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月下に集う・アフター|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #61

今年もそろそろ終わりを迎える。毎年なにかといろいろなできごとが起こるが、今年ははじめて経験することも多かった。雷鳥写真家として活動するうえで、盲目的にライチョウのことを想い追求し続けていると、良いこともあれば悪いこともある。人間、なにごとも糧であると思うようにしているが、感傷にふけるようなときは、ひたすら一生懸命なライチョウたちの姿が沁みるのである。

編集◉PEAKS編集部
文・写真◉高橋広平

月下に集う・アフター

盲目的にひたすら突き進むことでしか得られないことがある。だれも知らない、知られていないことを探求するには多少狂気ともいえる執着心が必要だと実感するからである。狂気と言ったが、だれかに迷惑をかけるタイプの所業はよろしくないので、あくまで自分自身に対してのものである。

私のなかでは12月から2月までは厳冬期という認識でいる。ライチョウの生息地である高山帯は暖かくてもマイナス10℃、ときには体感温度マイナス50℃に達する、生きものが居るにはよほどの準備をしなければ自身の生命の確保すら怪しい環境である。そんな条件のなかで手探りでライチョウの生態を紐解いてきたが、ときに命がかかるこの行為そのものが狂気の一端といえるだろう。厳冬期でも通常営業している山小屋を拠点にして探索する方法もあるが、私は山域を縦横無尽に徘徊したいので、人が滅多に立ち寄らないであろうフィールドに赴き、さらに他者に見つからないことで安全に生活しているライチョウたちをなんとかして探して調べているわけである。

さて本題、年末に見合う一枚はどういうものがいいかと思いあぐねていたのだが、以前に紹介した代表作のひとつ「月下に集う」と同日に撮影した一枚を紹介したいと思う。マイナス20℃、膝高のラッセル、そしてそのなかを100mダッシュしてからの息を止めて脇を締めてのシャッター。その後はしばらく疲労困憊で微動だにできずにその場で倒れていたのだが、飛びそうな意識を引き戻してさらなる追跡を開始した。

倒れる前はまだ月が浮かぶ夜であったが、気づけば深い青に染まる空にうっすらと茜色が一文字の筋になって現れ始めた。よろめきながらも群れの1羽に狙いを定めて彼に向かってカメラを構え、ファインダーを覗き込んだ。

今回の一枚は、樹林帯のなかで昇る朝日に向かっていく1羽のライチョウの図である。月夜のなかで集合した群れが日の出とともに樹林帯へ移動していくところなのだが、ちょうど太陽とライチョウを一直線に置くことができた。ライチョウの写りが小さいのが難点だが、こういう雰囲気の写真が好きなのでコレクションとして大事にしている。

今週のアザーカット

ここ毎度紹介している2026年版ライチョウカレンダー。次回の更新は年明けになるので、宣伝は今回で最後になります。だいぶ実店舗の在庫が消費されているようすなので、お近くの書店にない場合はAmazonで購入可能ですのでご一考いただけると幸いです。ちなみに撮り手としては、3月の写真が茶目っ気に溢れていて好みであります。なお、次の2027年版が出せるかどうかは例のごとく売り上げ次第ですので、お求めの際は「使用・保存・布教」としておひとりさま3部ほどお買い上げいただければ大変ありがたいです。笑

▶過去の「旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺」一覧はこちら

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PROFILE

高橋広平

PEAKS / 雷鳥写真家・ライチョウ総合作家

高橋広平

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
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