
大自然にもほどがある 宿毛・愛南サイクルコネクト2026と、先駆けの第8回 全国シクロサミット in 宿毛
Bicycle Club編集部
- 2026年10月27日
2026年10月24日、高知県宿毛市の宿毛市総合運動公園を発着に、県境を越えて愛媛県愛南町をめぐる約100kmのサイクルイベント「宿毛・愛南サイクルコネクト2026」が開催された。大会のキャッチコピーは「大自然にもほどがある」。前日の23日には、同じ会場で、自転車を活用したまちづくりを考えるシンポジウム「第8回 全国シクロサミット in 宿毛」が開かれている。
全国から集った市区町村長や国会議員、国土交通省の担当者たちが、23日は会場で自転車施策をめぐって議論を交わし、翌24日はそのままサイクリストとしてスタートラインに並ぶ――。四国のいちばん端、宿毛を舞台に繰り広げられた自転車づくしの2日間を、サミットから順に振り返る。
【10月23日】先駆けの一日――第8回 全国シクロサミット in 宿毛
初日の23日(金)、宿毛市総合運動公園 市民体育館で開かれたのは「第8回 全国シクロサミット in 宿毛」。自転車を活用したまちづくりや、安全で安心な自転車利用について考える、自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会(以下、全国市区町村長の会)の催しである。今回のテーマは「四国のすみっこから創造するサイクルカルチャー 〜地域に溶け込む自転車施策の探究〜」。宿毛市内の中学生による吹奏楽のオープニング演奏から、国の施策をめぐる講演、宿毛大使を交えたパネルディスカッション、地元小学生が参加する自転車安全教室まで、多彩なプログラムが並んだ。
吹奏楽の演奏で開幕――全国から集う自転車のまち

開会は13時30分(受付は13時から)。冒頭を飾ったのは、宿毛市内の中学校3校(宿毛、片島、東)の生徒による吹奏楽演奏だった。

続いて役員・来賓の紹介が行われた。登壇した来賓には、高知県知事・濱田省司氏の代理として出席した副知事の西森裕哉氏、自転車活用推進議員連盟会長で参議院議員の橋本聖子氏、同議員連盟の宮本和宏参議院議員、国土交通省自転車活用推進本部事務局次長(道路局参事官)の土田宏道氏、同省四国地方整備局長の奥田晃久氏、一般社団法人自転車協会理事長の伊藤政博氏、同協会専務理事の加藤丈博氏らが名を連ねた。
発足時の294から413に増えた「全国市区町村長の会」会員

主催者を代表して挨拶に立ったのは、全国市区町村長の会の会長で、さいたま市長の清水勇人氏。多数の来賓と、全国各地から集まった会員への謝辞を述べ、サミット開催に尽力した中平富宏・宿毛市長をはじめとする宿毛市の関係者に感謝を示した。
清水会長は、会が2018年11月に294会員の賛同を得て発足し、現在は413会員を数えるまでに広がったことを紹介。自転車が健康増進や環境負荷の低減、観光振興、そして移動手段として果たす役割に触れる一方、安全で安心な利用環境の確保など、自転車施策が多岐にわたる課題を抱えていることにも言及した。さらに、翌2027年に愛媛で開かれる「Vélo-city」や、本サミットのテーマのひとつである青切符制度にも触れ、「このサミットが全国の自転車活用推進につながることを願う」とまとめた。
「自転車文化が根付いているな、と改めて感じた」――橋本聖子氏 特別記念講演

14時10分からの特別記念講演には、自転車活用推進議員連盟会長の橋本聖子氏が登壇した。冒頭、同議員連盟の宮本和宏参議院議員とともに登壇したことを紹介。宮本氏は滋賀県守山市長を務めた経歴を持つといい、翌24日のサイクルイベントには二人そろって走る予定だと語った。
講演では、スピードスケートと自転車競技の二刀流でオリンピックに出場したアスリートとしての経歴に加え、2027年5月に開かれるワールドマスターズゲームズ2027関西の自転車競技(BMXレーシング)に出場し、現役復帰を目指しているという話題で場内を沸かせた。
話題は健康づくりへと移り、年齢を重ねるなかで健康を維持することの難しさや、スポーツ・自転車を通じた健康寿命の延伸の意義に触れた。そのうえで、青切符制度の導入など交通ルールが変わっていくなかで、自転車がより安全なものになるよう、ヘルメットの着用や歩行者優先の徹底を呼びかけた。「病気と一緒で、事故もゼロにしていく」と、安全への思いを強調。議連会長として、そして一人のアスリートとして、自転車の活用と安全利用を全力でサポートしていく姿勢を示し、講演を締めくくった。
引き続き、国土交通省道路局参事官 兼 自転車活用推進本部事務局次長の土田宏道氏が「第3次自転車活用推進計画について」と題して登壇し、国の自転車施策の最新の方向性を解説した。続いて、宿毛警察署交通課長の池畠広隆氏が「青切符制度について」講演。2026年4月に始まった自転車の交通違反に対する取り締まり(いわゆる青切符制度)について、地元の視点から解説が行われた。
「いい意味で、何もない。それは自転車が走りやすいということ」――大使と歩む宿毛のサイクルカルチャー

