
熊野古道・中辺路に約10kmの新コース。語りべと岩神峠を越えて発心門王子へ
PEAKS 編集部
- 2026年09月08日
INDEX
紀伊田辺駅からバスで熊野古道へ向かい、現地では地元の語りべと約10kmを歩く。
そんな定期観光バスの新コースが、10月1日から運行を始める。
舞台は熊野古道・中辺路(なかへち)。岩神峠を越え、発心門王子をめざす約7時間の行程だ。
文◉PEAKS
約7時間かけて歩く「Cコース」が10月1日からスタート
和歌山県田辺市を拠点とする龍神自動車が運行する定期観光バス「てぶらで語りべと歩く熊野古道・なかへち」に、新たに「Cコース 岩神~神域に向かう」が加わる。運行開始は2026年10月1日。熊野古道・中辺路の道湯川橋から発心門王子までの約10kmを、地元の語りべとともに歩くコースだ。
歩行時間は約7時間。アップダウンのある山道を歩くため、対象は13歳以上で、日ごろから歩き慣れている人向けだ。熊野古道の豊かな自然と長い歴史、そして熊野信仰の奥深さに触れられる。

集合は7:20、JR紀伊田辺駅前ロータリー。7:30にバスで出発し、8:55ごろに道湯川橋へ到着する。ここで語りべと合流し、9:00ごろから熊野古道歩きがスタート。発心門王子バス停に16:00ごろ到着・解散する予定となっている。
岩神峠を越えて発心門王子へ。Cコースのルートを歩く
道湯川橋から歩き始めて最初の大きな見どころとなるのが、岩神峠だ。男坂を登った先には熊野の山々を見渡す景色が広がり、峠には岩神王子跡が残されている。
ここは平安時代の貴族・藤原宗忠が記した『中右記』にも登場する場所で、熊野詣の歴史をいまに伝えている。
この岩神峠を含む仲人茶屋跡~蛇形地蔵の約3.5kmは、2011年の台風12号の影響で長く通行止めとなっていた区間だ。復旧作業を経て、2025年10月に14年ぶりに本来の中辺路が再開通した。Cコースでは、その復旧区間を含む古道を歩くことができる。

峠を越えると、山あいを流れる川のせせらぎを聞きながら静かな古道を進む。道湯川周辺には、かつて熊野詣の旅人を迎えた宿場町の面影が残されている。

そして三越峠で昼休憩をとったあと、さらに古道をたどってコース終着地点の発心門王子へ向かう。
「発心門」は「仏の道に帰依する心を発する入り口(悟りの心を開く入り口)」を意味する。発心門王子は熊野九十九王子のなかでも格式が高いとされる五体王子のひとつで、古くから熊野本宮大社の神域の入り口とされてきた。約7時間かけて山道を歩き、自分の足で神域の入り口までたどり着くこと自体が、このコースならではの体験になるだろう。

熊野古道を語りべと歩く。歴史と信仰を知る山旅
熊野古道には王子跡や史跡が点在しているが、歩いているだけでは、その場所にどんな意味やストーリーがあるのかわからないことも多いものだ。
「てぶらで語りべと歩く熊野古道・なかへち」では地元の語りべが同行し、さまざまな話を聞かせてくれる。史跡や熊野詣の歴史、地域に伝わる物語、季節の植物などを知る語りべと歩くことで、景色を見るだけではわからなかった熊野古道の魅力に触れることができるだろう。
「てぶらで歩く」とは? 紀伊田辺駅から宿へ荷物を当日配送
サービス名にある「てぶら」は、登山やハイキングに必要なものをなにも持たずに歩ける、という意味ではない。
別途申し込める「荷物当日配送サービス」を利用すると、紀伊田辺駅で旅行用の荷物を預け、その日の宿泊先まで届けてもらえる。スーツケースや大きなバックパックを古道へ持ち込まずに済む、というのが「てぶら」の意味だ。
荷物のサイズは3辺の合計が158cm以内、1個あたり23kgまで。料金や条件など詳細は下記で確認を。
- 「熊野古道 荷物当日配送サービス」
※このサービスは、対象宿泊施設の当日宿泊者限定。定期観光バスを申し込んだうえで、別途、乗車日の5日前までに申し込みが必要。
なお、昼食は旅行代金に含まれないため、各自で用意する。飲料や雨具など、約7時間の山歩きに必要なものも自分自身でしっかりと準備しよう。
解散後は熊野本宮参拝や温泉も楽しみたい!
コースは発心門王子で解散となるが、もう少し熊野の旅を楽しんでいくのがおすすめだ。
発心門王子バス停からは路線バスを利用して、熊野本宮大社、川湯温泉、渡瀬温泉、湯の峰温泉などへ移動可能。日程に余裕があるなら、ぜひ熊野本宮大社に参拝し、温泉も堪能していこう。
川湯温泉は川底から源泉が湧き出る全国でもめずらしい温泉。渡瀬温泉は緑と清流に囲まれ、開放感あふれる大露天風呂が魅力だ。そして、約1,800年前に発見されたと伝わる湯の峰温泉は、かつて熊野詣の旅人が身を清める「湯垢離場」として栄えた歴史ある温泉。こんこんと湧く温泉に浸かって、長い山道歩きの疲れをゆっくりと癒したい。
熊野古道・中辺路にはAコース、Bコースも
「てぶらで語りべと歩く熊野古道・なかへち」には、新設のCコースのほかに既存のAコースとBコースもあるので、簡単に紹介しておこう。
「Aコース 聖域滝尻~高原に向かう」は、聖域の入り口とされる滝尻王子から高原熊野神社方面へ歩くコース。歩行距離は6.0km、歩行時間は約4時間で、アップダウンもある古道を歩く。

「Bコース 牛馬童子~近露王子に向かう」は、牛馬童子口から箸折峠を経て近露王子まで歩く1.4km、約3時間のコース。箸折峠から近露の里山の眺望が楽しめる、初心者向けの気軽に歩けるコースだ。

Aコース~Cコースのいずれも、JR紀伊田辺駅に集合するとスタート地点まで定期観光バスで移動でき、そこから地元の語りべが同行して古道を歩く。完全予約制で毎日運行(予約のない日は運休)、申し込みは出発の5日前まで。
概要:てぶらで語りべと歩く熊野古道・なかへち 「Cコース 岩神~神域に向かう」
- 運行期間:4月1日~11月30日 ※2026年度は10月1日出発分から運行
- 歩行区間:道湯川橋~発心門王子
- 歩行距離/時間:約10km/約7時間
- 旅行代金:13歳以上¥12,500
- 料金に含まれるもの:定期観光バス代(片道:JR紀伊田辺駅~道湯川橋)、語りべガイド代
- 昼食:各自で用意
- 参加対象:13歳以上。日ごろから歩き慣れている人向け
- 申込期限:乗車日の5日前まで
- 詳細・申し込み:「龍神自動車」公式サイト「てぶらで語りべと歩く熊野古道・なかへち」
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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