
ヴィットリア「ザフィーロエボ」試乗レビュー|28Cで60g減、4000円以下のタイヤが別物になった
安井行生
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ヴィットリアのロードラインナップの土台を支えるザフィーロ。安くて丈夫だが乗り味は安っぽい——長らくそう評価されてきたこのタイヤが、新型のザフィーロエボで大きく変わった。ケーシングは26TPIから60TPIへ、28Cの重量は前作の340gから280gへ。それでいて価格は税込3,993円に収まる。ハイエンドタイヤが1万円を超えるのが当たり前になった今、この1本をどう見るか。自転車ジャーナリスト安井行生さんがお伝えする。
正直、これまでのザフィーロにいい印象はなかった

コルサプロ、コルサネクスト、ルビノ、ザフィーロというヴィットリアロードラインナップの土台を支えるザフィーロ。いきなり申し訳ないが、これまでのザフィーロには全くいい印象がなかった。安いモデルなので当然ではあるのだが、性能的に突出したところはなく、乗り味がザラザラで安っぽかった。
安くて耐久性が高いザフィーロは都内で1日100kmを走るメッセンジャー御用達のタイヤだったが、筆者はメッセンジャー時代、その乗り味にどうしても我慢できず、贅沢にもコルサを配送用タイヤとして使っていた(1カ月と経たずにケーシングが露出していたが)。

その後、ザフィーロは数度のモデルチェンジをするのだが、その印象は大きくは変わらず。しかし今年初頭に行われた新製品展示会で新型ザフィーロ(正式名称:ザフィーロエボ)を手にして、これはちょっと期待できかもしれないと思った。
26TPIから60TPIへ、28Cで60gの軽量化
まず、ザフィーロとは思えないほど軽い。28Cで比較すると、前作となるザフィーロプロが340g。新型ザフィーロエボは280g(タンサイドは黒いゴムが乗らないぶん270gとさらに軽い)と、同じモデルとは思えないほど軽量化されている。
そして、手触りがしなやかになった。前作の26TPIから60TPIへとケーシングの繊維が細くなっており、前作のようなごわごわ感が消えた。繊維が細くなるということは、繊維同士がより蜜になるということであり、ケーシング内の繊維の割合が多くなり、ゴムの割合が小さくなるので、軽量化につながる(だから軽量なハイエンドタイヤはTPI値の高い繊維を使う)。もちろんTPIの数字で性能や乗り味が決まるわけではないが、新型ザフィーロに関してはTPI数の変更が性能にもろに影響している印象だ。


ZAFFIRO EVO
価格:3,993円(税込)

- カラー:ALL BLACK、BLACK/PARA(25C・28Cのみ)
- タイヤタイプ:クリンチャー(Foldable)
- サイズ(重量):700x23C(230g)、700x25C(250g/BLACK-PARA 240g)、700x28C(280g/BLACK-PARA 270g)、700x30C(300g)、700x32C(320g)
- ケーシング:ナイロン 60TPI
- コンパウンド:グラフェンコンパウンド
- フックレス対応:28C以上
試乗レビュー 自転車ジャーナリスト安井行生

設計やスペックは大きく変わっているが、「あらゆるコンディションに対応するロードトレーニングタイヤ」というこのタイヤのコンセプトは不変。ということは、今回のようなちょい乗りインプレではそのメリットは全く出ないということになる。売りは耐摩耗性、耐久性、耐パンク性。数kmかせいぜい十数kmしか走らないインプレは、ザフィーロのようなタイヤにとって非常に不利だ。
とはいえ、ちょい乗りでもかつてのようなガサガサ感が消えていることは分かる。そもそもタイヤが太くなり、空気圧を落とせるようになったことが大きいのだろうが、ケーシングの変更ももちろん影響しているはずだ。
加速は前作とは比べものにならないほど軽くなっており、なんと驚くことに走りも重くない。グリップは上位モデルであるコルサネクストと同等ですらある。グリップ感も自然で扱いやすい。アンダー4000円のタイヤとしては非常にいいバランスだと思う。個人的には、ヴィットリアらしい高級感があるタンサイドのラインナップが嬉しい。
「タイヤはケチるな」は書き換えるべきときか
機材高騰の波は消耗品であるタイヤも襲い、ハイエンドタイヤは1万円オーバーが当たり前になってしまった。ここまで高くなると、日常的に使うタイヤはミドルグレードを視野に入れたくなる。昔から「タイヤはケチるな」と言われてきたように、タイヤは性能差が大きく出やすい部分だが、そろそろその教えを見直してもいいのではないかとも思う。理由は3つ。
①ハイエンドタイヤの高価格化&設計の先鋭化
②タイヤとリムのワイド化
③ミドルグレードの基本性能向上
である。
現在のレースシーンで求められているのはなにより「転がり抵抗削減」であり、抵抗を実測して比較するサイトがユーザーの大きな情報源になっている。タイヤのワイド化&低圧化によってグリップが確保できるようになってきたこともあり、各社は転がり抵抗策片に力を割いている。
すると設計はどうなるか。コンパウンドなども影響するが、基本的に転がり抵抗は「変形する素材の量」によって決まるから、ケーシングとトレッドを薄くすればいい。実際、ここ数年で各社ハイエンドタイヤのトレッドはかなり薄くなっているという。当然、耐摩耗性は低くなり、パンクもしやすくなるが、それでもいいのだ。だってハイエンドタイヤは基本的にレース用だから。となると、それを日常的に使うことは正しいのか?という疑問が生まれたりもする。それが①である。
②によって、ケーシングが多少分厚くても、乗り心地とグリップを確保できるケースが多くなったと感じる。今回の2本のヴィットリアの試乗を通して感じたのが③である。特にこのザフィーロエボ。前作との性能向上率では近年最強だろう。
「タイヤはケチるな」という先達からのありがたい教えは、「状況に応じてミドルグレードも視野に入れてもいい」と書き換えるべきときなのかもしれない。

問:ブイ・ティー・ジェイ https://www.vittoriajapan.co.jp/
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