15時20分からは、本サミットのテーマを冠したパネルディスカッション「四国のすみっこから創造するサイクルカルチャー 〜地域に溶け込む自転車施策の探究〜」が行われた。モデレーターは株式会社SLメディアの中川裕之氏。パネラーには、宿毛市長の中平富宏氏と、宿毛大使を務める3名――竹之内悠氏、松田千裕氏、大和竜一氏――が登壇した。竹之内氏はチーム監督として、松田氏は自身の法人を持つ立場として、大和氏はタイヤメーカー・パナレーサー株式会社の一員として、それぞれ紹介された。
最初のテーマは「大使と歩む宿毛のサイクルカルチャー」。普段は関西に暮らすという竹之内氏は、宿毛の魅力を「失礼な意味ではなく、いい意味で、何もない。それはイコール、自転車がとても走りやすいということ」と表現した。「普段、関西にいると感じられない空気感や自然環境が、走るときにとても魅力的に感じる」といい、森林や山が多い地形を生かして最近グラベルのイベントも行ったと紹介した。
大和竜一氏は、現在は宿毛に居を構えているといい、タイヤメーカーの立場から自転車の魅力を語った。オフロード・グラベルについては、運動公園の周りにもコースがあり、走れる環境の整備を進めたいと述べた。
中平市長は最後に、「宿毛市は通学での自転車利用など日常の取り組みを進めている。自転車には本当にいろんな可能性があり、エコで環境にもやさしい。田舎からの取り組みではあるが、宿毛から日本のサイクルカルチャーを発信していきたい」と締めくくり、「皆さん、一緒に取り組んでまいりましょう」と呼びかけて、パネルディスカッションを終えた。
「教えない自転車教室」で体で学ぶ――自転車安全教室(ウィーラースクール)

16時からは、自転車安全教室が開かれた。講師を務めたのは、ウィーラースクールジャパン代表で「ブラッキー」の愛称で親しまれる中島隆章氏。宿毛市立平田小学校の5・6年生の児童たちが参加した。
ウィーラースクールは、「遊び」を通じて自転車の技術と交通安全を体で身につけていく「教えない自転車教室」をコンセプトに掲げる。まっすぐ走って止まる基本から、一本橋やスラローム、自転車相撲といったメニューを通じて、楽しみながらバランス感覚やブレーキ操作、周囲への注意を学んだ。

児童たちの前で見本を示したのは、翌24日のサイクルイベントにもゲストライダーとして参加するヴェロリアン松山の吉田晴登選手と森海翔選手だ。
次回開催地は愛媛県大洲市

このあと次回開催地である愛媛県大洲市の二宮隆久市長から次回大会の紹介が行われ、中平富宏・宿毛市長の閉会挨拶をもって、初日のプログラムは幕を閉じた。
【10月24日】そして当日――宿毛・愛南サイクルコネクト2026「大自然にもほどがある」

明けて24日(土)、舞台は同じ宿毛市総合運動公園へ。約100kmの周回コースで県境を越え、愛媛県愛南町をめぐって再び宿毛へ戻る「宿毛・愛南サイクルコネクト2026」が開かれた。前日のサミットに合わせて来県した国会議員や国土交通省の担当者、全国の自治体首長もサイクリストに交じってスタートラインに並んだ。ここからは、スタート前の開会式と、コース上に並ぶエイドステーションの顔ぶれをお伝えする。
「太陽が見える中でスタートが切れるとは思っていなかった」 中平宿毛市長

開会式の口火を切ったのは、宿毛市長の中平富宏氏。直前まで台風の動向が気がかりだっただけに、まずは天候への安堵から話が始まった。
「天気がとても心配でした。台風がぐっと曲がりましたよね。まさか今日、太陽が見える中で皆さんと一緒にスタートを切れるとは思っていませんでした。皆さんの応援の気持ちが呼んだ結果だと思っています」
「『大自然にもほどがある』という大会ですが、コースをご存じの方はお気づきのとおり、いろいろな意味で『ここまで走らせるのか』という、お腹いっぱいになるコース設定になっています。山を登って下りて、これで峠を越えたなと思っていると、後半にとんでもない斜度の坂があります。ペダルからクリートを外さずに、ぜひ根性で最後の最後まで登ってください。その後はなんとかなると思います」
会場が沸いたのは言うまでもない。主催者自らが「お腹いっぱい」と言い切るコースプロフィールが、この大会の性格をよく表している。
続いてマイクを取ったのは、コースの後半を受け持つ愛媛県愛南町の中村維伯町長。「『大自然にもほどがある』ということは、そこから生まれる海山の幸にもほどがある、ということです。各エイドで素晴らしい食を用意していますので、ぜひ1日楽しんでください」と、キャッチコピーをそのまま食の話へと折り返してみせた。

