
アタック合戦をしのいだスプリンターによる決戦 メルリールが今大会3勝目|ツール・ド・フランス2026
福光俊介
- 2026年07月17日
INDEX
ツール・ド・フランス2026は現地7月16日に第12ステージを実施。平坦コースにカテゴライズされスプリントフィニッシュが予想だった中、レース終盤はアタックの応酬。スプリンター陣は攻撃戦をしのいでフィニッシュでの勝負に持ち込んだ。落車が発生するタフな状況下で、ティム・メルリール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)が第7・第8ステージに続く3勝目。マイヨ・ジョーヌを着るタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)は無事に走り終えて、レースリーダーの座をキープしている。
シューマッハが活躍した名サーキットをスタート
中央山塊に別れを告げた前日15日の第11ステージから、プロトンは東へと針路を変える。この日のスタート地はフランス有数のサーキット「シルキュイ・ヌヴェール・マニ・クール」。1991年から2008年までF1フランスグランプリが開催され、ミハエル・シューマッハが8度優勝したコースとしても知られる。シャロン・シュール・ソーヌを目指すルートは中盤以降細かな高低の変化はあるが、3つあるカテゴリー山岳はいずれも4級。今大会では数少ない平坦カテゴリーで、今後のコース編成上、実質最後のスプリントチャンスとの声も。レース距離は179.1kmに設定される。

サーキットを1周回パレード走行し、リアルスタートが切られるとアタックに次ぐアタック。逃げがなかなか決まらないまま25kmを過ぎる。繰り返された出入りから、今大会たびたび逃げを打っているバティスト・ヴェストロフール(ロット・アンテルマルシェ、フランス)が抜け出すことに成功。これで集団のペースが一気に緩んだこともあり、ヴェストロフールは2分近いタイム差を得る。

45.8km地点に設置された中間スプリントポイントは、ヴェストロフールが一番に通過し、約1分40秒差でメイン集団が到達。ポイント賞のマイヨ・ヴェールを着るマッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)が先着し、2番手で通過。このときに他選手の進路をふさいだとして一度は降着の裁定が出たが、ピーダスンやチーム側の抗議が通り着順通り2位通過に。ポイント賞争いに貴重な20点を加算させた。
スタートから54kmを走ったところで新たな動き。ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)、エウェン・コステュー(グルパマ・FDJユナイテッド、フランス)、マッテオ・ヴェルシェ(トタルエネルジー、フランス)が追走を開始。3kmほどでヴェストロフールに合流し、4人逃げとなる。1分40秒程度のタイム差でしばし先行していたが、フィニッシュまで100kmを切ったあたりを境に集団との差は縮小傾向となっていった。

大会を通し積極性が光るヴェストロフールは、フィニッシュまで60kmを残してスピードアップ。他の逃げメンバーを引き離し、独走へと持ち込む。ただ、それも長くは続かない。残り35kmから集団ではアタックの応酬となり、ヴェストロフールに代わる形で先頭ライダーが入れ替わった。
終盤のアタック合戦はいずれも決まらず、スプリントへ
クイン・シモンズ(リドル・トレック、アメリカ)らのアタックを機に、最大14人が集団に対してリードを確保。逃げ切りにかけてペースを上げるが、スプリント狙いのチームが牽引する集団が勢いで勝る。この日最後のカテゴリー山岳である4級の上りで再びシモンズが仕掛けたが、アタッカーはすべて集団に抑えられた。

カウンターでピーダスンが仕掛ける場面も見られたが、決定打とはならず。フィニッシュまで10kmを残したところで集団のコントロールをXDS・アスタナ チームが担い、スプリントに向けたムードが高まった。
残り1kmを示すフラムルージュを通過すると、アルペシン・プレミアテックのトレインが先頭へ。ヤスペル・フィリプセン(ベルギー)を絶好の位置からスプリントへともっていく。スプリンター陣が加速タイミングを図るが、フィニッシュ前400mでフェルナンド・ガビリア(カハルラル・セグロスRGA、コロンビア)が他選手と接触し落車。これで連鎖的に多くの選手が巻き込まれ、その中には前日勝者のソーレン・ヴァーレンショルト(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー)の姿もあった。
難を逃れた前方の約20人によるステージ優勝争いに。残り200mでフィリプセンが飛び出すと、タイミングを合わせてミラン・フレティン(コフィディス、ベルギー)やオラフ・コーイ(デカトロン・CMA CGM チーム、オランダ)らが並ぶ。さらにその間から伸びてきたのはメルリール。ライバルたちをパスし、一番にフィニッシュラインを通過した。
フィニッシュ前のスピードと勝負強さはナンバーワンとの呼び声も上がるメルリール。それを証明する今大会3勝目を挙げた。

第13ステージはヴォージュ山脈へ
大規模なクラッシュにより、大多数の選手が足止めを余儀なくされたが、フィニッシュ前5km以内でのトラブルは救済に対象となる「5kmルール」によってメルリールと同タイム扱いに。個人総合上位陣は落車を回避し、大きな問題はなくレースを完了。順位の変動はなく、ポガチャルが引き続きマイヨ・ジョーヌを着用する。

翌17日に実施の第13ステージは、今大会最長の205.8km。ヴォージュ山脈に入り、レース終盤に3級と1級、2つのカテゴリー山岳を越える。総合系ライダーによる争いとなるか、集団が逃げを容認するか、あらゆるレース展開が想定される。
ツール・ド・フランス2026 第12ステージ 結果
1 ティム・メルリール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)3:38:53
2 オラフ・コーイ(デカトロン・CMA CGM チーム、オランダ)ST
3 ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・プレミアテック、ベルギー)
4 ビニヤム・ギルマイ(NSNサイクリングチーム、エリトリア)
5 ミラン・フレティン(コフィディス、ベルギー)
6 アントニー・テュルジス(トタルエネルジー、フランス)
7 マックス・カンター(XDS・アスタナ チーム、ドイツ)
8 クレマン・リュソ(グルパマ・FDJユナイテッド、フランス)
9 マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)
10 フープ・アルツ(ロット・アンテルマルシェ、オランダ)
個人総合成績
1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)43:04:01
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+3’36”
3 レムコ・エヴェネプール(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ベルギー)+4’06”
4 フアン・アユソ(リドル・トレック、スペイン)+4’22”
5 ポール・セクサス(デカトロン・CMA CGM チーム、フランス)+4’35”
6 フロリアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+4’44”
7 イサーク・デルトロ(UAEチームエミレーツ・XRG、メキシコ)+5’08”
8 マティアス・スケルモース(リドル・トレック、デンマーク)+5’45”
9 レニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス、フランス)+6’34”
10 トーマス・ピドコック(ピナレロ・Q36.5プロサイクリング チーム、イギリス)+11’49”
ポイント賞
マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)
山岳賞
タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)
ヤングライダー賞
フアン・アユソ(リドル・トレック、スペイン)
チーム総合成績
リドル・トレック
SHARE



















