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キャニオン新型エンデュレースCF SLX/CF試乗|グレードごとに別物。失敗しない「試乗のコツ」とともに読み解く

2026年、キャニオンのエンデュランスロード「エンデュレース」が4代目へと切り替わった。トップモデルのエンデュレースCFR、ミドルグレードのCF SLX、ベーシックグレードのCFという3グレード構成だが、その3台はフレーム形状もコンセプトもすべて異なるという異例の作りだ。今回は自転車ジャーナリスト安井行生さんが東京・八王子のキャニオン東京テストセンターで、CF SLXとCFの2台にじっくりと試乗した。あわせて、試乗で正しい印象を得るための「コツ」もお伝えする。

試乗とは、どういう行為か

インプレは簡単だが難しい。

今はショップやメーカーが頻繁に試乗会を開催してくれているから、試乗する機会はかつてに比べると多くなっている。大きなメーカーであれば試乗車のサイズを豊富に用意しているだろうし、昔よりも好条件で新型車を試せるいい時代だ(昔は雑誌のインプレを読んで乗り味を推測する「脳内試乗」しか術がなかった)。

しかし、試乗で正しい印象を得ていい自転車選びをするには、いろいろなコツがある。この記事では、試乗をより有効なものにしていただくため、キャニオン・新型エンデュレースCF SLX/CFのインプレを通して、「試乗のコツ」をお伝えしたいと思う。

試乗のコツ① その日の基準を設ける

試乗の印象を最も大きく左右するものは何か。

バイクの重量?
タイヤのサイズと空気圧?
フレームとホイールの剛性?
空力性能?

残念ながらどれも違います。一番大きいのは、「その日の体調と気分」。そんなバカな、と思われるかもしれないが、本当である。

例えば体調・気分・気温・湿度ともに最高で澄み渡る青空の下で乗れば、エントリーグレードだって好印象になる。天気が悪く気分が沈んでおり二日酔いで体調は最悪でしかも強風が吹いている、という日に乗れば200万円のハイエンドバイクだってイマイチだと感じる。だから何も考えずに乗れば頓珍漢な印象になってしまう可能性がある。

もちろん体調を万全にして試乗に臨むのが理想だが、なかなかそうも言っていられないので、試乗時に「自分の基準」を設けて感覚の補正を行うことをお勧めする。試乗の現場に自分のバイクを持ち込み、できれば同じコースを一度走ってみて、「自分のバイクで走ると今日はこんな感じだな」と、自分の感覚のキャリブレーションを行うのだ。

また、何台も試乗する場合は、間に自分のバイクで走って、ときどき感覚をリセットすることも効果的だと思う。人はどうしても直前に乗った自転車の影響を受ける。計測機器なら絶対評価が可能だが、人間は相対評価にならざるを得ないからだ。

試乗のコツ② できるだけ条件を揃える

次に、試乗する条件をできるだけ揃えること。最近のバイクはハンドルポジションの調整に制限があったり手間がかかったりするため、場合によってはハンドル調整は不可能なこともあるだろうが、普段自分が乗っているバイクと試乗車のポジションを可能な限り近づけたい。

事前に自分のポジションを把握しておき、試乗の際には「サドルの高さは○cm、ハンドルはできれば○cmくらいで……」などと伝えられるようにしておくとスムーズだ。サドルハイトだけでなく、サドルの前後位置や角度なども試乗印象に大きく影響するので注意。

その他、タイヤのサイズと空気圧、タイヤの銘柄、サドルやハンドルの種類、ギヤ比などのスペックも頭に入れて、「このスペックでこういう走りをするなら……」と考えながら乗ると試乗がより有意義なものになる。

試乗のコツ③ 「いつもの走り方」をする

走り方にも注意していただきたい。試乗車を借りて走り出すと、「せっかくの機会だから速く走ってみないと」という焦りに「ニューモデルに乗れるハイテンション」が加わって、高負荷で頑張ってしまいがち(それでは「疲れた」という印象しか残らない)。もちろんそういう走りをした際の性能を見ることも必要かもしれないが、「自分がこのバイクを買ったらどんな楽しみ方をしたいか」を思い描いて、その通りに走ってみることが大切である。

