てた。
市街地を駆け抜ける高速クリテリウム 孫崎大樹の2連覇を懸けた最終決戦

前日の「第60回 経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」の興奮冷めやらぬ南魚沼。連戦の2日目は、JR六日町駅至近の市街地道路を封鎖した1周1.24kmの特設コースを舞台に、2026年Jクリテリウムツアー(JCT)の最終戦となる第5戦「第6回 南魚沼クリテリウム」が開催された。
早朝まで降っていた雨はスタート前には上がり、路面は急速にドライへと回復。しかし、手元の計測で気温26度、湿度75%という重苦しい蒸し暑さが選手たちを包み込んだ。4つの直角コーナーと坂戸橋への緩い登坂、そしてコース脇の魚野川河川敷では「南魚沼ウィンタースポーツつながりフェス」が同時開催され、大勢の地元住民が詰めかけるなか、熱気あふれるレースの幕が上がった。
年間総合争い(クリテリウムリーダー)は、リーダーの孫崎大樹(ヴィクトワール広島)が840点、2位の草場啓吾(キナンレーシングチーム)が660点と180点差。孫崎は今大会で「5位以内」に入れば、自力での2年連続JCT個人総合優勝が確定する。前日にチーム史上初となるJプロツアー年間チーム総合優勝を成し遂げたヴィクトワール広島は、孫崎の年間総合2連覇を確実なものとし、さらにはレース勝利による二冠達成を狙って盤石の体制でスタートラインに並んだ。
序盤から続く波状攻撃 中間スプリントを巡る激しい主導権争い

パレード走行を経て、1.8km地点の坂戸橋左折でリアルスタートが切られると、プロトンは一気に時速45kmを超えるハイスピード領域へと突入。アタックと吸収が目まぐるしく繰り返されるクリテリウム特有の高速展開が始まった。
ヴィクトワール広島は序盤から積極的にレースをコントロール。昨年の南魚沼クリテリウム覇者であるレオネル・キンテロ(ベネズエラ)や、前日ロード王者のルーク・バーンズ(オーストラリア)らが先頭を固め、カウンターアタックを封じる。
5周回完了時に設定された1回目の「中間スプリント賞(魚沼で候賞)」は、キナンレーシングチームのキャプテン山本元喜が鋭いダッシュで先着。集団は一瞬の緩みも見せず、白川幸希(ヴィクトワール広島)や菅原聡(アヴニールサイクリング山梨)の先行、さらには池谷隆太(稲城FIETSクラスアクト)が単独で最大5秒差を広げて逃げるなど、アグレッシブな動きが続く。
12周目にはレオネル・キンテロが単独で抜け出し、プロトンに最大8秒のタイムギャップを築いて会場を大きく沸かせた。15周回完了時の2回目の中間スプリントは、鋭く反応した地元新潟出身の加藤快介(チームユーラシア・iRCタイヤ)が獲得する。
孫崎大樹と草場啓吾のランデブー 年間争いのライバル同士が魅せた名勝負

レースが折り返しを迎えた16周目、会場のボルテージは最高潮に達した。
集団前方でアタックを仕掛けたのは、グリーンのリーダージャージを着る孫崎大樹。そして、その背後へ間髪を入れずに飛び乗ったのは、年間ランキング2位の草場啓吾だった。
タイトルを直接争うライバル2名が、他を引き離して先頭で逃げを打つという極めてドラマチックな展開に、沿道からは割れんばかりの歓声が飛ぶ。2人は息の合ったローテーションで差を広げにかかるが、シマノレーシングや追走集団の猛追により、惜しくも吸収。しかし、守りに入らず攻め抜く姿勢を見せた2人の走りは、最終戦にふさわしい清々しいハイライトとなった。
その後も集団はひとつにまとまったまま周回を消化。25周回完了時の3回目の中間スプリント争いでは、前日144kmの山岳ロードを逃げ切って勝利したばかりのルーク・バーンズが圧倒的な加速を見せ、見事に中間スプリント賞を獲得してみせた。
終盤の5名の強力な逃げと、プロトンの大反撃

残り6周(30周目)、勝負の決定打となり得る決定的な動きが生まれた。
それまで集団内で完璧に脚を温存していたトラック中距離界のエース、橋本英也(弱虫ペダルサイクリングチーム)が電光石火のアタックを放つ。この動きにルーク・バーンズ、エリオット・シュルツ(ともにヴィクトワール広島)、風間翔眞(シマノレーシング)、山本元喜(キナンレーシングチーム)という各チームのエース級5名が合流。
先頭5名は猛烈なペースで協調体制を築き、残り3周で後続のプロトンに対して10秒のタイム差を奪う。「このまま逃げ切るか」と誰もが息を呑んだが、メイン集団も黙ってはいない。アヴニールサイクリング山梨の永井健太らを中心に集団が猛烈なチェイスを開始し、タイム差をぐんぐん縮めていく。
残り2周、必死に踏み続ける先頭5名だったが、残り1周を告げるジャン(打鐘)が鳴り響くホームストレートで、猛追するプロトンが先頭を完全に飲み込んだ。勝負は集団ゴールスプリントへと委ねられた。
シマノトレインを破る圧倒的な伸び 橋本英也が0.011秒差のハンドル投げで連勝

