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定説の更新|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #63

先日、長野県環境保全研究所主催のイベント「サイエンスカフェ」に参加してきた。議題は「ライチョウ保全に登山者ができること」。わかりやすい内容で普及啓発をがんばっているのが伝わってきて大変よかった。私もライチョウの普及啓発をしている身であるので、引き続き関係者と協力しつつ良い発信をしていければと思うひとときであった。

編集◉PEAKS編集部
文・写真◉高橋広平

定説の更新

2月、厳冬期後半の高山帯は雪が締まって活動するには良い時期である。また良くも悪くもであるがざっと10年前と比べてフィールドでの体感気温が上がっていることもあり、探索のしやすさも向上しているのではと思う。ただ、以前と比べて暖かいということは雪崩の危険も増すということなので変わらぬ注意が必要である。年毎に静かに減りつつある積雪量に不安を覚えつつの山行であるが、そこは山や自然に対して日頃からどう接していくかを自問自答しながらやっていくしかない。

十数年前の2月、この日はあえて少し荒れた天候を選んで入山した。基本的にキツめのラッセルを強いられる1月にはあまりやりたくない条件であるが、足場がしっかりしている2月ならば敢行してもリスクが少なくてすむ。私が冬山に入り始めた初期のころは、学術研究方面からはライチョウの越冬はオス・メス別々の群れを成しておこなわれる、が定説であった。私はというと、もともと鳥類学とかの知識があるわけでもなく野良育ちの多少絵心がある一般人であったため、当時数少ない書物などを頼りに実地でナマの生態を見て覚えるという現場での叩き上げで知識を深めていた。

実地で積み上げた知識で、謎だらけの厳冬期のライチョウの生態を自らの手で紐解くべく無人の雪原を独り徘徊する。厳冬期でも高山帯に棲み続けることはおおよそ確定していたので、雪崩に気をつけながらフィールドをしらみ潰しに調べていた。雪崩回避の基本として「植生がない斜面は危険」というものがある。理由は過去の雪崩でその範囲の樹々がなぎ倒されているからである。逆説的に斜面を移動するときは樹々がちゃんと生えているところを利用するというのが私のセオリーである。このため、禿げた斜面には安全面からあまり近寄らないようにはしているのだが、それでも極力危険のないようにあれこれと対策をして石橋を叩くがごとく、そういうポイントを覗き込んだりして調査を進めていた。

ライチョウの処世術は他者、つまりは捕食者に見つからないことが一番重要なことである。そして仮に見つかったとしても近づかれなければ御の字でもある。対して私は視界に少しでもライチョウが入れば捕捉できるので、とにかくいそうな場所に行き視界に入れることができればある意味勝ちである。

踏み込みすぎるとマズそうな斜面にとりつく。前条のとおりなにをどうしたら危ないかは認識しているので地雷を踏まないように歩を進める。セルフビレイをしながら斜面の先を背伸びをし首を長くして覗き込むと、いるではないか2羽の愛しのスイートハニーが。ここからは忍耐の時間である。視界に捉えたものの踏み込むには危うい斜度40はあろう不毛の斜面。相手がこちらに来てくれるのを祈るほかない。1月と比べ多少は寒気が緩んでいるものの、曇天の雪原はそれなりに寒い。ザックの中から就寝用の厚手のダウンジャケットを引っ張り出してアウターの上から羽織って耐える。それからしばらくののち、運良く気が向いてくれたライチョウたちはこちらのカメラの射程圏内に動き始めてくれた。

今回の1枚は、遠間から2羽のライチョウが雪原を歩む場面を写したものだ。この日、これ以上の接近ができなかったのでこの写真を帰宅後に確認するまで曖昧だったのだが、オスメスのペアであった。繁殖行為をしているわけではないので性急につがいだと判定することはできないが、日を改めて再会した際もこの2羽で暮らしていた。またその後も、幾度となくこのペア以外にもオスメスのペアを確認している。このように、それまでオスメス別々に越冬すると定義されていたものを覆す記録を納めることがきたのは生態学的にも大変有意義な発見だったといえよう。

今週のアザーカット

前回のアザーコーナーで2026年度もいろいろやりますよとお伝えしたのですが、少し話が進んできたのでご報告でございます。具体的な資料などはまだこれからなんですが、まず春に安曇野市で講演会を企画中です。その後、夏に岐阜にて写真展とイベントを開催するべく関係各所と調整中でございます。これから年度末になってまたいろいろと来年度の計画が定まってくると思いますので、引き続きご期待のほど、よろしくお願いいたします。なお、写真はとくに意味はございません(笑)。我が家の改造プラモデル、ビグザムライチョウさんでございます。

【お知らせ】2026年1月より、月1回の更新になります。引き続き旬のライチョウの姿をお楽しみください!

▶過去の「旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺」一覧はこちら

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PROFILE

高橋広平

PEAKS / 雷鳥写真家・ライチョウ総合作家

高橋広平

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
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