空力性能を重視するならストレートでちょっと踏んでみる。のんびりとロングライドを楽しみたいならのんびりと走ってみる。キビキビとした走りを味わいたいなら加速を繰り返してみる。いつも200Wでヒルクライムをしているなら、その通りに上ってみる。グラベルロードを楽しみたいなら砂利道を走ってみる。

そのためには、「自分がどのような性能を求めているか」をはっきりとイメージしておくことが必要だ。スポーツバイクには、加速、高速巡航、登坂、振動吸収、ハンドリング、安定性、扱いやすさ、気持ちよさ……などさまざまな評価項目があり、人によって求める性能は変わる。明確な目的を持ち、その項目の体の“センサー”の感度を最大限に高めて試乗すると、そのモデルが自分の目的に合っているかどうかを正確に確かめることができるはず。

試乗の舞台──キャニオン東京テストセンター(東京・八王子)

キャニオンは東京・八王子に試乗の拠点となるキャニオン東京テストセンターを開設している。試乗は予約制で有料となるが、モデル・グレード・フレームサイズなどが指定可能。モデル同士の比較、グレード比較、サイズ比較などもできる。メカニックが在籍しているので、ハンドルポジションの変更などにもできるだけ応えてくれるという。試乗コースは自由だが、土地勘のない方のためにお勧めのルートを数パターン入れたガーミンを貸し出している。周辺には上りあり、交通量の少ないルートあり、コーナーあり、グラベルありと、スタッフにどんな道を走りたいかを相談すればお勧めルートを教えてくれるはず。

エンデュレースの歴史

今回、キャニオン・テストセンターで試乗するのは、新型となったエンデュレースCF SLXと同CF。

初代エンデュレース

初代エンデュレース(正式名:エンデュレースCF)が発表されたのは2014年。このときはまだリムブレーキが主流で、タイヤクリアランスは28Cだった。2016年に2代目となるエンデュレースCF SLXとミドルグレードのCF SLがデビュー。これはキャニオン初のディスクロードでもあった。ほぼ同時にエントリーグレードのALも追加され、タイヤクリアランスは33Cまで拡大している。

2代目エンデュレース

2022年、6年という長期間現役を務めた2代目エンデュレースが退役、3代目エンデュレースCF/ALが発表される。トップモデルからではなく、ミドル〜エントリーグレードが最初にヴェールを脱ぐという変わった順番だった。翌2023年、上位グレードであるエンデュレースCFR/CF SLXがデビュー。エンデュレースにCFRグレードが加わったのはこのときだ。キャニオン専用ハンドルセットであるCP0018エアロコックピットを採用し、トップチューブにストレージが設けられ、走行性能と拡張性が高められた。

最新のエンデュレースCFR

2026年4月、今度は3年という短いスパンでエンデュレースは新型へと切り替わる。トップモデルであるエンデュレースCFR、ミドルグレードのCF SLX、ベーシックグレードのエンデュレースCFというラインナップだが、その中身は少々特殊だ。

従来、エンデュレースに限らずカーボンフレームは「フレーム形状とコンセプトは同じまま、素材を変えてグレードを作り分ける」というケースが多かった。3代目エンデュレースも、形状は同じで素材違いという松竹梅(CFR、CF SLX、CF)の3グレード構成だった。

しかし新型エンデュレースは、CFR、CF SLX、CFという3つのグレードのすべてでフレーム形状が異なる。同じモデルとしては異例である。

新型エンデュレースCF SLXというバイク

4代目エンデュレースCFRのコンセプトは「パリ〜ルーベを最速で駆け抜けるためのバイク」というもので、近年のエンデュランスロードとしては珍しく、想定しているのは石畳を含む過酷な高速レース。よってエアロードと同等の空力性能と剛性を持たせたという。タイヤクリアランスは35mmである。

一方、今回試乗するCF SLXは「長距離を効率よく快適に走るための、王道のエンデュランスロード」であり、CFRとはコンセプトが異なる。同じエンデュレースではあるが、この2台は別物なのだ。

CFRほどではないものの空力性能が意識されたエアロード寄りのフレームが特徴で、荷物の積載はそこまで想定されていない。ダウンチューブにはストレージが設けられるがフレームにマウントはなく、「身軽なスタイルで走る」ことを前提としている。