この日は、宿毛大使の竹之内悠選手、松田千裕選手をはじめ、全国シクロサミットに参加した多くの国会議員や国土交通省の関係者が、参加者と一緒にライドを楽しむことになった。
「この熱気に台風も遠慮している」 橋本聖子議連会長ら来賓が祝辞

前日の全国シクロサミットに合わせて来県した来賓も、そのままライドに加わった。自転車活用推進議員連盟会長の橋本氏は「私たちは自転車を活用し、地域の活性化と産業の創出を目指しております。ぜひこれからも、自転車を皆さんのお力で盛り上げ、育てていただきたい」と語った。
自転車活用推進議員連盟事務局次長で参議院議員の宮本和宏氏は、「学生時代には、ここ宿毛から黒尊林道を抜けて宇和島へ行き、松山まで走りました」と振り返った。学生時代に走った思い出の地を、再び走ることになる。
塩まるからジビエカレー、ゴールは塩ちゃんこ鍋 6か所のエイドで味わう海山の幸

中村町長の言う「海山の幸」は、コース上に6か所、そしてゴール会場に用意された。スタートからの距離とあわせて並べると、この大会の一日がそのまま見えてくる。
17km地点の「山里の家」で迎えるのは、幡多銘菓の塩まると宿毛冷菓(すくもひゃっか)。焦がしバターとローストアーモンドの風味にほどよい塩気が効いた塩まると、宿毛の柑橘のおいしさを閉じ込めた宿毛冷菓が、この先の山登りに向けたエネルギーになる。
35km地点の篠山白滝では、愛南町産の藻塩を使った餡を、厳選された生クリームとともにふんわり柔らかな餅で包んだ藻塩大福。山あいを流れる白滝の景色とあわせて味わう一品だ。

スタート時には日差しものぞいたが、当日は台風の影響で雨交じりの天気模様となった。それでも参加者は、ハードな峠道を越えながら、65km地点のジビエカレー、73km地点の鯛の刺身とカツオのたたき、89km地点のガトーナンテとコーヒー、95km地点の直七シャーベットと、地元の食を満喫するライドを楽しんだ。
そしてゴール会場の宿毛市総合運動公園では、走り終わった体に、沖の島の海水と太陽から生まれた天日塩「塩祐」を使った塩ちゃんこ鍋。愛南町特産のじゃこ天など、地域の味覚もあわせて楽しんだ。
エイドステーション一覧
- 17km/山里の家:幡多銘菓 塩まる、宿毛冷菓(すくもひゃっか)
- 35km/篠山白滝:藻塩大福
- 65km/緑公民館:ジビエカレー
- 73km/東海小学校跡地:鯛の刺身、カツオのたたき
- 89km/すくも84マリンターミナル:出張林邸カフェ Pâtisserie SAIGOのガトーナンテ&コーヒー
- 95km/道の駅すくもサニーサイドパーク:すくも直七シャーベット
- ゴール会場・宿毛市総合運動公園:沖の島天日塩「塩祐」の塩ちゃんこ鍋

イベント概要
第8回 全国シクロサミット in 宿毛
- 開催日:2026年10月23日(金)
- 会場:宿毛市総合運動公園 市民体育館
- テーマ:四国のすみっこから創造するサイクルカルチャー 〜地域に溶け込む自転車施策の探究〜
- 主催:自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会
宿毛・愛南サイクルコネクト2026「大自然にもほどがある」
- 開催日:2026年10月24日(土)
- 発着点:宿毛市総合運動公園(高知県宿毛市)
- コース:宿毛市総合運動公園を起点に愛南町をめぐり、再び同公園へ戻る約100kmの周回コース(ルート詳細)
- エイドステーション:コース上6か所+ゴール会場(詳細)
- ゲストライダー:竹之内悠、松田千裕、新開由樹、ヴェロリアン松山
- 主催:サイクルコネクト実行委員会
- 後援:高知県、愛媛県、宇和島市、環境省
- 問:サイクルコネクト実行委員会 https://cycle-connect.net/
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- CREDIT :
- 写真、文:BicycleClub
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