ラスト1周、坂戸橋への登りで主導権を握ったのはシマノレーシングだった。
日野泰静をエースに据え、寸分の狂いもない青いトレインを組んでバックストレートから最終コーナーへと突入。完璧なお膳立てから日野がスプリントを開始し、勝利はシマノの手中に収まったかに見えた。
しかし、そのシマノトレインの背後、絶好のポジションを射止めていたのが橋本英也だった。
最終コーナーを抜群のスピードで立ち上がると、兼続通りの直線で一気に加速。日野の右サイドから並びかけ、もつれ込むように両者が同時にハンドルを投げ込んだ。
目視では判別不能なミリ単位の決着。写真判定の結果、わずか「0.011秒差」で先着していたのは橋本英也。第4戦石川クリテリウムに続くJCT2連勝を達成し、世界トップクラスのスプリント力を遺憾なく見せつけた。
2位には惜敗した日野泰静、3位には昨年覇者の意地を見せたレオネル・キンテロが入線。4位に草場啓吾が続き、そして5位には孫崎大樹がフィニッシュラインを駆け抜けた。
孫崎大樹がJCT年間総合2連覇を達成! ヴィクトワール広島が歓喜の二冠

この結果、孫崎大樹が自力条件であった5位以内をしっかりと確保し、2025年のツアー創設初年度に続くJクリテリウムツアー年間総合優勝(2連覇)を達成した。
前日に決めたJプロツアー年間チーム総合優勝に続き、個人タイトルも獲得したヴィクトワール広島。中国地方初のプロサイクルロードレースチームとして創設されて以来、国内トップリーグの「チーム総合」と「個人総合」の二冠を同一シーズンで制覇するという、歴史的快挙を達成した。
選手・監督インタビュー