ハンドルはキャニオン独自のPACEバーだが、ドロップ部分が4種類用意されており、このエンデュレースには新開発のコンパクト(リーチもドロップも小さいもの)が標準装着される。

シートポストも空力性能と快適性を両立させる形状。専用のテールライト(別売)も装着可能。

完成車には32mmのタイヤが付く。クリアランスは最大38mm。

新型エンデュレースCFというバイク

価格帯としてはCF SLXの下のレンジとなるエンデュレースCFは、CFRやCF SLXほど空力を意識した形状ではなく、フレーム形状としてはアルティメットの系譜に連なる。ダウンチューブにストレージはないが、トップチューブとフレームバッグ用のマウントが用意されており、バイクパッキングで荷物を持ちながら長距離を走ることが想定されている。CFR/CF SLXとは異なり、荷物を積んでのロングツーリングも視野に入れた作り。この3台はすべてコンセプトが異なるのだ。

キャニオン専用ハンドルを採用するCFR/CF SLXとは異なり、ハンドル&ステムは汎用品が使える。

シートポストも同様。専用品となる上位グレードに対し、このCFは27.2mmの真円タイプを使う。

フレーム各部にはマウントが設けられており、バイクパッキングを想定に入れる。

3台で作り分けられた剛性

面白いのは剛性だ。レーシングバイクであるCFRは、BB剛性はエアロードCFRと同等。ヘッド剛性に関しては路面状況が悪いシーンでも正確なハンドリングを得るためにエアロードCFRより高められているという。

一方、CF SLXとCFはBB剛性を意図的に同グレードのエアロードより下げている。これは、快適性を上げてエンデュランスロードとしてのバランスを高め、長時間のライドでも体にかかる負担を和らげるためだという。

単なる楽ちん自転車ではない(エンデュレースCF SLX)

当日は私物のバイクに乗って自走で行き、気持ちのいい秋晴れの下、エンデュレースCF SLXとCFにそれぞれ40分ほど、しっかりと試乗した。

新型エンデュレースCFRにはデビュー直後に試乗したが、かなり剛性が高く、言ってみればそれは「ちょっと太いタイヤが入るエアロード」だった。レースのための自転車なのだからそれでいいのだ。

だからエンデュランスロードとしての本命は、このCF SLXとCFになるだろう。とはいえ、エンデュレースCF SLXは、皆さんがエンデュランスロードというカテゴリ名から想像するような、とにかく快適でふわふわで踏むと思ったほど進まない、という物体とは違う。確かに剛性は適度に抑えられているが、柔らかいという印象は皆無。ペダリングしやすいがゆえに中負荷までの加速はよく、登坂路でも十分に軽快だ。

剛性が低い=運動性能が低いと思っている方もいるだろうが、その2者は直結しない。むしろ、剛性が適度に抑えられている(かつペダリングに対して変形の方向が適切で、しなり戻りもペダリング動作に最適化されている)と、ペダリングしやすく、しかもパワーが無駄にならず、かつ脚に疲労が溜まりづらくなる。結果的に気持ちよく速く走ることができる。一般のサイクリストが長距離を走るにあたってこの特性は大きなメリットになる。

レーシングバイクのような刺々しさはなく、安定感や快適性や操安性など「エンデュランスロードらしくあってほしいところ」はちゃんとエンデュランスロードしており、走りの重さという「エンデュランスロードのデメリットだったところ」は目立たない。単なる楽ちんな自転車ではなく、各性能が高いレベルでバランスしている。軽快に走れるエンデュランスロードである。疲労が蓄積する長距離走にこそ、疲れにくさと高い運動性能の両立が必要だ。

ここにも“新型のバランス”がある(エンデュレースCF)

レーシングバイクであるエンデュレースCFRに比べると、CF SLXとこのCFの性格は似ている。CFのみ荷物の積載を前提としているというコンセプトの違いはあるのだろうが、走り自体はCF SLXのバランスに近い。

フレームの形も違うし、ハンドルもシートポストもノーマル形状で、コンポは機械式変速になり価格も離れているので、性能低下は免れないのだろうなと思っていたら、意外なほどに走りが軽い。試乗車は機械式105で組まれたエンデュレースCF 7。36万9000円という価格だが、カーボンホイール(Newmen Advanced G.34)を履く。それも大きいのだろう。