優勝:橋本英也(弱虫ペダルサイクリングチーム)
「コースの至るところから僕への声援が聞こえてめちゃくちゃ嬉しくて、『これは絶対に勝たなきゃいけない』と思って走りました。レース終盤の逃げに乗ったものの協調しきれず、ラスト1周でシマノの強力なトレインが上がってきたので、瞬時に集団ゴールスプリントへ頭を切り替えました。シマノトレインが本当に強かったですが、プラン通りに最後まで脚を残し、ギリギリで競り勝つことができて最高の気分です。今シーズン最後のレースを優勝という形で締めくくることができ、応援してくださったファンの皆様に心から感謝しています」
JCT年間総合優勝&レース5位:孫崎大樹(ヴィクトワール広島)
「シーズン開幕前から個人としてもチームとしてもJCT2連覇を最大の目標に掲げていたので、無事に達成できてホッとしています。今季は1勝にとどまった悔しさは残るものの、年間を通して安定して上位に入り続ける自分の強みを発揮できました。JCTが始まって以来、このグリーンジャージを着続けているのは僕だけなので、誰にも譲るつもりはありませんでした。来年以降もチャレンジャーの気持ちを忘れず、挑んでくる選手たちを上回ってジャージを守り続けます」
レース3位:レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島)
「昨日チームとしてJPT年間チャンピオンを獲得し、今日もチームメイトの孫崎選手とともに最高の結果を残せて本当に嬉しいです。自分自身もスプリントで3位表彰台に上がることができ、良い走りができました。いつも温かいサポートをしてくださるスポンサーとファンの皆様、熱い応援を本当にありがとうございました」
チーム総合優勝監督:西村大輝監督(ヴィクトワール広島)
「今日は孫崎選手のJCT年間総合2連覇を確実に決めることを最優先にレースを組み立てました。チーム全員がリスクを冒さず、逃げをすべてチェックする冷静な走りに徹してくれました。その中でレオネル選手が3位表彰台に登り、孫崎選手が確実に5位に入って年間タイトルを決めてくれた。JPTチーム年間チャンピオンとJCT個人年間チャンピオンの国内トップリーグ二冠は、チームの成長を証明する素晴らしい節目です。ファンの皆様、スポンサーの皆様の支えに心より感謝申し上げます」
他カテゴリーダイジェスト:中川由人が移籍後初V、林優希が女子制覇、川野鷹が独走完勝
【E1】:宇佐美の完璧な発射台から中川由人が移籍後初勝利で今大会3勝目
24.8km(20周)で行われたE1クラスタは、序盤からハイペースが続き決定的な逃げが決まらないまま終盤へ。最終周回、MOAT RACING LABの宇佐美颯基が完璧なリードアウトを見せて集団を牽引。その背後から発射されたエース中川由人が登りスプリントを力強く制し、SBC Vertex Racing Teamからの移籍後初勝利、そして南魚沼クリテリウムE1クラスタで2022年、2023年に続く3勝目を飾った。2位には本田啓仁(LINKVISION GIRASOLE CYCLING)、3位にはエリートツアーリーダーの安原大貴(MiNERVA-asahi)が入った。
【F(女子)】:林優希が六日町大橋アタックでロードのリベンジを果たす
22.3km(18周)の女子レースは、中盤に林優希(なるしまフレンドレーシングチーム)が仕掛け、島橋由美子(CLUB ONEPEACE RACING TEAM TOYAMA)が追いついて2名の一騎打ちに。ラスト1周、六日町大橋で強烈なアタックを繰り出した林が島橋を突き放して独走優勝。前日のロードレース2位の悔しさを晴らす見事な勝利を飾った。3位にはフェミニンリーダーの岡本彩那(ブラウ・ブリッツェン)が入った。
【E2/E3】:10代の川野鷹が独走劇で完勝
22.3km(18周)で行われたE2/E3混走レースは、明星大学自転車競技部が序盤から主導権を掌握。5周目の中間スプリントを獲得した18歳の川野鷹(明星大学)が、残り3周から電光石火の単独アタックを敢行。迫る大集団を寄せ付けず、独走のまま両手を挙げてフィニッシュ。若さ溢れる圧巻の逃げ切り勝利を飾った。
リザルト
JBCF 第6回 南魚沼クリテリウム(JCT第5戦・43.4km)
1位 橋本英也(弱虫ペダルサイクリングチーム) 56分16秒
2位 日野泰静(シマノレーシング) +00秒
3位 レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島) +00秒
4位 草場啓吾(キナンレーシングチーム) +00秒
5位 孫崎大樹(ヴィクトワール広島) +00秒
6位 高橋翔(NEXT TEST SET) +01秒
7位 松本一成(チームサイクラーズ・SNEL) +01秒
8位 知名透真(NEXT TEST SET) +01秒
9位 渡邉和貴(シマノレーシング) +01秒
10位 山田拓海(シマノレーシング) +01秒
中間スプリント賞
5周回完了時:山本元喜(キナンレーシングチーム)
15周回完了時:加藤快介(チームユーラシア・iRCタイヤ)
25周回完了時:ルーク・バーンズ(ヴィクトワール広島)
JCT個人総合優勝(クリテリウムリーダー):孫崎大樹(ヴィクトワール広島)
【E1】(24.8km)
1位 中川由人(MOAT RACING LAB) 33分06秒
2位 本田啓仁(LINKVISION GIRASOLE CYCLING) +00秒
3位 安原大貴(MiNERVA-asahi) +00秒
4位 阿部航大(Honda栃木) +01秒
5位 及川弘恭(ブラーゼンサイクリング倶楽部) +01秒
6位 島野翔汰(TEAM KOSHIDO) +01秒
中間スプリント賞:井上和郎(バルバサイクルレーシングチーム)
【F】(22.3km)
1位 林優希(なるしまフレンドレーシングチーム) 35分43秒
2位 島橋由美子(CLUB ONEPEACE RACING TEAM TOYAMA) +00秒
3位 岡本彩那(ブラウ・ブリッツェン) +1分09秒
4位 加藤音乃(Hangover) +1分09秒
5位 清野心花(クラブ二輪俱) +1分10秒
6位 山崎友里(CLUB ONEPEACE RACING TEAM TOYAMA) +1分10秒
中間スプリント賞:岡本彩那(ブラウ・ブリッツェン)
【E2/E3】(22.3km)
1位 川野鷹(明星大学自転車競技部) 30分30秒
OPN 遠藤優(Roppongi Express) +02秒
2位 柳澤綺隆(BMレーシングZUNOW) +02秒
3位 鎌田将(フィッツ) +02秒
4位 滝口敬司(明星大学自転車競技部) +02秒
5位 松原圭佑(旭丘高等学校) +03秒
6位 天羽隼翔(北海道帯広南商業高等学校) +03秒
中間スプリント賞:川野鷹(明星大学自転車競技部)
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 文:相原晴一朗 写真:キナンレーシングチーム / 小玉凌、ヴィクトワール広島
SHARE
PROFILE
Bicycle Club編集部
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。



