パワーをかけるとしなるが、それが「脚力が吸われている感じ」につながっていないのもCF SLXと共通する。もちろんCF SLXのほうが動きは洗練されてはいるが、新型エンデュレースらしいバランスの高さはこのCFにもある。

共通するといえば、素直なハンドリング。エンデュレースはどのグレードでも扱いやすく、コーナリングやダンシングでの挙動が素直。コーナー途中にちょっとしたギャップがあって外側にやや弾かれるような状況でも、挙動に変な癖がなく容易に体勢を立て直せる。試乗を始めてすぐに自分のバイクのように扱えるようになる。おそらく「ヘッド剛性は落とさない」という設計思想がメリットとして出ているのだろう。

短時間の試乗では、どうしても剛性が高くスパッと進み刹那の軽さを持つ自転車の印象がよくなる。しかしそれでは「本当に自分に合った自転車」とは出会えないかもしれない。

長時間走を前提とするエンデュランスロードは、短時間の試乗ではその価値を測りにくい。ある程度の距離を走ってはじめて、バイクが理解できるようになる。エンデュランスロードのような自転車にこそ、このような試乗の場が必要だ。

新型エンデュレースCF SLX/CF 主なスペックと価格

Canyon Endurace CF SLX 8 Di2

エンデュレースCF SLX

エンデュレースCF SLX 7 AXS(スラム・ライバルAXS/カーボンホイール、8.4kg) 58万9000円
エンデュレースCF SLX 8 Di2(シマノ・アルテグラDi2/カーボンホイール、8.1kg) 67万9000円
エンデュレースCF SLX 9 Di2(シマノ・デュラエースDi2/DT Swiss ERC 1400 Dicut、7.8kg) 109万9000円

「長距離を効率よく快適に走るための、王道のエンデュランスロード」として開発されたミドルグレード。CFRのエアロDNAを受け継ぎつつ、スタックを高くリーチを短くした、より楽なポジションが取れるジオメトリーを採用する。ダウンチューブにはツール缶1本分ほどの容量を持つストレージを内蔵し、ボトルケージ2本との併用も可能。フロント・リヤともにフルフェンダー用マウント(DEFEND Fast Fender System対応/別売)を備える。

  • フレーム重量:1050g
  • タイヤクリアランス:最大38mm(完成車装着タイヤは32mm)
  • ハンドル:CP0048 PACEバー+新開発コンパクトドロップ(幅390〜440mm、リーチ75mm、ドロップ108mm、フレア8°)
  • シートポスト:SP093 VCLS Aero(縦方向の振動吸収性能は従来構造比25%以上向上)
  • クランク長:2XS・XS 160mm、S・M 165mm

エンデュレースCF

Canyon Endurace CF 7

エンデュレースCF 7(シマノ・105機械式/Newmen Advanced G.34カーボンホイール、8.4kg)36万9000円
エンデュレースCF 8 Di2(シマノ・アルテグラDi2/Canyon ED 42 CF、8.2kg)54万9000円

カーボンフレームのエンデュレースとしては最も手に取りやすいベーシックグレード。フレーム形状はアルティメットの系譜に連なり、空力よりも汎用性と拡張性を重視する。トップチューブとフレームバッグ用のマウント、前後フェンダーマウントを備え、荷物を積んでのロングツーリングやバイクパッキングまで視野に入れた作り。ハンドル・ステム・シートポストに汎用品が使えるのも、カスタマイズ派にはうれしいところだ。

  • フレーム重量:960g
  • タイヤクリアランス:38mm
  • ハンドル/ステム:汎用品が使用可能
  • シートポスト:27.2mm径のラウンド形状カーボン(上位モデルはVCLS 2.0フレックスシートポスト)
  • クランク長:Mサイズで165mm(全サイズで短縮)

※価格はすべて税込。2026年10月28日時点のキャニオン公式オンラインストア掲載価格。モデル・サイズによっては在庫状況が異なる。

問い合わせ先:キャニオン・ジャパン https://www.canyon.com/ja-jp/

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